やはり俺とブイモンの青春ラブコメは間違っている。 作:アルファ麻呂
「成程。クリスマスイベントの進行状況は把握したわ…………一体二人とも今まで何をしていたのかしら?」
「言い訳のしようもございません…………」
「ま、まぁまぁゆきのん。いろはちゃんも苦労してたみたいだし」
「ホントですよー。マジで脳の血管ブチ切れるかと思いましたよー」
千葉コミュニティセンターの入り口付近。俺は三人の女子に囲まれて一見すれば羨ましいであろう状況にありながら、謝罪会見中の政治家みたいな顔で謝り続けていた。
俺が恥とかプライドとか色々な物を投げ捨てて奉仕部に助けを求めた翌日。コミュニティセンターに向かう中でこの一ヶ月近くの間で決まった事を二人に教えていたのだが、ただでさえ何となく眉を顰めていた雪ノ下と由比ヶ浜の顔は話を聞き終えた辺りで冷たい眼差しに変わりつつあった。
だって仕方ないじゃないか。折本とのあれこれもあったし、お前たちはあの玉縄トークを直接聴いてないから分からないんだよ、と言い返したいのをグッと堪えて頭を下げる。
そもそも一色を手伝ってクリスマスイベントの準備をしていたのは、雪ノ下と由比ヶ浜からの告白の返事を考える時間が欲しいから一度距離を取らせてくれと自分で言い出した事。奉仕部の部室の扉を開けた時に、俺の顔を見て意外そうな顔を見せつつも何かを期待した顔の二人を思い出せば反論など出来るはずもなかった。
「じゃ、せんぱい。私のはいつもので大丈夫ですからー」
「お、お前な…………」
一応、俺はお前を助ける為に男のプライドを投げ捨てて二人に助けを求めたんだぞ一色。何で当たり前みたいな顔してそっち側居るんだよお前。って、そう言えばそもそも一色の手伝い始めたのは二人に告白されたからだった。小町経由で確認こそしてないが、一色が俺のこと好きだったと聞いた上で。
「考えてみれば、マジで最低だな俺…………」
自販機でホットのミルクティーと野菜ジュースと牛乳を買いながら思いっきりため息を吐く。
「何が最低?」
「人に言える話じゃないんだよ…………マジで最低だから」
その時不意に後ろから声をかけられた。もう振り向かなくても声で分かるが、折本は純粋に不思議そうな声で聞いて来ていた。お互いにもう距離は無かった。
「さっきなんか知らない可愛い女の子二人連れてたけど、もしかして昨日言ってたちば組の仲間?」
「一人はな。ピンク色の方は今年の四月に入ってからの付き合いだ」
「へー。あれだけボッチアピールしてたくせに、とっくの昔にすっかりボッチは卒業してたんじゃん。ウケる」
「ウケねーよ。ってか、アレだな。もうちょい早くにこんな関係になってたら折本に相談出来たんだった…………」
「え?何何?もしかして色恋沙汰?超ウケる」
「…………マジでウケねーよ…………」
ひょっとしたら、俺がマジで色恋沙汰で悩んでいるとバレれば笑われるかもしれないと思っていたが案の定か。折本すらも頼れないとなると、やはりこの問題は俺自身が一人で答えを出さなくてはいけないんだろう。ブイモンは興味なさそうな顔で菓子食べてたし。
ただとりあえずはクリスマスイベントだ。今日の会議で玉縄トークを終わらせて一気に進めてやらねば。俺は女子三人への貢物を抱えて歩き出すのだった。
「え、えーっと…………総武高校は特別枠が二人追加でいいのかい?ま、まぁ色々なアイデアがシェア出来るのは良いことさ!どんどんブラッシュアップしていこう!!まずは前回のサマリーからだね!アイデアの中から実現可能な物をチョイスしていこう!!」
雪ノ下と由比ヶ浜を見てちょっと怯むが、すぐにいつもの調子を取り戻した玉縄トークが俺たちを襲う。俺や一色達が一斉に瞳のハイライトが消える中、雪ノ下が明らかに苛立ち始める。だが、玉縄は雪ノ下の苛立ちに気づく様子はない。
「あ、あのー?」
「ん?なんだい?特別枠の由比ヶ浜さんだね!新鮮なアイデアはウェルカムだよ!」
「え、えーっと…………難しい言葉ばっかりでよくわからないかなーって。結局、何が言いたいの?」
「え?」
その時、恐る恐る手を上げた由比ヶ浜の言葉に玉縄が一瞬凍りついた。これまでずっと複雑なビジネス用語を用いて決定的な言葉を使うのを避けていた玉縄にとって、このシンプルな疑問は返答に困るものだったらしい。
どうだ玉縄。まずはバカの突貫がお前のビジネス用語と言う鎧を剥がす。そして次に来るのは切れ味鋭い氷の女王のタイプ一致のふぶきだ。
「私が今確認した限りではクリスマスイベント当日に実施する企画の詳細どころかスケジュールすら管理出来ていない様だけど、後一ヶ月と言う短い期間で新しいアイデアを集めている暇があるのかしら?」
「え?あ、えーっと、その、辺りの解決策を検討するためにもアイデアを…………」
「不要ね。当日どう動くかも決めずにアイデアだけ集めても時間の無駄よ。ここは今日中に当日のスケジュールと担当する人員の決定を最低限済ませるべきね。今更会議などしている暇などないでしょう」
「…………ハイ」
これぞ最終兵器、奉仕部の雪ノ下と由比ヶ浜だ。思わずドヤ顔してしまう俺の視線の先で、雪ノ下のふぶきどころかぜったいれいどの直撃を受けた玉縄が戦闘不能になって小さくなっていた。
折本がなんか面白そうなものを見る目で玉縄を見ているのを他所に、雪ノ下が椅子に座るのを確認してから隣の一色に視線を向けると、動かない玉縄を見てそれはそれは良い笑顔だった。それはそれでどうなんだお前。
「一色、とりあえず当日のスケジュール決めとくぞ。こないだ考えた草案があるだろ」
「あ、はい。じゃあホワイトボード借りますねー」
それから先はもうとことんスムーズだった。総武側が出した草案を海浜総合側が全面的に同意、その後の人員配置も特に揉めることもなかった。玉縄もいつものビジネス用語を封印して海浜総合側の生徒会メンバーの得意不得意に合わせた案を即座に出してきたお陰ですんなり決められた。
お陰で会議は予想の半分くらいで終わり、俺たち奉仕部は早速必要な物資の調達の為にホームセンターに行って帰って来れるくらいの時間を作る事が出来た。
勿論、その間俺は散々からパシらされた訳だが。
「お、重いぞ…………何でここまで一気に…………」
「黙って運びなさい。そもそも貴方がもっとしっかりしていれば必要な資材を慌てて集めることも無かったのではないかしら?」
「俺にも色々あったんだよ。玉縄トークだけじゃ無くてだな」
「色々?そう言えばさっき、海浜の女の子と一緒に居たよね?」
由比ヶ浜が余計な事を思い出したその瞬間、雪ノ下と由比ヶ浜の目のハイライトが消えた。ゾゾゾと背中に冷たい汗が流れて後ずさるが、二人は腕を組んでゆっくりと近づいて来る。
「ち、違うぞ。落ち着け、雪ノ下は名前くらいは知ってるはずだ。中学の時の同級生の折本だ」
「あの人が?」
「ああ。お陰で今までギクシャクしててな。先週くらいになんとか話し合って和解出来た訳だ」
「…………へー。まだ女の子の知り合い居たんだ」
「ちょ、ちょっと待て由比ヶ浜。雪ノ下が事情知ってるからいつか聞いてくれ。とりあえず折本と和解するまではちょっと俺も二の足踏んでたんだよ。ただ話さえ回り出せば玉縄も働くだろって思ってたから手伝って貰ったんだ」
玉縄のあの異様なビジネス用語を用いて無駄に話を複雑化させてしまうやり口は、恐らくだがクリスマスイベントが失敗した時に責任を個人で取りたく無かったので、異常な量のアイデアを求めてアイデアを出した全員に責任がある、と言う形にしたかったのだろう。デジモン関連の届出はこちらでやると言った際、任せると即答したのも同じだ。要はこの件では責任を取らなくても良いと言う言質を取ったと判断したと言った所か。
まぁその辺りの悪意のある考えだけなのかはわからない。もしかしたら議論をしている自分達は有能、仕事出来てるって気持ちに浸っていただけかもしれないが。
「もう後戻り出来なくなるまで話さえ進めば働くだろ。答えのある問題解くのは得意そうだろ、あいつだけじゃ無くて海浜総合の連中全員」
「まぁ確かにそんな印象を受けたわね」
「そ、そうなのかなぁ?」
「そう言うもんだろ。それより残りは一ヶ月だし忙しくなるぞ。どうせ一色は逃してくれないだろうしな」
まるで社畜だと我ながら思いつつ、山ほどの資材を背負って歩き出す。
そしてその後は当然ながら目が回る様な忙しさだった。双方半々に任された企画の準備を進め、一色と玉縄が各所に挨拶回りや企画説明をして回るのを横目に俺たち奉仕部は全体のサポート。お陰で何とかクリスマスイベント形にする事が出来た。
そしてクリスマスイベント当日。
「八幡、このチキンまだ冷たいぞー」
「手伝いもせずに勝手に摘まんどいて良く言えたもんだな」
イベントに招待したお年寄り達の穏やかな会話や、近隣の小学校からかき集めた聖歌隊の歌が会場に響き渡る。そんな中でやはりブイモンは俺の苦労なんぞ知った事じゃないと言わんばかりにあちこちからかき集めてきたチキンやケーキにかぶりついていた。
ブイモンだけで無く、会場のあちこちにはデジモン達がウヨウヨいる。由比ヶ浜の足元にはブルコモンが行儀良く座っているし、一色はルナモンを抱いている。ネーモンはもはや会場のモニュメントみたいな感じて立ち尽くしていて、玉縄はちょいちょい話しかけてお年寄り達にパートナーの存在をアピールしていた。勿論、小学生の聖歌隊のパートナー達も大人しくあちこちで応援している。
「いやぁ、デジモンって言うのは何というか、怖いイメージがあったけど…………こうして触れてみると可愛いねぇ」
最初は不安そうにしていたお年寄り達も、幼年期や成長期のデジモン達を見て頬を綻ばせていた。この辺りはパートナーデジモン支援学校としては成果と言えるのかもしれない。
「いっくよー。ラブリーアタック」
ふと気がつくと、聖歌隊の歌もクライマックス。一番前に立つ見覚えのある幼女のパートナーのもんざえモンが必殺技のラブリーアタックを放ち、会場中に幸せな気持ちを広げていく。
会場内の多くが幸せそうに笑う中、俺は事前に持ち込んでおいたマッカンを傾ける。ブイモンがチキンの食い過ぎで喉を詰まらせて顔を青ざめさせているのを見て渋々マッカンを差し出すが、ブイモンは一瞬躊躇して水を探して走り出した。ふざけんなこの野郎。
「比企谷ここに居たんだ」
新しく開けたマッカン片手にブイモンが紙コップの水を飲み干しているのを遠目に睨んでいると折本が声をかけて来た。
「クリスマスイベントの立役者の一人が、何でまたファッションボッチ?」
「いやファッションボッチって…………」
「だってあんな可愛い彼女三人を連れて歩き回ってるし。三股とは言わないけど、それに近い関係なんでしょ?」
折本のトンデモ発言でマッカンに思いっきり咽せてしまった。
「ち、違うっつの!」
「違うの?じゃあどの子と付き合ってる訳?」
「うっ…………」
説明しようとすれば非常にややこしいので、何とかこう上手く誤魔化せないかと頭をフル回転させていく。だが、折本はどこまで察しているのか雪ノ下と由比ヶ浜を交互に見てどっち?と視線で聞いてくる。
「…………明日以降に会うことがあったら教える」
「あー。成程、もしかしてこの後告白してくるとか?」
「黙秘させてもらう。ブイモン、大丈夫かー?」
「ケホッケホッ!畜生、都合悪いからってパートナーの心配を口実にしやがって!」
喉の辺りをさすりながら戻ってきたブイモンがこっちを睨んでくるが、現実世界で戦う様な事態が無ければそれくらいしか役に立たないだろお前らは。
「もーちょいパートナーデジモン大事にしなって」
「いつか折本にもパートナーができた時に同じセリフが言えるか分からないって事は覚えておけよ…………そう言えば、折本はデジモン案件に関わったのってダゴモンの時だけか?」
「そーなるかな。そりゃ、すれ違う事くらいはあるけどね」
あっけらかんとした様子で言い放つ折本。しかし、実を言うとダゴモンは完全体デジモンではあるのだが、時折不可解な事件の裏にその影を見せている事がある要注意デジモンなのだ。有名どころではデジタルワールド冒険記と言う第一世代の選ばれし子供達の実体験を元にした小説の第二部で、仲間の少女がハンギョモンらしきモノ達が囚われた海辺の廃墟の街に迷い込むと言うエピソードだろうか。
他にもパートナーデジモンを連れて客船に乗っていた子供がいつの間にか姿を消した神隠し事件の前後に姿が確認されており、その時神隠しにあった子供とパートナーは一週間後に太平洋上を漂っている姿が発見されたと言う。
ダゴモン、と言う名前からして恐らくクトゥルフ神話のダゴンがモチーフなのだと思われるのだが、果たして本当に名前や姿のモチーフに過ぎないのか?もしかしたら、アレはクトゥルフ神話の世界からこの世界にデジモンの姿を借りて干渉している邪神なのでは?と言う都市伝説がまことしやかに語られているのだ。
まぁ幾つかの怪奇的な事件にダゴモンが関わっているのは事実らしいが、まさかもまさかだろう。
「もしかしてあのダゴモン、私のパートナーだったりしてね」
「まぁそれもあったかもな。まぁいつかは見つかるさ」
折本にあの都市伝説を教えたらどんな顔をするか、と一瞬だけ悪戯心が過るがそんなことをしてまた険悪な関係になることもないか。そう思いながらマッカンの空き缶を捨てようと会場の外の自販機に向かうべく扉を開ける。
しかし扉を開けた先に、真っ黒な人影がポツンと立っていた。まるで輪郭がボヤけているかの様な印象すら受けるくらい真っ黒で、人間ではない何かがそこに居る、とすぐに思った。そこに居るだけで激しい背徳的な生理的嫌悪感が喉に焼け付く何かを込み上げさせる『ソレ』を前に、咄嗟にブイモンを呼ぼうと口を開く。だが、『ソレ』は何かを察した様に手を振り、敵意はないと言う様なジェスチャーをして見せた。
そして『ソレ』は何かに合点がいった様に一つ頷くと、俺の中にあった背徳的な生理的嫌悪感が嘘の様に消え去り、瞬きをする内に人影は見覚えのあるシルエットに変わった。
「…………ミレイさん?」
「ええ。私は御神楽ミレイ。デジモンと関わる運命にあるモノ達の前に現れる存在であり、貴方達の未来を見つめるモノ」
御神楽ミレイ。かつて俺達がデジタルワールドを冒険した時にちょいちょい手を貸してくれたデジタルワールドの案内人を名乗る、薄紫色の髪の眼鏡をかけたスタイル抜群の女性の様な姿をした存在である。冒険の終わりの時、もう会うことは無いでしょうと言い残して姿を消したはずなのだが…………
「貴方は今、帰路に立っている。貴方は既に決断している様だけれど、貴方のコレからの動きで世界は二つに分かれて動き出す。どちらに転んだとしてもわたしには関係のない話かもしれないけれど、ね?」
「…………どこまで知ってるんです?」
「さぁ?知っている事なんて貴方と同じようなモノよ?」
クスクス笑うミレイ。いや、なんだ、コイツは。ミレイじゃない。ミレイの姿をした何かだ。あの人は確かに意地の悪い笑い方はするが、今目の前にいるコイツは醜悪な笑みを浮かべている。
「お前は、何だ?」
再び喉を焼く背徳的な生理的嫌悪感。ミレイの姿をした『ソレ』は口元の笑みを、背筋も凍る様な冷笑に変えて一歩後ろに下がった。
「…………フフ。安心しなさい。単に見学しに来ただけの存在よ。私はこの世界にも、この世界のデジタルワールドにも干渉しない。これから先の貴方達の闘争を愉しみにしている」
「ブイモン!!来い!!」
俺の呼び声に答えたブイモンが走ってくるが、その時の一瞬の瞬きの末にミレイの姿をした『ソレ』は真っ黒なシルエットに変わり、そしてブイモンがその存在を認識した直後に忽然と消えた。
「八幡、何だったんだ!?デジモンの気配でも、人間の気配でもなかったぞ!?」
「分からない…………ひょっとして、まさか…………」
本来の姿では無く、他者の顔に化けた何者か。そして冷たい冷笑。ついさっきまでダゴモンの話をしていたせいか、クトゥルフ神話に出てくるニャルラトホテプと言う存在を思い出す。たが、それこそまさかか。
「お、おい八幡…………会場がなんか静かだぞ」
ブイモンに言われて気がつく。後ろではクリスマスパーティが絶賛繰り広げられているはずなのに、なんの声も聞こえない。
振り向いていつの間にか閉まっていた扉を開けると、そこには人の気配すら無い無人のクリスマスパーティ会場が。
「悪戯にしては手が込んでるが、そう言うわけでもなさそうだな」
老人ホームの車椅子が幾つか、体温が残ったまま放置されている。しかし食べさしのチキンやケーキが取り皿に綺麗に放置されていて、床や机の上には置いてない。自発的に出て行った形跡と、突発的に消えた形跡が混じっていてどちらを優先して考えれば良いのか分からずに混乱するが、その時何かが動く気配がして振り返る。
「折本?」
「ひ、比企谷…………」
机の下に隠れていた折本は、酷く怯えて震えていた。慌てて駆けつけると、折本は腰が抜けてしまっていて床に座り込んだまま立ち上がらなくなってしまっていた。
「折本、何が起きた?俺達が外に出てたのは3分も無かったんだぞ」
「わ、分からない…………と、突然お年寄りの何人かが意味分かんない歌みたいなのを歌い出したと思ったら…………」
「歌?」
「た、確か…………ふん…………いとか…………ぐる、とか…………それを何回か繰り返して…………」
「は、はあ?」
「もしかして、コレか?ふんぐるい、とか?」
「そう!それ!!」
「マジかよ…………」
ふんぐるい、それはクトゥルフ神話の小説とかでよく出てくる呪文だ。まぁ呪文と言うよりクトゥルフ神話に出てくる挨拶みたいなものだが、ある意味ではこれから先は普通の世界じゃなくて、クトゥルフ神話の世界ですよと言う宣言に近い。
「は、八幡。じゃあさっきの奴って…………」
「アレが何者かは今考えても仕方ない。とりあえずその歌の後は?」
「歌、の後は…………そう。なんか物凄い背筋が冷たくなって、私は机の下に隠れて、そうしたら黒い光が光って、みんな消えて…………」
「黒い光…………?」
「そうとしか説明しようがないんだってば!!」
SAN値がごっそり削られている折本が叫び、俺とブイモンがビクッと肩を震わせる。これ以上は折本から話を聞くのは無理そうだ。しかし、これではここに居た人達はどこの行ったのか全く分からないままだ。
「携帯は繋がらないか…………せめて何か手掛かりがあれば…………」
「お困りでしょうか?」
「うお!?ネーモン!!」
「あの歌が聞こえた辺りで身の危険を感じてたぬきねいりしてまして」
突然現れたネーモンに声をかけられて思わず顔を引き攣らせるが、予想外に幸運な展開がやってきた。
「ネーモン!お前、玉縄のパートナーって事は玉縄のデジヴァイスと繋がってるよな!?」
「ええ。デジヴァイスicで繋がってますよ」
「ならお前と玉縄とのパスを繋げば、玉縄の近くにゲートを開ける筈だな」
「既にゲートを開く用意は出来てますよー。私はついていけませんが」
「むしろ頼むぞ。ここに残ってくれないといざという時に戻ってこれないからな」
俺のD-3をネーモンに向けると、いつもはブイモンを呼び出す時に使っているデジタルゲートが開く。俺とブイモンは迷いなくゲートに飛び込むと、デジタル空間特有の上下左右の無い謎の感覚に包まれる。自動的に現れる道路標識の様な何かに従って突き進んでいくと、不意にもう一つのゲートが眼前に現れた。
「到着!!」
「って、なんだここ…………?」
本来なら時間的には夜なので暗いのは当たり前なのだが、まるで真昼の明るさを分厚い雲が塞いでいる様な薄暗さ。そして潮の匂いに大量の腐った魚の匂いが混じった不快臭。着地した足場は岩で、辺りを見渡せば辺り一面岩だらけ。スマホの現在地の検索も電波が届いていなくて機能せず、コンパス機能すらエラーだ。
とりあえず近くに玉縄はいる筈。探さねばと何とも言えない不快感に顔を顰めながら振り向くと、そこは岩で出来た巨大なピラミッド。そしてその入り口には不自然なくらいに真っ白な岩が置かれてあった。その表面には苦しそうにもがく大量のハンギョモンの彫刻が…………いや、違う。
「ブイモン、このハンギョモンの彫刻…………人の顔に似てないか?」
「ああ。なんか、ハンギョモンの体に顔の辺りだけ人っぽい…………ってか、これ、あの玉縄って奴に見えないか…………!?」
そこに刻まれていたのは、ハンギョモンと化した人間たちだった。玉縄だけでなく、折本を除く海浜総合の生徒会メンバーや総武高校の生徒会メンバーも一部混じっている。が、そのほとんどは老人の顔をしていて、中には小学生くらいの子供も混じっている。
「なんだこれ…………気持ち悪い…………」
「アイツらは居ない…………そうか、パートナーデジモンと一緒に居たやつは取り込まれてないのか」
探してみると、雪ノ下や由比ヶ浜や一色は居ない。他にも留美を始めとしたパートナーデジモンが居た聖歌隊メンバーも居ないため、僅かに安心して吐息を吐く。
「このピラミッド、中を探して元凶を見つけて倒せって事か?」
「今はコイツらを助ける手段も無いし、多分な。行くぞブイモン。多分先行してる雪ノ下に追いつくぞ」
スマホのライトを付けて僅かながらの光源を手に、これ見よがしに開いている入り口に足を踏み入れる。ピラミッドの中は足元がヌメヌメしていて、時には強烈な臭いを発している泥に足を取られつつも進んでいく。
「なぁ八幡。このピラミッドってなんなんだろうな?」
「昔、興味本位で調べたクトゥルフ神話の中では、ダゴモンの元になったダゴンって邪神の話は確か…………太平洋のどこかに深海から隆起した海底の地面が現れて、そこに白く輝く石があるんだと。そこに刻まれた邪神の姿を見た旅人は、邪神の幻覚に苛まれるんだとさ」
「さっきの気持ち悪い岩がそれか!?」
「かもな。だけど、この海臭いピラミッドは多分…………アレだ。ルルイエ神殿っぽいな。古代都市かつクトゥルフの邪神が祀られる墓所って奴だ」
「ルルイエ!?ガタノゾーアが居るのか!?」
「だったら手の施しようが無いな」
どうでもいい話をしながらピラミッドの中を進んでいく。だが、果たしてこの場所が本当にルルイエなのかも判別なんて出来ない。さっきのミレイに化けた謎の存在がニャルラトホテプかもと思いはしたが、そんな奴が実在するかどうかは…………でも、デジモンだってだいぶおかしな存在だしなぁ。
「八幡、デジモンの気配だ!」
「何?」
その時、ブイモンが気配を察して拳を構える。俺もD-3を構えてすぐにでも戦える様にするが、姿を見せたのは一色だった。
「一色?お前一人か?」
「…………待て、八幡!そいつは…………」
俺が近寄ろうとしたその時、一色はD-アークを構えた。そして一色の瞳のハイライトが消えていることに気がつくと同時にルナモンが足元に現れ、一色は一才の躊躇なく胸にアークを抱いた。
「マトリックス・エボリューション」
「なっ!?」
強い光に包まれた一色のボディラインが露わになり、思わず目を背ける俺を他所にルナモン共々光に包まれ、やがてディアナモンが姿を見せた。だが、その体には水色と灰色が混じった色のナニカが走っていて、侵食されている事は目に見えていた。
そして、ディアナモンは三日月型の武器を俺たち目掛けて振り下ろした。咄嗟に横に飛んで避けたのだが、ディアナモンは追撃の蹴りを入れてくる。
「ディアナモン!辞めろぉ!!八幡に怒ってるんなら俺まで巻き込むなよぉ!」
「ふざけんなお前!!」
なんとかギリギリで避けた俺たちの頭に岩のかけらが落ちてきて、余りの恐怖に顔を引き攣らせる俺を平気で売り渡そうとするブイモンの頭を叩きつつD-3を構え直す。だが、その時今度は背後に新しく気配を感じて振り向く。そこには、瞳のハイライトが消えた雪ノ下がディースキャナーを構えていた。
「ハイパースピリットエボリューション」
「お前もかよ!!」
一色と同じく光に包まれてボディラインが丸見えになりながら、複数のスピリットを同時にロードした雪ノ下がマグナガルルモンに進化する。そしてその姿は当然、ディアナモンと同じく青と灰色が混じった色に侵食されていた。
エンシェントスピリットエボリューションをしていないのは最後の理性の抵抗のおかげなのだろうか、と一瞬思うが、考えてみれば葉山が居ない今の俺が相手ならスサノオモンもマグナガルルモンも誤差の範囲か。
マグナガルルモンのミサイルと、ディアナモンのアローオブアルテミスが迫って来る。もはや避けられる範囲攻撃では無い。
「くそ!!こう言う時こそ奇跡を起こすぞ!デジメンタル、アップ!!」
「ブイモン、アーマー進化!!奇跡の輝き、マグナモン!!」
マグナモンに進化し、黄金の輝きが巨大な盾を作り出す。その二つが攻撃を一時的に食い止めるが、マグナモンでも防ぐのが精一杯だ。エネルギーに不安のあるマグナモンでは二体を同時に相手取るのは圧倒的に不利だ。それでも奇跡を信じてやるしか無い、と立ち上がる。
だがその時、俺の背中を誰かが突き飛ばした。汚いルルイエの岩に顔から突っ込み、口に入った腐った何かを吐き出していると、今度は背中に蹴りを入れられた。
「があっ…………って、お前もかよ…………由比ヶ浜…………」
瞳のハイライトの消えた由比ヶ浜は、いつもの穏やかさを放り投げた威力の蹴りを入れてきた。なんとか体勢を整えて蹴りを受け止めるが、由比ヶ浜は一気に体重を込めて俺を押し返してきた。
そして、マグナモンもまたマグナガルルモンのマシンガンデストロイを真正面から受け止めつつエクストリームジハードで反撃するものの、直後に背後から襲って来たディアナモンの一撃で壁に叩きつけられてしまう。おまけに、その直後にブルコモンの氷が両手両足に重しを付けてしまう。
「ま、不味い…………やられる」
その頃、会場ではネーモンと一緒に取り残されていた折本は震え続けていた。意味不明な呪文から始まる怪現象の数々を前に正気を保てているのは、以前にも同じ様なことが起きた時に助けてくれた八幡が、今回も助けに行っていることが理由だったのだが、正気だからこそ余計に怖い。
そもそもこれは本当にデジモンによる被害なんだろうか。助けを呼ぼうにも会場の外に続く扉は開かず、不気味な静寂だけが続いている。ネーモンはゲートを維持するのに集中したいのか、それともわざわざ話すことなどないのかずっと無言だ。
せめて何かできる事を探したい。折本がそう思う気持ちに、何かが答えた。
『こちらに来るんだ』
「え?」
「なんですかー?」
「今、声が…………」
『早く来なさい』
「ほら、今!」
「私には聞こえませんなー」
もしかしたら幻聴かもしれない。そもそも呼びかける声が来い、と言っているのなら間違いなくこのゲートの先に来いと言う意味だ。行ったところで何かできるはずもない。
しかし、体が勝手に動き出した。ゲートに向けて歩き出し、ネーモンが怪訝そうな顔で首を傾げる。
「私は止めましたよ。止めたって私、人間にも勝てないくらい弱いですし」
「わ、わかってる。ああ、止められない…………」
何故か勝手に身体がゲートに向けて進んでしまい、ネーモンの静止すら振り切ってゲートの中へと入ってしまった。
まるで取り込まれる様な勢いでデジタル空間にたどり着いた折本。しかしそこは八幡達が使った様なルートではなく、街だった。人気のない不思議な街で、あちこちに猫の飾り物や猫を模した建物が見える。しかし、肝心の猫達は居ない。
「ここは…………?」
「今はどうでもいい事だ」
「っ!?」
不意に声をかけられた。思わず振り向くと、そこにはかつて遭遇したあのダゴモンが折本を見下ろしていた。
「ダゴモン?あんたが私を呼んだの?」
「そうだ。お前は私の呼び掛けに応えられる数少ない人間の一人。故に今回の事件を終わらせられる存在として私はお前を選んだ」
「終わらせる?あんた、この事件の犯人じゃないの?」
「違う。私はただのデジモンだ。しかし誕生した際に元となったデータが所以となり、様々な異次元からの干渉を感知できるようになったのだ。故に、人間達に警告を告げて来た。だが今回は警告では済まないらしい。デジタル空間の不規則性を利用し、この世界で宇宙的かつ異次元的侵略行為を模倣するズィードミレニアモンの仕業だ」
「は?い、一体なんのこと!?」
「これ以上簡略化された説明は難しい。ただ一つ付け加えるとするならば、先程までお前達の居たあの場所からして既にデジタル空間だ。巧妙に現実世界であるかのように偽装されていたのだ。故に…………」
「わ、分かった!説明はもういいから!!これからどうすればいいのか教えて!!」
ダゴモンの余りにも複雑かつ突拍子もない説明の嵐に頭がこんがらがりそうになる折本。しかし、とりあえず時間が勿体ない。その気持ちを汲んだのか、ダゴモンが触手を振るうと即座に猫の街は真っ暗な海に浮かぶ巨大なピラミッドに変わった。
あちこちから煙が上がり、見ればマグナモンと八幡がボロボロの状態でマグナガルルモンとディアナモンに追い詰められている。
「ズィードミレニアモンの罠に落ちたテイマーを救わなくては。この王冠を冠り、祈るのだ。まやかしを消して欲しいと」
「そ、それだけでいいの?」
「そうだ。この異様な神話世界はデジタル空間に投影されたまやかしに過ぎない。その王冠を通じてデジタル空間にアクセスするのだ」
ダゴモンに差し出された禍々しいくらいに美しい王冠を、折本は迷いなく冠った。そして一心不乱に祈る。本当の景色を見せて欲しい、と。
「元の世界に戻って!!」
その祈りは通じた。折本の言葉と共にルルイエは消え去り、ディアナモンとマグナガルルモンの動きが止まる。そして同時に、八幡を前に大きめの石を振りかざしていた由比ヶ浜もまた動きが止まった。
「や、やった…………!!」
折本が王冠を脱いで喜ぶと、その王冠はやがてシンプルなスタンダードタイプのデジヴァイスに変わる。
「幻は消えた。貴女のお陰だ」
そしてまたダゴモンの姿も薄れ、二又の尻尾を持つ猫の特徴を持つ女性型デジモン、バステモンの姿に変わった。
「え?ダゴモンじゃなかったの!?」
「あの姿もまた幻だっただけの話よ。この呪いを解く為に、私は貴女に接触するタイミングを測っていたの。あの雨の降る橋の上で見た時からずっとね」
あの日、折本を襲ったのはダゴモンの姿に変えられたバステモンだったのだ。それをようやく理解出来た折本は、思わず手にしたデジヴァイスを握りしめてバステモンを抱きしめた。
「これから宜しく、バステモン」
「ええ。宜しく」
なんの前触れもなくルルイエらしきピラミッドは消滅し、何もないただのデジタル空間に変わった。そして少し離れたところに玉縄を始めとするお年寄りを中心としたパートナーデジモンを持たない人たちが固まって倒れていて、そして俺たちを挟んだ向かいの方にはもんざえモンの足元で固まっていた留美達が。
「比企谷!この人達は私達で元の会場まで逃すから、元凶をやっつけて!!」
「折本?と、バステモン?」
「アイツらがなんとかしてくれたんだな…………!」
まだ動きを止めたままのディアナモンとマグナガルルモンとブルコモン、そして由比ヶ浜を他所に、折本とバステモンのコンビが玉縄達を、そして留美ともんざえモンのコンビが小学生達を連れて行く。
なんとかこの場に残ったのが俺たちだけになり、出来ることならこのままこの三人も正気を取り戻して欲しかったのだが、やがて三体のデジモンと由比ヶ浜が再び俺達目掛けて襲い掛かって来た。
「コイツらはまだ洗脳されたままかよ!?」
マグナモンの肩に捕まり、デジタル空間の上下左右の概念の無い世界を利用して飛び去って行く。当然ながらスピードではマグナガルルモンには勝てるはずもないし、ディアナモンだって遅いわけじゃ無い。由比ヶ浜とブルコモンもマグナガルルモンとディアナモンの肩に捕まり追いかけて来ているし、遣り難いって事この上ない。
「マグナモン!気配は!?」
「アイツらから直接感じる!多分、三人の頭の中に入り込んでいるんだ!!」
「くそ!由比ヶ浜はともかく、雪ノ下と一色は抵抗しろよ!!」
ディアナモンのアローオブアルテミスが再び迫り、マグナモンのバリアで防ぐ。そこに追撃のマグナガルルモンのタックルでマグナモンが大きく吹き飛ばされ、更にいつの間にか接近して来た由比ヶ浜のパンチが襲ってくる。
「やめろって三人とも!!」
(そこで、誰かの名前を呼ばないんだね…………)
「っ!?」
(いい加減、答えて。いつまで待たせるつもりかしら)
「は、八幡、これってさぁ…………」
(さっさと決めて下さいよ。諦めた私が馬鹿みたいじゃ無いですか)
「三人ともお前の優柔不断にキレてたんだよ!!その怒りを利用されたんだ!!」
「嘘だろオイ!!」
否定の言葉を思わず叫び、マグナガルルモンとディアナモンとブルコモンの一斉攻撃が俺を襲う。マグナモンがギリギリで間に合ってなんとか死にはしなかったが、それでも俺とマグナモンは結構なダメージを負ってしまう。
「…………八幡、自業自得じゃん。やっぱり最初に差し出しとけば良かったよ」
「マジですまん。お前にも、アイツらにも…………くそ、どの道今日が返事の期限なんだ!!ここで言ってやる!!あの時の返事を、今、ここで!!」
マグナガルルモンとディアナモン、そして由比ヶ浜とブルコモンがそれぞれ必殺技の構えをしながらゆっくり近寄って来る。本来ならマグナモンと一緒に逃げるべきだが、ここで逃げれば三人の怒りは更に強くなってしまうだろう。どの道、マグナモンのエネルギーはそろそろ限界だ。それにここまで逃げて来たのは俺の不甲斐なさが原因だしな。
「雪ノ下も、由比ヶ浜も…………俺なんかの事を好きだって言ってくれた事は本気で嬉しい。一色も、小町から俺のこと好きだったって聞いた時は…………初めは信じられなかったし、正直言って信じたく無いって気持ちもあった。だけど、お前らの気持ちを知って、俺なりに考えた。俺は…………」
脳裏に浮かぶのは、初めてデジタルワールドで仲間として出会った雪ノ下と一色とのこれまでの記憶。そしてこの四月から一緒に過ごして来た由比ヶ浜との思い出。これまではずっと目を背けてきたが、確かに俺の中にはしっかりとした気持ちを抱く相手が出来た。
「俺は、俺は…………由比ヶ浜が、好きだ!」
デジタル空間に響き渡る俺の言葉が届き、マグナガルルモンとディアナモン、そしてブルコモンと由比ヶ浜を侵食していた青と灰色の混ざったモノが消える。
そして三人から溢れたそのエネルギーが一つに集まり、朽ち果てた二つのドラゴンが歪に組み合わさった様な姿のデジモン、ズィードミレニアモンがその姿を表した。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!」
心臓が激しく、小刻みに振動している。喉が震えて変な汗が溢れ、顔の辺りが真っ赤なのは体温が集中している事から自分でもわかった。マグナモンがそばに寄ってくるが、人生初めての経験すぎて頭の中が上手く回らない。
しかし俺が動けないままでいると、計画を台無しにされた怒りからかズィードミレニアモンが吠えながら襲い掛かって来た。俺がそれに反応しきれないでいると、ディアナモンの武器がズィードミレニアモンを食い止めた。そしてマグナガルルモンのガトリングガンがズィードミレニアモンを撃ち抜いた。
「ありがとうね。ヒッキー」
そして、俺の頭を柔らかくて温かい手で包み込む声が聞こえて来た。
「由比ヶ浜、悪い。時間がかかり過ぎた」
「いいよ。私だって、散々から殴っちゃったみたいだし」
思わず崩れ落ちる俺を、由比ヶ浜の膝枕が受け止める。その安心感は何物にも変えられるものでは無かった。
「雪ノ下先輩、失恋ですね」
「ええ。でも、良いのよ。たまには負けるのも悪くないって気がするわ」
ディアナモンとマグナガルルモンが俺達を守る様にズィードミレニアモンに立ち塞がり、そしてそれぞれ必殺技の構えを取る。
「グッドナイトムーン!!」
「スターライトベロシティ!!」
ディアナモンの両脚の三日月から放たれた光の光線と、胸部装甲をパージしたマグナガルルモンの光速のタックルがズィードミレニアモンに叩き込まれた。
ズィードミレニアモンは長々と咆哮を上げ、やがて悲痛な叫びと共に消滅して行く。俺たちはそれをいつまでも見つめていた。
と言うわけで由比ヶ浜ルートに辿り着きました。改めてこのシリーズ読み返すと、自分でも思ってたよりも由比ヶ浜がグイグイ来てて、ゆきのんに勝ち目が無いわこれってなってまして。
と言うわけで次回からは完全オリジナルの物語に突っ走ります。