いつも同じ夢を見る。
何もない暗闇の中に鎖に縛られた赤い竜がいる。その赤い竜の視線の先には俺がいた、そして俺はいつもと同じように触れようとするとその龍は一枚のカードに変わった。
だが、それを見る前に夢が終わる。
「・・・・・・くん」
女の子の声が聞こえる。
その声につられて目が覚める、手には何も描かれていないカードがあり、目の前には一人の女の子がいた。
「リュウくんおはよう!」
「おはよう、なのは」
その子は今俺がお世話になっている高町家の末っ子高町なのはだ。
「お母さんがご飯出来たから呼んできてって」
そう言うなのはに連れられた先には全員がそろっていた。
「今日は起きるのが遅かったな龍希」
「いつもは一番に起きてるのに今日は最後だなんて、よっぽど昨日の練習が厳しかったんじゃないの?」
「教えたことをどんどん吸収してくれるから歯止めが利かなくてな」
「あんまり無理させちゃダメよ、まだ小学生なんだから」
上から士郎さん、美由希さん、恭弥さん、桃子さん、身寄りのない俺を引き取ってくれた恩人で大切な家族だ。
「みんな揃ったことだしご飯にしましょうか!」
士郎さんと桃子さんのラブラブっぷりに苦笑いをしながらご飯を食べ終わると、俺となのはは学校の準備をする。カードもお守りのように懐に入れて、準備が終わるとバスに乗った。
「おはようなのは!リュウ!」
「おはようなのはちゃん、リュウくん」
バスの奥の席から金髪の少女アリサ・バニングスと紫髪の少女月村すずかが声をかけてきた。
「おはようアリサ、すずか」
「おはようアリサちゃん、すずかちゃん」
俺となのははアリサとすずかに挨拶すると二人が空けたスペースに座る。
学校に着くまでいつも通り休日の事とかの話をして過ごすのだった。
それから時間が過ぎてお昼休みの時間、4人は屋上で昼食を食べていた。
「アリサちゃんとすずかちゃんは将来の事もう結構決まってるんだよね?」
「家は父さんと母さんが会社経営者だし、いっぱい勉強して後を継がなきゃ…くらいだけど」
「私は機械系が好きだから法学系で専門職がいいなと思ってるけど」
「なのはは喫茶翠屋の二代目じゃないの?」
「う~ん、それも一つなんだけど何か他にもやりたい事がある気がするの」
将来何をやりたいか、ね。
なのはは迷っている様だがアリサとすずかの二人はある程度決めているらしい。俺はどうだろう?特にやりたいこともなく、俺を引き取ってくれた高町家の人達には恩返しをしたいが何かができるわけでもなく、自分を捨てた親の事も興味がない。大人になったら何かやりたい事の一つでもみつかるのだろうか?
そんな事を考えていると、いつの間にかアリサがなのはの上にまたがり口を引っ張っていた。
またなのはが自分を卑下する様な事を言ったんだろう、そろそろ昼休みが終わる時間なのでアリサを宥めると3人を連れて教室に戻るのだった。
学校が終わり塾へと向かう道の途中でなのはが急に立ち止まった。
「どうかしたのか、なのは?」
「今、声が聞こえたような…」
「声?聞こえなかったわよ、すずかは?」
「私も聞こえなかったと思うけど…」
あたりを見回しているとなのはが急に走り出した。
俺たちもなのはを追って森の中を進む、暫くしてなのはに追いつくとなのはの両手にはフェレットの様な生き物が抱えられていた。傷は深くなさそうだけど随分と衰弱していたようで獣医さんに預けて、俺たちは遅刻ギリギリの塾へと向かうのだった。
・・・・・・あれは本当にフェレットなのか?
この出会いが、なのは達の運命を変えることは誰も知らなかった。
そしてそのフェレットに触れた時、龍希の懐に入っていたカードが赤く光っていたことも、まだ誰も気づいていなかった。