弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
『会社』と『おじいちゃん』の名前はそれぞれ2つのゲームに登場する用語からもじって付けました、考えていなかったんや…
第9話です、お楽しみください
G地区 とあるオフィスビル最上階にて…
「ここだな…」
両手にはめた白手袋を再度確認し、会場へ入る…もちろん令呪を隠すためだ、当然だがこの白手袋には魔術的気配の隠蔽も含めている
学校の体育館より少し小さめなその会場には、ここが元々オフィスビルだということを忘れさせるような空間となっていた。…具体的にはホテルや式場のようにいくつかの円形テーブルと椅子が並べられ、最奥には壇が構えてある
まだ午前6時前だというのに随分人が多い…流石は大手警備会社『
私の個人的な意見としてはいい加減警備会社から民間軍事企業に変更するべきだと思うのだがね。
「ふむ」
人が多いのは好都合だ、ランサーに持たせたノートをアーチャーのマスターが受け取ったのならそろそろ彼女もこの会場に来るからだろう
このような場所でひっそりと会う分には人は多ければ多いほどいい。
「おや?ああっ!もしやフーレンさんでは!?」
会場の奥にある壇上から雪のように白い長髪を靡かせた青年が駆け降りてくる
「いかにも私がフーレンだが…キミは…?」
歳をとっても記憶力に曇りは無い、彼とは初対面なのだが…?
(む!此奴、何故主人殿の名を知っている!?…もしや敵?なれば!)
よさんかライダー!退がっておれ!
むぅ、申し訳ありません主人殿…と空気が抜けたようにライダーが呟く
今にも実体化して目の前の青年の首を落とそうとするライダーを慌てて止める
目的を忘れるなライダー、私達はアーチャーのマスターと接触し情報交換、ひいては同盟を結びにきたのだ。
だからこそマスター達が引き下がる朝方からの時間を選んだ、戦うつもりが無いのなら夜間はさけるべきだからな
「ああすみません!
「ああ…そういうことか」
私はとある『拳法家』に憧れ、世界中を旅して武術の心得がありそうな者から手当たり次第に試合を申し込んだ時期があった…今にして思えば我ながらなんと自分勝手よな…
「しかしそんな昔の事に目を向けてくれている若者がいるとは、私もまだまだ捨てたものではないらしい」
ツール家の代表としてここの入場を申し込んだため、当時は断られると思っていた…いくらツール家の当主がまだ幼いミラ様とはいえ、使用人を代表にするなど普通はしないからだ、しかし通ったということは──
「フーレン・アジャイルという名前を聞いた時は驚きましたよ!まさか僕…あ、いや私が開いたパーティに貴方が来てくださるとは!」
私個人としてはこのような未来ある若者が私のような老ぼれに目を向けてくれるという事実を嬉しく思うが…今だけは素直に喜ぶことができなかった
なるべく注目されたくはなかったが今ので会場の注目が少し集まってしまったからだ。
『是非楽しんでいって下さい!』と言ってスティーブンは壇上の方へ戻って行き、近くの女性スタッフからマイクを受け取る
『ええー、皆様!此度は朝から私どもに貴重な時間を割いていただき、ありがとうございます!』
舞台上の
『皆様に集まっていただいたのはお送りした招待状にも記載しました通り…言ってみればガス抜きでございます。
ご存知かと思われますがここのところA病院や市内で起こっている爆破事件…
あのテロとも言える極めて悪質な事件のせいで市民の皆様には大きな不安感を持っている方が多いのではないでしょうか』
「…」
私はそれがマスター同士の争いで起こったことだと知っている、ランサーのマスターはその1つ目で重傷を負い、2つ目で殺されたのだ
『我々も調査を進めておりますが
「…」
その言葉に少しだけ疑問を覚える
果たして本当にそうだろうか?…いや、ゼロリスクを疑っているわけでは無いが、今回の被害者がランサーのマスターだったと知っている私にとって今回の爆破事件はウルフルズの誰か…具体的には言えばマスターになったウルフルズメンバーの誰かだと思案する
『ですので
…根本的な解決にはなんの関係も無く、不謹慎だという意見もありましょう。
ですがそれを押して私はこの企画を立ち上げました!
非難も苦情も覚悟の上!どうか今日だけは全てを忘れ、この時間をお楽しみください!警備会社ゼロリスク主催パーティー、朝の部を!ここに開催します!』
ぺこりと司会者が頭を下げ、直後に四方八方から拍手の音が鳴り響く中、私の考えはあと一歩のところで纏まらずにいた
手段を選ばん排除方法…だが結果としてマスター、サーヴァント共々正体を明かすことなく敵マスターを排除したその手方は見事という他ならないが、それを普通の魔術師が実行できるかと聞かれると疑問が残る。
こんなやり方を平然とやってのける者がいるとすれば『魔術師殺し』か、もしくは『ウルフルズ』の戦闘部隊のような無慈悲集団の誰かだろう
「…」
そしてそのマスターが仲間にも秘匿しているとなればウルフルズにも動きが無いのは必然…1番の気がかりは──
そいつはどうやって団長…リーダーであるザイルを出し抜いたのだ…?
(主人殿!小耳に挟みたいことが一つあるのですが…)
どうしたライダー?
声の質から、あまり良い報告ではなさそうだな…
(付近の倉庫街から戦いの気配を感じました!)
…!
倉庫街…?なんということだ、恐らく片方はアーチャー陣営だろうがよりによってこのような時間帯に仕掛けてくる陣営がいるとは…
雨が降っていてまだ暗いとはいえ、今はもう明るくなっていく時間帯だ
倉庫街はここの窓から僅かに見える場所であるため、さりげなくの窓の方へ行き、意識を集中させる
「…」
人避けと秘匿の結界か?だが、ううむ…
結界の貼り方が…本当に隠す気があるのか?と言いたくなるほど大雑把、穴だらけなものなのだ、あれでは一般人ならば近付くことは無いだろうが魔術師に対しては『是非見に来てください』と言っているようなもの…
それが狙いか?とも勘ぐったが…それが確信と取れる証拠はいまのところ持ち合わせていない
しかしどうするか…
あそこでアーチャーが交戦中なのはほぼ間違いないだろう、だが助けに行くという選択肢はまだ取れない
トロイアの英雄が命をかけて繋いだ線ではあるが…そうだとしてもアーチャーの正体についての情報が一切無かったことが気になる。
「迂闊には動けんな…」
「あのー…」
「む、ヘロイドさんか、どうされた?」
思案中でスティーブンが近くに来ていることに気が付かなかった、慌てて彼の方へ振り返る
「呼び捨てで良いですよ!恐れ多いですし…」
「ふむ、ではヘロイド君と呼んで良いかな?」
「ええ、どうぞお好きにお呼び下さい!…それでフーレンさん、何か…その、パーティーはお気に召しませんでしたでしょうか…?ああいえ!出過ぎたマネをしました!すみません…!」
慌てる彼の左腕を掴み、宥める
「待ちなさい、まだ私は何も言っていないだろう?…それで、うむ、パーティーの方は私が慣れていないというだけでそちらに落ち度は無い、大丈夫だよ」
気を使ってくれてありがとう、と手を離してスティーブンに礼を言う
「そう、ですか?何やら真剣に倉庫街の方を見ていらしたので…何か気になることでも?」
「いや、ただなんとなく見ていただけさ、さて料理でも頂こうかな?」
いくつかのテーブルに並べられた料理のうち『日本料理』と書かれたプレートが掛けてあるテーブルへ向か…おうとして彼に呼び止められた
「フーレンさん、もし宜しければ屋上へ行きませんか?」
急遽ではありますがvip待遇の用意もさせています、と彼が言う
「む」
屋上か…
恐らく…こういった場は苦手なんじゃないか、と思っての言葉だろう。しかも彼の言葉から考えるに私の為だけに用意した物のようだ。
…アーチャーのマスターと密会するため、本当はこのフロアから動かない方がいいのだが自分を慕ってくれる若者の好意を無下には出来ない
「ああ…是非行かせてもらいたい」
「おお!ありがとうございます!」
元気よく言うなり彼は何処かへ電話をかけ始める
もしもし?ああ僕だよ、今からお客様が来るから準備しておいてね!
「お待たせしました!行きましょう!」
元気よく、それでいて騒がしくならないように声をすぼめて会場から出るスティーブン、私とライダー(霊体化)もそれに続く
(…主人殿、無理を承知で申し上げますが)
屋上への階段を登る途中、黙っていたライダーが真剣な声色で話しかけてきた
どうした?また戦闘か?
(いえ…その、先程の会場にあった…「ちーずぴざ」なるものを、後で食べても宜しいでしょうか…?)
「」ずこっ
「フーレンさん?大丈夫ですか?」
「も、問題ない」
真剣な声色と話した内容が離れすぎて思わず階段でこけそうになったが持ち直す
あ、ああ、だがここではダメだ、側からみればピザが浮いているように見えるからな…帰ったらミラの分も含めて作る、それまで我慢してくれ
(分かりました!)
そんな聖杯戦争を忘れさせるようなやり取りを終えて私達は屋上へ、相変わらず雨が降りしきっているが、一部天幕のような物が貼られていて雨を凌いでいる場所があるのが見えた
用意された場所というのは恐らくあの天幕だろう
「あいにくの天気ですが楽しむ分には問題ないかと!」
(主人殿)
分かっている、楽しんでいる時間はない、理由を付けて早めに切り上げるさ…だがいきなり断るのも悪いだろう?
手渡された傘を差して天幕の方へ向かう
「こちらです!」
と、傘も差さずに雨の中、彼は私を先導する
それを見て疑問に思い、聞いてみた
「君の分の傘は?」
「いえ!私には必要ありませんよ、片手が塞がってしまうのでね…────アサシン。」
ッ!!??
最後の、爽やかな青年の面影が一瞬にして消えた一言、人の心など無いような低い声から発せられたその一言で、背筋に氷柱を入れられたような感覚に陥る
しまった────
「ライ──」
「撃て」
コヤンスカヤと大型バイクに乗ってポリスとカーチェイスする夢を見た(いと思っている)作者のルルザムートです、ハイ。
今回、私がハーメルンを利用するきっかけにもなった先輩から色々教えていただき、今までより少しだけ凝ってみました…うん、ぶっちゃけもっと早く自分で調べてれば良かった…