弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》   作:ルルザムート

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まだ決戦に突入しないとかいう…次回は、次回の頭から開戦です、ハイ。
第88話です、お楽しみください


第88話 宣戦布告

日本 伊吹山 山頂に繋がる石階段にて…

 

 

『狂瀾怒濤・悪霊左府』

 ンン〜良ぃですねぇ!ここは魔力使い放題!女狐共に察知される恐れも無し、いやはや良い運動になりましょうカイニス殿!…?おっとそうでした、カイニス殿は留守番でありました!

 なんだか拙僧、久しぶりに羽を伸ばせた気がしますね?」

 

 

 伊吹山の異常な魔力濃度に当てられた怨霊や雑魚鬼を屠りつつ、わざとらしく独り言を言ったり、いつもより多く式神を撒いたりしてみる

 …やはり監視の目がありませんねェ、拙僧ようやく信用された?

 

 

「まぁそんなわけないでしょう、ですがダヴィンチ殿はそれを押して拙僧()()を護衛に指名した」

 

 

(コヤンスカヤの慌てる姿を見たくないかい?…ちょっと伊吹山まで護衛を頼みたいんだ、みんなには秘密でね)

「まさか貴女が悪巧みとは、カルデアの貴女と違うことはしょうちしておりまするが少々興味がある故こうして1人、黙々と掃除を続けているわけでございます

 ン…それにしても」

 

 

 山頂(うえ)で何をしてらっしゃるのですか?貴女達は?

 

 

 

 

 

「このクソAI、いつまでこうしてりゃ良いんだ」

『もうちょっと!あと少し!』

 

 

 かつて山頂だったクレーターの端でバーヴァン・シーがイラつきながら手元のスマホに怒鳴る。

 長い時間ずっと立ちっぱなしでも疲れなんて感じない身体だが機嫌は悪く、いつ手元のスマホを叩き壊してもおかしくないほどだった

 

 

「つーか何を調べてんだ、クソ蛇はもうここに居ないんだぞ?そろそろ答えろよ」

『………分かった、60年前のことだ』

 

 

 は?

「誰が過去の話をしろっつったの?」

『順序があるんだ、聞いてくれ』

「…ちっ、くだらない理由だったらテメェの本体真っ二つだからな?」

 

 

『ありがとう、ザイルとコヤンスカヤ、またキリシュタリア達は伊吹童子という神により60年前の聖杯戦争が誘発された、もしくは聖杯に呼ばれて伊吹童子が現れたと考えてる

 

 

 妥当だね、神秘の薄れた現代で神が現れるなんてそれこそ奇跡でもない限り無理だ。だが伊吹童子か聖杯、どちらが先かは結局結論は出なかった』

「………」

 

 

『サーヴァントキャスター、レオナルド・ダヴィンチは60年前のこの地で鈴木京子によって召喚され、つい最近までアメリカに居た。私は彼女が作り出した人工知能に過ぎないが彼女が現界している時の記録は全て引き継がれている

 …ただ2つを除いてね』

 

 

 スマホから声は聞こえるも特に何か表示されている訳でもないので少々変な感じになるがとりあえず続きを促す

 

 

『1つは鈴木京子について、彼女のデータはAI作成時に入力されていなかった。存在しているのはノーア・クランツェルの名前だけ。鈴木京子というのもかつての秘密基地からなんとかサルベージした名前に過ぎない

 

 

 そしてもう1つはとある妖精についてのデータだ

…妖精騎士トリスタン、バーヴァン・シー、君に関する一切の情報は私の中に無かった

 レガリオ君とバーゲストの情報はあったのにも関わらず、だ』

「──だから何?」

 

 

『本気で隠したいなら他にも方法があったはずだ、それこそバーゲスト達の情報も最初から入力するべきじゃない

 …思うにダヴィンチは入力しなかったのではなくキミに関することだけを知らなかった、いや忘れさせられていたんだ。多分キミを異聞隊からこの世界に逃した人物に』

 

 

 …!

 

 

『抑止力どころか全ての世界を狂わせてまでもキミを守ろうとしていた、手段は分からないが殆ど力技だったのは間違いない、普通はこんなことできない』…解析が終わった

 

 

『…やって来たのはキミ、バーゲストの霊基情報、そしてもう1人の計3人。既にコヤンスカヤに滅ぼされた世界から来たカイニス、道満、ホームズの3人はその時にできた3人分の通路を使ってこの世界に来たんだ』

 

 

『おっと、今彼らは関係なかったね、とにかくキミをここに逃がした人物はキミのために霊体ではなく肉体を与えたがそうせざる負えない状況でそこまで手間のかかることができたとは思えないんだ

 ええとつまり「──もういい」

 

 

 あまりにも長々と喋るダヴィンチに嫌気が差して話を切る

 …お母様から『この事はここにいる者以外には絶対に話すな』と言われてたけど幸いダヴィンチはあの場に居た

 こうして私だけを連れて来た時点で多分ダヴィンチの中では答えが出ている、のなら黙っていても無駄だろう

 

 

「お前の予想通りだ、60年前にこの地に現れた聖杯はお母様──女王モルガンが作った物。そんでその聖杯は今、私の中にあってそのおかげで肉体を保ててる…これで満足?長いこと待たされた挙句にサイッコーに思い出したくないことも思い出しちゃってるんだけど?」

『ごめん、でもこれは確認しておくべきことだったんだ』

 

 

 …ッチ

 

 

「そんなことを言うためにここまで来たの?」

『そうだけどそれが全てじゃない、少なくともこの伊吹山の歪みに妖精園の女王が関わっているのは分かったからね

 …バーヴァン・シー、キミの力を借りたい』

 

 

 はぁ?

「何させる気だよ?」

『それはね…』

 

 

この詰みかけている世界にもう一度抜け穴を作ることさ

 

 

アメリカ J地区 米陸軍駐屯地 会議室にて…

 

 

「衛宮士郎をHOPEボーダー整備長に?正気か?」

 もはや定例となっているキリシュタリアとの作戦会議中。何かの間違いかと思って聞き返すが──

 

 

「整備長補佐だ、彼の魔術は役に立つ」

 どうやら肝心なところは聞き間違いでは無かったらしい

「遠坂家の令嬢とは違うぞ!騎士王がついているとはいえ保護して1ヶ月も経っていない一般人の学生を『魔術が使える』という理由だけでボーダーに乗せる気か?」

 

 

 もちろん彼を守る以外にも理由はある。騎士王の存在だ、サーヴァントなら主を危険に晒すことは避けるだろうしどんなことがあっても彼の保護を優先するだろう、それでいざという時守りに入っていて戦えないどころか身代わりにでもなったら最悪だ

 

 

「クライム、これは彼も望んでいることなんだ」

「尚更容認できないな。俺には分かる、あの子供は目的のためなら難なく自分を捨てるだろう、だいたい遠坂家の子供を戦力に加えるのだって反対で「やれやれ、邪魔するぞ」

「会議中だ、後に──ッッ!!??」

 

 

 さも当然のように扉から入ってきた男へ反射でハンドガンを叩き込む

「話し合いをするという選択肢が無いのは理解できるがいきなり撃ってくる以外の選択肢が無いのはどうにかしたほうがいいんじゃないのか?」

 弾かれた…!

 

 

「ザイル…!どこから入った!?」

「どこから、って俺は正面から入ったが?

 入る時に邪魔しにきたお前の部下を何人かゴミにしたが誤差だ、気にするな」

 

 

 …!

「貴様!」

「勝てない相手に立ち向かわせる方が悪い。…っと、こんな話をしに来たんじゃなかった

 お前たちに伝えたいことがあるんだが聞いてくれるか?」

 

 

「ふざけるな!今すぐここで死──

「落ち着くんだクライム、カイニス!君もだ」

「…ッチ」

「ん、ああ居たのか。バーサーカーも居るがアルターエゴは居ないのか

 いいさ、そのまま聞いてくれ」

 

 

「宣戦布告かい?」

「そんなところだ、『15日後にお前達──米軍魔術師合同勢力に戦争を仕掛ける』

 

 

「「「「!」」」」

 

 

 

 

 

『15日後のこの時間、私たちはあなたたちの全てを奪いに行く』

「──彼方」

「久しぶり、お姉ちゃん」

「彼女が遥様の妹…」

「年齢と纏う気配以外は瓜二つ…

 こんな、子供が──」

 

 

 

 

 

『言い換えりゃ15日後のこの時間までは白旗は受けつけるそうだぜ?』

「それ以上近寄るな、ベリル・ガット!」

「お?妖精騎士とそのマスターか

 それにしてもオレの情報、初対面の相手に知られすぎじゃねぇの?」

 

 

 

 

 

『申請さえすれば誰であろうと分け隔てなく、平等に!責任を持って『保護』させていただきます♡

詳しくは《NFFサービス 人類保護係》までお問い合わせください♪』

「…愛玩の獣、コヤンスカヤ」

「おやラスプーチンそっくりの…大して変わってませんねぇ

 英雄王さんもお久しぶりです♡」あ、電話番号はNFFサービスで検索したら出てきますよ

 

 

 

 

 

『ま、ボクはみんながどうしようとなんでもいいけどさぁ?戦うつもりの人は悔いが残らないよう、この15日間でしっかり準備しておきなよ』

「慎二!」

「衛宮じゃないか、やっぱり米軍のところに居たんだ

 なぁ衛宮、何回も言ってるがちょっと考えれば分かるだろ?人類は近いうちに滅ぶんだ。そのままそこに居たら死ぬよ?

 あとそれを遠坂の奴に言ってやってくれよ、アイツ僕の言うこと聞きそうにないし」

 

 

「慎二…!こんなことやめてくれ、俺も戦う!俺たち3人を助けるためだけに人類の敵になるなんて自己犠牲、間違ってるぞ!」今ならまだ間に合う!

「…衛宮に自己犠牲がどうのこうの言われるなんて思っても見なかったな」

 

 

 

 

 

『15日後が残人類の運命を決める日だ。戦争の名は全人類生存権剥奪戦争。

戦いに来る奴は万全の体制を整えて、全力を尽くしてから──』

 

 

 

『   し   ね   』

 

 

NFFボーダー 管制室にて…

 

 

「で?なんだったんだあれは」

「はい?」

 宣戦布告を終え、怒り狂ったクライムを適当にあしらって帰ってきた後、俺はコヤンスカヤに先のことを問い詰めていた

 

 

「予定じゃ仕掛けるのは5日後だったはずだ、それを直前になって15日にした理由はなんだ」

「ああ、アレですか。クソ坊主とダヴィンチさんが居なかったからです」

「たまたま遭遇しなかっただけじゃないのか?」

 事実あの基地には普通じゃ考えられないほど英霊が多い、その全てをあの短時間で補足するのは難しいだろう

 

 

「そうなんですが少なくともクソ坊主と英雄王は捕捉してから掛かるつもりが基地に居なかったんですよ

 加えてAIダヴィンチとワタクシ達の誰も接触してないようでして、彼女のことなら少しでもこちらから情報を引き出そうと積極的に話しかけてくると思ったんですが」

 

 

 …?

「何が言いたい、それが引き延ばしたことと何の関係があるんだ」

「つまり「悪巧みが得意で機転が効く芦屋道満と常に奥の手を用意しているダヴィンチが揃って基地から消えたから不気味だ、って言いたいんだろ」

 

 

 ずい、とコーヒー片手に慎二が会話に入ってきた

「…人の会話に割り込むと嫌われますよ?」

「そう?イチイチ周りくどい言い方してイラつかせるよりは良いと思うけど。ザイルはどう思う?」

 

 

 ──やれやれ、勝手に火花を散らしておいてそれを俺に振るな

「そうだな、要約してくれたのは良かった。だがそれをネタに毎度毎度火花を散らすな。鬱陶しい

 …あと人の会話に割り込むのもやめろ。やれやれ」

「ふーん、キミがそう言うなら心得るよ」

「ほんっと憎たらしいおガキ様ですねぇ」

 

 

 相変わらず慎二は俺以外にあまり心を許そうとしない、戦争が終わったら1度じっくり話をしてみたほうが良さそうだ

「お前は優秀だが人との付き合い方は俺より酷い、今度道徳授業の真似事でもやってみるからお前も来い」

 彼の場合は周囲の環境と彼自身の高い才能が悪かったが

 

 

「はぁ?僕の人付き合いのどこが悪いんだよ」

「それを自覚させるのも授業の1つだ」

「いやザイルさんには無理でしょ…犬に空飛べって言ったって不可能なのと同じですよ」

 

 

 …やれやれ

 

 

「とりあえずこれは保留だ、それよりも伸ばした10日分を無駄にするな

 芦屋道満とダヴィンチの足取りを追え。慎二は30分後にトレーニングジムに来い」追い込むぞ

「かしこまりました!」

「分かったよ」

 

 

 さて、米軍基地は今頃どうなっているか…

 

 

米陸軍駐屯地 グラウンドにて…

 

 

「対テロ特別捜査本部責任者及び、バーサーカーと契約したマスターのクライム・アルバートだ。

 事態の急変に伴い集まってもらった」

 

 

 グラウンドの四隅にアンプやスピーカーが雑に並べられたその場所に所狭しと集められた米軍と魔術師達。不平不満を抑えるため、壇上でマイク片手に喋るクライムの隣にはキリシュタリアも居て変わり代わりマイクを手渡していた

 

 

「魔術師キリシュタリア・ヴォーダイムだ。知っている者もいるかと思うが先ほどザイル──いや、ビースト勢力から宣戦布告を受けた。

 彼らの目的は全人類の死滅もしくは隷属化、そのためにサーヴァントという強力な戦力が多く留まっているこの基地を襲撃し、根絶やしにするつもりのようだ

 仕掛けてくるのは15日後らしいが奴らがそれを守るという保証はない」

 

 

 騒つく彼らを鎮めるように言葉を続ける

「確証があるのは聖杯戦争なんて問題にならないような文字通りの『戦争』が起こるということだけだ。故に今一度ここで決めてくれ。自分は戦えるのかどうかを、自分は戦ってもいいのかを自分に問いてくれ」

 

 

「マイクを、──軍人、魔術師、関係無く戦えない者や戦いたくない者は離脱して良い。特に10年前に伊吹童子を宿した影月 彼方と戦ったことがある者はよく考えてくれ」

 

 

 コヤンスカヤの『保護』について言うべきだろうか、と目配せでキリシュタリアとコンタクトを取っているといきなり彼のサーヴァントであるカイニスにマイクを取られてしまった

 

 

「キリシュタリアのサーヴァント、神霊カイニスだ。コヤンスカヤの奴は人間が動物を保護するみたいに人間を保護しようとも考えている

 事実保護を要請できる手段も残していった、人間的な扱いはほぼ間違いなく受けないだろうが少なくとも生命は保証されるだろう

 …そうなってまでも生き延びたい奴のことを、少なくとも俺は否定しねぇ。てめぇの人生はてめぇで決めろ、他人に縋るな」

 

 

「カイニス…」

「いきなり入って悪かったな、マイク返すぜ」

 確かに開示できる情報は全て開示しておくべきだろう、妙な壁を作るのは悪手だ

 

 

「始まるのは10日後かもしれないし明日かもしれない、戦うにせよ離反するにせよ時間は限られている

 それを胸に留めておいてくれ」

「これから戦う敵や戦う手段、それ以外の分からないこと、知りたいことがあればいつでも来てくれ。共有棟1階にいる。

 情報の出し惜しみはしない」

 

 

 やはり米軍側から離反者は出そうに無い、魔術師側はまだ迷っている者もいるようだが…いや、これで良いんだ。戦える人間は1人でも多い方がいい。だから──これで良いんだ

 

 

 無理矢理自分を納得させ、演説を終える

──そして

 

 

クライムの自室にて…

 

 

「浮かない顔だな」

 部下からすっかり教官の印象がついた土方が感情の読めない声で言う

「──15日、いや明日にはとんでもない殺し合いが始まるかもしれないんだぞ、愉快になれる訳がない」

 

 

 なれるとしたらそれこそザイル達だけだ

「だろうな、だが俺にはそれ以外の要因もあるように見える」

 ッ…

 

 

「──あったとして今は関係ない」

「そう言うと思っていた、だからこれは俺の独り言だ。…俺はお前の味方だ」

「…?どう言う意味だ、おい土方!」

 

 

 返答は無い、どうやら霊体化してどこかへいったようだ

「どういう意味なんだ…」

 だが結局それが分かることは無く、時間は矢のように過ぎていった

 

 

 装備を整える者、鍛える者、異種の勢力の人間と話し合う者、脱走する者(離反者は魔術師だけだったが)、いつ来るか分からない戦争に身構えながら1日、2日と過ごしていく内あっという間に──

 

 

 

 

 

「──土方」

「ああ」

 

 

 

 

 

 ────約束の日が来た────




タマキャに胃袋を掴まれたいし、闇コヤンの手刀で内臓鷲掴みにされたい作者のルルザムートです、ハイ。
この話から開戦すると言ったな、アレは嘘だ
スミマセン…次回から本当に開戦しますので…
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