弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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第78話です、お楽しみください


第78話 米軍の妖精/人でなしの勇者

アメリカ 米陸軍基地 居住棟にて…

 

 

「ッチ、中々良いデザインが浮かばねーな…」

昨日は新しいヒールのデザインを決める途中でうっかり机に突っ伏したまま眠ってしまい、気付けば朝になっていた

 

 

「朝なのに目が冴えちまった」

幸いこのあたりは日光が殆ど入らないように建築されてるからまだ良いんだけども

 

 

「おはよう!バーヴァン・シーちゃん!朝起きてくるなんて珍しいね」

「ッチ」

「へ?ぎゃー!いたいいたいたい!」

「誰お前?馴れ馴れしすぎんだろ、敬語も使えねーのかよ」

 

 

潰さないように注意しつつ、爪が食い込む程度に彼女の頭を鷲掴み。

つーかマジで誰だよコイツ

 

 

「私ですよ!この前ハイヒールを作ってもらったネリス兵士長ですよ!ホラ、中距離支援部隊の!」

「いやお前の所属部隊とか知らねーし興味もねー、で?なんか用?」

 

 

「ええ!実はあの靴を履いて先日彼氏とデートに行ったんですが」デレデレ

「…」

くねくねしてて気持ちわりぃな…

「アイツ靴ばっかり褒めて私についての話題は殆ど触ってこないんですよ!しまいには『靴のレベルが高くて他部位のファッションと釣り合ってない』とか!それでその日のデートは2人で1日中服を買い歩いてて…」

 

 

「うるせぇしくねくねしててキモいんだよ、何が言いたいんだ?

スカスカなてめぇに似合うように手抜きして靴作れとでも言いてぇのかよ」

「そうじゃなくて靴のお礼を──あ!彼氏から電話だ〜♡」きゃっきゃっ

「サルかよ…付き合ってられねぇんだけど」

殴りたくなるのを抑え、アホ女から離れる

あの自分勝手さ、アイツみたいだな…

 

 

『あっ!店長ちゃん聞いてよ!士郎がさぁー!』

『え?お店の名前?貴女にとって世界で1番大事なものの名前を付けるとかはどう?』

「…」

 

 

タイガやシロウを冬木に置いてきちゃった、店も放ったらかしだし…

「アイツら元気かな…」

「誰のこと?」

「うわっ!」

 

 

ぬっ、とすぐ真下から聞こえた声に少しだけ驚いた

こいつはたしか…

「ミラ・ツールだったっけ、小さすぎて気づかなかったわー」

「ええ!身長伸びてるのに!…で、えーと?何を話してたんだっけ」

「アタシが知るわけ無いだろ、んなことより何やってんだ?」

「それは…ほら」

 

 

そう言って彼女が指し示したのは2人の──

「は?マジでなにやってんだ?」

アーチャーのサーヴァント、パリスが2人立っていた。ご丁寧にぬいぐるみの神を頭に乗せて。

 

 

「片方は茨木ちゃんでね?それでもう片方が──」

「本物か、それで当てっこゲームしてるってことか?」

「うん!…でも分からなくて」

 

 

「騙されちゃだめです!本物は僕です!」

「違います!本物のパリスは僕です!」

「はぁ、くっだらないことで盛り上がるんだな、ガキってのは」

「む、じゃあお姉ちゃんが当ててみてよ!」

「えぇ…メンドクセェなぁ、文句言うなよ」

 

 

近くにあったウォーターサーバーから水を汲み取り、2人のパリスの顔面へ中身をシュート

「うわぁ!」

「ひゃっ!」

「おお…大丈夫?」

 

 

よし

「今羊人形が覗き込んだ方が本物。はい終了。」

「ず、ずるい!」

「文句言うなっつったろ」

「ええい卑怯者め!もう一度勝負しろ!」

鬼のあなたが言うの…

 

 

「は?やるわけねぇだろ」

「ふ、そうか、分かったまぐれであろう!

まぐれで見破ったものだから自信が無いのだな小心者

「お、伊吹童子だ」

 

 

「「!!??」」

脱兎の如く、という言葉がこれ以上無いくらい合いそうなスピードで散り散りに走っていく茨木とミラ

なんでミラ(彼女)まで?

 

 

「ど、どこだ!どこから来ている!?」

「嘘だバーカ、じゃーな」

「…!?貴様は鬼か!!」

「知るか、妖精だ」

 

 

ミラが戻ってこないのが少し気になったが留まって茨木童子に再度絡まれても面倒なので退散することにした

 

 

「はぁー、ガキ共の相手はバーゲストとレガリオの仕事だろうが──そういえばアイツら居ないな、まだ寝てるのか?」

ピリリリリッ

 

 

「ん」

仕事用のケータイが鳴ってる…

 

 

電話に出る…前にひと呼吸し声と気持ちを整えてから通話ボタンを押す

「…はいヒールショップ『モルガン』です、どのような靴をお探しですか?」

 

 

 

 

 

「茨木ちゃん…?パリスくん…?」

伊吹童子、という単語に思わず駆け出してしまったが無我夢中で近くの部屋に隠れたのがダメだったらしい

 

 

こ、この部屋は確か…『冗談抜きで絶対に入ってはいけない部屋』と大人が言っていた部屋だ

元々は『絶対に入ってはいけない部屋』で私もそれを守っていたのだけど以前茨木ちゃんが入ろうとしてバーゲストさんに止められてから今の名前になった

 

 

倉庫でもないのに薄暗い…それに奥から変な匂いがする

 

 

「早くここから出パキッ

 

 

………

 

 

今の、音は…

 

 

聞き覚えのある音、5年前に鋳物工場へ入った時悲鳴に混じって聞こえてきた音によく似ている

「た、確かめなくちゃ」

怖いけど、じいやも牛若姉ももう居ない、もし、もし()()()がいるのならみんなに知らせないと…

 

 

ばき、ぶちっ、がつがつがつ…

 

 

むせ返る鉄の匂い…

サッと見て帰る、サッと見て帰る…!

 

 

薄暗い、ほぼ光のない廊下を歩き、物音のする小部屋を覗き込む

そこには──

 

 

「!!!あ、ああ…」

 

 

大きな身体に大きな角を生やした女がベッドの上で人を、人を食べて──

「!誰だっ」

 

 

女が振り返る

なんとか頭を引っ込めて隠れたが腰が抜けて動けない

 

 

鬼が、鬼が近付いてくる

きっと私を食べる気だ…!

 

 

「ひ────あ──」

 

 

こてん

 

 

 

 

 

「…?ミラ・ツール?ここで何を…気絶しているな」

「ぐ…バーゲスト?どうしたの?」

「いえ、誰かが部屋を覗いていたのが見えまして

…あとで説明しなければなりませんね」

確かにこの状況を見れば誤解するのは当たり前なのだが

 

 

「『恋人を捕食しなければ理性を保てない』なんて10歳の子供に説明できる自信がありません…」

「まぁまぁ、僕も一緒に説明するよ、前向きに考えよう

それよりも理性の方はどうだい?」

ふむ…

 

 

「起床時と比べてかなり安定していますが…

その、すみませんレガリオさん、左腕も頂いて良いでしょうか…?」

「良いよ、ただそうすると治るまで少し時間がかかるから…その時は手を貸して欲しいな」

「え、ええ!もちろんですわ!…で、では失礼します」

 

 

パキョッ

 

 

軍棟屋上 ヘリポートにて…

 

 

『こちら第4訓練ヘリ、これより着陸する』

「こちら誘導員、問題無し。そのまま指示に従い着陸せよ」

強烈な轟音と風圧を周囲に発生させながらゆっくりと1機のヘリコプターが着陸する

にしても騎乗スキルも無しに凄いな…彼本当にバーサーカーなのか?

 

 

パイロットスーツに身を包んだバーサーカーのサーヴァント土方歳三

たった今から彼は新選組副長であると同時にヘリパイロットにもなった

「お疲れ様です土方さん」

「ああ」

 

 

サーヴァントの身でありながらこの5年間で既に戦車、装甲車、戦闘機、ヘリコプターの4種の免許を持ち合わせている

現界時点で多様な乗り物を乗りこなすことのできる騎乗スキルを持つサーヴァントなら驚くことではないのだが彼の場合はスキル持ちではない

つまり俺たち人間と同じスタートラインから始めていてこれである

 

 

クライムさんが唯一、対等な仲間として背中を預けることのできる人物というのがこの米軍基地の中の認識でそれは間違いではないだろう

「ところでクライムはどこだ?」

「中将でしたら共有棟内の墓地に向かわれました、今は死者の供養をしていると思います」

「…そうか」

 

 

依然としてビースト達に大きな動きは無い、唯一の手掛かりは紛争地帯に撒かれた生物兵器ことNFFスペシャルである

生還者からの報告でそれがコヤンスカヤの兵器であることは間違いない

そして…連中があえて生還者を出しているのも。

 

 

明らかに中将を戦場に誘き出すための罠だ、とはいえ放置もできない

結果、対獣部隊が結成され『極力戦闘を避ける』という条件の元に各戦地へ派遣され、情報を集めている

もちろん全ての戦闘を避けられるわけが無く、どれだけ慎重に動いても銃を手に走る以上死者は出てしまうが…

 

 

「今日の部隊予定は何があった?」

「13時から射撃演習、15時からヴォーダイム氏を含む何名かの魔術師との交流会があります」

「…20分はあるな、分かった」

ありがとうと一言言ったのち早足でその場を去る彼を見送る

 

 

大丈夫だ、俺たちは戦える。2年前の大虐殺がトラウマになっていないと言えば嘘になるが知っている以上繰り返させる訳にはいかない、家族をあんな目に遭わせる訳にはいかない

だから怖くても銃を握る、クライムさんと共に守りたいものを守るために。

 

 

「演習の準備をしなきゃな」

 

 

共有棟 屋外 教会前にて

 

 

「迎えか?バーサーカー」

「神父のアーチャーか、クライムは中か?」

「居る、がしばし待て。もう出てくる頃だ」

 

 

最古の英霊、英雄王ギルガメッシュ

5年前に言峰神父と共に仲間に加わった…訳じゃないが世界の行く末を見守る上でここより良い場所は無い、とは本人の弁

自分の庭を汚す獣へ報復のためもあるだろうが

 

 

「…」

時間が惜しいが場所が場所だ、予定自体は奴も分かっているだろう

ここは待つか

 

 

「…バーサーカー、貴様は自分のマスターと向き合ったことはあるか?」

「いきなりなんの話だ」

「質問を返すな、不敬であろうが

(オレ)の問いに答えよ」

 

 

クライムと向き合ったことはあるか、か。そんなの決まっているだろう

()()、奴は自分で道を選んでそれを俺や仲間に伝えた

その事実だけで充分、戦うために必要なのは道を選ぶ意思だけだ」

 

 

「であろうな、奴には欲が無い

既に死んだ身体だからでは無い、満たされぬ欲ではなくそもそも満たす器が無いのだ、それはもはや人では無い

酒ばかり飲んでいるどこぞの神霊の方がまだ人間味があろう」

 

 

黄金のサーヴァントは不機嫌そうに腕を組んだまま淡々と喋る

「笑えぬ、微塵も笑えぬわ。あれが希望だと?

人の上に立つ資格は無い、人の下に付く資格も無い、見ていて痛々しいことこの上無い

本気でかの脅威を打ち払うつもりがあるのか否か、一度確かめよ

 

 

──想いで救えるものなど無いと知るべきだ」

「…くだらねぇな、さっきも言ったはずだ

奴は自分で道を選んでそれを俺や仲間に伝えた、その事実だけで充分

俺はクライムのサーヴァントとして敵を殺すだけだ、それでも

 

 

もしクライムと向き合う時が来るとすればあいつが──」

 

 

──

 

 

「はっ、案外薄情ではないか」

「………そうかもな」

 

 

教会の扉が開いた──

 

 

 

 

 

ん…?

教会を出るとよく知った顔がそこにいた

「来ていたのか土方、それに英雄王まで

何かあったのか?」

 

 

それにしても珍しい組み合わせだ

「気にするな、既に終わった」

「?そうか」

 

 

相変わらず英雄王の俺を見る目はどこか威圧的だ、いや大抵の場合そうだとは思うが俺と俺以外を見る時の圧迫感がどこか──

 

 

「クライム、次の演習の時間が迫っている」

「分かっている」

 

 

奇妙な疑問をひとまず追いやり、教会を後にする

決戦までの猶予は残り半分を切っている、相変わらずザイルの狙いはよく分からないが力をつけておくに越したことは無い

 

 

「行くぞ」

 

 

5年後 ???にて…

 

 

────

 

 

────

 

 

────近いうちに

 

 

お前は死ぬだろうと前から思っていた

いやむしろもっと早く死んでいた

 

 

それに待ったをかけたのは俺だ

 

 

間違いだったとは思わない、その選択を否定はしないし誰にも否定させない

 

 

だから今選ぶんだ、お前の道を

 

 

今は、今だけはただの男としてお前と向き合おう

 

 

「………、……」

 

 

それが答えか、分かった。なら──

 

 

「クライム、今日ここで死ね」




コヤンスカヤに首元をガッツリ咬まれたい作者のルルザムートです、ハイ。
ゴールデンウィーク中ずっとスマブラしててほったらかしてました…
ウマ娘の方も放置気味になってるし頑張らねば…
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