やはり俺とブイモンの青春ラブコメは間違っている。   作:アルファ麻呂

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最近色々忙しくて中々書く時間が取れなくて…………


第二十九話

大晦日。一週間近く前に交わした由比ヶ浜とのデートの日だと言うのに、俺は用意して居た新しい外行き用の服を箪笥にしまい込んでいた。その代わりに新しく用意した大きめのカバンの隣に買ったばかりのキャンプ用品を並べる。

 

「八幡、本当に俺たちだけで行くのか?」

「当たり前だろ。むしろお前こそ俺のケジメと自己満足に付き合わなくても良いんだぞ」

「でも俺、八幡のパートナーだからなぁ」

 

由比ヶ浜とメイクーモンが姿を消して三日が経った。由比ヶ浜家への説明をしにアルファモンが現れた時、俺たちは一緒に話を聞いた。由比ヶ浜の母親も父親も、納得なんて到底できないと言った。俺もそうだった。だから二人に約束をした。例え今すぐではなくても、無限に広がるデジタルワールドのどこかにあるはずのメイクーモンを治すすべを見つけると。

 

「お兄ちゃん………」

「デジタルワールドなら、やっぱり俺達だって!!」

「受験生が何言ってんだ」

 

リビングで待ち構えていた小町とシャウトモンがそれぞれ旅の荷物をまとめていたが、それを俺はやんわりと止める。一応は総武高校入試を控えた中学三年生。いつ帰れるか分からない冒険に付き合わせる必要はない。

 

「それ言うならお兄ちゃんだって来年大学受験じゃん」

「俺は良いんだよ。いざとなったらDセイバーズの内定決まってるから」

 

自分でそう言いつつも、そういえば似た様なことを言っていた川崎のアルバイトを辞めさせた事があったっけな、と思い出した。本当に遠い昔の記憶の様だ。

 

「じゃあせめて、旅立ちまでは見送らせてね。お兄ちゃん」

 

千葉駅のデジタルワールド行の列車は運休している以上、旅立つ場所は決まっている。かつて俺達がテイマーに選ばれた千葉村の奥地だ。

 

バスを乗り継ぎ、監視員たちの目を盗んで千葉村の一番奥にまで向かう。誰もいないと思っていたが、到着するとすでに見覚えのある連中が待ち構えていた。

 

「お前ら………」

「相棒を置いていこうなんて水臭いじゃないか」

「人手が必要ですよね?せんぱい」

「葉山に呼ばれただけだけど………あんたには最近色々と借りがあるしね」

 

葉山、一色、川崎。雪ノ下を除けば、選ばれし子供たちちば組が再び再集結していた。

 

「葉山、お前が全員に説明したのかよ」

「まあね。そもそも結衣とメイクーモンの事は世間には隠されているけど、君が助けに行くつもりなのは皆分かっていたさ」

「八幡と結衣さんの関係は隼人がみんなに喋って回ってたからね」

 

ワームモンの一言に、とりあえずは無言で中身入りのペットボトルを葉山の顔面に叩きつけた。

 

「ま、まーせんぱいの色恋沙汰にはー、な に ひ と つ 興味はありませんけどー。でも、由比ヶ浜先輩のことは大好きですし」

「後、八幡にもうちょっと大きめの借りがあればって」

「こらルナモン、そう言うのは黙ってた方がいいの」

 

もう知れ渡っているからと腹黒さを隠そうともしない一色とルナモンペア。こいつら本当にどこかで天罰下らねえかな。

 

「って言うか川崎は家の方はいいのかよ」

「ちょいちょい帰してもらえればいいよ。大志も居るし」

「ベアモンに家事一切と内職の極意は伝えてあるからね。少し僕たちが離れても平気さ」

「つっても、どれくらいかかるか分からない旅だぞ。葉山と川崎は受験勉強だって………」

「それを言うなら貴方もじゃないかしら?比企谷君」

 

その時、随分と懐かしく感じてしまう声が聞こえてきた。思わず振り向くと、そこに居たのは雪ノ下と、そして陽乃さんとリリスモン。そして三浦とファンビーモンだった。

 

「ひゃっはろー。助っ人に来てあげたよ」

「え?何でリリスモン?」

「生きて居たのか!!」

「ふう。退屈しないのは確かだけど………まさか一度倒された貴女達とまた会うなんて」

 

川崎とアグモンが思わず戦闘態勢を取ってしまう。そりゃ、京都で死闘を繰り広げた相手同士だからな。しかしリリスモンの方に敵意がない事は川崎達も理解している為、問答無用で殴りかかったりはしなかった。

 

「言っとくけど、結衣を取り戻したのはあーし達だって同じだからね」

「まだ究極進化の力は残っている。足手纏いにはならない」

「優美子…………うん。君が居てくれると心強いよ」

 

三浦とファンビーモンの力は以前の成熟期までしか進化出来なかった時よりも明らかに増幅されている。少なくとも足手まといにはならないだろうと俺は思ったが、葉山はもうちょい嬉しそうだった。

 

「あまり自慢ではないけれど、由比ヶ浜さんは私にとって数少ない親友だもの。眠っている間につれ拐われたなんて許せるわけがないわ」

 

やけに自信満々な雪ノ下。その足取りは軽く、何かしらの勝算を持ってきていることは長い付き合いでなんとなくわかった。

 

「雪ノ下、いつの間に復活して退院したんだよ」

「意識を取り戻したのは今朝よ。だけど、事情は把握しているわ」

「え?なんでです?小町は正直今でも何が起きたのか分かってない節があるのに………」

「複雑な話だし、仕方ないわ。だけどこれだけは言える。由比ヶ浜さんを取り戻す希望はあるわ」

「本当かい!?」

「ええ。詳しい話は………そうね。スサノオモンから直接聞いてもらった方が早いわ」

 

そう言って雪ノ下はディースキャナーを取り出し、デジコードをスキャンする。普段ならそのまま雪ノ下がスピリットエボリューションしてハイブリッド体のデジモンに進化するのだが、今回は俺たちが広がっていったデジコードの中に包まれた。

 

やがてデジコードの中、デジタル空間で意識を取り戻した俺たちの目の前に現れたのは、雪ノ下が変身した姿ではない純粋なスサノオモンだった。

 

『テイマーたち、今回は世話をかけてしまった。このスサノオモンがまさか抵抗できないほどの侵食力とは思わなかった………』

「謝らなくても大丈夫よ、スサノオモン。それより、さっきの話をもう一度お願いできるかしら?」

『心得た。メイクーモンの体を構成するデータが悪性ウィルスと化していることだが、ある方法を使えば無害化できる可能性がある』

「本当か!?」

 

スサノオモンの言葉に、思わず大声が出てしまう。アルファモンは不可能みたいな言い方をしていたが、実際のところは違うの可能性に賭けるつもりだった。しかしデジタルワールドの神の一角であるスサノオモンの知識に救う手立てがあるのなら、それはもう可能性のレベルではないだろう。問題は、それが実現可能な方法かどうかだ。

 

『イグドラシルの力でメイクーモンをリブートするのだ。体を構成する悪性データのみを一度リセットし、魂や記憶のデータを傷つけることなく悪性データを削除する』

「それ、一番いいじゃないですか。なんであのアルファモンは出来ないって言ったんですかね?」

「そこが問題だな。スサノオモン、リスクがあるんだろ?」

『そうだ。例えデジモン一体であっても、リブートにはイグドラシルだけでは実現できない。ロイヤルナイツ十三体全てがデジタマに還ることでエネルギーを賄う必要があるのだ。故にリブートを実現するには、ロイヤルナイツ十三体全ての了解がいる』

 

その言葉にようやく俺たち全員がこのミッションの困難さを理解した。ロイヤルナイツはデジタルワールドの秩序を守る最後の砦であり、そしてそれ故にプライドの高い奴らが多い。そんな奴らに、由比ヶ浜とメイクーモンの為にデジタマに戻ってくれと頼んで素直に聞いてくれるとは思えない。

 

「なら、ロイヤルナイツ全員と戦ってでも認めさせるしかないって事か」

『このスサノオモン、君たちテイマーが望むのならば幾らでも力を貸そう。だが、真の力を解放したロイヤルナイツは、かつての冒険で君達が倒した暗黒化したオメガモンやデュークモンとは桁外れの力を持つ。その覚悟はあるか?』

 

聞き方は試すような口ぶりだが、スサノオモンは試すようなつもりなどないのだろう。実際、俺たち全員はその程度で引くようなら最初からデジタルワールドに行こうなんて思いもしないだろう。

 

俺たちの覚悟を察したスサノオモンが姿を消し、やがて俺たちは用意しておいたノートパソコンを中心に円を描いてデジヴァイスを構えて居た。

 

「お兄ちゃん、やっぱり小町も着いて行くね。冒険じゃなくてカチコミなら一日くらいで終わりそうだし!」

「俺も昔の仲間に召集かけるぜ!!スペリオルモードは多分無理でも、X7なら充分だろ!?」

 

小町とシャウトモンも一歩前に出て来た。本当なら兄として止めたい気持ちはあるが、ロイヤルナイツとの全面対決を考えればシャウトモンX7が来てくれるのは本当に助かる。

 

「そう言う事なら城廻先輩とブイモンXにも来てもらった方が良かったかもしれないですねー。あ、でも今城廻先輩東京だったっけ…………」

「千葉駅が吹っ飛んでるからな。連絡ついてもすぐには戻って来れないだろ。とりあえず一色、メールだけ飛ばしておいてくれ。後から追いかけて来てくれたら嬉しいしな」

「了解でーす」

 

D-アークを持ってない方の片手で素早くメールを送信する一色。相変わらず器用なやつだ。

 

「ロイヤルナイツと対決、ねえ。七大魔王やってた頃は小競り合いくらいはした事あるけど…………ま、いっか」

「いやー。悪いわねリリスモン。でも退屈しないでしょ?」

「それもそうね」

 

陽乃さんとリリスモンの明らかに凶悪そうな笑みに、かつてリリスモンと戦った川崎とアグモンはもう一度戦闘態勢を取ろうとしてしまう。しかしやがて諦めたように肩をすくめた。

 

「あの二人、何かしたら私が始末するから」

「陽乃さんもかよ」

「当然でしょ」

「…………まぁ、確かに」

 

放っておくとリリスモン共々何かしらヤバい犯罪を企みそうな勢いの陽乃さん。刺し違えてでも止める覚悟は必要かもしれない。

 

「…………比企谷君」

「雪ノ下、またお前に助けられた」

「良いのよ。実は…………意識を失って居た間に、由比ヶ浜さんが夢の中に現れたの。一方的に事情を伝えて来て、最後に貴方の事を頼まれたわ。もう一緒に居られないから、って。丁重にお断りさせてもらったわ。今更貴方の面倒なんて見切れないもの」

 

真顔の言葉に思わずズッコケる俺とブイモン。一応は由比ヶ浜と一緒に告白して来たんだし、由比ヶ浜としては多分いっその事付き合えって言いたかったんじゃないか。それはそれで困るけど。

 

「確かに私は貴方を好きになって、フラれた。そこで終わった話なのに、今更貴方をまた好きになる理由なんて無いでしょう」

「まぁそうだけどさ…………」

「八幡、これって根に持たれてるって感じじゃないけど、余計に怖いな」

「黙ってなさいブイモン。とりあえず私が言いたいのは…………また、奉仕部の部室に三人で揃いましょう、と言う事よ」

「…………ああ。そうだな」

 

その言葉と共に、俺たちのデジヴァイスが光り輝く。現れた最大のデジタルゲートを通り、俺たちはデジタルワールドへと旅立って行く。目的地はアルファモンが用意していると言うロイヤルナイツ達の居城への入り口がある、始まりの町だ。

 

 

「やはり来たね。待って居たよ」

 

始まりの町のゲートを潜った先で待ち構えて居たのは、案の定アルファモンだった。

 

「ここが、カーネル…………」

 

一見すればデジタル空間と同じく真っ黒な世界。しかしオレンジの数式の様な何かがしっかりとした足場になっていて、どこまでも続いて居て地平線が見えなくなって居た。

 

「その大人数で来たと言う事は、やはりリブートの事は聞いているんだね」

「ああ。スサノオモンから聞いた。何であの時教えてくれなかったんだ?」

「私にも立場があるしね。それに…………」

 

不意にアルファモンの背後から次々と新しい影が現れる。俺たちが会ったことのあるオメガモン、デュークモン、マグナモン、アルフォースブイドラモン、デュナスモンが最初に姿を見せる。

 

そして、巨大な槍を持つ竜のようなエグザモン。骸骨の様な甲冑に身を包んだクレニアムモン。紅い鎧を着込んだ獣型のスレイプモン。白い翼を持つ黒豹ドゥフトモン。ピンク色の鎧を着た騎士ロードナイトモン。背中に宿るヒヌカムイを背負うガンクゥモン。そしてそのガンクゥモンの弟子であるジエスモン。

 

「ロイヤルナイツ、十三体が勢揃いか…………」

 

デジタルワールドの最終防衛ラインにして最高戦力。全デジモン達の中でも特に強い力を持った聖騎士型デジモン達の中で、最も強い個体が選ばれると言われている。

 

「君たちの要件は理解している。我々全員をエネルギーに、メイクーモンをリブートしたいと言うのだな?」

 

荘厳な声で質問してくるオメガモン。俺たちは負けじと頷くが、ロイヤルナイツの中には明らかにその答えが不満なのが何体か居るのが分かる。

 

「確かに今回の事件は我らデジモンが原因だ。テイマーに共に眠ると言う選択を取らせてしまった事は、謝って済む話ではないと理解している。だが…………!!」

 

デュナスモンは爪を鳴らしてため息を吐く。そして、同じ様にエグザモンが一歩前に出て来た。

 

「我らロイヤルナイツが不在になればデジタルワールドの有事に誰が対処すると言うのだ?かつてお前たちが冒険をしていた頃はまだデジモンの種類も少なく、ロイヤルナイツが封印されていても暫くは無事だったが、今は違う!」

「彼女の自己犠牲を尊いモノの様に扱うつもりはない。我らを軽蔑してくれて構わない。だが彼女が眠り続ける限り、デジタルワールドもお前たちの世界も無事だと言う事を理解したまえ」

 

ロードナイトモンは既に鎧から帯刃を伸ばしてこちらに警告して来ていた。

 

「俺としてはデジタルワールドが平穏無事に済むなら別に構わねぇが…………後を託せるだけの力があるかどうかは確かめてえんだよなぁ」

 

ガンクゥモンは何処となく楽しそうな声ではあるが、しかし闘志は滾らせながら一歩前に出て来た。

 

「成程、全面対決も覚悟していたけど…………」

「私は全面対決でも構わないのだけれど」

 

安心しているわけではないが、葉山の言う通りロイヤルナイツ十三体全部を叩きのめすのは正直言って骨だった。謎の自信に満ち満ちている雪ノ下はともかく、こちらは八人と八体。対してロイヤルナイツ側は、既に一歩前に出ているのはデュナスモン、エグザモン、ロードナイトモン、ガンクゥモンの四体。しかしアルファモンとオメガモンからも闘志の様な気配を感じてしまう。

 

「君たちの覚悟は理解している。私も何度か人間たちと共に世界を救った身。本来なら君たちの応援をしたいが、ロイヤルナイツの一員としてのケジメは付けねばならない」

 

オメガモンはグレイソードとガルルキャノンをゆっくりと広げ、その隣のアルファモンもまた虚空に魔法陣を広げると巨大な剣を取り出した。

 

「この究極戦刃王竜剣に誓う。我ら六体、ロイヤルナイツを代表して君たちの挑戦に、全身全霊を持って応えよう」

 

横一列に並んだ六体のロイヤルナイツ達。その後ろに控えていたデュークモン達は、あくまで手を出さないと言う意思表示なのかその場から動かなかった。

 

「このデュークモン、今回の件においては君たち人間の決断を尊重しよう」

「僕も同じさ。最も、君たちが彼らを乗り越えられるのならね」

 

マグナモンが試す様に、特に俺とブイモンをチラと見てきた。かつて、封印状態だったあのマグナモンに導かれて奇跡のデジメンタルを手に入れた俺達としては、正直言って借りのある相手なのだ。

 

「アルファモン達を乗り越えられるのなら、デジタルワールドの秩序の維持を暫くの間任せても大丈夫と言う証明になるでしょうね」

「…………スレイプモンの言葉に異論は無い。可能ならば、絶対にロイヤルナイツの代行を務めると言う確証が欲しいところだが」

 

スレイプモン、そしてクレニアムモンがあくまで事務的に言い放つ。機械的な反応に聞こえてしまうが、二体ともこの問題についてはもう語り尽くしたと言うだけの話なのだろう。

 

「そもそも始まりは我らデジモンが原因だ。責任は取らないとね」

「癪だが、アルフォースブイドラモンの意見に賛成だ」

 

城廻先輩のパートナーとは別個体のアルフォースブイドラモンの隣で腕を組むドゥフトモン。

 

「お師匠様…………ああいや、ガンクゥモンも本当は君たちに協力出来るならしたい気持ちだと思う。僕も、君たちと一緒に戦いたいと言う気持ちはあるけど…………ロイヤルナイツの一員が君たちに協力しては本末転倒だからね」

 

そして最後にジエスモンが少し申し訳なさそうに謝りつつ、リブート賛成派のロイヤルナイツ達はカーネルの奥へと姿を消してしまった。恐らく、イグドラシルの元へと向かったのだろう。

 

残された反対派のロイヤルナイツ達を前に俺たちはデジヴァイスを構えつつ、八人でとりあえず集まって作戦を決める。と言うか、誰がどいつと戦うかを決めなくては。

 

「どーします?昔みたいに、せんぱい達でちゃっちゃと作戦決めてくださいよ」

「全員で一気に叩いたら?あーし達なら数で勝ってるし」

「相手はロイヤルナイツ。集まって乱戦になると、多分反応しきれないタイミングで即死レベルの火力が横から飛んでくると思うぞ」

 

今にも飛び出しそうな三浦を抑えつつ、俺と葉山と雪ノ下で戦闘能力的なバランスを考えていく。考えることは俺たち三人は同じで、ちば組メンバーは可能な限りタイマン。そして三浦とタイガーヴェスパモン、陽乃さんとリリスモンのコンビは戦闘経験の差を埋めるためにもニ対一で行くべきだろう。

 

「よし、とりあえずだが…………三浦、それと陽乃さん。エグザモンを頼む」

「え?」

「あー。そう言えばエグザモンがオメガモンと戦ったってニュースあったね。成程、いくら究極体だからって素人だもんね私達。手負いのエグザモンを二人でやれって事ね」

 

リリスモンとファンビーモンも流石にいきなりタイマンでロイヤルナイツと戦わされるかもしれないと思っていたらしく、ちょっとホッとした様子で肩の力を抜いた。

 

「優美子、私も同意見だ。正直、タイガーヴェスパモンに進化しても一対一でロイヤルナイツ相手に勝てる自信は無い」

「一応私、病み上がりなのよ?あそこの変なテイマーに殴られた傷がまだ癒えてないのよ」

 

冷静に戦力を把握しているファンビーモンはともかく、わざとらしく頬を撫でるリリスモンにイラッとしたのか川崎が無言でリリスモンをもう一回殴った。

 

「馬鹿な事言える余裕があるなら充分でしょ」

「…………沙希ちゃんそんな感じだから変なテイマーって言われるんだよー?」

 

陽乃さんのツッコミもそこそこに、俺たちはそれぞれ戦うと決めた相手の前に立った。

 

「やるぞ。みんな」

「ええ!」

 

二つのD-3、ディースキャナー、ディーアーク、デジヴァイスic、クロスローダー、そして三浦のスタンダードデジヴァイスが輝いた。

 

「ブイモン進化!!エクスブイモン!!」

「ワームモン進化!!スティングモン!!」

「「ジョグレス進化!!パイルドラモン!!」」

「究極進化!!インペリアルドラモン!!」

「エンシェントスピリットエボリューション!!」

「マトリックスエボリューション!!」

「ルナモン進化!!ディアナモン!!」

「デジソウル、チャージ!!オーバードライブ!!」

「アグモン進化!!ガイオウモン!!」

「ファンビーモン、ワープ進化!!タイガーヴェスパモン!!」

「…………めっちゃ煩い!!」

 

一斉に全員が究極体にまで進化したせいで、それぞれの進化のエフェクトが同時に、それも大音量で響き渡って小町が思わず叫んだ。

 

「小町、俺たちも負けちゃいられねえ!!せっかくみんなも来てくれたんだ!!久しぶりにやるぜ!!」

「よーし。行くよ!!」

 

クロスローダーの中にデータの姿になって収まっていた仲間達の呼び声が響く。その声に導かれてシャウトモンが先ず光り輝いた。

 

「シャウトモン超進化!オメガシャウトモン!!」

 

黄金に輝き、大柄な人型の戦士に進化するシャウトモン。デジクロスを基本とするシャウトモンには珍しい完全体の姿がオメガシャウトモンだ。勿論、そこから更にデジクロスを重ねていく。

 

「オメガシャウトモン!ジークグレイモン!バリスタモン!!ドルルモン!!スターモンズ!!スパロウモン!!グレートクロス!!」

 

オメガシャウトモン、そしてクロスローダーの中で待機していたジークグレイモン、バリスタモン、ドルルモン、複数体のスターモン達、スパロウモンが一斉にデジクロス。デジモン達の間に存在する世代と言う壁すら踏み越えた最強の存在がその姿を見せた。

 

「シャウトモンX7!!」

「単独での煩さで言ったら小町とシャウトモンが一番だぞ」

「お兄ちゃん煩い!!やるよ、シャウトモン!!結衣さんを助けられなかったら、もう一生あんなゴミぃちゃんを貰ってくれる義姉ちゃんなんて現れないんだから!!」

「こ、小町ちゃーん…………?」

 

例え妹であっても、そして例え事実であっても余りにも酷い暴言には傷付くのだが、誰一人として今の発言を咎めようとしなかった。半分ブイモンのはずのインペリアルドラモンすら無言で首を縦に振った辺り、むしろ小町を肯定しているのだろう。

 

「くそぉ!絶対由比ヶ浜を取り戻すからな!!」

「流れは酷いが、同意見だよ!」

 

インペリアルドラモン、スサノオモン、ディアナモン、ガイオウモン、シャウトモンX7、タイガーヴェスパモン、リリスモンが一斉に飛び掛かっていき、対するロイヤルナイツ達もまた飛び掛かって来る。やがてカーネルの内部は、激しい爆発と衝撃に見舞われた。




対決は次回となります
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