弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
そして71話と73話のタイトルを少し変えました
第74話です、お楽しみください
《A班》キリシュタリア、カイニス、芦屋道満
伊吹山 山頂跡にて…
「もう山頂だ、ダヴィンチ!反応はどうだい?」
『いる!大気中の魔力濃度が高くて完全に観測できないが間違いなく神がそこにいるよ!気をつけて!』
「…分かった!」
大気中のマナも合わせ脚力を強化し、古びた石階段を駆け上がる
「おい前に出るなキリシュタリア!
くそ!道満の野郎ここぞとばかりに先行しやがって!」
山頂と思われる場所に着くと目に入ってきたのは機嫌が良さそうな芦屋道満
全身ぐちゃぐちゃの影月 遥とその周りでオロオロしているアタランテとペンテシレイア
腹を抱えて地面にうずくまる巨大な…巨大な…蛇?女性?そして──
「ふっ…ざけん──」
「!」がっし
「ン?」
「 なっ ! 」
バーゲストよりも高い筋力から繰り出される前蹴りがキリシュタリア──ではなくキリシュタリアを庇ったカイニス…が身代わりにした道満の腹部に直撃する
「ンゴホオッ!?カイニス殿!何故拙僧を盾に???」
「その声…ガウェインの言ってた元騎士か?とにかく落ち着け、いきなりキレたって意味が分からねぇだろうが」
「無視!英霊とはいえ拙僧も人、流石にキズつき「は?てめぇそれで英霊なのか?ヘタすりゃ獣とかと戦う前に全員皆殺しの可能性もあったんだぞ分かってんのか!」
「ンン…妙ですネェ、まだ拙僧表向きな悪事を働いた覚えはございませんのに」
「おい!2人揃って勝手に消えるな!おかげで少し肝が冷えたぞ」
息を切らせて階段を駆け上がってきたのはカドックとレガリオ
どうやらガウェインは一緒ではないらしい
「キリシュタリア?こんなところにいたのか」
「うん、ところでガウェインは一緒じゃないのか?」
「彼女は今ぺぺさんの班です、B班全員で山道の警戒についていてくれてます」
「分かった、とりあえず道満には彼女の後で話を聞くとして
ここでさっき何があったのか教えてほしい
良いだろうか、バーヴァン・シー?」
「…ッチ」
明らかに不機嫌だが彼女は拒絶することはなく早口に話し始めてくれた
…根は良い子なのかもしれないな
〜
遡ること数十分前…
「我を、呼んだな?」
「っの…呼んでねぇよクソが…!」
どうすればいい!コイツをあたし1人でどうにかできるとは思えない、仮にここを凌いだとしてもその後誰がアイツを止めるのよ!?
もしお母様がここに居れば──いや弱気になるな、魔術師バーヴァン・シー
ずっと前に決心したじゃない、お母様のような優れた魔術師にはなれずとも名に恥じない魔術師にはなると!
かつて母が持っていたものと同じ杖を握る、厳密にはレプリカなのだがそれでも意味はある
私が止めないと──
「なーんちゃって!」
「………は?」
…は?
にっぱー⭐︎という擬音が聴こえてきそうな笑顔の伊吹童子に一瞬思考回路がショートする
なに、なにを…言ってるの…?
「出よう出ようと思ってたんだけど居心地が良くてつい…あ!あたしは伊吹童子!多分食べたりしないから安心して?ね?」
「え、えっと…」
どうも隻腕の彼女も伊吹童子のことを知っているらしい
まぁ顔つきが影月 此方そっくりだし十中八九関係者よね
「おいお前、アイツのこと知ってるのか?」
「いや、あの知ってるけど…あれは知らないというかなんというか…」
「もし知ってたらドン引きするってぇの!」
口調はフランクなものの気配はカミ、伊吹童子で間違いない
「貴女は伊吹童子…様、なんですか?」
「そーそー!あでも『様』なんて付けなくていいわよ?気軽に伊吹お姉さんって呼んで!
それでアナタは?見たところアナタもどこかの神様なんでしょ?」
「私は影月 遥、力は借り物で一応…多分人間です」
「へー影月 遥ちゃん…うん?影月?アナタ影月家のコなの?
…あ、ホントだ。印無いけど確かに影月のコね!」
ナチュラルに近付いて会話してる…肝が座ってるのか
「或いはただの馬鹿か、だな
意味が分からねぇ、何するのが正解なんだ…」
「ンン、どうやら困っているご様子で!よろしければ手を貸しましょうか?」
ヒョイ
「うわっ!?…誰だテメェは!」
「拙僧は陰陽師、キャスターリンボと申しまする!」
サーヴァント?バーゲストの言ってたキリシュタリアの…
パク
「あー思い出したぞ!お前芦屋道満っつークソ野郎だろ!」
具体的に何がクソ野郎なのかは聞いてはいないが。
「とうとう完全に初対面の方にも嫌われるようになってしまうとは…
ンン、一体何を間違えたのでしょう?」ご存知ありませんか?
「アタシが知るワケねーだろ!…?っつーか何しに来たんだよ、キリシュタリアって奴は居ないのか?」
ゴックン
「なにやら身に覚えのあるカミの気配がしたもので
居ても立っても居られず拙僧だけでここに来てみれば荒御魂、伊吹大明神が現れていようとは!」
…!彼は伊吹童子について知っている?でも50年前にこんなサーヴァントは居なかったし…
ンマーイ!
「50年前の関係者…なのか?」
「いえいえ、この地ではない場所にて縁があったものでして
そこでひとつどうでしょう?この地で50年前何があったのか拙僧に聞かせてはございませぬか?
引き換えと言ってはなんですがかの神の機嫌は拙僧が取り持ちましょうぞ」
グビグビ
「…そんなことできるのか?」
「少なくとも打倒や封印よりは堅実な手かと!して、どうされますか?」
「…」
…どうしよう?バーゲスト達を待った方がいいのかな…
オサケンマーイ!
「伏せていろバーヴァン・シー!」
「え」
「ン?」
「「どっせい!!」」
階段下から文字通り飛んできた2人、いや2騎の飛び蹴りが道満の顔面に直撃し派手に吹っ飛ぶ
「だから何故に!!?」
ネムーイ…
「ふぅ、怪我はないな?ああ申し遅れた、私はハルカ様のサーヴァント
ペンテシレイア、バーサーカーだ」
「同じくアタランテ、アーチャーだ
芦屋道満と一緒に居たようだが何かされたか?」
「いや、なんもされてねぇが」
「ふむそうか、事が起きる前に駆けつけることができて良かった」
「…どんだけ信用ねぇんだアイツ」
フワー、オヤスミナサーイ
話を聞くとどうやら漠然とした危機感を感じて2人して駆け上がってきたらしい
「妙な胸騒ぎがしたが…まさかあれが原因か?」
どこから取り出したのか分からない酒樽を抱えて寝そべっている伊吹童子を指差しながらアーチャーが言う
「見た目に騙されんなよ、アタシが知ってんのと結構違うところは多いが間違いなくこの山の中で1番危険な奴であることに変わりはないんだからな」
あのバーゲストが手も足も出ずにやられた光景がフラッシュバックする
なんとか封印までこぎつける事ができたのは当時のサーヴァントとマスター全員が全力で奇跡を手繰り寄せたおかげに他ならない
…まぁ、私は大して役に立たなかったけど
zzz…
「つーかのんびりお喋りしてる場合じゃねぇ!とりあえず影月の女をアイツから引き離さねぇとまた50年前の二の舞だ!協力しろ!」
「影月…?ハルカ様のことで合っているよな?」
「どこに疑問吹っかけてるんだよ、影月が他に居るのか?」
「どこにも居られないが」
「は?………あれ…」
確かに居ない、さっきまで伊吹童子の近くに…うん?
「ンン…」ニヤニヤ
さっき吹っ飛んだはずの道満が真横で不気味な笑顔を浮かべている
ああこれは私でもわかる
「おいクソノッポ」
「ン?なにか…?」
「お前何か知ってるだろ」
「ええ知っていますとも、ハルカ様ならばあちらに!」
…?
指差す方向を見てもハルカは居ない、居るのは酒樽抱えて爆睡している伊吹童子だけだ
「アテにしたアタシが馬鹿だったってワケか?もういいからすっこんでな」
「いえいえ、なにもふざけておりませんよ?ハルカ様はあちらにおります!」
話しているだけでイライラしてくる、いっそ完全に黙らせようか…?
「ンン、拙僧に構っている場合では無いと思われますが?」
「うるせぇな、そろそろ黙らねぇと頭のてっぺんから裂くぞ」
「しかし…早く救出して差し上げねば消化されてしまうと思いますが」
「…あ?消化?」
いきなりなんのはな…し…
「・・・」
「・・・」
「・・・」
アタランテ、ペンテシレイアそれぞれと顔を見合わせた後、道満が指し示す先を注意深く観察する
「………気のせいじゃねぇよな?」
「ああ」
「うむ」
………お腹のところが少し動いているような
「zzz…」ゲプッ
「ぅ………んぷ…む……!あつい…いたい…た、たす…けて…」
「────」
ガッ
「ン?ンンン?ン──」
ブン
「吐きやがれクソ蛇女ァァァア!!」
「きゃーっ!?え、なに!?な、ちょっ…!」
近くにあった道満を渾身の力で投げつけて
?顔の伊吹童子を3人がかりでタコ殴りにする、もちろん腹だけは殴らないように。
「貴様なんということをするのだ!?早く吐け!」
「吐け!今すぐ吐け!」
「いたた!だ、だからなんで!?影月家のコ以外食べてないのに?」
「………ぅ…」
ま、まずい…!なんか動きが弱々しくなっていって──
「クソ!もう腹裂いて引きずり出すしかねぇ!
アーチャー、バーサーカー、抑えてろ!」
「ああ!」「急げ!」
「ひえっ!?わ、わかった!分かったわよ!
吐けばいいんでしょう、吐けば!
吐くからそんな猟奇的なコト言わないで!?」
「「「早くしろ!!!」」」
「うぅ…ちゃんと約束守ってたのに…」
オエー…
〜
「──つーことがあったんだよ」
「…確かにそりゃ蹴られても文句言えねぇな」
「実際に蹴られたのは拙僧なのですが?」
「それでハルカは無事なのか?」
「とりあえずはな、ほらあっちに…」
「はっ…はー…はっ…」
「マスター…いえ、ハルカ様…大丈夫ですか…?」
「これが、大丈夫に…見えるわけ、ないよ…ね…?」
身体の形が変わるレベルで溶かされかけてたのに『大丈夫』なんて言える人がもし存在するのならそいつは自殺志願者かただの狂った奴だろう
「も、申し訳ありません!」
「いやごめん…助けてくれてありがとう…」
月女神の霊基のお陰でダメージ自体は既に消えたので、とりあえずアタランテが装甲車から取って来てくれたタオルを贅沢に使い、酒と唾液と胃液でぐちゃぐちゃに塗れた身体を拭く
うう…全身酷い臭い+ベトベトで気持ち悪い…
「うう…そりゃ私だって印がない時点で『あれ?』って思ったわよ…
でも実際に影月家のコだったのに…いくらなんでもあんまりじゃない…」ブツブツ
「……」
それにしてもさっきは咄嗟に殴ってしまったけどどうも伊吹童子の様子がおかしいような気がする
50年前はもっと威圧感や神霊としての気配があったけど今は──
「ッチ!おい芦屋道満!さっき50年前の話を聞く代わりにあいつの機嫌取りをするって言ってたよな?」
「おお、ようやくまともに話しかけてくれましたな!ええ、ええ!もちろん出来ますとも!」
…よし
「魔術師!」
「ええと…私のことかな?」
「そうだ、お前がこのクソハイキングチームのリーダーだよな?」
「くそはいきんぐ…確かに私がみんなを率いてここに来たのは間違いない」
「よしよく聞け、こうなった以上伊吹童子は味方に付けるしかねぇ
いつ暴走するか分からねぇ危険な奴だが下手に敵対すればこの山もろとも全員消し飛ぶ、他に選択肢はないぞ」
「ああ」
動揺することも無く…はぁ
「ったく、涼しい顔しやがって…テメェ本当に分かってんのか?」
「分かっているさ、神霊伊吹童子…獣と戦う上でこれ以上頼もしい味方はカイニスを除いて居ないだろう」
「はぁ?」
「ギリシャのサーヴァントも含め戦力も整ってきた、獣を止めることも不可能では無くなってきたかもしれない」
「…チッ!とことんポジティブでおめでたい奴だな」
とりあえずレガリオとバーゲスト、後は…ダヴィンチとキョーコの奴にも相談しよう
キョーコの姿はまだ見ていないけどダヴィンチがいるのならその近くに居るでしょうし
「…」チラ
「ね、ねぇ影月ちゃん?ちょっとだけ味見してもいい?
丸呑みしないから!ちょっと口に含むだけ──いったぁい!」
「近付くな!!アタランテ、ハルカ様を連れて後ろに!」
「分かってる!!」
「…!」ブルブル
──もう…どうすればいいのよ、教えてお母様…
疲れたコヤンスカヤを膝枕するニキチッチが見たい作者のルルザムートです、ハイ。
ここ最近またコヤンのパートを書いていない…いや伊吹さんもキリシュタリアさんも好きなんだけども