俺達は、街まで来ていた。
俺の前世の常識=人間怖いと、今生の常識=人間大好きがぶつかりあって、中々に複雑な心境だ。さて、もちろん、今日の予習は予知でしている。
「私は? 私はどうなんだよ、逃げんなはっきり言えや!」
「釘崎だ。生きてる……」
「死ぬのかよ」
「今年の10月31日。すげえ綺麗な死に際だった」
「マジか」
「でもまだ野薔薇と悠仁は初対面だからね」
俺は釘崎に声を掛けに言った。
「何よ、馴れ馴れしいわね」
「未来の友達だからな」
仲良く出来るのは今しかないんだから、グイグイ行くぜ!
そして廃墟に行く。
「大丈夫、悠仁? 一応、呪具持ってきたけど」
「ん」
俺はあの日の絶望を種火にして、腕に呪力をまとう。
一瞬の幻のようなものだけど、黒閃の感触もきちんと覚えている。
呪力を練るのは、プレコグを使いこなすよりは多少優しい。
「こんなもの、かな」
「上出来! 呪具は必要なさそうだね。いけそう?」
「四割の確率で成功してる」
「四割の勝率って、負ける可能性が6割ってことかな……?」
「五条先生、俺も監督します。手は出しませんから」
「ちょっと、虎杖に過保護すぎない? なんなのこいつ」
「ちょっと前まで素人だったんだよ、こいつ」
「野薔薇、ちょっといい?」
俺は野薔薇の額と自分の額をくっつける。
「なっ」
「集中して、受け取って、読み取って」
ぶん殴ろうとしてくるのを遮る。野薔薇は一瞬黙り、その後俺のイメージを受け取ってくれた。
「……あんた、もしかして予知能力者?」
「プレコグって呼んでくれ」
「プレコグ。わかった。あんたの作戦でいいわ」
伏黒と五条先生は興味深そうにする。
「今の何? 予知情報の伝達とか?」
「そう。俺の記憶とイメージ依存だから、ぼんやりした感じだけど」
「そんな事ないわよ、ちゃんとわかったわ。呪霊に子供が捕まってるから、さっさと行くわよ」
「後で僕にもして」
「……俺にも」
呪霊は野薔薇が綺麗に倒してくれた。子供を助けて保護した後、俺も呪霊を倒す。
野薔薇が二匹、俺が一匹。問題なく倒せた。
「悠仁ー! じゃあ、僕の番! 長い予知の方見せてよ。特に僕の死に様とか」
「死に様ってなんですか」
「えっ 五条先生、死ぬんですか」
「正確には封印だって。で、野薔薇は美しく散るらしい。ハロウィンね」
「ちょっと教えなさいよ」
「お、俺は?」
「死ぬけど宿儺に助けられる」
「「「なんで?」」」
「さあ? でも、俺テレパス上手くね―し、五ヶ月分の予知となるとざっくりでも時間掛かるぜ?一日一人、ほぼ一日額くっつけてる事になると思う」
「いいよ。今日は開けてあるしね、ついでに悠仁の前の記憶もみたいな」
「俺も気になる」
「役得ね、紅一点とずっとくっついてるなんて!」
「あんまり楽しいもんじゃね―ぞ?」
「悠仁をもっと理解したいからね! じゃあ、今日は早めに帰ろう。東京案内はまた別の日にしてあげるよ。今度は好きな所連れて行ってあげる」
「先生大好きー!」
「あはは……俺はいーよ」
「悠仁も、連れて行くからね! これ強制」
そして、呪術高専に戻ると、早速五条先生は俺に額をくっつけた。
「じゃあ、僕の最期からどーぞ♪」
「最期って言うな」
いいながらも、俺は予知を思い出しながらテレパスを送る。
直後、首を絞められた。
「ちょ、五条先生!!」
「ごめ、悠仁!! ちょっと予想以上に酷くて勝手に身体動いちゃった」
「納得できない被害者にボコられる事はたまにあるから、大丈夫」
「五条先生!」
「悪かったよ、続けて」
その後、伏黒と釘崎はハラハラしながら俺が五条先生に記憶を流すのを見守ってくれた。
ざっくり予知した五ヶ月間を流し、前世の退屈な記憶や、常識をざっくりと流す。
深夜まで及んだ。
「野薔薇も恵も、遅くまで付き合ってもらって悪いね。悠仁の考え方は理解したつもりだよ。貰った情報は指導に役立たせてもらうよ」
翌日、五条先生はあちこち調べなくてはならなくないと出ていった。
そして伏黒である。
「どいつもこいつも、全力で俺を巻き込むんじゃねぇ……。あ。強くなるヒントを得た気がする。サンキュ、虎杖。その、前世で出来なかったこと、全部しようぜ」
「伏黒、俺は十分満喫したって」
まあ、伏黒も大変だと思う。かーちゃんだったり、宿儺だったり、禪院家だったり、勝手に仲間意識を抱く加茂家はまだ可愛いもの。俺も人のことは言えねーけどな!
そして、最後野薔薇。
「虎杖!」
「はい!」
「あんた私のこと好きなの?」
さり気なくそばにいてくれた伏黒が吹いた。
「えっ 俺達、出会って3日目……」
「じゃあ、未来のあんた、私の事好きなの?」
「好きか嫌いかで言えば、当然大好きだけど? でも同じくらい恵も好きだぞ」
伏黒は咳き込む。
「バイなの?」
「お前の好き嫌い恋愛感情しかね―の? いや、たった三人きりの同級生と仲良くなれないほうがやべーだろ」
「それもそっか! 許す!!」
「「何を!?」」
更に次の日。
「悠仁ー。宿儺の指、一本追加ね。その後、模擬戦しよっか。宿儺と10秒代わって再交代できる? 縛りはしちゃ駄目だよ」
「多分出来る」
そして、俺は指を一本飲む。
『ふん。気に入らんな。一発殴る』
「いいね。手合わせ願おうか。生徒の前だから、良い格好させてもらうよ」
宿儺の指二本対五条先生は五条先生の勝ち。
でも、取り込む時は先生と一緒という約束をした。
宿儺の指を持つのもなしだ。手に口を作られちゃうからな!