弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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コヤンPUキタァーッ!でも正月控えてるし引くか迷ってる
そして2部7章開幕…しばらくそっちかなぁ
そんなこんなで第68話です、お楽しみください


第68話 最後の機会

NFFボーダー 甲板にて…

 

 

日付が変わって2時間程経った頃だろうか、思考の読めない表情で星空を見上げるザイルの元に1人、訪れる人間がいた

 

 

「姉さん?」

「…うん」

 

 

彼の姉はそれ以上言葉を返すことなく彼のそばへと歩み、腰を下ろす

「…!冷たっ」

が、すぐに立ち上がる

こんな高度を飛んでいれば季節に関係なく金属は冷たくなるのかとその雰囲気に関係のない思考を少しだけしてザイルの方へと向き直る

 

 

「………」

彼は何も言わない、ただじっと空を見つめている

「何をしてるの?」

「今はやることが無いからな、見える星を数えている」

「…それ面白い?」

「いや、今のところ微塵も面白くない」

 

 

新しい娯楽を見つけるためにあらゆることに挑戦している、と彼は言うが全く成功していないらしい

「…」

2人のコヤンスカヤはどちらも居ない、彼方とベリルも眠ってる

確証なんて無い、けどきっと──

 

 

(これが止められる最後のチャンス、なんだろう)

 

 

「なら少し話をしようよ、久しぶりに2人だけで」

「俺は影月 彼方じゃないぞ」

「うん。でも私の弟だ、いいでしょ」

「弟、か………ありがとな」

 

 

嘲笑や侮蔑といった負の感情が一切含まれていない彼の微笑み

性別、性格、環境が変わって尚彼方の面影が残るその表情は彼も間違いなく自分の家族であるという認識を後押しした

 

 

「ザイルは今何が好き?趣味とかある?」

「そうだな…カラオケや映画鑑賞、1番楽しんでいるのはギャンブルだな」

へーギャンブル…って!

 

 

「だめだよ!?そんな危ない遊び!」

「ギャンブル=悪ってなぁ…やれやれ、ここは日本じゃない

違法だからってやめるつもりも無いがな

だいたい引き際や止め時を見誤らず適度に楽しめば本来ギャンブルで破滅するなんてことはありえないんだ、姉さんが思っているような危険なものじゃない」

 

 

「そ、そうなの?」

なら…良いけど

 

 

「姉さんこそどうなんだ、聖杯戦争が始まる前まで危ないことはしてなかったのか?」

「え!?してないよ!」

本当か?と彼は疑惑の眼差しを向けながらリモコンのような物を取り出してボタンを押す

 

 

2つの椅子と1つのテーブル、さながらお茶会のようなセットも合わさった家具が甲板から出てくる

「立って話をするのもな、座ってくれ。…で、本当か?」

「本当だよ!」

 

 

私はそんなことしてな──

「ノーアから地下秘密基地に忍び込んで召喚されたグランドアーチャーを強奪していった、と聞いているが」

「あ、あれは…その…」というかノーアって…?

 

 

………えーと

「ギャンブルなんかより危険な行動だな?他にもあるぞ?そのグランドアーチャーにサーヴァントとしてでなく恋人のようにべったりしていたとノーアから聞いている」

「え」

 

 

え誰!?なんでそんなことまで知ってるの!?

「姉さんがクズ男に引っかかってヤり捨てられないか、気が気じゃなかった」

「オリオンはクズじゃないよ!?」

「あー…すまない姉さん、嘘だ」

「・・・」

 

 

 

 

「推測して半ばヤマをかけた、忍び込む云々は知っていたがまさかサーヴァントに本気で恋するなんてなぁ…

まぁ契約したサーヴァントとカラオケに行ってた俺が言えるようなことじゃないんだが」

まぁ酒飲んだ後の惨状を見ればこっちも分かったもんだが、と彼は板チョコを取り出す

 

 

「食べるか?」

「え、あ…じゃあ、うん…」

3/5程に折られた板チョコを受け取って食べる

…怒るタイミングをチョコのせいで完全に逃しちゃった

 

 

「アルゴスタワーと大通りのことについては本当に悪かったと思っている

2度も姉さんを苦しめるようなマネをした」

「あの時の…私のことはいいよ」

「私のことは、か」

 

 

深いため息を1つ吐き、少しずつ食べていた板チョコを一気に頬張るザイル

「大通りで彼方も言っていたが…もうこれ以上『自分以外の誰か』の役に立とうとしなくていい」

もちろんこれには影月 彼方や俺のことも含まれてるぞ、と念押ししてさらに言葉が続く

 

 

「いいじゃないか、自分のことが1番可愛いのはみんな同じだ

誰も責めやしないし、責められない

…姉さんに力を貸した2人のアーチャーならなんて言う?」

「でもっ…!虐殺なんて間違ってるよ!!これ、これを…!止めないで良い理由があってたまるか!!」

 

 

「間違っている、っていうのは?」

「人を殺すことに決まってるでしょ!?なんで…!理不尽な憎しみをぶつけられる辛さを貴方は誰よりも知ってる筈なのに!」

 

 

「…姉さん、そろそろその考えをやめないか?」

「え──」

今までと打って変わって突き刺さる冷たい目、それは憐れむような呆れたような、諦めかけたもの。

 

 

「正しいこと正しくないこと、善い行いと悪い行い、そんなどこの誰が作ったかも分からない物差しを盾にしないでくれ

もう終わったんだ。絵本みたいな善悪で物事を決めるなんて段階は、とっくに終わっているんだ」

「ザ、イル」

 

 

「ああ、俺のやることは『悪』だろうさ、だからなんだ?悪いことだから止めましょうとでも言うのか?ふざけるな」

姉さんじゃなかったら有無を言わさず殺している、とさっきまでホットココアだった冷たいココアを一息で飲み干す

 

 

「………そうだな、分かった。決別は必要だ、構えてくれ姉さん」

「なにするつもり?」

いや、聞かなくても分かる

立ち上がる彼の手には拳銃が握られている──

 

 

「これが最初で最後だ、俺を…ザイル・ニッカーを止めろ、虐殺が許せないのならな

コヤンスカヤ、どうせ見てるんだろう?誰もここに入れるな」

『かしこまりましたー!』

「ま、待って──きゃっ!?」

 

 

片手で投げ飛ばされて甲板を転がる

全然痛くない、手加減したの?

「手加減は最初の1発だけだ、俺は影月 遥を敵として打ち倒す覚悟を持って人類を根絶やしにする。だから姉さんも覚悟を見せてくれ!俺を止めると言うならば!」

 

 

ダンッ

 

 

「ぐ!」

手加減しないと言いつつも急所を外して撃たれた弾丸を黄金の弓を盾に弾く

「アルテミスの弓か、そういえばコヤンスカヤと戦った時は片手で弓を射っていたらしいがどうやったんだ?」

「………」

「まぁ知る必要も無いが」

 

 

また、分岐点。

 

 

私とザイル以外誰もいない甲板で響く発砲音と半長靴で甲板を駆ける高い音

その音がやけにゆっくりと聞こえる

選択の時だ、何度も何度もやってきて、その度に目を逸らしていた選択の時がまた──

 

 

「戦うのか戦わないのか、もしくは逃げるのか、何か取れる行動はあるだろう?選ぶんだ」

「………」

 

 

ここで戦う?ザイルは丸腰に近いし隻腕だ、もちろん隻腕なのは私も同じだけどアルテミスちゃんの力がある以上は有利だろう、問題なのは今の私にそれだけの覚悟が──

 

 

「戦う覚悟ができてない──いやできないのなら逃げろ『戦えない』と言ってくれてもいい、それでこの場の戦いは終わるんだ」

「…戦いたくない」

弓を構える、だが構えるだけ。矢も魔力も、何も出てこない

 

 

「っ…姉さん、今は考えを聞いている訳じゃ無い、姉さんは俺や彼方と戦えるのか戦えないのか、どっちなのか聞いてるんだ」

「なんで…家族同士でまでこんなことしなきゃダメなの?ザイル、もう止めて…ぅぐっ!」

 

 

桃色の義手が私の首に掴みかかり、そのまま冷たい甲板へと叩きつける

「なんなんだ…なんなんだ?逃げもしない、戦うこともしない、どちらにつくこともなくただ『止めて』…いくらなんでも都合が良すぎるだろう!

ここまで来て…まだ迷うのか!?」

 

 

言われる前に既にその結論に達していた私は反論できなかった

都合が良いことは分かっているし私の中でまだ不鮮明になっているところもある

でもそんなの言い訳にならないことくらい目の前のザイルを見たら分かる

 

 

「姉さんはどうしたいんだ!そんなに見ず知らずの他人が大切ならどうしてアメリカで俺が連れ出そうとしたのを断らなかった!」

「それは…」

 

 

「今こうして迷うくらいならどうして!迎えに来てくれなかったんだ!

「────あ」

 

 

『必ず戻ってくるから』

 

 

(彼方)は──おい後にしろコヤンスカヤ…なに?っ!!!」

胸ぐらを掴んでいた手を離し、かなり無茶な勢いで体を逸らすザイル

一瞬早く動いたおかげで飛んできた草薙の剣がザイルを両断することは無かったが脇腹から僅かに出血しているのが見える

 

 

「やれやれ、我ながら寝付きの悪いクソガキだ」

「お兄ちゃん?いったいなんのつもりなの?」

紫の尾をしならせ不機嫌顔でザイルを睨みつける彼方、遅れて草薙の剣が彼方の手に戻ってくる

 

 

「…ただの姉弟喧嘩だ、気にするな。俺ももう寝る」おいコヤンスカヤ

「…?あ。」

ぺたん、と糸の切れた操り人形のように倒れ込む彼方、意識を失ったらしく背後には注射器を持ったコヤンスカヤの姿が。

 

 

「ふむ、耐性があるのは戦闘時だけだったのは幸いですね

彼方さんがこんなに早く来るとは…

ザイルさん怪我はありませんか?」

「無い、彼方の件は気にするな。下手に止めれば船が墜ちることもありえただろうしな」

 

 

むしろ最初から覗きに来ていたことの謝罪は無いのか、と半ば呆れたように彼が言う

「はてなんのことやら♡それより…当たり前ですがここは冷えます、そろそろお休みになった方がよろしいかと、残業は無いに越したことはありませんわ」

「分かっている」

 

 

「ザ──」

彼方を担ぎ上げ甲板から去ろうとする彼を引き止めようとして…言葉が出なくなる

引き止めたとしてなんて言えば良い?あの背中になんて声をかければいい…?

 

 

「クライムのところに行くんだ姉さん、十中八九生きているだろうしな

連れてきたのは俺達だし意思が聞ければ今すぐにでも送らせる

戦意が無いことを伝えれば他の一般人と同じように守ってくれるだろう、いくら奴でも助けを求める一般人を尋問することは絶対にない」

「………」

 

 

「やれやれ…コヤンスカヤ、姉さんを頼む」俺はもう寝る

「かしこまりました!さ、遥さんこちらに」

答えることもなく言われるがままコヤンスカヤに連れられて艦内に戻る

 

 

「顔色が優れませんがお身体は大丈夫ですか?」

「…なんともないよ」

「──そうですか、何かあれば部屋の電話機を。1発で管制室に通知が行きますので」

 

 

何度見てもアルゴスタワーで殺し合いをしたとは思えない柔らかな態度に押されて部屋へ

「………」

せめて、せめてどちらに付くのか決めなければならない

選ばなければならないという分かりきった事実が頭の中で何度も何度も反復する

 

 

『姉さんはどうしたいんだ!』

「………私は」

「ずいぶん悩んでるみたいだな、ハル」

 

 

へ!?

 

 

NFFボーダー ザイルの部屋にて…

 

 

「どうぞ」

「これが新しい右腕(義手)か…良い出来だな」

桃色の義手を装着し、軽く肩を回すザイル

どうやら何も問題は無さそうですね

 

 

「もうすぐ、と言っていた割には時間がかかっていたが…機神の部品か?」

「ええ、ご想像の通りです。

キリシュタリアさんから受け取ったゼウスの残骸を加工し、義手のパーツとして組み込みました。特に付与技能があるわけではありませんがこれまでの義手と比較して耐久性は大幅に向上しています」

 

 

やろうと思えば出来ましたがその手の物は流石に専門外ですし

専門外の小細工などするよりそのリソースで義手本体の耐久性を底上げした方が良い物が出来上がるだろう、コヤンスカヤのその考えの元作られた義手はザイルの期待に沿っていたようだ

 

 

「充分だ、明日の午前中でこの義手に身体を慣らしたら休暇を出す…つもりだが他に何かやるべき事がある、って顔をしてるな」

おお、鋭いことで。

 

 

「ええ、戦力増強目的で立ち寄りたい場所が1つ」

「どこだ」

 

 

「ギリシャ、アルテミス神殿です」




2部7章(前編)をやってテンション最高のルルザムートです、ハイ。
なんで最高なのかはまぁ言えませんが最高です。年末年始は更新が遅くなるか逆に早くなるか…
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