突如町に巨大な木が生えた事件から数日、町は元の姿に戻り、住人も元の暮らしに戻っている。
たまに思うのだが…高町家はともかくとしてこの町の住人も中々にぶっ飛んでいる気がする。あれだけの事件が起こっているのに何もなかったかのように過ごしているなんて、普通ではない気がするが…そういえば海鳴市には『夜の一族』という吸血鬼がいる。なんて噂を聞いたが、まぁ誰かが流したほら話だろう。
そんな事を考えながら、今はユーノを連れて森の中を散歩している。
今日は兄さんや忍さん(すずかの姉で兄さんの恋人)達がいるので、お店の手伝いは大丈夫と言われたので久々に一人で散歩を、と思っていたのだが、出る直前にユーノが付いてきたのでそのまま一緒に来ている。
「よくなのはと出掛けてるみたいだけどここは初めてか?」
肩に乗っているユーノにそう聞くと返事をするように「キュ!」と鳴く。
「最近はここに来ることは無かったからな~・・・・・・・・・?」
森を歩いていると視界の隅に何かが光ったような気がした。
それを拾おうとする直前にユーノが森の外に走り出した。
「ユーノ⁉」
俺は拾った宝石の様な物をポケットに入れるとユーノを追いかけた。
「ユーノの奴どこに行ったんだ⁉」
ユーノを追いかけて行ったのはいいものの完全に見失ってしまった。
町中を探し回る中一人の女の子が声をかけてくる。
「あの…さっき森の中でジュエルシードを拾いませんでしたか?」
「ジュエルシード?」
「はい…ずっと探してて、あなたが拾ってたと思うんですが…」
その言葉を聞いて、俺はユーノを追いかける前に何かを拾ったのを思い出した。
「あぁ、これの事?」
そう言いながらポケットから宝石を取り出す。
「これ、君の落とし物なの?」
「ええっと…それはその…」
歯切れが悪いが、俺はその子にジュエルシードと呼ばれる宝石を渡しす。
その子は突然渡されたことに驚いたようだった。
「何で?って顔してるけど特に理由は無いよ。強いて言うなら、君が悪い子ではなさそうだから」
「そんな理由で…」
「理由なんてそんぐらいでいいんだよ、それに人を見る目には自信がある!」
胸を張ってそう言うとその子は小さく笑った。
「フェイト」
「?」
「私の名前、フェイト・テスタロッサ、あなたの名前は?」
「龍希、白蓮龍希だよ。皆はリュウって呼んでる」
「私もリュウって呼んでもいい?」
「勿論!じゃあ俺もフェイトって呼んでいいか?」
「うん、ありがとう、リュウ」
そう言って夕焼けに照らされたフェイトの笑顔は、とても綺麗だった。
その後、フェイトに翠屋の事とか、高町家や友達のことを少し話、また会うという約束をして別れた。
家に帰るとユーノがなのはからおやつをもらっていた。
あの後なのはと一緒に帰ってきたらしい。
こいつ…こっちは町中探し回ったっていうのに!
部屋に戻るとポケットからカードを取り出した。
あの事件から黒いシルエットが浮かび上がっているのだが、日に日に色がついていってる気がする。それと同時に最近やけに体に力がみなぎっている感覚がある、今日町中を駆け回ってもそこまで疲れなかったのはそれのせいだろう、これもこのカードと関係しているのか?
疑問を抱えながら眠りにつく。
夢を見る・・・・・・・・・いつもの夢とは違う夢。
見慣れた栗色の髪の少女と金髪の少女、二人が戦う夢。
俺は・・・・・・何を見ているんだ?
全ての歯車が揃い、かみ合い、全てが動き始める。
鎖が砕け解き放たれる時はすぐそこだ。
次の回で…次の回で戦闘に入れる…はず!