弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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お待たせした割に短い第68話です、お楽しみください


第67話 人類を滅ぼすには

NFFボーダー 格納庫にて…

 

 

 

 

身体は大丈夫なの?と聞いてみる

返ってきた答えは『いいえ』

それもそうだ、あそこまで無茶をして平気な方がおかしいのだろう

 

 

「ん…」

『君は大丈夫なのかい?』と弱々しい声の質問が来る

 

 

…正直、分からない。どうしたら2人を説得できるのか、どうしたらこれ以上誰も傷付かずに済むのか、必死に考えている。

 

 

「分かってるよ、そんなことは」

 

 

そんな方法は無い、分かっていても『既に見つけた解決法』から目を逸らすために今も考えている

工場跡地でも迫られた選択肢、彼方とザイルを…殺すこと

 

 

あの子を肯定するのなら、私は2人以外の全てを敵に回す事になる

それに恐怖は無い、あるのは罪悪感。

私が2人の味方をする理由が『愛』にあるのなら、オリオンとアルテミスちゃんは何も言わないだろう、でも──

 

 

「それは愛じゃない、と思う」

 

 

大切だから

失いたくないから

だから守りたい

 

 

それはきっと、唯一無二の家族を愛する《影月 遥》という人間が自分自身のためにやることだ

なら、私の中にある家族への愛は何が正しいのだろう?

 

 

「…そろそろ行くよ、きっと彼方が寂しがってる」

見送られて格納庫を後にする

 

 

ズキッ

 

 

既に無い筈の右手首が痛む

………痛いな

 

 

「あっ!お姉ちゃん見つけた!」

「彼方?」

 

 

変わらぬ笑顔で曲がり角から彼方が走ってくる

「ベリルありがとう!」

「俺はただ船内の見取り図を読んで教えただけなんだが…

ま、気にすんな」んじゃ俺はまたカジノルームにでも行くからな

 

 

「………」

ベリル・ガット、ザイルが連れてきた仲間

人当たりは良さそうだが人間を見るや否や問答無用で殺そうとする彼方が彼に懐いているというのが少し気になる

 

 

「お姉ちゃん?」

「…うん、ここにいるよ」

 

 

紫の尾をゆらゆらと揺らしながら《?》マークを浮かべる彼方をそっと抱き締める

確信は無い、でも私が決断しないとまた良くない事が起きる…そんな予感がある

 

 

──いや、どんな時もそうだ。決断を先延ばしにして結局決められなかった結末なんて、最初に提示されたどの選択肢よりも悲惨なものになることは分かりきっているのに

 

 

「お姉ちゃん?」

「…」

ああ…そうだ。もう崩壊点は過ぎている

私が選ばなかった結果が今を形作っているのならソレを覆すことなどもう出来はしない、時計の針は元には戻らない

 

 

「…」

彼方の頭を撫でる、自問自答を隠すように。

「…!…えへへ、お姉ちゃん大好き…♪」

 

 

この悲惨な現実をこれ以上悪化させないために、私は何を選べばいい?

大事な家族のために、何を捨てればいいのだろう?

 

 

NFFボーダー 廊下にて…

 

 

「うぐ…まだ目眩がする…」

こめかみを抑えながらフラフラと廊下を歩く少女、茨木童子

眼下に広がる冬木市を見下ろしながら、召喚当初から変わることなく逃走の計画を練る

 

 

このままここにいても使い潰されるだけだ、例の注射は得体が知れん

「身体の具合はどうでござるか、茨木童子殿」

「…貴様はいちいち天井から出てこんと気が済まんのか?」

 

 

霊体化を悪用し、天井から巫女服に身を包んだアサシン、望月千代女がくるりと降りて来る

む…?そうか、この小娘は忍と言っていたな

「我ら鬼から娯楽を奪えぬように貴様のそれも同類というわけか」

「いや、それは違うと思うでござるが…」

 

 

そういえばアサシンと一対一で話すのはこれが初めてだったな、丁度いい

このような機会は滅多に無い、と一分の希望をかけて彼女に探りを入れてみることにした

 

 

「ところで貴様、ザイルのことをどう思っている?」

「お館様を?仕えるべき我が主でござる」

「そういう意味ではない、人類を滅ぼそうとしている主人を英霊としてどう見ているのだ」

 

 

頼む…!

もし()()()()であるなら逃走経路は格段に増える、戦闘能力では奴らに劣るかもしれんが逃げるだけならこいつほど頼もしい奴はいないだろう

そう、期待をした上での質問だったが…

 

 

「確かに主の行いを良いこと、とは思ってござらん

主と関わりのない人間にしてみればある日突然踏み潰されるのは理不尽極まりないでこざろう」

「なら…!」

「しかし」

 

 

希望が付きかけた茨木童子の言葉を彼女が遮る

「拙者は忍、影を行くくノ一。ただ主の望むままに駆けるだけでこざる」

「確かに奴は貴様を召喚したがそれだけで世界を敵に回すのか!?」

「茨木童子殿、さっきから貴女の様子はおかしい、もしや逃げるために拙者を懐柔しようと考えているのでござらぬか?」

「ぐ…」

 

 

焦りすぎてしまった…!どうする?ここで黙らせるか?

「拙者と違い影月家や主殿のことについて何も知らない以上、気持ちが分からない訳ではござらんが…影月 彼方がいる以上薦めはしないでござる」

「…」

 

 

予想に反した凛とした態度に狼狽える

彼方が恐ろしいのなら貴様は何故平然としていられる…?

 

 

「茨木童子殿、拙者は影月家の人間がどのような人生を歩んできたか、全てではないが知っている。拙者は主を止めるつもりは無い

どこの誰が何人敵になろうとも、拙者は最後まで主殿に着いてゆく、それだけでござる」

 

 

「ま、待て!何処に行くつもりだ貴様!」

「心配せずとも報告などしないししたところで何も変わらんでござる

主殿には『危害を加えてこない限り無干渉で良い』と仰せつかっているでござるからな」

 

 

霊体化し、どこかへ去ろうとするアサシンだったがその歩みもすぐ止まった

「離れろと言っている」

「ええ〜?」

何故?と困惑する間も無く背後の通路から声がする

 

 

ザイル…!…は?

曲がり角の向こうから現れたのはザイルではあったが…

何をやっておるんだこいつら?

 

 

明らかに機嫌の悪いザイルの左腕に自信の腕を絡ませ、耳と尻尾と身体を不気味にくねくね動かしているコヤンスカヤ

茨木童子だけでなく望月千代女も呆れ顔だがあいにくとツッコミを入れる人材がいなかった

 

 

「いやーん、ザイルさんの天才的な作戦にタマモ、メロメロなんですぅ〜」

「それは馬鹿にしているのコケにしているのかどっちなんだ?」

「もちろん感謝しておりますわ!ああ…!なんてやりがいのある仕事をくれたんでしょう!ワタクシ感極まって──愛玩(あい)していいですか?」

「いらん、時間の無駄──ん?バーサーカーとパライソか丁度いい、このアホを引き剥がせ」香水臭くて敵わん

 

 

「は、はぁ…承知。」

「何をやったらこうなるのだ?」

「俺が聞きたい、暇なら手伝え」

 

 

結局終始状況を理解できないままテンションのおかしいコヤンスカヤを2人がかりで引き剥がした

…余程香水の匂いが嫌だったのかザイルには真っ直ぐに礼を言われ、伊吹山から回収したという美味い酒を貰って部屋に戻った

 

 

ぐび…

「…美味いな、おそらく人が飲むようには作られてはおるまい。それにしても──」

何故ああなったのかという疑問。本来この状況であれば下手に首を突っ込まず逃げることだけ考えるのが正解のハズなのだが…

 

 

「…」

鬼の直感と言うべきか、彼女はその要因について知っておかなければならない気がしたのだ

逃げる前に少し調べてみるとしよう、逃走幇助でなければ今度こそアサシンを味方にできるかもしれん

 

 

まだ少し残っている酒瓶を置き、彼女は部屋を出た

 

 

数十分前 マイルーム(ザイルの部屋)にて…

 

 

突如ザイルの部屋に呼ばれた2人のコヤンスカヤ、着くや否やフォーリナーの方の彼女を部屋の前に立たせて門番にし、アサシンの彼女だけを部屋へと招いたのだ

 

 

「これからの方針、ですか?」

ただでさえ広く、人が少ない船の中でここまで厳重に人払いをして何の話をするのかと身構えていたコヤンスカヤだったが何の変哲もない…普段と変わらない話に首と耳を傾げる

 

 

「そう、人間を根絶やしにするための行動をそろそろ取っていく」

「ふむ?」

それくらいならここまで厳重にする必要はないと思いますが…

 

 

「考えていることは分かる、たしかに少々過剰すぎたかもしれないがまだお前以外の誰にも知られるわけにはいかないんでな」

特に姉さんにはな、とため息をつきながら板チョコレートを齧るザイル

 

 

「前提として言っておくが俺は1人1人この手で殺していくつもりは無い、できればそうしたいがそんなものは理想論だ

殺せる時に大勢殺すのがベストであり手段は選ばない」

「それはまぁそうですよねぇ」

砂浜で砂粒を数えるのは苦行以外の何者でもないですし

 

 

「そしてそのための作戦を以前から考えていた、実行に移すためにはお前の力が必要だ

手間も時間もかかる仕事になる」

「ほう?」

 

 

これまでで1番面倒な仕事をやってもらう、と言い数枚の資料を手渡してくる

「1枚目のこれは…ロシア軍部の情報ですね」かなり大雑把ですが

「なんとかかき集めた情報だが恐らく役に立たないから無視していい、結論から言えばお前の仕事はロシア軍部に潜り込んでとある情報を手に入れることだ」

 

 

うーん?軍部から抜き取れる情報なんて手間の割にたかが知れてると思いますが…

「手に入れるのは──」

 

 

………

 

 

…おっと?

「まずロシア相手に吹っかけようってことですか?」

「まさか、欲しいのはその2つだけだ。それさえ手に入れば()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

妙な言い回しに若干『?』気味のコヤンスカヤだったがその真意に気付いた瞬間、彼女は耳と尻尾をピンと立たせて喜ぶのだった

確かにそれならザイルだけでも世界と戦える。いや、戦いにすらならないかもしれない

 

 

「うふ、ふふっ」

なんてことを思いつくんでしょう、この方は!仕事も楽しく、がワタクシのモットーの1つではありますが…なかなかどうして!仕事の方からワタクシを楽しませてくれるなんて!

 

 

「おい、顔が普段にも増して不気味だが」

「失礼!それで作戦開始はいつ頃に?」

「とりあえず右腕が出来上がるまでは待機だ、長丁場になるだろうし義手が出来上がり次第休暇を出す、作戦開始はその後だ」

 

 

ふむ、なるほど

 

 

「伝えるべきことは伝えた、急に呼び出して悪かったな」戻っていいぞ

部屋から出て行こうとするザイル、その腕に自身の腕を絡ませながら一緒に部屋の外へ

 

 

「やれやれ、どうした」

「いーえ?これから長丁場になるんでしょうし、今のうちに愛玩(あい)するザイルさんとの時間を大事にしておこうかと♡」

「…離れろ、邪魔だ」

「いやです♡」

 

 

「おいフォーリナーの…居ない?」

「あ、もう必要なさそうだったんで義手製作に戻ってもらいました」

「………」

 

 

頭を抱える彼にべったりくっ付いて着いていく

うふふふ!

()()()にいた時に勝るとも劣らない大きな仕事、それは決して直接人類を滅ぼしうるものでは無かったが逆にそれが彼女の仕事に対するやりがいを刺激した

 

 

楽しい仕事になりそうですねぇ♪




コヤンスカヤの霊衣を未だに諦めきれていない作者のルルザムートです、ハイ。もうすぐ終わる詐欺をしてきましたが多分そろそろ終わると思います
大きな場面はあと2つ《?》そこを過ぎればめでたくエンディングで…
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