問題児と完全無欠の主人公が異世界に来たそうですゾ〜   作:遺憾千万

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第九話 “白き夜の魔王”白夜叉

 

サウザンドアイズに着いた一同は、店の前の看板を下げる女性店員に黒ウサギは慌ててストップをしたが、

「まっ…」

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません。」

その言葉に黒ウサギは悔しそうに店員を睨みつけた。誘宵美九も

「商売っ気の無い店みたいですねぇ。」

「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

キャーキャーとした黒ウサギに、店員は冷めたような目で

「…なるほど、“箱庭の貴族”であるウサギのお客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」

「僕達は“ノーネーム”ってコミュニティなんですけど。」

「ではどこの“ノーネーム”様でしょう。よかったら旗印を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」

樹は“名”と“旗印”ないと駄目だと確信したが、黒ウサギは旗印が無いと慌てていたら、

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィ!」

黒ウサギが店内から爆走してきた着物風の服を着た真っ白い髪の少女に抱きつかれて、その少女と共に街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛び、転がり落ちて行った。

それの光景に十六夜達は、女性店員に

「....この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非。」

「ありません。」

「なんなら有料でも。」

「やりません。」

その光景に樹は呆れて溜息を吐いた。すると、少女と黒ウサギが何やら言い合ってるみたいだった。

「ど、どうして貴女がこんな下層に!?」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろに!フフ、フホホフホホ!やっぱりウサギは触り心地が違うのう!」

「ちょ、ちょっと離れてください!」

黒ウサギはその少女を両手で押して離したが、十六夜が足で受け止めようとしていた。

僕はその行動には反対して、少女の頭を掴んで助けた。

「と、飛んで来た初対面の美少女を頭を掴み止めるとは何様だ!」

「…彼みたいに足で受け止めるよりマシでしょ。」

僕はこの少女が自分で美少女と言う事に吃驚した。

その呆気に取られていた飛鳥は、その少女に話しかけた。

「貴女はこの店の人?」

「おお、そうだとも。この“サウザンドアイズ”の幹部様、白夜叉さまだよご令嬢。仕事の依頼ならその発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ、黒ウサギ。」

「オーナー。それでは売り上げが伸びません。ボスが怒ります。」

黒ウサギはまさか自分も濡れるとは思って居なかった。また、白夜叉も濡れていたが気にせずに僕達を見て笑った。

「ほう。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たということはーーついに黒ウサギが私のペットに「なりません!」」

黒ウサギはウサ耳を逆立てて白夜叉に怒った。

「まあいい、話があるのなら店内で聞こう。」

僕達は白夜叉に笑って店へ招かれた。

「よろしいのですか?彼らは旗印も持たない“ノーネーム”のはず。規定ではーー」

「身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ。」

むっとした顔をした女性店員。僕達は女性店員に睨まれながらもお店に入った。

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ。」

六人が通されたのは白夜叉の私室だった。

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の外門、三三四五外門に本拠を構える“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ。」

「はいはい、お世話になっております本当に」

その言葉に受け流した黒ウサギ。すると誘宵美九は

「ところですけどぉ、その外門って何ですぅ?」

「箱庭の階層を示す外壁に成る門ですよ。数字が若い程都市の中央部に近く強大な力を持つ物達が住んで居るのです。」

その意味が分からない春日部耀と久遠飛鳥は

「超巨大玉葱?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「ふむ。今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番皮の薄い部分にあたるな。四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は“世界の果て”と向かい合う場所になる。あそこはコミュニティに属してはいないものの、強力なギフトを持ったもの達が住んでおるぞーーその水樹の持ち主などな」

白夜叉は黒ウサギの持つ水樹の苗に視線を向けた。黒ウサギは白夜叉が蛇神様と知り合いだと分かった。

「して、誰がどの様なゲームであの蛇神に勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

「この十六夜さんとグラディウスさんが素手で叩きのめして勝利しました。」

と黒ウサギはドヤ顔で言った。その事に白夜叉は驚き

「なんと!?直接倒したとな!?では、その童達は“神格”持ちの神童か?」

「黒ウサギはそう思いません。神格なら一目見れば分かる筈ですし。」

「 “神格”って何だ?」

「神格とは存在を種の最高ランクまで押し上げるギフトです。神格を持つ事で他のギフトも強化されますから、箱庭の上層を目指すコミュニティの多くは神格を手に入れる事を第一目的としているんですよ。白夜叉様は、あの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

「アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの。」

その言葉を聞いた十六夜と樹は

「へぇ?じゃあオマエはあの蛇より強いのか?」

「ふぅ?ん?さっきの蛇より殺気が強いな…。」

その二人の返答に白夜叉は

「当然だ。私は東側の“階層支配者”だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者だからの。」

“最強の主催者”ーー十六夜・飛鳥・耀・美九・樹の五人はその言葉に

「…では、つまり貴女のゲームをクリア出来れば、私達は東側で最強ということになるのかしら?」

「無論、そうなるのう。」

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた。」

「…まあ、どれだけ最強なのかは気になるね。」

五人は剥き出しの闘争心を視線に白夜叉を見た。白夜叉はそれに気づいて

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え? ちょ、ちょっと御五人様!?」

慌てる黒ウサギに右手を出した白夜叉。

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている。しかし、ゲームの前に確認しておく事がある。」

「なんですぅ?」

白夜叉は着物の裾から“サウザンドアイズ”の旗印―――向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、

「おんしらが望むのは“挑戦”かーーもしくは、“決闘”かーー」

すると、六人の視界は意味を無くし、投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔ーーそして、水平に太陽が廻る世界だった。

「こいつぁ…」

あまりの十六夜達は息を呑んだ。そして、白夜叉は問いかけた。

「今一度問おうかの。私は“白き夜の魔王”ーー太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への“挑戦”か? それとも対等な“決闘”か?」

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