弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
…ええーいよいよ、ようやく、やっと開戦です…これの次で。ハイ。
日本 冬木市 冬木大橋にて…
「慎二、よく聞け」
「なに?」
バーサーク・アーチャーを従えて定期的に衛宮達を説得しに行くという、もう何度目か分からない役目
いつものようにボーダーから冬木大橋で降りてみんなのところに向かおうとしたところでザイルに呼び止められた
「お前がボーダーに来たばかりの時も言ったが米軍、魔術師達との全面戦争が最初で最後の戦いだ。勝とうが負けようが文字通りの最終決戦」
「分かってるよ、後にも先にも僕の力を見せつけられるのはその1戦だけ
だから一切の油断も妥協も無くその日のために準備をしてきたじゃないか」
コヤンスカヤの『檻』まで使って鍛錬したのが記憶に新しい、あれは流石の僕も死ぬかと思った
「そうだ、そしてその期日まで1ヶ月を切った。戦争の開始日を変更することはできないし今日から最後の準備、調整に入る
…つまり客を迎え入れる体制を維持できるのは今日までだ」
「なるほど?衛宮達を護りたいなら今日までに全員説得しろってことか」
正直説得が全く上手くいってないからいつかこうなるとは思ったけど
「いざ戦争に入れば俺は平等に鉛玉を撃ち込むしコヤンスカヤも平等に踏み潰すだろう
ここを逃せばあとはお前が戦場で説得するしか無くなる」
最もその場合は力づくで無力化して拉致って形しかないだろうがな、と付け加えてため息をつくザイル
「もしそうなったら離反するか?」
「いやしないよ、戦争にはこっち側から参加したいからね」
そもそもこれだけ年を跨いで説得できなかった僕にも非があるわけだし
「分かった、ならいつも通り明日の朝迎えに──っ…!
敵だ!!!
聞いたことのないようなザイルの叫ぶ声と橋全体が揺れたような衝撃
「うわっ!おいザイル!?」
「構うな、お前は自分の身を守れ!」
衝撃波の中心部から飛び出してきたザイルの安否を確認し、ひとまずアーチャーへ護衛に入らせる
「…避けた?」
あいつは確か──
「バーゲスト!1人で突っ込んじゃだめだ!」
妖精騎士ガウェインとそのマスターのレガリオ、だったっけ?
「はぁ、コヤンスカヤ!慎二の護衛に付いて行け、こっちは俺の方で適当にあしらっておく」
『はーい!
というわけで行きましょ、慎二さん」
「…ああ」
『単独顕現 EX』
で、来たはいいが
「見事に誰も居ませんね?…先を越されましたか」
衛宮邸、間粡邸、遠坂邸、全てを周ったがものの見事にもぬけの空だった
「セイバーの仲間が囲い込みに来たんじゃないのか?」
「ふむ…」
さっきまで居ましたと言わんばかりの痕跡に加え、明らかに昨日までいなかったであろう人間の痕跡も見つかった、おそらくその考えは間違いじゃないだろう
まったく、僕が助けてやるって言ってるのになんでわざわざ…
「今は3人の説得を諦めるしかない、ザイルのところに戻ろう」
「加勢でもします?」
「いや、ザイルの戦いを見に行くだけだ」
魔術師、というか神秘に対して冗談みたいな体質を持っていると常々聞いてはいたものの実際に戦っているのを見たことはない
「『魔術特性《現在》』とか名前付けてるけどさ、魔術って呼べるの?」
だってアレは──
「死んどけクソ雑魚!」
「やれやれ、クソガキ」
格闘術、と言うにはあまりにもお粗末な喧嘩キックやら喧嘩パンチやらを流しつつどうするか考える
バーゲストを圧倒したまでは良かった、剣も打撃も炎も全て無力化。マスターであるレガリオに狙いを定め、後少しでバラバラにできたところにコイツが乱入してきやがった
「気品の欠片も無い戦い方だ、親からロクな教育を受けていなかったらしいな」
「あ?ここは舞踏会でも職場でもねぇ、てめぇみたいな雑魚になんでお母様から教わった礼儀作法を尽くさなきゃなんねぇんだ?自惚れん…なっ!」
妖精騎士トリスタン…真名をバーヴァン・シー、カルデアの記録で見た彼女とは少々違うようだ
「チョロチョロ鬱陶しいんだよ!」
「やれやれ、こっちの台詞だ」
こっちの挑発に全く乗らない、正直コイツの目の前でモルガンを貶せば簡単に突っ込んでくると思ったが冷静さも慎重さも変わらない
クラスはアーチャーだろうが弓や魔術が効かないと分かるや否やいきなり殴りかかってくるのにも驚いた、なんとか仕切り直しの爆弾でも投げたいが──
「させるかよ!」
「チィ…」
装備に頼ろうとした瞬間、文字通り死に物狂いで妨害してくる。ここぞと言う場面で踏み込んで来ないがそれでも距離を取らせてはくれないし反撃も難しい
付かず離れず、こっちにとってひたすら都合の悪い選択肢のみを選び続けている
「…正直もっとバカだと思っていたが」
「どれだけバカだろうがお前より下はねぇよ!」
そして何より──
「らぁっ!」
「…っ!」
お粗末に振りかぶった打撃が頬を掠め、僅かに血が流れる
俺の魔術が効かない…少なくともバーゲストに効いた以上、妖精だからという理由じゃなさそうだ
コヤンスカヤを呼べばすぐにカタがつくだろうがそうなったら魔術が効かない理由は分からないまま。決戦を控えた今、不安事項不確定要素は消しておきたい
何故効かないのか?
バーゲスト達は参戦してこない、ただこちらの様子を伺っている。ということは奴らもバーヴァン・シーが何故戦えているのか分かっていない
…別段、普段と違うようなことをせず戦っている?
妖精の
苛烈な速度と重さだが動き自体は子供の喧嘩だ、フーレンのような脅威は無い
「………」
「テメェ、マジでしつっけーな…!」
サーヴァントや魔術師なら俺が負ける道理は無い、というか負けようが無い──待て、だとすると
ふと頭によぎる1つの仮説、だがもしそうなら辻褄が合う。コイツの後ろには妖精園の女王がいた、できないとは言い切れない
「──よし」
バーゲスト達に気付かれないよう、魔術を一時解除する
「ッ…の!」
「────」
力を抜き、予備動作を消し、速さだけを追求した裏拳を繰り出す
バシン
「うわっ!」
なんの力も付与されていない、それこそ一雫の神秘も魔力も無い義手の一撃は確かに彼女の肩に命中し、怯ませた
「!!!」
当たった…!やれやれ、やってくれたな女王め
神秘はより強い神秘でなければ攻撃自体が効かない、そして当然サーヴァントなんて神秘の塊だ。にもかかわらず攻撃が当たったということは──
「お前
それも受肉したサーヴァントでは無い、最初から実体のある生物として足をつけている
「は?だったらなに?」
コイツを含めて誰も気が付いていない、気付かれても問題はないがネタばらしする楽しみが無くなるのはいただけない
「コヤンスカヤ!」
『単独顕現 EX』
「んもう、秘書使いが荒いですねぇ」
いつもの権能を使い、出現と同時に対物ライフルの弾丸が発射される
「うっ!?」
避けたか、器用な奴だ。だがこっちに来たのはコヤンスカヤだけじゃない
「慎二」
「うるさいな、言われなくてもやるよ」
ガシッ
慎二のサーヴァント、バーサーク・オリオンか体勢を崩したバーヴァン・シーを掴み上げる
「クソッ!触んな──あぐっ…!」
ミシッ…
データベースではこの女も結構な筋力ステータスを持っていたが狂化したオリオンには流石に敵わないらしい
「お嬢様っ!!バーゲスト頼む、彼女を助けてくれ!」ザイルは僕が止める!
「分かってます!」
「すぐに潰すなアーチャー、10秒かけろ
…残りの2人の集中を削ぐにはこれで充分だ」
ホラさっさと片付けなよと言わんばかりに目配せする慎二に頷きで返し、コヤンスカヤと共にバーゲスト達と対峙する
「退きなさい!」
「…聞くたびに思うんですがそれを聞いて『はい退きます』って答える方はどれくらいいるんでしょう?」
「お喋りはいい、バーゲストを抑えろ。とっととマスターを始末して帰るぞ」
というわけで2vs2が始まったが今にも握り潰されそうな彼女を気にするあまりどちらも隙だらけだ、これならすぐ終わる
ん、そういえば──
「慎二、あまり派手に潰すなよ
そいつはサーヴァントじゃない生身だ、再利用できるかもしれないからな」
「はいはい」
ビッ、ビキッ
「ぎ──う、うあ──!」
数メートル後ろから骨が軋み、ヒビが入る音が聞こえる
やれやれ、この様子じゃまともな形は残りそうにないな
「く!?やめろ!やめさせろザイル!」
「お嬢様っ!!」
「先に吹っ掛けて来ておいてよく言う、さっさと死
「ぜりゃあ!!!」
──おい冗談だろ?アルテミス神殿の時といいなんでいつも後から来るんだ、面倒くさい
もう何度も聞いた声の主の不意打ちによりバーサーク・アーチャーが慎二を守らざるを得なかったらしく、スクランブルエッグにする前に彼女を取り逃してしまったようだ
「無事か?」
「げほっ、ゴホッ…!来るのが、遅ぇんだよ、クズ野郎…」
「うっわ、土方さん来てますよ」
「そんなもの見たら分かる」
そして彼がいるということは──
「くたばれェ!」
見知った男が慎二の横をすり抜け、こちらの首元目掛けてコンバットナイフを振りかぶる
「やれやれクライム…他にやることは無いのか?」
銃を使わないのは流れ弾を危惧しているからか?
義手でナイフを弾き飛ばし、空いたもう片方の手を使ってマグナムを撃ち込む
「ぐがっ…!あ、おあああああ!!」
顔面から後頭部にかけてマグナム弾が貫通したがそれでもなお、クライムは叫びながら向かってくる
「ノーア、バーゲストのマスターに続いてお前も?
はっ、ここは不死のバーゲンセールか?」
いつだったか『お前を殺すまで死ねない』とのさばっていたコイツだがだからって不死身になることはないだろう
「死ね、死ねっ!死ねェェェ!ザイルゥッ!!!」
「やれやれうるさいぞ、俺の耳とお前の喉がイカれるだろうが」
戦況は…よくも悪くもない、土方歳三がバーヴァン・シーを救出してそのままバーサーク・オリオンと交戦、バーゲストは先と変わらずコヤンスカヤが抑えている
「おっと」
「フゥゥゥ…!」
不死身だからか以前よりかなり攻撃的──というか一部を除いて防御行動を一切取っていない、おかげで何発か喰らわせられたがどれもまともなダメージにはなっていないようだ
守っているのは右手の令呪だけか…
あの令呪を俺の魔術で抉ったらどうなるのか興味はあるが今は試している時間は無さそうだ
(あ、コレ増援来ますよ)
分かっている
そう遠くない位置からサーヴァントの気配がする、クラスは恐らくセイバー…すぐにでもここに来るだろう
「フッ!」
マグナムを鈍器代わりにナイフを弾き飛ばし、ガラ空きになった腕を掴んで橋の下へ投げ飛ばす
「やれやれ、また時間切れだ」帰るぞ
「いい加減にしろ…!また逃げるのか!?」
投げ飛ばしたクライムが冗談みたいな速度で戻って来た、投げた時に腕の骨をメチャクチャに砕いたハズだがあの様子じゃ堪えているというより痛覚自体が無くなっているらしい…もう復元しているな
「あのな、いつだってお前から吹っ掛けて来ているクセに何を言ってるんだ?
こっちとしてはこうして少し付き合っているだけで感謝して欲しいもんだが」
これではまるでストーカー…いや、本当にストーカーなのか?ストーカーかもしれないな、行く先々で現れるし…
「そう悲観するな、近いうちに挨拶に行くさ
…NFFスペシャルを撒け」
「はーい」
意図を察したコヤンスカヤが平和な街へ向けてNFFスペシャル産のヤガをけしかける
…即応したということは例の3人の説得に成功したか、もしくは諦めざる負えない状況になったか、どちらにせよ慎二が納得しているようだしもうここで出来ることは無い
「〜〜〜!〜〜〜〜〜!」
「やれやれ、せめて理解できる言語で喚けクライム」
「…なんか以前より理性が退化してません?」ま、どうでもいいですけど
『単独顕現 EX』
喚いているクライムを無視し、俺たちはボーダーへと戻った
〜
穂群原学園 校庭にて…
「『
最後の使い魔を撃滅し、胸を撫で下ろす。
数は多かったが2つの理由で苦戦はしなかった。1つはマスターである衛宮士郎と及び護衛対象である遠坂凛と間粡桜が何故か全く狙われなかったこと、もう一つは──
「助太刀感謝します、バーサーカー」
宝具であろう旗を突き立てたバーサーカーに礼を言う、彼のお陰で数の差を埋めることができた。
「周囲の兵士が消えてゆく…」
「ああ、一時的な現界だからな」
それにしても征服王以外に英霊を召喚する英霊が居るとは…
「新撰組、土方歳三だ。まさかアーサー王が居るとは思わなかったが」
「!申し訳ありません、先に名乗るべきでした
騎士王アーサー、アルトリア・ペンドラゴンです。全てではありませんが事情は遠坂凛から聞いています」
災害の獣の出現、聖剣の担い手である自分が現界できたのは不幸中の幸いだろう。霊基は聖杯戦争で召喚された時と同じ通常のものだができることはあるはずだ
「込み入った話は後だ、まずは話にあった3人の保護を。散会している仲間を連れて離脱する」
「ええ、分かりました」
〜
NFFボーダー 会議室にて…
「…説得はできなかったと」
「まー仮に会えていたとしても説得は難しかったでしょうね」みんな頑固っぽいですし
殆ど休憩所と化していた会議室を珍しく本来の用途に使って話し合い、情報の交換を行う
参加しているのは俺、コヤンスカヤ(アサシン)、慎二、ベリル、パライソの5名でありフォーリナーは彼方のお守りで居ない
「で?説得の可否を知るためだけに集まったわけではないでしょう」
「ああ…間近に控えた決戦、『全人類生存権剥奪作戦』についての詳細伝達と細かな作戦について決めよう」
ボルトアクション式ライフルを持ったコヤンスカヤの横で観測手をやりたい作者のルルザムートです、ハイ。
うーん、会議の内容も書こうか迷った…だって慎二をもっと喋らせたいし。でも書かなかったという。