四割の男   作:かりん2022

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大変お待たせしてすみません。



泡のように夢のように

 腸相は末弟を心配していた。

 受肉したと思ったら、血で繋がった相手が死ぬと術式が訴えかけてきた。

 そして、まさかの弟が増えたという大事件である。

 しかも、自ら死を望んだという。とても許容できるものではない。

 

 原因は、またしてもあの継ぎ接ぎ野郎である。

 とても破廉恥な方法で無理矢理子作りさせるのだという。弟もそれは絶望するだろう。

 かわいそうに。

 

 未だ魘されている弟を撫でる。

 映像が断続的に頭に流れ込んでいく。悠仁の見る未来や、悪夢の映像だ。

 未来は碌でもない物が多い。

 かわいそうに。

 

 悠仁が、ぼんやり目を開けた。

 

「……来る……俺を、殺すもの」

「何!?」

 

 唐突に、ベッドの上に小さな刺客が現れて小刀を振るう。

 咄嗟に捕獲したのは、未だ幼い子供。ミニマムな弟だった。

 

「クッソ!」

「悠仁のミニマムサイズだと……」

「こんにちは、子孫」

「……よお。ご先祖様」

 

 あいさつだけかわして、寝てしまう悠仁。

 かわいい弟のため、俺がしっかりしないといけない。

 

「お前の目的はなんだ」

「こいつがいるせいで、俺達が、超能力者が存在しちゃったんだ……! 俺の目的はザ・ファーストを子作り前に殺す事だ!」

「その場合、お前も消えるのではないか」

「望む所だ! 俺なんて、俺なんて消えたほうが……!」

 

 叫ぶ少年に唸る。どうすべきなのだろう。弟の子孫ならば、よくしてやりたいが。

 弟自身を殺させるというのは当然ながら却下だ。

 子供としばし見つめあったのち、子供が腹の音をさせた。

 

「ひとまず、食事を用意する」

 

 俺は、伊地知に連絡をした。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、未来情報を聞かせていただきます」

 

 ピシッとしたスーツの男が少年に事情聴取をする。

 なんでも、呪術師ではないから、日本政府の領分らしい。

 

 ようやく毒を解毒し切った悠仁が、困った様子でそれを見ている。

 

「うん、悠仁! こうなったら、拷問だけは防ぐ方向でいこう!」

「どうやって?」

「君の精子をあちこちに売れば、相対的に君が狙われる可能性は減るよ」

「で、でも……」

「君の遺伝子情報を守り切るのは無理だよ。この子達が未来から来ている時点で、未来は確定していると言っってもいいんじゃないかな」

「でも……」

「その代わり、縛りを結んで、子供達を大事にしてもらうっていうのはどうかな」

「わかった。先生を信じる」

「うん、信じて」

「この兄も、陰ながら力を貸そう。何か問題があれば、俺達で子供達を引き取る」

 

 望まれない子供ほど悲しいものはないからな!

 

 その言葉を吐き出した途端、少年は消えてしまった。

 担当者さんが悲鳴をあげる。

 

「せんせーとお兄ちゃんの決意で、未来が、変わったんだ」

「うーん、なかなかホラーな現象だね」

 

「せんせー。あれから、三日経つし、プレコグ、してみるよ」

 

 そうして、悠仁ははるか未来を見る。

 

 どうやら、超能力者の子供達が穏やかな毎日を送る姿を予知できたらしい。

 納得した悠仁は、自らの遺伝子情報を関係各所に提供することとした。

 

「で、僕の未来は?」

「封印される」

「僕の未来、硬っ 一応、呪詛師達も追ったり、生徒達を鍛えたり、頑張ってるんだけどなぁ、僕!?」

 

 五条の言っていることは事実である。メカ丸いや幸吉の証言、未来情報から渋谷駅など徹底的に罠の排除をしているし、呪詛師も捕らえている。生徒達も鍛えているし、真希という女などは何かを掴んだと晴々とした顔をしていた。

 

 それでも、捕まらないのだ、我が父であり弟の母であるものは。 

 

 だがまあ、弟が無事ならば、目の前の教師がどうなろうと知ったことではないのだが。

 

「お前の未来はどうなんだ」

「ん、いつも通り。マシになったかな」

「いつも通り、とは」

「政府に捕まって延々と予知」

「大丈夫ではないではないか」

「先生って庇護者がいなくなれば、こんなもんだろ」

「なんとしても五条 悟を助けねば!!」

 

 とはいえ、本当に我が父は小賢しい。どうにか探す方法はないものか。

 

 

 

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