偽・螺旋剣(一夏ver)
一夏が自ら作ったオリジナルの弾。矢ではなく銃弾にしたのは弓矢を持っていくのが大変だから。切嗣の様な起源弾も使えたりする。
引っ越しによって箒からシャルルにルームメイトが変わった。荷物も運び終わり箒が居なくなった後、問いただす為扉に鍵を掛ける。恐らく此処に盗聴器などの類は無いはずだが聞かれる心配もあるので一応部屋を見て回る。
「………………」
ぐるぐると部屋を確認する俺を見てシャルルは不思議そうな顔をしながら荷解きをしていた。今確認した時点では無いので話を聞こう。
「なあ、シャルル……お前、女だったりするか?」
「……な、何言ってるの?僕、おと、男だ、だよ?」
「動揺しすぎ、バレバレだ。はっきり言ってこういう場面では白を切るが一番いい」
そうして白状したシャルル……いや、シャルロット。会社の命令で俺の白式のデータを取ろうと此処に入学してきた、と言う事らしい。
「ふ~ん。そういう事か……でお前はどうしたいんだシャルロット」
「えっ?……僕、どうしたいんだろう」
聞く限り親の命令だという話だが何か引っかかる。まあ、電話して聞けばいいか。そう思い、とある人に電話を掛ける。
「……ああ、もしもし。お久しぶりです……ええ、ちょっとフランスの事で……」
電話を掛け終わった後、シャルロットは何か思い詰めている様子で難しい顔をしている。
「……僕って……此処に居ていいのかな?」
そんな声を聞いて、懐かしい思い出がよぎった。
「私、どうすれば良いか分からないよっ……!!■■達を幸せにしたいだけなのにっ……!!」
ああ、あの時と同じだ。俺は本当に彼女に幸せになって欲しくて、
「居ていいだろ。ホント、シャルロットって”あいつ”にそっくりだな……」
ベットに座りながらそう言う。彼女は誰という質問を投げ返してきた。
「……そうだな。一言でいうなら
「死んだ……?」
「ああ、言い方が悪かったな。”俺”が止めを刺したって事」
正確には、殺したではなく喰っただが。
「人を、殺したの?」
「……そういう意味じゃなくて、死にそうなときに俺に殺してって言ってきたから。まあ、躊躇ったけどやってしまったな」
「……なんで、その人に似てるって思ったの?」
なんて答えようか……声、というのもあるが。一番はこれだろうか。
「悩んでることがまんまなんだよ。そんなことで止まってるとこの先、お先真っ暗だ……だから、言う。それがどうした。別に居ていいだろ。お前の意志で選べ、シャルロット」
そう言うと考えが纏まったのか、口を開いた。
「うん、やっぱり……此処にいるよ。僕がやるべきことが見つかった」
「……良かった。私みたいに抱え込まないで……」
「えっ?」
不思議そうな顔をするが俺にはよく分からない。何かしたか?
「……さて、寝るか。シャワーは先に使ってくれ」
「あ、うん。お先……」
今正体を明かすと面倒な事になるので暫くはシャルルとして過ごすと本人から聞いた。なので隠し事をしながらの生活を送らなければならなくなった。バレそうで怖い。
「まあ、そういう事になるよな……」
次の日、朝の食堂に行くとトーナメントの優勝賞品は俺かシャルルと付き合えるという話が聞こえた。馬鹿にも程がある……誰が噂したのだが。
「……怖いね。女って」
「いや、シャルルが言えたことじゃないだろ」
という感じに人目に付くところではシャルル、誰も居ない所ではシャルと呼んで欲しいと言われたので俺の方も一夏と呼んでくれと言った。
「まあ、お互い生き残ろう」
そんな話をして、食堂を出る。その後の授業は至って平和で何もなかった。そして放課後、シャルルとこの後の事について話しながらアリーナで訓練しようかと言う話をしていた。
「……そう言えばあの時、誰に電話してたの?」
「偉い人、って言えばいいかな。俺の恩師でもあるし」
「へぇ……そんな人もいるんだね」
そうして歩いていると噂話が聞こえてくる。どうやら第3アリーナが騒がしいらしい。
「何か嫌な予感がするんだが……」
「僕も、するんだ……行ってみよう」
そうして現場に向かうと、其処にはボロボロの専用機持ちである鈴とセシリア。その前に余裕層に立っているラウラ・ボーデヴィッヒ。大体、理解した。
「ふん、口ほどにもない」
そうして止めを刺そうとしたのでそれを止める。まあ、
「何やってんだぁ?……俺の大事な奴らに手ぇだしておいて。タダじゃ済まねぇぞ?」
「……なんだ、この、プレッシャーは……!?」
一歩進むごとに俺の怒りはどんどん膨れ上がっていく。こいつだけは……絶望に叩き落とす。
「其処までにしておけ……一夏」
「……分かった」
知らぬ間に後ろに居た織斑先生の言う通りに止めておく。これ以上やったら俺自身が止められない。
「模擬戦は禁止だ。トーナメントの時まで取っておけ。いいな!!」
「はい!」
「了解」
次の日、トーナメントがタッグマッチになったのでタッグを組んで欲しいと人が殺到したのだが。
「俺、シャルルと組む予定だから」
「僕、一夏と組む予定だから」
と言う様に皆が諦めて帰っていった。秘密をバレないようにするためにもこれは有効だと思われる。
「じゃあ、訓練しようか。連携は必須だしな」
そして、連携についてトーナメントの日まで話し合った。大体は俺が前衛でシャルが後衛なのだが。どうしてもISの特性上仕方がない事なのでこれに落ち着いている。
「あっ、最初からだね」
「しかもタッグ組んだの箒だし。あいつは何考えてるんだか……」
タッグトーナメント当日。トーナメント表を見ると最初に当たっていた。
「全力で、勝つ。そうでしょ?一夏」
「おう。叩きのめす」
ピット。そこで準備をしている俺にISが使えないため出場できない鈴とセシリアがやって来た。
「あいつに一泡吹かせてやって……私が出来ない代わりに」
「ええ、頑張ってください一夏さん」
「任せろ。今回は、本気で行く」
ピットから出て、地上に降りる。目の前には箒……そして、シュバルツアレーゲンに身を包んだラウラ。こんなにイライラするのは初めてだ。
「……私は、お前の存在を否定する。教官の弟など認めない」
「そうか。ちょっと今日は気分が悪くてな……力加減が分からないから壊したら悪いな」
カウントがゼロになり、戦いが始まる。しかし、タッグマッチの意味を知らないのかラウラは箒のSEをゼロにするという暴挙に出た。
「嗚呼、やっぱりお前、死ねよ……」
「一夏、冷静になって」
「ああ、分かってる……直ぐに終わらせてやる」
シャルの乗っているラファールの弾幕の嵐。それで注意を引きながら雪片弐型で斬りかかる。
「ちっ……」
そうして俺が近づいてくるタイミングで何かを作動した。若干動けなくなっただけで特に支障はなかった。
「何っ!?AICが効かない……!?」
「ごちゃごちゃうるさい」
油断している所に剣の腹で薙ぎ払う。追撃で弾幕が入る。普通の人が見ればオーバーキルというだろう。
「ごほっ……けほっ……」
「そんな暇あったら避けろよ」
追撃しながら、無理やり動かす。その先にはシャルの弾幕が待っているが。
「くっ……こんな奴に……!!」
「これ以上やっても時間の無駄だ。さっさと終わらせよう、シャル!危ないからな」
「了解!」
俺が想像するのは、かの女王。
「慈悲だ。頭を垂れよ。恐怖はない、希望もない、ただ罪人のように死ね。何人も――通るに能わず!」
全ては滅びへと向かう。
「
上から槍が降り青白い光の攻撃が辺りを包む。本気でやったので思ったよりも威力が出て困っている。
「……やりすぎた。生きてるかな」
「……一夏が持っているの何?」
「これか?とある女王が持っていた剣でもあるし斧でもあるし槍でもある武器だ」
彼女から魔術などを教えてもらったりしていたのでこいつも自然と使えるようになっていた。
「私は……こんな奴には……負けんっ!!」
ん?様子がおかしい……形が変わっている?
「あああああああ!!」
金色の液がISを飲み込み、何かを形作った。こいつは……!!
「……ブリュンヒルデ、か。偽物はさっさと消えろ」
その偽物に対して雪片弐型で真っ二つに切り裂いた。のだが。
「私は……絶対に、マケナイッ!!」
更に姿を変え、俺と同じくらいの大きさの人型になった……
「……は?な、んで?」
「一夏、知ってるの?」
「……あいつは、消えたデータのはず。どうして?」
目の前に居るのは黒の髪、毛先が金髪。体がコードに絡められている。俺はそれを前に見たことがある。
「なんで、居るんだよっ!!鞠奈ァ!!」
「……私は、全てを、消す。すべては、お父様の為に」
「一夏!来るよ!」
コードを伸ばして捕まえようとしてくるのは前もやってきたことだ。それを飛んで避けて、行動を確認する。可能性として在りゆるのは前回と同じかもしれない、と言う事。
「一夏、どうする?」
「あいつは……俺がやる。俺じゃないと、駄目なんだ。あの人の代わりに……」
そうしていると通信が入ってくる。先生だ。
「織斑……こちらでも確認しているが、”アレ”は何だ。最初の方は見当がつくが……」
「多分、ドイツの方で極秘に入れてたんでしょう。あいつは成長する人工知能。無駄に時間をかけると倒せなくなる」
これは使いたくはなかったが、使うしかあるまい。力を貸してください、士道さん。
「シャル、逃げろ。コイツを倒す立ったら巻き込んじまう」
「……うん、分かった。だけど、絶対生きて帰ってきて。約束」
「約束は守るさ。俺も生きなきゃいけないしな」
シャルが逃げたのを確認し目の前の”友人”に刃を向ける。
「なあ、鞠奈?俺が嫌いか?」
「……この世の全てが嫌い。消えて」
話は通じない、と。なら、俺が止める。
その場所は赤い彼岸花が広がる地獄。あの人はお前らしいと言ってくれた。
「鞠奈……許してくれ。こんなことしかできない俺で、ゴメン」
そうして、鱗赫を展開した俺に胸を刺されて倒れた。抵抗はなかった。
「ねえ、一夏。私を貰ってくれる?」
動かなくなったはずのものから声が聞こえて、それに答える為に俺は体に触れた。
「うん、ありがと……士道と士織に宜しくって言っておいて……」
「ああ、言っておくよ。さようなら、鞠奈」
「さようなら、織斑一夏」
そうして、世界は現実に戻る。
「一夏……!!一夏!!」
「……あーあ。逝っちまった……」
「えっ?」
また一人、自らの手で殺めた。こんなことは二度としたくはない。
「悪いなシャル。心配かけて……あいつも被害者だし、寝かせてやるか」
アリーナで倒れているラウラを抱えながら先生に引き渡す。この後はどうするべきか。
「……ふっ。プレゼントにも程があるだろ」
「どうしたの、一夏?」
「これ見てみろよ」
そうやって見せたのは白式の拡張領域。その中に入っているUSB。俺はそれに見覚えがあった。
「USB?何が入ってるのかな?」
「俺は知ってるからな……あいつもとんでもないモノ押し付けやがって」
でもそれは心からの嬉しさだった。久しぶりに笑えた、のかもしれない。
「一夏が笑う所、初めて見たかも」
「……あきれて笑ってるんだよ」
また、厄介事が増えそうだなと思いつつも今の嬉しさに浸った。
固有結界 無限の赫製
一夏が教えてもらいながら編み出した固有結界。その場所では動くことすら許されない。動くことが出来るのは彼の者のみ。すべては……精霊の為に。