そして、マスターを認識したことにより、レオパルド本来の力を発揮する為のアップグレードが始まる―
アップグレードが終了し、再起動が終わると、自分にしか聞こえない声が聞こえ始め…
目の前には知らない女『トライ・ドア』が姿を現す。
予想外のことに、この女はレオパルドを製造した技術者の一人だという。
この女に『この声』について聞こうとしたとき―
外で大爆発音が鳴り響き、急いで外に出るとそこには―
「なんだ!?今の轟音は!」
「爆撃で食らったみたいだな…」
「音の大きさの割には揺れませんね」
「この家は耐震、対爆撃用に設計してるからね」
ますますマヒナの物造り能力の高さには驚かされる。
今いる部屋は入り口兼出口は通ってきた道の一本だけしかなく、他に部屋があるとは思えない。
そしてこの部屋には、家の設計図らしきものは見当たらない。
まさか独学でこんな耐久性能の高い家を建てたのか…?
「一旦外に出て、様子を見てきます。お二人は此処にいてください。」
「いや、俺も出る。作戦が変わるかもしれないからな。」
「マヒナと同じ理由で、私も外に出る…」
「では、絶対僕の背中から離れないでください。αがいた場合、逃げを最優先にできるようにします。」
「あぁ、頼んだぞサナ」
こうして先頭に僕、左斜め後ろにマヒナ、右斜め後ろにトライがいる形になり、外に出ることに…
玄関のドアの前に着き、3人に緊張が走る―
もしαがいた場合、家に逃げ込むことができない。奥は行き止まり、そこに完全武装のレオパルドを連れ込んでしまえば、袋の鼠…
どこに逃げるかも考えながら、恐る恐るドアを開けると―
―最悪だ―
「αよりマスターへ連絡。レオパルド一機、レベル0一名、新しくレベル2一名を発見。」
「βよりマスターへ連絡。警戒中、及び臨戦戦闘形態より、殲滅形態への移行を許可を求めます。」
「γよりマスターへ報告。βに引き続き、二名及び一機の殲滅許可を求めます。」
敵機のレオパルド3機、『α』『β』『γ』に待ち伏せされていた。
それも、逃げれぬように目の前にα、右上空にはβ、左上空にはγと…
絶対逃がさないように、今度は3機すべてが臨戦戦闘形態…
攻撃等の与える行動はできないものの、拘束や捕獲などの『相手の動きを止める』行動は許可されている状態で囲まれてしまった。
そんな中、2人が小声で喋りだす…
「サナ…お前だけ逃げろ…」
「あぁ…レオパルドの君だけなら逃げれる…」
「なぜですか、なぜ僕だけ…」
「この3機の狙いは俺だ…そしてライは巻き込まれている。このラカスを救うにはサナが鍵なんだ…だからサナだけでも逃げろ…」
「そんな…いくら何でも3人で行わなければ意味がないです…」
後ろにいる2人の顔を見ずとも、アップグレードし、性能が上がった今なら声だけで感情や表情、本音までも読み取れる。
2人とも必死で、焦っている。だが本心だ。
2人は本気で僕に逃げろといい、本気で僕がラカスの救いに≪希望≫になると信じている。
そして2人は何か合図をして、マヒナは僕に言い渡す。
「サナ!マスター権限で命令する!!!『あの場所』に逃げろ!!!」
「マヒナ…何言って…」
ズゥゥゥゥゥゥンー
頭の中で鈍い音がなる。嫌な予感がする。そしてその予想はすぐに的中する。
―マスターの命令を確認、受理しました。これより『あの場所』の名で保存されている地域への逃走を開始します。移動時間は2時間を予定しています。―
そんな、嫌だ。2人を、マスターを置いて逃げるのは嫌だ。
「さぁ!逃げろ!」
「行けぇ!」
「そんな…嫌d」
次の瞬間、自分の意志で体を動かせなくなった。
形態変化を止めることも出来ず、自分が勝手に変わっていくのを感じるしかできなかった。
―識別名『サナ』の逃走形態への移行完了。これより、逃走を開始します。―
足の裏に付属されているブースターが起動し、背中に付属された翼が広がる。
そして…
シュゥゥゥゥゥ…
ドンッ!!!!
一瞬で上空100mまで上昇し、さっきまでいた地上には砂埃が立ち、マスターとライ、レオパルドの姿が見えなかった。
「ライィィィィ!!」
「マヒナァァァァァァァァ!!!!」
この声は届かない。それでも叫ばずにはいられなかった。
―移動開始―
この声に、決められた方向に飛ばされながら、なんとかマヒナの方を見ると…
砂埃が消え始め、人影がほんの少しだけ見える。
その人影の方を向き、アップグレードして追加された『視覚拡大』を使うと…
「ッ…マヒ……ナ…」
マヒナは初めて僕と会った時と同じ顔をしていた。そう…
僕の方を向き、微笑んでいた。
「マヒ………マスター…」
―膨大なエネルギーの集束を確認。被害規模は約80kmと推測。ここでは巻き込まれる恐れあり。速度を上げ目的地に向かいます。―
スゥゥゥゥゥ……
バァァァァァン!!
自分の足元から爆音が聞こえた瞬間、一気に加速し目的地へ移動を再開した。
なんでだ。
なんで僕だけ。
僕だけでどうしろっていうんだ。
こんなので希望なんてなれるのか。
ドォォォォォォン!!!!!
集束したエネルギーが膨張し始め、大爆発を起こした。
他8ヶ国に戦慄が走った。
この日、ラカスが地図から消えたのだ。
第6話 命令。
読んでいただきありがとうございます。
前回読んでいただいた方からのアドバイスを受け、少々言葉遣い、段落を変えました
読みやすくなっていれば幸いです。
ご意見、ご感想の方よろしくお願いします。
今後とも『最強最弱の戦闘兵機(レオパルド)』をよろしくお願いいたします。
最強最弱の戦闘兵機の投稿頻度について
-
今まで通り、完成後即投稿
-
毎日(土日込)1話更新
-
毎日(土日抜)1話更新
-
毎日(土日は出来る時)1話更新
-
週1更新