四割の男   作:かりん2022

10 / 15
泡沫の夢

 皆のワイワイ騒ぐさまをこっそりプレコグし、気持ちだけ一緒にいた後はふて寝した。

 単純にドーピングのせいで気持ち悪かった。

 

 夜、頭に冷たい濡れタオルを感じてふと目覚める。先生だった。眠い。なんか、難しそうな顔してる。

 

「起こしちゃった? 悪いね」

「んーん、ありがと。せんせー、何かあった?」

「謹慎期間開けたらプレコグしてほしいことがあってね」

「何?」

「君の子にそれ、遺伝される?」

「俺、子供作らず死ぬつもりだし、どっちでもかんけーね―よ」

「なんで?」

「……持ってても持ってなくても。可愛そうじゃん。プレコグするまでもなく、ろくな未来になんねーよ。そもそも、その前に俺、呪詛師に捕まるし」

「だからだよ。絶対に子作りさせると思うんだよね。その先見てないの?」

「敵に捕まった後の自分の末路をプレコグしろって?」

「うん。といってもショッキングな未来になるだろうし、生臭い話になると思う。プレコグする場合は僕もしくは恵が近くにいるときにしてね」

 

 俺はしばらく悩んで、頷いた。

 

「その代わり、守ってくれよな」

「だいじょーぶ。君最優先護衛対象だから」

 

 それから、雑談を少し交わして、プレコグしたのがバレて少し怒られて、俺は考えた。

 

 俺がいなかったらどうだったんだろ。未来はどうなるんだろ。俺の子供?

 考えがまとまらない。

 

 プレコグが暴走しそうな気配がある。

 今日の夢は長くなるかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザ、ザザ……。

 

 五条先生の封印が、解かれる。

 

「……今は何年だい?」

「2572年だよ、五条先生。じゃあ、行こっか」

「どこへ?」

「先生の生徒の、虎杖 悠仁。ザ・ファーストを助けにだよ」

「君は?」

「虎杖 悠仁の子孫で、サイコキネシス超度7。虎杖 薫。クイーン・オブ・カタストロフィから取ってるんだ。よろしくな、婚約者殿♪」

「はあ?」

「ずっと待ってた。あたしと一緒にいてくれる人。あたしの隣に立てる人。ううん、上に立てる人。あたしの神様。皆、五条先生を待ってるよ」

 

 その差し出された手のぬくもりに、傷ついていた五条先生は心底安堵したようだった。

 

 

 ザ、ザザ……

 

 

「いいかい? ザ・ファーストを絶対に死なせてはいけない。そうすれば、僕らの存在そのものが消えてしまうからね。ザ・ファーストを捕獲させ、グレートティーチャーを封印状態に持っていく。そうして、弱った所でクイーンが懐柔する。これが、エスパーの夜明けを迎えるために絶対に必要になるんだ。超度の高いエスパーの暴走を抑えられるのは、グレートティーチャーしかいない。でないと、ESP錠を開発する前に、エスパーはエスパー自身を殺してしまうだろう。未来の悲劇を防ぐために。過去の悲劇を実現させる。さあ、行くんだ。過去へ!」

「はい!」

 

 

 ザ、ザザ……

 

 

 虎杖 悠仁の墓の前で、皆が墓参りをしてくれている。

 

「勝ったよ、悠仁。やー、プレコグを死なせたって凄く非難ゴーゴーだよ。でも、一応は平和になったかな。……君が掴み取った平和だ」

 

 

 

 

 

 

 

 ザ・ザザ……。

 

 

 

 俺は翌朝、自殺騒ぎを起こした。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。