俺の精子は出荷されて行った。
もう後戻りはできない。
望みのESPが発現しなかった子達は、兄貴達が育てる事となった。
早速、俺の子種が悉く盗まれたと聞いて、肩を落とす。
まあね。そうなるよね。
子供達が力を発現するまでには、警備体制を確立させて欲しいところである。
それにしても、母さんは本当にしぶとい。
下手に刺激すると、1000万の呪霊が放たれてしまうので、とても難しいのだ。
それに、多分……いる。母さんの側に。
未来から来た、俺の上を行くエスパーが。
となると、こっちもやはりドーピングしかないかな。
「うーん。早く荷物届かないかな」
「ドーピング薬の材料なら、受け取ってこっちで処分したから」
「げっ」
「ドーピングはダメって言ったでしょ」
ぽんぽんと頭を優しくし叩いて、五条先生はいう。
「でも、このままじゃ、俺、勝てないし。俺は俺の幸せのために勝ちたい」
「それはわかるよ。ってことで、これ」
宿儺の指を渡される。
「宿儺の指?」
「結局、悠仁を守るには悠仁自身の強化をするしかないと思うんだよね。それに、君を殺す言い訳もしやすいし。プレコグは便利だけど、宿儺は危険なのでやっぱり殺しますってね。後は漏瑚からなんとか宿儺の指を強奪しないとね」
俺は頷く。
「趣向を変えて、周りから削っていこうか。漏瑚の場所、予知できる?」
「やってみる」
というわけで、攻撃に転じてみた。
襲撃すること二十数箇所。
ようやく俺達は、エスパーの顔を拝めた。
「傑っ……!!」
「ようやく会えたな。俺の……子孫!」
「釘崎。わかってんな」
「大丈夫。虎杖は守るわよ」
五条先生と母さんが対峙する。
俺はエスパーを見た。
俺そっくりの子供は、疲れ切った年老いた目で、母さんの裾を掴んでいた。
「五条先生……」
その声を聞いて、俺は理解した。
子孫じゃない!
「あんたが、俺を殺してくれなかったから」
「俺!?」
恨みがましく言って、未来の俺は莫大な呪力を纏わせた。
「悠仁! 恵! 野薔薇! 逃げろ!」
五条先生の指示で退がる。
同時に大量に出された呪霊を先生が一掃する。
未来の俺が五条先生を攻撃する。
それは無限を貫き、五条先生の鳩尾に深々と突きをした。
気絶した五条先生を抱き上げる俺。
「五条先生!!!」
「くそっ 退くぞ!」
「先生が攫われたら未来なんてないわよ!」
恵は問答無用で俺達を避難させる。
そして、学校へと逃げ帰った。
夜蛾学長が頭を押さえた。
「なんて事だ……。悟が攫われるとは」
「とりあえず、打てる手が一つだけある」
「……言うな」
「俺が死ぬ事だ」
俺の手の内には、漏瑚からどさくさに紛れて奪った宿儺の指コレクションがあった。