「……つまり、悠仁の子供はESPを受け継ぐの?」
五条は、悠仁に慎重に問いかけた。
「うん。受け継ぐ。でも、そうさせちゃ駄目なんだ」
「駄目って?」
「ESPを封じるESP錠の技術がこの世界にはないんだよ。子供の超能力者、特にサイキッカーは力を制御できない。そもそも、超能力者って面倒でさ。化け物扱いもそうだし、暴走でも手が掛かるし、目覚めた時はどんな小さな能力のやつでも、世界征服しちゃえそうなハイな気分になって、それを丁寧に折ってやらないと後に引きずるし。手がかかるんだよ。色々理解や技術が進んでた俺の前世だって、超能力者の犯罪組織パンドラだの、超能力者排斥組織普通の人々だの、ごたごたあったのに。この世界で超能力者が生きていくのは無理だよ。だから俺、子供が出来る前に死なないと……。そもそも、呪詛師が勝つのも俺の子孫が邪魔してたからっぽいし、俺が死ねば超能力者が産まれずに済んで、先生が勝てて……俺が死んだ未来の先に、初めて先生の勝利と平和が視えたんだ」
色々突っ込みたいことはあるが、とりあえず今重要なのは、悠仁も五条も狙われているということである。
「悠仁……。僕は、さしずめESP錠の代わりに狙われたってことかな?」
「そうだと思う。500年も閉じ込められれば、いくら先生でも精神的に弱ると思うし、そこを漬け込むってことだと思う。俺は先生にそんな真似させたくない」
「……(でも、悠仁の子供に力が受け継がれるようであれば、必ず子作りさせろって僕の方にも依頼来ているんだよねぇ)」
五条は悩む。正直に言って、この圧力に逆らうことは難しい。
どこかのタイミングで、悠仁には、政略結婚、いや、精子の提出をさせる事になるだろう。
悠仁が500年後も生きていた理由も気になる。
大方、宿儺の指を取り込んで、半呪いとなって寿命が伸びたとかだろうか。
そうなると、悠仁を寿命で死なせてやるというのはほぼ不可能だということでもある。
少なくとも、五条が宿儺より強いと言える間に、衰える前に、虎杖を殺さねばならない。
それが五条の責任というものだ。
そうなると……。
「(今、悠仁を殺してあげるというのもありなのかな)」
ただその場合、五条の立場は著しく悪くなる。
五条の立場に限って言えば、放置も封印の可能性があり、殺しも致命的に立場が悪化する可能性があり、痛し痒しだ。
「その、ESP錠について、少しでも思い出せるものはあるかい? 政府に研究してもらって、それをプレコグするという方法は?」
「ほとんど、覚えてることなんて……」
悠仁は力なく首を振る。
「一ついいことがある」
「?」
「僕と悠仁が狙いなら、過去に来たエスパーは少なくとも僕と悠仁を攻撃できない。とりあえず、指を食べて体を宿儺に慣らしていこうか。500年も君が生きられるというのなら、僕が若い内に死刑を執行しないといけない。どうせ殺すなら、少しでも多くの宿儺の指を道連れにしたい」
「わかった……」
悠仁がコクリと頷き、これから言うことに胸が痛む。
「今から3日したら、プレコグをしてほしい。政府に、精子を売った場合の未来を」
「先生! 虎杖は子供を作りたくないって」
「だからって、この圧力をはねのけるのは僕にも難しいよ。避けられないなら、少しでもコントロールしないと」
最悪なのは、『政府判断』で、悠仁の子供の量産と悠仁が暴走したときのための僕の封印に依る保存を実行されることかな……。
そういえば、あの未来のプレコグでは、呪詛師はいなかった。
最悪の想像が杞憂であればいいのだがと、五条は深くため息を吐いた。
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更新遅れてすみません。