少女歌劇レヴュースタァライト バロック・ザ・ジャム 作:桜椛
終わりは始まり
壊れたライト、砕け散ったセット、舞い散る薔薇は血染めの雪のよう。
否────それは舞台少女の血か。
「はぁ……っ……何で、…………分かんない、分かんないよ……」
地響きが鳴り止まない。何処からともなく溢れる水流、爆ぜる火花。
今にも壊れそうな世界で彼女達は歌って、踊っていた。
花道は赤く、紅く、染まっている。
上掛け、衣装、星のボタン。
その中心で膝をつき項垂れる少女。
「ばなな……クロちゃん……まひるちゃん……っ……」
視線の先で倒れている少女達。まるで人形のようにピクリとも動かない。
声を抑えながら少女は確かめるように手を、顔を触っていく。
だがその行為が余計に目の前の現実を突きつけてくる。
段々と、少女の瞳から生気がなくなっていく。
そうして剣を握る手すら力が入らず上手く掴めていない。
「みーんな、
その先、階段を登った先に1人の少女が佇んでいる。
無地の白い衣装に身を纏い、華美な赤い上掛けを微かに翻す。
その少女の瞳には全てが写っていて、全てが映っていない。
「あの時のキラめきは凄かったなぁ……」
懐かしむように天を仰ぐ。その一つ一つの動きや言葉が、画になっている。
薄水色の髪の毛から覗く、ガーネットのような瞳に、光がキラキラと反射する。
「やめて……もう、やめようよ……」
その間も世界の崩壊は止まらない。
「……今の貴方はつまらない」
今にも泣き出しそうな少女とは裏腹に、苛立ちすら覚え眉を顰めている。
そうして固く口を結ぶと、深く、長く息を吐いた。
静寂─────────
そして意を決して手にしていた杖を強く地面へ打ち鳴らす。
「もっと演じてよ! もっとキラめいてよ! 死んでる場合かっ!────
直後、劇場の椅子が大きく舞い上がる。
水が、薔薇が、ライトが、爆ぜる、爆ぜる、爆ぜる。
少女の叫びに呼応するかのように杖に付いている宝石が妖しく光を増す。
愛城華恋はよろめきながらも立ち上がり、剣を少女へと向けた。
震えている。立っているのすらままならない。とても見れたものではない。
だが彼女は立たずにはいられなかった。
「ぜーんぶっわっかんない! ちゃんと説明してよ……またみんなで笑おうよ! もっとしゃべってよ! いちじく!!」
愛城華恋もそれに応えるように、走り、剣を、大きく振り下ろした。
両者の激突と共に、劇場は爆音に飲み込まれた。
「ブラーーーボッーー!! 素晴らしい! 何て退廃的で破滅的な劇なんだ!!」
「舞台少女のキラめき! 急いだ甲斐がありましたーー!」
「もっと魅せてください!! この先は? 続きのセリフは? さぁ! さぁっ!」
「歌って、踊って、狂い合いましょう!!!!」