弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
今回は米軍内の事情を書くだけで終わってしまったけど。
第76話です、お楽しみください
アメリカ 米陸軍駐屯地 共有棟にて…
「ベルベットさん、おはようございます」新聞読みます?
「あ、ああ…おはようございます」貰います
2年経っても未だに魔術師と兵士が共存するこの棟は慣れないな
受け取った新聞を流し読みしつつ食堂へと向かう
伊吹童子が仲間に加わってから2年ほど、世界は大きく変わった
世界と言うと大袈裟かもしれない、『僕から見える世界』と言えばいいか?
世界情勢も変化が無かったわけじゃないが。
まず何から話せばいいか…そうだ、まず僕がまだ米軍に身を置いている理由について
といっても分かりきっているようなものだが
「『紛争地帯でまたも生物兵器の疑い』か、十中八九コヤンスカヤ達だろうな…」
ここ最近、コヤンスカヤ達の動きが新聞にまで現れるほど活発になってきた(もちろん記事に連中のことが書いてあるわけじゃないが)
どうも様々な戦場に介入しては生物兵器《?》を放っているようで米軍在籍の人間も目撃者がチラホラいるようだ
数が少ないことから威力確認じゃないかとキリシュタリアは言っていたが
話を戻すとAIのキャスター曰くコヤンスカヤのマスター、ザイルはどうも衛宮切嗣…あの時のセイバーのマスターと親しかったらしくアメリカでの聖杯戦争では彼のアドバイスを貰っていたらしい
もちろん冬木の戦争の情報も渡していただろう、そんな中で征服王の召喚経験があるひ弱な魔術師がトコトコ歩いているのを彼らが見つけたらどうする?まず間違いなく都合の良い触媒として回収され、使い潰されるだろう
ようするに僕が未だに滞在する理由は米軍と時計塔の魔術師の大半が滞在しているここが1番安全だから、というわけだ
もちろんただで居着くわけにも行かないのでこの基地で事務の仕事をしているが
「借金までして先生の教室を買い取ったのが懐かしいな…」
その教室も時計塔ごと消し飛んじゃったけど
「おいウェイバー」
明らかにイラついた声で自分の名前を呼んでくることに嫌気が差しながらも仕方なく声の方を向く
…って
「アスクレピオスか、医療棟から出てきてるなんて珍しいな」
そういえば彼が召喚されたのは伊吹童子が仲間になった後だった
伊吹山で回収した遺物と影月 遥の協力で召喚したキャスターのサーヴァント、医神アスクレピオス
今ではすっかり米軍1の軍医になっている、もっとも本人に軍医の自覚は無いだろうけど
「今日はV地区の診療所に出張する日だ、そんなことより影月 遥をいい加減なんとかしてくれ
叔母さんの霊基を持ってるから大目に見てたがこうしょっちゅうPTSDでベッドと時間を占拠されちゃたまったものじゃない
僕に治させる前に予防策の一つでも取るように言え」
イラつきに混じってノイローゼも見える気がするがそれはこっちも同じだ
「うるさいなぁ…言ってるよ、だいたいなんで僕ばかりに言うんだ
キリシュタリアや中将サマに言えばいいじゃないか」
「お前の他に話が通じそうな奴が居ない」
「………それは医療棟といちばん近い共有棟の中だけを探して居ないって意味じゃないだろうな」
「?当たり前だろう、これまで外的問題が発生するたびに時間を割いて共有棟まで来てやってたんだぞ」
お前も話が通じないタイプの奴じゃないか
そう言いたくなるのを堪えて愛想笑いと了承の応答をし、新聞をリュックに放り込んで廊下を歩く
暫く歩いていると曲がり角から別のサーヴァントが姿を現した
「渡辺綱か?誰か探してるみたいだが」
「む、ベルベットか。伊吹童子様を見かけなかったか?」
刀に手をかけ、既に臨戦体制へと入っている様子にだいたい察することができた
あー…またこれか、だが幸いこっちの棟には来ていない
「見てないな、だいいちあんなのが動き回っていたらすぐ分かるだろ」図体も魔力もデカいんだから
そう言って返すが彼の表情は優れない
「今まではそうだったが最近痕跡まで消して動いているらしい、こう言ってはなんだが神がコソコソと小細工をするのが得意とは思えないんだ…」
「誰かが入れ知恵でもしたんじゃないのか?」
「そんなこと一体誰が──」
「ンンンン、今日も素晴らしい日になりましょうや!おや、渡辺綱殿にウェイバー殿、おはようございまする」
「「………」」
(どうせあいつだろう…)
〜
同時刻 魔術棟にて…
時計塔──の内装を模した廊下を歩く2つの人影。
「悪いな、こんなことでサーヴァントの手を借りてしまって」マスターでも無いのに
クライムから貰った食糧の入った段ボールを抱えながら、僕の3倍の量を運んでいるライダーのサーヴァント、マンドリカルドにお礼を言う
「良いんすよカドックさん、だって俺、ホラ…普段からロクに役に立ってませんし…これくらいは、ハハ」
「………」
なんだかんだ言って僕だけじゃなく色んな人のことを手伝っているみたいだ、ありがたいのだが王だったはずなのにここまで自己肯定感が低いとやりづらい
「とりあえず魔術棟にいる連中に食糧を配ろう」
「了解っす」
まぁあの黄金のアーチャーみたいなのよりはずっと話しやすいが
共有棟との出入口から少し歩いてキリシュタリアの部屋へ
いつも思うがなんでよりによって共有棟に1番近いところに?魔術師なら自分の部屋なんて魔術の無い場所から1番遠ざけたい部屋のはずだが…
扉の前に立ち、ノックする
「?」
…居ないのか?
入っていいよ!
相変わらず部屋の前に置いてくれ、とは言ってこない
いやいやいや!自分の部屋だぞ?もっと抵抗持った方がいいだろ!?時計塔が崩壊してから随分変わっ──あれ
「…時計塔崩壊前のキリシュタリア、殆ど知らなかったな」
「あーカドックさん」
「分かってる、入るぞ」
で、中に入ってみれば
「おいキリシュタリア」
「ふむ…よしレベルアップだ、おやこれは…」
「キリシュタリア?」
「カドックか!?見てくれ!僕がついにイオナズンを覚えたんだ!」
「「・・・は?」」
見てくれ見てくれ!と携帯ゲーム機の画面を見せてくる様子は理解するのに数秒かかった
「キリシュタ 47レベル…なんだこれ…」
「ああそれはね、このゲームはキャラクターを自分で作れるんだが5文字までしか入らなくて『キリシュタ』になってしまったんだよ」
────
なんだ?何を考えているキリシュタリア・ヴォーダイム
彼はまっすぐに僕の目を見ている、カイニスや道満は…ここには居ないみたいだ
「カドック?」
状況を考えろ、ここは娯楽室ではなく米軍が用意したキリシュタリアの自室だ、彼にとって簡易的ではあるが自分だけの空間でもある、そこで携帯ゲーム機を?朝から?あのキリシュタリアが?
部屋に入った時キリシュタリアはどこにいた?入ってすぐの座椅子だ、見えたのは背中。
背中?唯一の出入口に背を向けて?思えば扉を僕らに開けさせたのも理由があるのではないか?そもそも出入口は1つなのか?
「カドックさん?」
キリシュタリアはこのゲーム機の画面を僕に見せることによって、何を見ようとしてるんだ…?
「カドックさん!」
「っ…!なんだ」
マンドリカルドの声で現実に引き戻される
「え、あ、いやその急に大きな声出されちゃ、誰だってビビりますよね、ハハ…すいません」
「いや、ビビっていない」
「そ、そうっすよね!んなわけないっすよね、なのに勝手にビビったとか言って、ホント、ええと…」
キリシュタリアとは別の方向で話しづらい…
「その段ボール箱は?」
「これか?クライムから預かった今日の分の食糧だ、今日食堂に来なかった人の分を配って回ってる」
共有棟の食堂に抵抗がある魔術師や食事を忘れる魔術師も居ないわけじゃないからな
「え?ああ!もうこんな時間か
うっかりしていたよありがとう」
携行食と加熱薬、お湯を渡して部屋を出る
さて次は誰が1番近いだろうか
「おや、おはよう。
こんなところで会うとは奇遇だね」
「おはようございます言峰神父」
そういえばこの人も食堂に来てなかったな
「今朝食を配っている最中なんすよ、何か欲しいのはあるっすか?」
「ふむ…ではこれを貰ってもいいかな」
するりとした手つきで神父が取り出したのは麻婆豆腐とかかれた携行食だった
朝からこんなの食うのかよ…
というか段ボールに入れた奴もそうだ、誰だよ
「…朝から麻婆豆腐っすか」
「何も問題は無かろう、それに私のために用意してくれた物とあっては突き返すのは失礼というものだ」
私のため?…あ
よく見るとパッケージの端に油性ペンで『言峰神父へ』と書いてある
「では失礼するよ、ギリシャのキャスターが不在の間、診なければならない患者がいるのでね
素晴らしい朝食をありがとう」
そうして神父とすれ違い、そのまま魔術棟の奥へ
最近は食堂に来ない魔術師も減ってきている、この調子なら1年後にはきっと『絶対に来ない奴』以外は来てくれるだろう
さて気を取り直して…ここから近いのはオフェリアの部屋か
先日までロンドンの時計塔跡地地下にてHOPEボーダー建造の指揮をとっていて昨日の夜中基地に帰ってきたんだったな
「とすると今指揮を現地でとっているのはぺぺで…僕の番が回ってくるのは再来月か、おいオフェリア居るか?」
「カドック?良いところに来てくれたわ、入って」
「?ああ」
気のせいかオフェリア以外の声が聞こえたような…
どうやらそれは気のせいでは無かったらしく部屋に居たのはオフェリアと──
「なにやってんすか、オリオン」
「デートの誘い!」
…朝からこのぬいぐるみは
「本当に反省しないな」
「でよ、とりあえず次の交代まで休みなんだろ?外の天気も良いし今日は俺と優雅なティータイムでもどうだ?」
「・・・」←疲れている
「遠慮すんな、ぜーんぶ俺の奢りだ!女の子に奢らせるなんてさせないからよ!」←遠慮してると思っている
「マンドリカルド」
「そうっすね」
通報するか
オフェリアの分をマンドリカルドに任せ、携帯で保護者を呼び出す
携帯電話の扱いも大分慣れたな
「もしもし…ああ、また…そうだ、魔術棟の…ああ頼む」
怒鳴り声に近い『分かったありがとう!』の声を聞き、配布を終えたマンドリカルドを連れて外へ
「おっ、チクリか?」
「…土下座の準備でもしておけ」
「あいにく俺は秘密兵器を手に入れたんでな、もう大丈夫だ」
やたら余裕そうなオリオンが少しだけ気になったが他にも配らなければならない場所はあるので特に気に留めず先へ進むことにした
「…とりあえず出て行って、久しぶりに帰ってきたのに部屋の中で月女神に暴れられちゃたまらないわ」
「おう、また後でな!」
道満から貰った秘密兵器を片手に今か今かと身構える
「オリオン!」
そらきた!
「アルテミスちゃんと言うお嫁さんが居ながらまた浮気…!
今日と言う今日は許さないよ!」
正直アルテミスが目の前にいたらこうはいかないがここにいるのはアルテミスの霊基を持った遥だ、これなら追い返せる
『オリオンが浮気するかもしれない』そう言ってメシ食ってる時もフロ入ってる時も寝てる時も四六時中一緒に居ようとする挙句、撒いたら=浮気だと思ってやがる
アルテミスでもここまでは…いや、どうだったっけ?アイツいつも
「とにかく俺は自由のために立ち上がったんだ、これでもくらえ!」
少ない魔力を込めて札を床へ叩きつける
「え、そのお札は確か道満の──
「呼ばれて飛び出て2日酔ーい!伊吹お姉さんよ〜」
おお!すげぇ、ホントに出てきた!
「私を呼んだのはあなたかしら?ぬいぐるみのアーチャ…あら?」
「あ、あわわわ…」
さっきまでの勢いはどこへやら、遥が目に見えて狼狽えている!
よし行ける!
「1柱に1人、影月家。ドーゾ伊吹サマ」
「思わぬところでハルちゃん見ーつけた!」ヒック
「うっ、うわぁーっ!!!」ダッ
俺を追いかける時よりも早く逃げ出す遥とそれよりさらに早い速度でドスドスと追いかける伊吹童子
「寝酒するから抱き枕になって〜♡」
「おねが、お願いだから食べないでくださいぃ!!」
あっという間に見えなくなった、うん。これは…
「や、やったぞ!これがあれば堂々とナンパできるぜ!
俺は自由を勝ち取っむぐ?」
………
「えーと」
今誰かが万力みたいな力を込めて俺を握ってるわけですが、一体どちら様、で…
「遥様に伊吹童子をけしかけ『堂々とナンパができる』だと?」
「オリオン、貴様」
アッ、やべ
怪獣みたいな顔をしたペンテシレイアと真っ黒いアタランテがお前は敵と言わんばかりに俺を見ている
だ、だがどうやってここが…?
「ふん、あの胡散臭い陰陽師もたまには役に立つな」
「そんなことより遥様を助けにいかなければ、制裁は任せたぞペンテシレイア」
「ああ、いいだろう」
陰陽師?…道満あの野郎!
「任せたぞアタランテ…さてオリオン?言っておくがアマゾネスの戦士は──アルテミス様のように優しくはない」
「だっ」
誰か助けてくれぇ!!!
酔い潰れたコヤンスカヤをおんぶしたい作者のルルザムートです、ハイ。
終わりが見えてきたぁ!あと米軍内とロシアとボーダーと幕間2つの計5つを書けば決戦だぃ