皆のワイワイ騒ぐさまをこっそりプレコグし、気持ちだけ一緒にいた後はふて寝した。
単純にドーピングのせいで気持ち悪かった。
夜、頭に冷たい濡れタオルを感じてふと目覚める。先生だった。眠い。なんか、難しそうな顔してる。
「起こしちゃった? 悪いね」
「んーん、ありがと。せんせー、何かあった?」
「謹慎期間開けたらプレコグしてほしいことがあってね」
「何?」
「君の子にそれ、遺伝される?」
「俺、子供作らず死ぬつもりだし、どっちでもかんけーね―よ」
「なんで?」
「……持ってても持ってなくても。可愛そうじゃん。プレコグするまでもなく、ろくな未来になんねーよ。そもそも、その前に俺、呪詛師に捕まるし」
「だからだよ。絶対に子作りさせると思うんだよね。その先見てないの?」
「敵に捕まった後の自分の末路をプレコグしろって?」
「うん。といってもショッキングな未来になるだろうし、生臭い話になると思う。プレコグする場合は僕もしくは恵が近くにいるときにしてね」
俺はしばらく悩んで、頷いた。
「その代わり、守ってくれよな」
「だいじょーぶ。君最優先護衛対象だから」
それから、雑談を少し交わして、プレコグしたのがバレて少し怒られて、俺は考えた。
俺がいなかったらどうだったんだろ。未来はどうなるんだろ。俺の子供?
考えがまとまらない。
プレコグが暴走しそうな気配がある。
今日の夢は長くなるかもな。
ザ、ザザ……。
五条先生の封印が、解かれる。
「……今は何年だい?」
「2572年だよ、五条先生。じゃあ、行こっか」
「どこへ?」
「先生の生徒の、虎杖 悠仁。ザ・ファーストを助けにだよ」
「君は?」
「虎杖 悠仁の子孫で、サイコキネシス超度7。虎杖 薫。クイーン・オブ・カタストロフィから取ってるんだ。よろしくな、婚約者殿♪」
「はあ?」
「ずっと待ってた。あたしと一緒にいてくれる人。あたしの隣に立てる人。ううん、上に立てる人。あたしの神様。皆、五条先生を待ってるよ」
その差し出された手のぬくもりに、傷ついていた五条先生は心底安堵したようだった。
ザ、ザザ……
「いいかい? ザ・ファーストを絶対に死なせてはいけない。そうすれば、僕らの存在そのものが消えてしまうからね。ザ・ファーストを捕獲させ、グレートティーチャーを封印状態に持っていく。そうして、弱った所でクイーンが懐柔する。これが、エスパーの夜明けを迎えるために絶対に必要になるんだ。超度の高いエスパーの暴走を抑えられるのは、グレートティーチャーしかいない。でないと、ESP錠を開発する前に、エスパーはエスパー自身を殺してしまうだろう。未来の悲劇を防ぐために。過去の悲劇を実現させる。さあ、行くんだ。過去へ!」
「はい!」
ザ、ザザ……
虎杖 悠仁の墓の前で、皆が墓参りをしてくれている。
「勝ったよ、悠仁。やー、プレコグを死なせたって凄く非難ゴーゴーだよ。でも、一応は平和になったかな。……君が掴み取った平和だ」
ザ・ザザ……。
俺は翌朝、自殺騒ぎを起こした。