一年生組と教師組しかいない食堂で、コーヒーを片手に会議を開始する。
なお、虎杖は休んでいる。
「さて、今は悠仁がテレパスの使いすぎで休んでいるから、僕達の間で擦り合せするよー」
「悠仁の暗殺の件ですね」
「悠仁のトラウマの件かしら」
「まあ全般的に? あ、悠仁にはちゃんと話し通してあるから仲間はずれではないよ」
「まず、トラウマに関しては知られないようにね。どこで監視があるかわからないから、口には出さないように」
伏黒と釘崎は深々と頷いた。
「悠仁のプレコグの裏とりは順調に進んでいるよ。……傑の遺体は盗まれてる。わかっていても、罠にかかる確率は高いかな。流石に僕も、親友の遺体が好きにされて何も思わないことは無理だしね」
「使われたら終わりってこと?」
「ま、そうだね」
「悠仁にあんな想いさせないし、あんな犠牲出すなんてごめんよ」
「そうだね。後、教師としては秤の現状も頭痛いかな……」
「「あー」」
「とりあえず、面倒なことは僕が受け持つから、トラウマ案件については君達の方で目を配ってあげてよ」
「わかりました」「わかったわ」
そうして部屋に戻ると、虎杖は既に起きているようだった。
「虎杖」
「うーん。やっぱり棺桶にすっかなー」
伏黒は虎杖の部屋に押し入った。
「今、棺桶って言ったか」
「うお!? な、なんだよ伏黒!」
「棺桶ってなんだよ」
「ん? プレコグ活用のために、画材とか色々用意しようと思ってさ。こっちにはプレコグ用の道具とかベッドとかもないし」
「ん、ああ、あれか……。棺桶はやめとけ。五条先生に相談すればいい」
伏黒は虎杖の記憶を思い出す。狭いカプセルベッドに入れられ、頭にヘッドセットを被って、丸一日寝っ転がって予知をしてイエス・ノーボタンを押す。
それが虎杖の仕事だった。
楽? とんでもない。暗く身動きすら出来ない場所に閉じ込められて、命令を待ってイエス・ノーボタンを押すだけの仕事。発狂しそうな仕事である。
何よりも、とても機械の「部品」っぽい。人権を完全に無視している。
「プレコグ、お前だけなんだし、口があるんだからあんな機械の真似事なんてしなくていいだろ」
「そうかな」
「そうだよ。対面式でプレコグの内容で激高されることがあったら、今度は俺がちゃんと守るから。五条先生が相手でも」
「伏黒……ありがとな」
「別に。当然のことだろ」
そこへ、野薔薇がやってきた。
「今日は皆で渋谷に出かけるわよ!」
「俺はパス。基本、必要時以外は外に出ね―んだ」
「いや、そこは出ろよ」
「そうよ」
「あー。まだ五条先生いる?」
「いたけど」
「じゃあ、ちょっと話そうか」
俺達は食堂へと向かった。
「どうしたの、悠仁」
「先生、ちょっとお金と名義貸してくれません?」
「何するの?」
「本当は、禁じられてるんですけど。ちょっとプレコグ舐めてるみたいなんで、実地で俺から授業をって。ちょうど今日、競馬してますし、今回の一度だけ」
「あ、なーる」
「プレコグであてんのか?」
「勝率4割でしょ?」
「まあ、見てろって」
その日の夕方、五億超えの利益を叩き出した俺は三人にドン引きされていた。
もちろん、確定申告など面倒や税金があるし五条先生の名義でお金なので五条先生に丸投げである。
そもそも、プレコグをこんな事に使って稼いだお金を懐に入れるなんぞ言語道断。
でも五条先生にはこれから色々ねだっちゃお。それはそれ、これはこれ、こういうのもまねーろんだりんぐである。
「で? 俺がプレコグってバレつつある状況で俺に人混みに行けって? あ、これズルで前世では法律で禁止されてた行為だから、二度とやんね―から」
「許可はしたけどさぁ。これ誤魔化すの大変なんですけど。あ、それと。そんなに不安なら、たまに僕が連れ出してあげるよ。僕最強だし、引きこもりは良くないって」
「もうちらほら情報漏れてるから、いいかなって。五条先生がいてくれるなら安心だな。ありがと」
「すげーな……すげーわ」
「そりゃ外には出せないわね。四人の休日が重なったら、歓迎会は遊園地がいいわ」
「いいよー。連れてったげる。あと、悠仁は自衛方法を重点的に教えていこうか。や、僕への懸賞金を超えてくるとは思わなかったな」
「今生では、戦闘にちょっと生かせるようになったんだぜ? 攻撃を予測すんの」
「お! いいねー。そういう方法はどんどん学んでいこうか!」
『プレコグとはお前より厄介なのではないか? 五条 悟。俺すらやりにくいと思うしな』
「そうかもね。でも、生きにくそうだ。本気で強くならないとね、悠仁」
「ん、わかった!」
「お前、二度と人前でこんな事すんなよ」
「そうよ。未来はあくまで未来でしょ? 現時点では会ったばかりなんだし、私達のこと、信じすぎなのよ。悠仁はもっと気をつけなさい」
「心配ね―よ。ここまでしてもこの三人は目の色を変えないってプレコグで知ってたから見せたんだ。他のやつには絶対見せね―し協力しね―」
俺は三人にもみくちゃにされた。