弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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慎二の喋り方これでいいかな…?
第83話です、お楽しみください


第83話 埋められていた天才

冬木市 穂群原学園 校門付近にて…

 

 

 弓道部の活動を終え、学校を出る

「〜〜〜」

「〜?〜〜!」

 

 

 周囲の女子生徒が何か言っているが聞き取れない、今はそんなことに頭を使う余裕は無い

「ひどーい!間粡先輩はどう思いますか?」

「悪いけど今日はお喋りするような気分じゃないんだ、じゃあね」

 

 

 女子達へさっさと別れの言葉を投げつけて離れる

『人類を根絶やしにするためにお前の力を借りたい』

「──なんだあいつ、頭おかしいんじゃないのか?」

 

 

 まっすぐ家に向かいつつもその足取りはいつもとは違う理由で重たい

『もし話を聞く気があるのなら連絡してくれ』と渡された携帯電話、裏面にはNFFと印刷されたステッカーが貼ってある

 …少なくとも日本では見ない端末だ

 

 

「………」

 ──魔術回路を持たないお前に──

「っ…」

 

 

 携帯電話を開く、画面には《発信しますか?》とだけ映っている

「ああするとも。文句の1つでも言ってやる」

 

 

ピッ

 

 

プルルルル…

歩きながら電話に耳を傾ける

 

 

プルルルル…

プルルルル…

 

 

「…なんなんだよ」

 一向に電話は繋がらない、なんとなく予想はしていたもののその通りだと無性に腹が立つ

 

 

「ん、話を聞く気になったか」

「うわぁ!」

 

 

 諦めて電話を切った瞬間後ろから声をかけられた

「…かけろって言ったくせに電話に出ないの?」

「電話で話すとは言わなかったぞ、まぁ落ち着け

 おいコヤンスカヤ」

《はーいただいま!》

 

 

『単独顕現 EX』

 

 

 …!?

 いきなり学校の教員、玉藻が現れたかと思うとそのまま腕を掴まれ──

「はい回収〜」

 

 

『単独顕現 EX』

 

 

 周囲の様子が変わった、いやこれは──

「ここはコヤンスカヤ(こいつ)の持ってる艦、その中にある俺の部屋だ

 ここなら誰も気にすることなく話せるだろう」ベッドかイス、好きな方に座ってくれ

「お前ら、やっぱりただの居候と教師じゃないな」

 とりあえず椅子に腰掛ける

 

 

 …先日彼の口からあっさりと出た言葉が脳裏に蘇る

『お前の祖父を殺した、殺すつもりで攻撃したがまさか死ぬとは思わなくてな。悪かった

 …あ。あと家も少し壊してしまった』

 

 

 魔術によって虫になり怪物化していた現間粡家当主、間桐臓硯。死ぬビジョンがまるで浮かばなかったあいつを殺したとあっさりと言ってのけた時は流石に思考が止まった

 家に帰っても死体は無かった、だが家のどこを探しても見つからなかった。

 

 

「コヤンスカヤはそうだが俺はただの人間だ」

「え?どのあたりがですか?」

「この艦唯一の人間だ、それと今は席を外してくれ」ややこしくなる

「はいはい」

 

 

 ジト目の玉藻先生──コヤンスカヤを追い出してこちらに向き直るザイル

「ひとまず賠償から始めるか」

「は?」

 

 

 人類を滅ぼすとか言っておきながら奴が取り出したのは通帳と判子、そしてカード

「どうも間粡家は臓硯が財源管理していたらしいからな、奴が死んだ以上回収は難しいだろうし収入も無くなるだろうからこれを渡しておく」

 お前と間粡桜が3年半普通に過ごせるだけの生活費は入っている」持っていけ

 

 

「……」

 彼から差し出されたそれを安易に受け取るわけにはいかない、自分には魔術感知はできないが相手が魔術師だと確定した以上はうかつに動くわけにはいかない

 

 

「心配しなくても毒なんか塗ってないさ、まぁ用心深いのはいいことだ」

 帰る時に渡す、と言って通帳類を机に置いてベッドの方に彼も腰掛ける

 

 

「さて、詳しい話をする約束だったが正直詳しく話すほど内容は複雑じゃない」

『彼、単純に説明するのがヘタクソなだけですから聞きたいことがあったらバンバン質問投げた方がいいですよ』

 その場にいないはずの女の声、後であいつのことも聞いてみるか…

 

 

「うるさいぞコヤンスカヤ

 で、俺の目的だがこの世界の人類を1人残らず殺害することだ。人類と敵対する人間と言えばいいか

 俺、コヤンスカヤ、アサシン、ベリル、………あともう1人の計5人で3年後、人類に攻撃を仕掛ける」何か質問はあるか

「は、は?」

 

 

 あまりにも飛びすぎていて何から質問すればいいか分からなくなるがそんなことでパニックを起こしている場合ではない

「5人?正気か?5人で世界を敵に回す気なのか?」

「戦力差にはキチンと考えがある、それに敵に回すのは全人類だ」世界じゃない

 

 

 目の前の男が間桐臓硯を殺害している以上、他の4人もコイツと同格かそれ以上と考えるべきだろうがそれにしたって実現の見込みが無い

 何かの冗談かと疑ったがそれならここまで場を用意する理由も無い、そもそも動機が分からない──だが今すぐ聞きたいのはそれじゃない

 

 

「それで?僕に何をさせたい訳?」

「もしお前がここに来ると言うのなら参謀をやってもらう、魔術を含めた様々な分野に理解のある参謀は貴重──というか普通は居ない」

 

 

 参謀?…だとすると

「半月くらい前コヤンスカヤって奴が用意した思考テストの狙いはこれか?」

 確か駒を兵士や戦車に見立てたボードゲームだ、簡単で面白くは無かったけど

 

 

「ああ、アフガンでの戦闘を参考にコヤンスカヤが作った物だ

 コヤンスカヤの言っていた通り頭の回転が早くて助かる」

「そのコヤンスカヤって結局なんなんだ?」

「あいつか?人類悪だが?」

「人る──はぁ!?なんだよそれ!」

 

 

 それが何か?みたいな態度で返されるとは思っておらず思わず声を荒げる

 人類悪、災厄の獣…人類が滅ぼすべき悪が学校でテスト用紙配っていたってことなのか?

 

 

「ああ人類悪について説明が必要か、人類悪は──」

「それくらい知ってるさ!…じゃあさっきの転移は魔術じゃなく単独顕現か」

「…随分詳しいな」

「当たり前だ、魔術回路が無くとも僕は間粡家の後継だった」

 少しでも相応しくなろうと、努力は惜しまなかった。だが今は──

 

 

「別にそれでお前の全てが決まるわけでも無いだろう、魔術の才能によって決まるのは魔術師としての格だけだ、そんな狭苦しい肩書きに執着するなんて馬鹿らしいと思うが」

 さらりと言ってくれるなコイツ…!

 

 

「………お前さ、うざいよ」

「そうか?生憎俺には魔術師の誇りなんてものは無いし魔術回路も無い

 そういう意味では俺とお前は似た者同士だと思うが」

「一緒にするな」

 

 

 ああ分かった、コイツは魔術師じゃない。魔術師の思考とはかけ離れている。

「そうか、それで?他に何か聞きたい事はあるか」

 他は──

「僕の他にあと何人いる?」

 

 

 比較したってしょうがないことは理解している、だがこれも聞いておきたい。コヤンスカヤが学校全体に例の思考テストをばら撒いたのならスカウト対象は僕だけじゃない

 

 

「…?どういう意味だ」

「僕以外に勧誘したのは何人だって聞いてるんだ」

「居ない」

「────は?」

 

 

「居ない、そもそも誰もスカウトなんてするつもりは無かった。

 あのテストは主に遠坂凛と間粡桜の思考能力を見て様子見するために使うつもりだった、本来の目的である参謀候補なんてオマケみたいなものと考えていたからな」

 

 

「…遠坂の奴を勧誘しようとは思わなかったのか?」

 魔術師として遠坂凛は優れている、ただそれだけ。特に他意は無いその質問に彼ははっきりと答えた

「遠坂凛を?冗談言うな、スカウトする理由がない」

 

 

 それは実質的に『魔術なんてどうでもいい』と言い切る発言だった

「お前より優秀なのがいればそっちに行くが居なかったからな

 それで?他に聞きたい事はあるか?」

「…使い魔の軍勢を見せて欲しい」主力なんだろ

「それについてはコヤンスカヤが──待て、なんでそれを知ってる?」

 

 

 何故って…そんなの簡単だ

「例の思考テスト、あれは多人数対多人数が前提の内容だった。もし5人だけのお前達が参謀としての能力を見るのなら多人数対1人〜5人かそれに近い内容にするはずだ

 

 

 あとアフガンの戦闘を参考にしてたって言ってたよね?ニュースとかで時々見る生物兵器の話題の中にアフガンのものも出ているのを見たことがある

 あれさ、お前達の仕業だろ?あと3年も期間が空いてるのはその使い魔の性能確認のための時間ってところだろ」

 

 

「…大体合っている、やれやれ…なんでお前みたいな奴が間粡家から見放されていたのか分からん

 主力については実物をここで見せるのは難しいから実際に投入された映像で我慢してくれ」7年前の物だが今と性能に変わりはない

 

 

ピピッ

 最初に貰った携帯電話に動画ファイルが送られてきた、後で見ろということだろう

 

 

「他にはあるか?」

「見返りは?ここまで勧誘しておいて見返り無しってわけじゃないよね」

「当然だ、サーヴァント1騎とそれを使役できるだけの外付け魔術回路を渡す」重要な戦闘時以外は好きに使え

 

 

 またしてもさらりととんでもないことを言ってきた

 サーヴァント?本気か?

「こっちは今見せられる、コヤンスカヤ」

『席を外せと言った割にはコキ使いますねぇ…はいどうぞ』

 

 

 姿を現したのは身長2mはゆうに超えている大男、理性が見られないことからバーサーカーかと思ったがよく見ると手に弓を装備している

「…アーチャー?」

「そうだ、本来より弱体化はしているがそれでも並の英霊じゃ相手にならない強さなのは保証する」もういいぞ

 

 

 アーチャーか消え、再び僕とザイルだけになる

「他に聞きたい事は?」

「まだ色々あるけど今は──そうだ、これだけ聞かせてくれよ」

 なんだ?と疑問符を浮かべる彼に自分にとって最も重要なことを質問する

 

 

「君達が本気で人類を敵に回すつもりなのは分かったけどさ、僕にだって死んでほしくない友人がいるんだ

 さっきの見返りにその友人達の保護を上乗せしたいんだけど。」

 さてどう出る?

 

 

「友人達…?何人いるんだ」

「2人、いや3人かな?もし飲んでくれるなら協力してあげてもいいよ?」

 考え込んでいたザイルだったがその言葉で僅かに表情が変わったのが見てとれた

 

 

「なんだそれだけか、分かったいいだろう」

「…見かけに反して意外と素直なんだねキミ」

「安過ぎる買い物だ、むしろ不気味だな」

 

 

 …どうやら自分は相当買われているらしい

「使い魔の映像は見なくてよかったのか」

「後で見ればいいさ、とりあえずひと段落したことだしそろそろ帰してくれないか?」キミが思ってる程学生は暇じゃないんだ

「言われなくてもそうする、またな慎二」

 

 

間粡家前にて…

 

 

ザッ

 

 

 家の鍵を開けようとしていきなり後ろに気配を感じて振り返るとそこには…

「えっ…兄さん?いつからそこに──「桜」

 

 

 こっちの疑問を意に介することもなく真っ直ぐこっちに近付いてその手を自分の方へ

「っ…」ギュ

 殴られる、そう思って身構えたがいつまで経ってもそれは訪れず、変わりに──

 

 

ぽん

 

 

「え?」

「………」

 わしゃわしゃと頭を撫でられる感触、兄さんが真実を知る前と同じような…

 

 

「………」わしゃわしゃ

「に、兄さん?」

 

 

 兄さんは何も言わない、分かるのは以前の兄さんに戻ったと言うことだけ

 その日から、兄は私を殴らなくなった。

 のちに起こった事件によって、まだ私が殴られていた方が良かったと思うのはもう少し先の話…




コヤンスカヤとのんびりケーキを食べたい作者のルルザムートです、ハイ。
『慎二 が仲間になった !』というのはちょっと早いかな?でもほぼ仲間です、うん。もう先に言っておきますが慎二の死亡フラグは全部ヘシ折ります(^^)
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