弊社NFFサービスはこの度、聖杯戦争への参加が決定致しました♡ 《完結》 作:ルルザムート
第93話です、お楽しみください
G地区 オフィスビル跡地にて…
「いたぁい…」
10秒前までビルがあった場所で大量の瓦礫や煙をかき分けながら落とした草薙を探す
あ。別に探さなくてもいいか
「おいでー」
はぐれた子供を探すように呼びかけた直後、コンクリートだか机だか分からない残骸を突き破って剣が戻ってきた
「よしよしえらい、それでええと…なんでこうなったんだっけ?」
手元の剣をよしよしながら少し前の出来事を振り返ってみる
「そうだ、ガラティン!ガラティンのせいだ!」あと飛行機!
もう少しで別れた伊吹童子を1つに戻せたのに飛行機に乗っかっていた剣士のせいで吹き飛ばされたんだ!
飛行機ガラディンアタック(彼方命名)という全くの予想外の攻撃に少々苛立ちながら使い魔の蛇達を使って周囲を調べる
「それじゃあみんな、報告お願いね」
ふんふん…基地からここまでの距離が…うわぁ、すごく吹き飛ばされてるなぁ
鱗の防護壁に防がれブラックドッグ・ガラティーンによるダメージは殆ど無く僅かにあったダメージも即座に再生…するが衝撃はどうしようもない、文字通り足の踏み場が無い空中なら尚更だろう
「戻るにはちょっと遠いなぁ、でも…うーん」
「お困りのようですね彼方さん」
「あっ、コヤンスカヤ」
困ってるというか悩んでるというか
「こちらの仕事は終わりましたので彼方さんのお手伝いに!
あ、お借りしていた大蛇お返ししますね」
よく分からないまま貸してた操作権を返してもらい、能力が戻ったのを認識する
「基地はワタクシのNFFスペシャルだけで充分、それよりも彼方さんを狙って結構な戦力がこのあたりに集まってきています」
その中に綱さん、例の鬼殺しのセイバーもいるでしょう、とサラッと言っちゃうコヤンスカヤ
「ええ?私あれ嫌い…」
「まぁまぁ、ここからはワタクシも一緒に戦いますので気を落とさず!
…まずはこの辺りを薙ぎ払いましょうか?」
「………」
クライムの部下が用意したアサルトライフル、それに取り付けられたサーマルスコープ越しに『それ』を見ながら彼は考える
シルエットは1つだが誰かと話しているみたいだな
「土方教官?」
「今は訓練じゃねぇ、土方でいい」
「あの辺りにいますけど…動いてきませんね」
「彼方だけじゃねぇ、サーマルに映ってねぇだろうがコヤンスカヤも居る。作戦会議中だろう」
「び、ビーストが…!?」
彼方の暴れぶりを見るに奴自身誰かの指示で動いているというより自分の好きなように暴れているな。オリオンのマスターとコヤンスカヤはそれを囮に動いていた、目的は英雄王の排除か?
少し大袈裟すぎる気もするがかの英雄王相手なら妥当、なのだろうか
「ヒューイ、彼方を追ってこの辺りに来ている米軍や魔術師はどれくらいいる?」
「魔術師は分かりませんが米軍は既に4隊到着、あと2隊来るようです」
「全員今すぐ引き返せと伝えろ、ここは恐らく激戦区になる
生身の人間なんか邪魔にしかならない戦闘区域にな」カドックにも伝えろ
厄介だな…奴らは彼方の制御を諦めてる、ということはどう戦況が転ぼうと彼方が戦いの中心になるのは間違いない。ギルガメッシュ排除という役目を終えたであろうコヤンスカヤが今彼方の元を訪れているのが証拠だ
降下中に狙撃してきた奴は…この辺りにはいないのか?
あれが敵側のオリオンだとすれば間も無くこの戦場にも現れるはずだ、だが付近に他のサーヴァントの気配無し
HOPEボーダーの方へ向かった…というわけでもなさそうだ、仮にボーダーを狙っていたなら既にザイルが撤退したボーダーに向かわせるのは考えづらい。飛び立つ瞬間を狙い撃ちしようとしているのかもしれんがカイニスや騎士王がいる上で落とすのはいくらオリオンでも不可能だ
オリオンとそのマスターは間違いなくここに来る、だが今じゃ無い…他に基地の中に狙いがある?
「指示を変える、米軍と魔術師は即時後退。NFFウェポンとの戦闘に備えつつ別動隊を編成し、敵サーヴァント及びマスターを捜索しろ。恐らくオリオンのマスターは基地の中にいる」
「了解!」
オリオン相手は厳しいがもし敵マスターの間粡慎二を補足すれば米軍でも排除できる、彼の魔術師としての才能はほぼ皆無だからだ、とはいえ──
「子供だが甘く見るな、逸るな、ザイルが勧誘した以上見た目通りの強さなんてことは無いからな」
それが油断していい理由にはならない、去っていく彼の背中にそう呼びかけつつ見送った
「さて…」
中々戻らないバーゲストとレガリオのことも気になるがここから離れるわけにも行かない
「どう出る?」
直後、その呟きに反応するように現れる濃密な神秘の気配、数は7つ。視界は悪いがそんなことでは隠しきれない大きさの大蛇が出現した、それに加えて──
「はーい、ちゅっちゅっ♡」
▽ 殺戮技巧(人)
▽ 殺戮技巧(人)
▽ 殺戮技巧(人)
▽ 殺戮技巧(人)
▽ 殺戮技巧(人)
▽ 殺戮技巧(人)
▽ 殺戮技巧(人)
▽ 殺戮技巧(人)
彼方と、そして見間違いでなければ遠目に見える大蛇の目つきが変わった
「それじゃ場所を変えまして…
『水天日光天照八野鎮石』」
隠れるように彼方の後ろへ下がったコヤンスカヤが宝具を展開。10年前の戦車とは違う、名前からして玉藻御前の物か?
「ダメ押しです、ちょーっとだけ力をお借りしますね?立香さん♪」
…!コヤンスカヤの姿が…
子供、彼方程ではないが間違いなく10代の少女がオレンジ色の髪をなびかせコヤンスカヤがいた場所に立っており、その右手には令呪が──
「シャドウなのはこの際仕方ありませんがとりあえず3騎!これで戦ってみますか」
「加えてサーヴァント召喚だと?…やってくれるな」
「バーサーカー」
と、こっちの様子を見て駆けつけたのか降下組、平景清と影月 遥が来た
「遅かったな。丁度いい手を貸せ、これは流石に手に余る」
「分かっている、だがアタランテがやられ伊吹童子も戦えるような状態ではなかった。降下組からこれ以上の戦力は期待するな」
「…分かった」
「米軍や魔術師が退いていったけど…こういうこと?」
「ああ、余計な損害を出すだけだ。ここは俺たちだけで戦った方がいい
…影月 遥、やれるか?」
「大丈夫、余力は「違う」
「?」
余力があろうとなかろうと戦うつもりがあるならそれでいい、俺が聞きたいのは──
「妹を殺せるのか?…見栄を張らずに答えろ、俺はそれを非難しないし誰にも非難させねぇ」
「………うん、できる」
「そうか、ならいい」
彼女の覚悟を問い直し終え、改めて正面の厄災と相対する
この戦力で戦うべきじゃねぇが…野放しはあり得ねぇ、やるしかないな
〜
医療棟前にて…
パシュッ
「ははっ、これまで散々無視してきた割には随分しつこいじゃないか」
ワイヤーガンを発射、アンカーが固定されたのを確認してトリガーを引き絞る
従来であれば
生身なら間違いなく脱臼するような力で巻き取られるワイヤーの引力を右腕の義手で強引に耐え、勢いに任せて医療棟裏手の庭へ飛ぶ。移動が終わると同時にピストルタイプのグレネードランチャーを再装填。追いかけてきた蟲群へ焼夷弾を浴びせる
本来かさばるはずのグレネードランチャーをコンパクト化できているのはいいけど1発撃つごとに装填が必要なのは不便だ、これが僕に1番合った大きさと重量なのは分かってるんだけど
後付けのサーマルスコープ越しに見える熱反応…焼夷弾を込めているピストルランチャーに取り付けるなんて本来ナンセンスだが今はこれが必要だ
本体は桜の身体の中か、欠片だが聖杯と思しき影も見える
コストの高い魔術を使ってようやく分かるようなことでも現行兵器1つで事足りる、か。世界は狭かったな
「『逃がさんぞ…!』」
残っている焼夷弾は今再装填した分を合わせて4発、榴弾も合わせれば数はあるが蟲相手では燃やさなければ効果は薄いだろう
「まだ何か勘違いしてるみたいだね、もう
無表情の桜越しでも分かるおじいさまの怒りと蟲群をあしらいつつ手元の武装を再確認。
焼夷弾4発、榴弾6発、発煙手榴弾4個、
拳銃GSh-18と9mmルガー弾が装填分合わせて
54発、ワイヤーガンとこの
「ま、要らないだろ」
5階建て医療棟の裏手は庭になっており、基地と街を仕切る壁や多くは無いが所々に植えられた木々がある。変幻自在、とまでは行かないがアンカーを打ち込める場所がこれだけあれば機動力はハネ上がる。死に掛けの老体を翻弄するには充分だ
医務室の中は…未だにアスクレピオスとバーヴァン・シー、そしていつの間にか居る伊吹童子が援護する形で僕のアーチャーと戦っている
数で言えば不利だろうが全力で戦えているのは戦闘の苦手なアスクレピオスだけだ、押し負けることはないだろう
ダンッ
「バーヴァン・シー!!」
「他に邪魔が入らなければ、ね」パチン
真上から落ちてきたセイバー、妖精騎士ガウェインの横腹に向けて攻撃指示、僕の足であり武器であり良い狙撃ポイントであるアルビオンのタックルを喰らわせる
「っ!?メリュジ──がはっ!?」
遅れて激突音がすぐ近くから聞こえた、あれは表側に落ちたな
流石に生身でサーヴァントと戦り合えるほど人間を辞めてはいない、あいつはアルビオンで止めておこう
ブブッ
また蟲群が迫ってきた、状況把握はここまで。500年物の老体にトドメを刺そう
「…レオレオ」
腰に括った発煙手榴弾のピンを抜きつつ、空いた手で焼夷弾を蟲群──ではなく少し手前の地面に向けて撃ち込む。地面に近かった蟲は残らず焼き尽くされ、遠かった蟲も炎に煽られて少しでも安全な空へ退避。
再装填の暇は無い、このまま押し切ってやる!
アンカー射出、蟲の居なくなった超低空を文字通りかっ飛ぶ
「『ネズミが…!』」
近付きすぎず、離れすぎず、僅かな木々とコンクリートの壁を利用して飛び回る
「そら」
眼前に迫った蟲群へ焼夷弾を投げつけ、間髪入れずそれをGSh-18で撃ち抜いて爆発させる。
それはさながら西部劇に出てくるガンマンのような早撃ちだったがあちらとは違う。ワイヤーによる激しい空中移動の最中、蟲という群体を相手に障害となる相手を的確に判断、持ちやすいとは言えない焼夷弾を投げつけた上での射撃である
彼、間桐慎二は魔術回路を持たないというだけでそれ以外の才能に関しては非の打ち所がないのだ。ただそれまで触れていなかっただけで。
魔術にしか己の世界を見つけることが出来なかった少年は魔術に見切りを付けて外へと飛び出した
映すならもう少し…
2個目と3個目の発煙手榴弾のピンを抜き、3個目を
やはりというか防御をしない、魔術的防御はしているだろうが明らかに現行兵器に対して油断している
誰かに認められたかったから?己の能力に自信を持ったから?なるほど、確かにそれもあるだろう。だが根底にある動機はそれじゃない、そんなもの…腕を切り落とす理由になり得ない
3つの発煙手榴弾で狭い庭は煙に塗れ、視界は最悪だったが撒く前に地形を見て覚えていた彼には何も問題はない。速度を微塵も落とす事なく4つ目の発煙手榴弾のピンを抜き、動きが鈍った蟲群を更に翻弄する
焼夷弾の投下位置は完璧、視界も充分悪い
「頃合いだ」
コヤンスカヤが用意した機能とは別に、彼自身が用意していた小道具の1つを義手の格納スペースから弾き出した
「行くよ」
彼の根底にある『戦う理由』は──
「『────』」
何故だ
奴は落ちこぼれ、何故間粡に生まれついたのかどうあっても理解できないようなクズだ。そのクズを相手にこのワシが…?
自分が万全ではないことなどあんなのを相手にしててはなんの言い訳にもならない、間粡の当主がこんなクズに手こずるなどあってはならない
桜と違い、家に居候している一般人程度の認識しかしていなかった小僧が魔術を使わず、軽口を叩きながら蠅のように飛び回っている
人を苛つかせる才能に関してだけは間違いなく間粡1と言える、そんな小僧に──
魔術を使わないので魔術反応を探知して索敵することもできない、頼れるのは蟲を介して伝わってくる音と景色だけ
そこか…!
ようやく姿を捉えた慎二に蟲群をぶつける、一般人は元より並の魔術師でも一瞬で蟲に喰らい尽くされて終わりのそれは何故か慎二の身体をすり抜け、蟲達はただ煙に突っ込むだけだった
「『なんだと?』」
魔術の気配は無かった、幻覚や幻ではない!いったいこれは…
《間粡家当主ともあろうお方が、随分焦ってるじゃないか》
!!
左後ろに見えた奴の姿へすぐさま蟲をぶつける、がこれもすり抜ける
な、なんだ?なんだこれは!?
右に左、前、真上、後ろ、どこを見ても小僧の姿が視界に入る。そのどれにも魔術の気配は無い
《ザイルにボコられた時に思わなかったのか?『魔術が全てじゃない』ってさ》
手当たり次第に蟲をぶつけるが悉くすり抜ける
理解できない…!何をした!?
《若い頃はアンタもさぞ優れた魔術師だったんだろう、魔術の使えない小僧なんか太刀打ちできないようなね》
どこだ、どこにいる!?
飛び回っているのだろう、声から場所が特定できない
《でも僕の目の前にいるのはただの500歳。穴蔵決め込んでただ歳を取るだけの老人がいったい何を思い上がったんだ?》
パシュッ
顔のすぐ横をアンカーが掠めた、そしてそのワイヤーの向こうに…
「自分の存在が揺るぎない、なんてさ」
「『小僧っ!』」
ワイヤーを巻き取り一気に接近してくる慎二に左右から最後の蟲群をぶつけ
タンタンッ ボウッ
るよりも早く炎の爆弾が爆発して蟲が消し飛ぶ
「魔術以外の世界がどれだけ広いか、知らないだろうに」
「『こんな、こんなことが!』」
ドズン
鈍い音と共に、黒鉄の義手が胸部へとめり込んだ
ザイルが臓硯を殺したと聞いた時から、僕はこうなる事を予測していた。別にこの場面この瞬間が来ることを分かっていたわけじゃない、臓硯が生きていて戦争のどこかで邪魔をしにくるんじゃないかという程度のもの。
桜に取り憑いているというのは正直賭けにもならない予想だったがその予想に沿った準備もしてきたことは今こうして無駄にならずに役立っている。特に煙に映し出した立体映像は効果覿面だったようだ
「──捉えた!」
深々と義手が桜の身体に突き刺さっているが僅かな時間なら問題ない、本来の義手にあった医療用の機能を復元したものであり少しの間なら人体への影響を最小限に抑えることができる優れものだ。
とはいえ理屈は貫きながら治療しているという作った奴の神経を疑う機能なので安全と言える稼働時間は0.8秒
「っ…!」ズボッ
制限時間を超えることなく目的のものを握って右手を引き抜く
「っとと」
宿主を操っていた寄生虫が居なくなったのが要因か、糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちる桜を空いた片手で抱き抱える
失神した人間というのは例え女性であっても支えるにはそれなりに構えないといけないのだが3年間ザイルとひたすら戦場を駆けていた慎二にとっては構えることでもなかったらしい
「さてと、これがアンタの本体か?すっごく見窄らしいな」
黒鉄の手の平の上で輝く金色の破片とその下で弱々しく動く1匹の蟲、どうやらまだ諦めていないのか蟲とは思えないもっさりとした動きで桜の方へ向かおうとする
「──もう充分生きただろ?」
親指と人差し指で臓硯を挟み込み、クルミを粉々にできる義手へ力を込める
「そろそろ退場しなよ」
ぷちっ、と500年生きた怪物が終わるにはあまりにもあっけなく、指と指に轢き潰されて終わった
周囲の蟲も完全に死滅した、今度こそ間粡臓硯は死んだと見て間違いないだろう
彼方の方はコヤンスカヤが合流して既に第2ラウンドが始まってるみたいだ、一度桜を連れてボーダーに戻ろう
傷つけないよう左手で桜を抱え、ワイヤーガンを持ち直す
「戻れアーチャー!そして仕事だぞアルビオン」
その言葉に呼応しアルビオンが医療棟を超えて戻ってきた、すかさずアルビオンの足元にアンカーを撃ち込んで上昇。勢いを利用してそのまま背に乗る
よし、結構強引だったけど桜は助けられた。あとは…
彼の根底にある『戦う理由』、それは──
「待ってろ衛宮、僕が助けに行く」
親友を、守るためである
〜間粡臓硯 死亡〜
ワイヤーガンを使いこなすコヤンスカヤを見たい作者のルルザムートです、ハイ。
正直この対決を見たいがために、書きたいがために、慎二を引き込んだというのもある。魔術を捨てて強キャラ化した慎二は私に刺さるんだぁ