フェレットを先生に預けた翌日、そのフェレットが何故か家にいる。
いつの間にか名前もついていた。
なんでも、病院から脱走したフェレット(ユーノ)を偶然外に出ていたなのはが家に連れてきたらしい。
龍希が説明を受けながら朝食を食べている中、テレビでユーノを預けていた病院の近くで自動車事故が起きたというニュースが流れていた。
学校に着くとなのはがアリサとすずかに昨日のことを話していた。
「そっか、昨日のフェレットなのはちゃんのとこにいるんだね」
「昨夜あの病院の近くで事故があったって聞いたから心配だったのよ」
「傷も大丈夫そうだし、暫くは家で預かることになったんだ」
二人にユーノの事を話しているなのはの表情は凄いことになっている。
昨日から少し様子が変だったが何か隠し事でもあるのだろうか?
すずかとアリサもそのことに気づいたようだ。
そうこうしているうちに先生が入ってきた。
授業はいつも通り受けているのだが表情がコロコロ変わる、やはり様子がおかしい。
授業が終わりいつもの4人で帰る帰り道。
すずかとアリサと別れなのはと一緒に帰り道を歩く途中、急になのはが明後日の方向に振り向いた。
「ごめんリュウ君、先に帰ってて!」
こちらが声をかける暇もなく、なのは走り去っていく。
一体どうしたんだろう?
その後、暫くするとなのははユーノを連れて帰ってきた。
いつの間に外に出て行ったんだ?
あれから数日、この町で不思議な事件が起きたり、なのはが夜遅くに出掛けて道端に倒れていたり、色々不可解なことが起きてはいるが、変わらぬ日常を楽しんでいる。
今日は父さんがコーチをしている翠屋JFCの試合の日だ。
一応チームに入ってはいるが、店の手伝いであまり練習に参加していないので試合に出ることはそこまでないのだが、メンバーに欠員が出て急遽参加することになった。
「急にすまんな、リュウ」
「気にしないで父さん、俺だってチームに入ってるんだから偶には出なきゃ!」
父さんと話しながらウォーミングアップをしていると観客席の方から声が聞こえてくる。
「頑張ってね、リュウ君!」
「偶にはいいとこ見せてよね、リュウ!」
「応援してるよ、リュウ君」
3人に手を振って答えると後ろで父さんが小さく笑っているのに気付いた。
「モテモテだな、リュウ」
「からかわないでよ、父さん」
「嬉しいんだよ、人と関わるのを怖がっていたリュウにあんな友達ができたことが」
俺の頭を撫でながら昔のことを懐かしむように話す。
ウォーミングアップが終わるとチームで練習をし、体が温まってきたところで試合開始となった。
翠屋JFCは父さんがコーチをしてるだけあって強いチームだ、正直俺の出る幕がない気がするが、皆に応援されているのでそういうわけにもいかない。
俺はパスを回しながらチャンスをうかがう、何度か点を入れられそうになるも、キーパー達がそれを防ぎ俺達は攻め続ける。
「龍希、頼むぞ!」
ゴールの近くまで上がっていた俺にボールが回ってくる。
ボールを受け取り、最後のディフェンスを抜きシュート!
キーパーもボールを止めれずそのままゴール。
一点を取ることができた。
その後、チームメンバーが続き点を取り2対0で試合終了、翠屋JFCの勝利でこの日の試合は終わった。
試合が終わり祝勝会ということで皆で翠屋でごちそうになっている。
「お疲れ様、リュウ君」
「試合凄くかっこよかったよ、リュウ君」
「お疲れ、リュウ」
「ありがとう皆」
なのはがユーノを連れてきているので俺達4人は外の席でお茶とケーキを楽しんでいる。
皆で話していると不意にアリサがユーノの事を聞いてきた。
「ねえ、ユーノって本当にフェレットなのよね?」
「まあ、フェレットにしては変わっているような気はするけど・・・・・・」
「先生も変わった子だねって言ってたね」
「にゃははは・・・・・・まあ、ちょっと変わった子だけども賢くて可愛いフェレットだよ、ユーノ君は」
そう言い終わるとユーノに「お手」と言い手を出した。
ユーノはそれに反応すると「キュ!」と鳴き、なのはにお手をした。
やっぱりこのフェレット賢いな。
ユーノの可愛さに充てられたアリサとすずかが撫でまくっていると、店の中からチームの皆が出てきた。
どうやら解散の時間みたいだ、「こっちも解散しようか」と声をかけようとするが、なのはが何かに気が付いたようでメンバーの一人を見ている。
「どうした、なのは?」
「ううん、何でもない、アリサちゃんとすずかちゃんはこれから予定があるんだよね?」
「そうね、私はパパとお出かけ!」
「私もお姉ちゃんとショッピング!」
「じゃあ、そろそろ解散しますか」
席を立つと、店から出てきた父さんが声をかけてきた。
「おっ、みんなも解散か?」
「はい、お招きいただきありがとうございました!」
「試合かっこよかったです」
「二人ともありがとうな、帰り送っていこうか?」
「迎えに来てもらうので大丈夫です」
「私も大丈夫です」
「そっか、気を付けて帰るんだぞ」
「「は~い!」」
二人が帰った後なのはと父さんは家に帰り、俺はお店の手伝いをすると言い別れることになった。
「また後でね、リュウ君」
「うん、また後で」
「試合が終わったばっかなんだから早めに休むんだぞ、リュウ」
「は~い」
お店から帰る途中、巨大な木を中心に道のあちこちに根っこが生えていた。
突然起きたことに驚愕していると、ポケットに入れていたカードが光る、次から次へと起こることに困惑した次の瞬間にはピンク色のビームの様な光が放たれ、巨大な木や根っこは消えていた。
・・・・・・あれは何だったんだ?
全てが終わるころには、カードに黒いシルエットが現れ、その手の甲には星の上に拳が描かれたマークが浮かんでいた。