ストレイガールズ   作:嘉月なを

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第3章 それぞれの道
#23-挑戦状


 灯りの消えた部屋の中で、あたしはスマホの画面を見つめていた。

 早く寝ないとと思いながら、何度も何度も確かめてしまう。レースの着順と、ライブの写真。ステージ衣装を身に着けたあたしがセンターに写った、ネットの記事。それから、LANEに届いた、母さんからの祝福の言葉。

 

『本当におめでとう』

 

 それから、長々と(つづ)られたメッセージの最後に、締めくくりのひとこと。

 

『ありがとう』

 

 なんだか最終回のセリフみたいで笑ってしま。まだまだ、あたしの戦いは始まったばかりなんだから。感動的なコメントは、もうちょっと後に取っておいてもらわなきゃ。

 いつ眠りに落ちたのかはわからないけれど、夢は見なかった。今日はどんな夢よりもっと嬉しい現実を見られたのだから、それでいいと思った。

 

「だから、なるべく早く次のレースに出たいの」

 

 一夜明けたミーティングで、あたしはトレーナーに直訴した。メイクデビューを勝利したとはいえ、目標の桜花賞までスケジュールに余裕はない。依然として厳しい戦いだ。だからこそ、少しでも多くレースに出たい。賞金額やファン数を稼がないと、優先出走権をもらうためのトライアルにすら出られないのだから。

 

「そう言うと思った」

 

 トレーナーもその気持ちは()んでくれているみたいだった。けれども、その前にやらなきゃならないことがあるらしい。

 

「今日は診療所に行って、脚の検査をしてきなさい。この後のローテーションは消耗具合を見てから決める。いいね?」

「ええー……」

 

 疲労を感じているならともかく、あたしはいますぐにでもレースをしたって平気なぐらい、身体に余裕がある。だから、軽い気持ちで「そんな必要ない」と言い返した。

 そのとたん、トレーナーの表情が変わった。今までに見たことが無いような、厳しい顔。トレーニングで追い込むときのそれとはまた違う雰囲気だった。

 

「ダメ。行きなさい。焦る気持ちはわかるけど、脚のケアを軽んじてはいけないの。検査結果を持ってくるまで、ルピナスは襲歩(ギャロップ)禁止ね」

 

 思ってもみない反応に戸惑っていると、横からクラウンセボンが耳打ちしてきた。

 

「ルピナスちゃん、ここは言うこと聞いておいた方がいいと思う」

 

 クラウンセボンまでそう言うのなら、仕方ない。トレーニングのことならこのチームで彼女ほど詳しいウマ娘はいないわけだし、どうやらおとなしく従うほかないようだ。

 

「わかった、わかったよ」

 

 叩き出されるようにして部室を後にしたあたしは、しぶしぶ学園の保健室に併設された診療所へと向かった。

 

「はい、この線の上をまっすぐ歩いて」

 

 検査は、年に一度の身体測定とほとんど変わらなかった。線の上を歩いて、エコーやらレントゲンやら、よくわからないものをいろいろ撮って、終わり。抑揚もなく「所見なしですね」という無感情な言葉に、胸をなでおろす。同時に、ほらやっぱりと思った。子供のころから、あたしは脚の丈夫さには自信がある。マメや靴擦れで痛い思いをしたことはあっても、骨や腱を傷めたことは一度もない。

 検査の結果は良好だったけれど、あたしは浮かない気持ちになっていた。それもこれも、初めて目にした検査会場の雰囲気のせいだ。

 

「もう一回、もう一回検査してください!」

「何回やっても同じです。それと、跛行(はこう)を隠そうとするのはやめなさい。炎症を起こした脚で無理をすれば、取り返しのつかないことになります」

「そんな……」

 

 悲鳴のような懇願と、頑として首を横に振り続ける医者。周りの他の職員もみんな淡々と仕事をこなしている。泣きながら診療所を飛び出していく子や、反対に飛び上がって喜ぶ子。あたしみたいに、なんの異常もなくてホッとしている子。そのどれにも動じない。きっとこんな光景は日常茶飯事なんだろう。ウマ娘の脚はガラスの脚だなんてよく言われるけど、ここへ来るとその意味が分かるような気がした。トレーナーのやけにシリアスな態度も、当然だったのかもしれない。

 

「ほら、持ってきたよ」

 

 検査結果を手渡して、あたしはトレーナー室のソファに寝転がった。デビュー勝ちをして盛り上がっていた気分も、すっかり萎えてしまった。

 

「へえ……」

 

 トレーナーはそんなふうに呟きながら、渡された資料をペラペラとめくっている。今ごろ他のメンバーは併走でもしてるんだろうか。それとも、ジム? どちらにせよ、今日はもう参加する気も失せてしまったけれど。

 

「ルピナス」

「なに?」

 

 あたしは寝転がった姿勢のまま、声だけで返事した。その後のトレーナーの言葉を全く予想していなかったから。つまるところ、油断していたわけで。

 

「京都、行こうか」

「へ?」

 

 それからはあっという間だった。トレーナーはてきぱきと出走登録を済ませ、あたしは中1週で次のレース、京都内回り、芝1600メートルのプレオープン戦へ出走することになった。

 

『勝ったのはルピナストレジャー! 中1週もなんのその、破竹の勢いでデビュー二連勝となりました!』

 

 怒濤(どとう)のようなスケジュールに追われて、実感もほとんどないままの出走。それでも、あたしは無事連勝を果たした。初めての右回りコースも、特に問題なくクリア。これで目標には大きく近づいた。あとはトライアルレースのどれかで上位に入れば、桜花賞への出走権を手に入れることができる。

 

「ルピナスちゃんおめでとう! すごいよ、本当にすごいよ! デビュー二連勝なんて、クレセントさんと一緒だよ!」

 

 レース翌日の朝、遠征から帰ってきたあたしを出迎えるなり、クラウンセボンは興奮気味に手を叩いた。あたしは苦笑いしていた。さすがに1勝クラスを勝っただけのあたしとGⅠレースを勝ったレイアクレセントを一緒にしちゃまずい。とはいえ、当のレイアクレセントも特に不機嫌になることもなく、混じりけの無い笑顔で勝利を祝ってくれた。

 

「この調子なら、ルピナスさんもそろそろGⅠ用の勝負服を考えないといけませんね」

「あ、それなんだけど……」

 

 思わずそこまで言いかけて、ハッとした。実を言うと、デビュー戦を勝った時点で、すでにデザインの発注は済ませている。ただ、そのことはまだ他のメンバーには言っていない。あたしが本気で桜花賞を目指してるという話は、あたしとトレーナーだけの秘密だった。

 口を滑らしそうになったあたしは、急いでごまかしの言葉を付け加えた。

 

「……あたしも、それ考えてたんだよねー!」

 

 大丈夫。うまく、隠せたはず。危ないところだった。

 その日はまたトレーナーの指示で脚の検査。そしてトレーニングは見学。レースに出るのはいいけど、レースが終わると数日は絶対安静を言い渡されるのはなんとももどかしかった。早く桜花賞への切符を手に入れたいという焦りもある。でもそれ以上に、練習している他のメンバーに置いて行かれるような気がしてしまう。それが嫌だった。

 午前中は検査でまるごと潰れ、やっとのことでトレーニングコースに顔を出すと、ちょうどクラウンセボンがダートコースから引き上げて休憩に入ったところだった。

 

「ルピナスちゃん、脚は大丈夫だった?」

 

 砂汚れを拭き取るのを手伝おうとして、あたしがタオルを手に近寄ると、待ってましたとばかりにクラウンセボンはあたしの脚の心配をはじめた。

 

「なに、どうしたの? あたしの脚が丈夫なことはボンが一番よく知ってるでしょ」

「うん。それはわかってるんだけど、やっぱり間隔が詰まってたし……」

 

 クラウンセボンはそこで言葉を切ったものの、何か言いたげに口をもごつかせている。

 

「ぜーんぜん、問題なし。検査の先生からも『丈夫ですね』って言われたよ」

 

 あたしは安心させるために、わざと大げさに身振りをしつつ、先生の無機質な感じをモノマネしてみせながらそう言った。それでクラウンセボンはようやく顔を緩めてくれたけれど、あたしの方はどうも引っかかりを覚えていた。

 そういえば、デビュー戦の後も「検査しろ」というトレーナーの肩を持ったり、やけにあたしの心配をしてくる。もちろん、初詣でも願ったように健康第一というのはわかるけど、ちょっと過敏な気がした。なにか不安にさせるようなことがあったんだろうか。あたしは思い切って尋ねてみることにした。

 

「何かあったの? スカウトされる前に一緒に練習してた時は、どんなハードワークしてもあたしの脚の心配なんてしなかったじゃん」

「う、やっぱりわかっちゃう?」

 

 そりゃわかるわ、と思いつつ、話せ話せと肘で小突いた。こうなった時のあたしはしつこい。

 クラウンセボンはしばらく迷うようにしながら、あたりを見回して誰も近くにいないことを確認すると、人目を(はばか)るように小声で話し始めた。

 

「これは、ちゃんと確かめたことじゃないの。だから、私の勘違いかもしれないってのは、わかっておいてね」

 

 そんな前置きをするなんて珍しい、と思った。クラウンセボンはいつも直感的ながらも、ズバリ正解を言い当てることが多い。その彼女がこんな風に言うのだから、よほど慎重になるべき話なんだろう。あたしはゴクリと唾を飲み込んで頷いた。

 

「あのね。クレセントさんのことなんだけど……去年の朝日杯から今まで、一回もレースに出てないでしょ?」

「そういえば、そうだね。……え、まさか」

「ああ、違うの。別に怪我してるわけじゃないと思うんだけど」

 

 あたしの想像は先回りして否定されたので、ひとまず安心した。でも、クラウンセボンの表情は変わらず浮かない。

 

「ずっと一緒にトレーニングしてて思ったの。もしかしたら、クレセントさんは……」

(わたくし)がどうかしましたか?」

 

 ひっ、と声を上げてクラウンセボンが飛び上がった。いつの間にか、レイアクレセントがあたしたちのすぐ後ろに立っていた。

 

「な、何でもないの。あ、そうだ。私まだメニュー残ってるんだった! じゃあね、ルピナスちゃん、クレセントさん!」

 

 逃げるようにクラウンセボンはその場を去っていった。走るなと言われているあたしは追いかけることもできない。

 

「一体何の話をなさっていたんです?」

「んー、なんか、あたしの脚のこと心配してるみたいよ」

 

 よくわからなかったあたしは、とりあえずはっきりしていることだけを伝えた。

 

「確かに、ルピナスさんのローテーションは厳しいものでしたからね」

「そうそう、アンタと比べて感覚が詰まりすぎだって言いたかったんじゃないかな」

 

 なるほど、とレイアクレセントはそれでひとまず納得したようだった。

 それよりもあたしが気になったのは、彼女がタオルやら着替えやらをバッグに詰めて、もう練習を終わろうとしていることだった。まだお昼を少し過ぎたところ。練習を切り上げるには早すぎる。

 

「早いね。もう上がり?」

「ええ、今日はあの子の共同通信杯ですから」

 

 そう答えながら、レイア家の令嬢は学園の隣にある東京レース場の方を指さした。そういえば、とあたしはそこでやっと思い出した。

 今日開催される共同通信杯。そこには、レイアフォーミュラが出走することになっている。確か、去年の東スポ杯ジュニアステークス以来の出走だ。年末のジュニア級GⅠをスキップしてまでクラシック三冠への準備を優先したというのだから、その走りには嫌でも注目せざるをえない。特に彼女を意識しているレイアクレセントにとっては、見逃せないレースになるはずだ。

 

「会場で直接観るの?」

「ええ、せっかくですから。ルピナスさんもご一緒にいかがです?」

「いいねそれ」

 

 あたしはすぐに飛びついた。ただ座って眺めているなら、トレーニング風景よりもレースを観たい。

 

 

 メインレースの時間が近づいているとはいえ、会場はGⅢ開催とは思えないほどの人混みだった。あたしたちは関係者側の入り口から入ることができたけれど、一般入場だったら、この時間じゃもう入る隙間なんてなさそうだ。

 

「やっぱすごいな」

 

 人が多すぎてひとつひとつの声はよく聞き取れないけど、空気でわかる。今日の観客は、レイアフォーミュラの勝利を見に来ていると言っても良い。勝って当たり前、どんな勝ち方をするのか、というような感じが漂っている。

 

「人気投票も60%以上の方があの子を支持しているそうですよ」

「うへー。圧倒的」

 

 そんな支持率、一遍でいいから集めてみたいもんだ。……と思ったけど、それはそれでプレッシャーがヤバそうだとも思った。会場の半分以上の人が自分の勝ちを期待してる状況なんて、ちょっと想像がつかない。

 

「あ、入ってきましたよ」

 

 誘導ウマ娘の姿をいち早く見つけたレイアクレセントが指さしたのと同時に、場内アナウンスが流れてきた。

 

『第一回東京開催六日目、共同通信杯GⅢの本バ場入場です』

 

 一斉に上がる歓声に合わせて、あたしも腕を振り上げて声を送ろうとした。

 

「わあー……あ」

 

 あたしの声はそこで止まってしまった。ターフに降り立ったレイアフォーミュラの姿を見て、思わず息をのんでしまったからだ。みんなと同じ体操服姿のはずなのに、他と全然違って見える。一応はクラスメイトだし、教室でいつも顔を合わせているから見なれたもんだと思っていたけど、それは大きな勘違いだった。もちろん、教室でも普段から威圧感バリバリの彼女だけど、レースに臨むときのそれはさらにすごい。何というか、指一本でも触れれば噛み殺されそうな雰囲気さえあった。

 

「やっぱり、あの子は強い。間違いなく、偉大なウマ娘になります」

 

 そう呟くレイアクレセントの声は、心なしか震えていた。多分彼女も、あたしと同じものを感じ取っているんだろう。あの圧力、同じウマ娘ならどれほどニブくたってわかる。以前あたしが模擬レースで浴びせられたものとはもうレベルが違う。ゲートの前でウォーミングアップをする出走者たちを見つめながら、あたしは思った。客席からのこの距離でこれだけビリビリくるのだから、あんな間近で一緒にゲートに入るだなんて、どれほど恐ろしいだろう。

 

『……最後に7番のフジノフラッグが入ります。各ウマ娘、枠入り完了して……スタートしました!』

 

 そのレースが終わるまでの間、あたしたちは互いに一言も発さなかった。いや、()()()()()()という方が正しいかもしれない。絶対に負けるわけがないレースというのは、こういうものだという具合の、まさに横綱相撲。最後の直線、デビュー戦の時と同じように「もったまま」の走りで圧勝。着差こそ二バ身差だけれど、力の差は歴然としていた。二着に入ったのはオリンピアコス。彼女は通常の年なら勝っていたはずだ。

 

「クレセント」

 

 あたしは思わずレイアクレセントの方を見た。あたしが彼女の立場なら、こんなレースを目の当たりにしたら動揺してしまう。

 けれど、レイア家のジュニア王者はあたしとは違った。

 

「なんて顔をしているんです。私がこの程度で怖じ気づくと思いましたか?」

「い、いや、そういうわけじゃないけど」

「私はGⅠウマ娘ですよ。あの子はまだ、GⅡとGⅢをひとつずつ勝っただけ。私の方が格は上なんです」

 

 確かにそう言われればそうだ。レイアクレセントは、もうあたしとは全然見ている景色が違う。ただのオープンクラスのウマ娘であるあたしと、GⅠ勝者でジュニア王者のウマ娘である彼女。こんなすごいものを見ても、武者震いこそすれ、戦慄することなんてないんだ。それがハッキリわかって、あたしは複雑な気持ちだった。

 

「ねえ、クレセント」

 

 そんな複雑な気持ちが、あたしの口を勝手に動かしていた。

 

「アンタの気持ちはわかるよ。……ううん、わかってないかもしれない。でもわかってるつもりだよ。アイツに勝ちたい、アイツと勝負したいって気持ち。……あたしも、同じような気持ち、持ってるから」

「……何がおっしゃりたいんですか?」

 

 ああ、怒ってる。声色に表れているだけじゃない。耳も真後ろに絞って、ピクピク跳ねている。この話題についてだけは、いつも温厚な彼女も過剰なほど敏感になる。でも、あたしは止まれなかった。

 

「クレセント、あたしにチャンスをくれない?」

「チャンス?」

「そう。あたしが、アンタのライバルになるチャンスを。アンタが、フォーミュラのライバルになる前に」

 

 きょとんとした顔でレイアクレセントは首をかしげた。瞬間的な怒りは去ったようだけど、今度はあたしが何を言っているのか、よくわからないという感じだった。

 だからあたしはそのまま続けた。想定していたプランとは全然違うけど、いまを逃したら、もう届かなくなりそうだから。

 

「あたし、来月のチューリップ賞に出る。そこで、桜花賞の出走権を取る。絶対に。だから……」

「そういうことですか」

 

 そこで察してくれたらしい。だけど、これはあたしの口から言いたかった。だから言った。

 

「あたしと、勝負して。桜花賞で」

 

 レイアクレセントはため息をついた。呆れただろうか。考えてみれば、受けたところで彼女にとってなんのメリットもない挑戦状だ。デビューが遅れたヒト生まれとの勝負に付き合って、本当に戦いたい相手との勝負を先送りにしろだなんて。

 けれどその反応は、意外なほどあっさりとしていた。

 

「なんとなく、そのようなことを言い出すのではないかと思っていました」

「えっ」

「だって、随分焦って出走回数を稼ぐんですもの。何か狙いがあると考えるのは当然でしょう」

 

 ついさっきまでとは打って変わって、レイアクレセントはにこやかにそう言った。しばらくして、彼女はふいに何かに気付いたように「あ」と呟いて手をパンと叩いた。そして、今度は向こうがこちらに尋ねてきた。その顔は、すっかりいつもの彼女に戻っている。

 

「これはひょっとして『フォーミュラに挑むなら、そのまえにあたしを倒せ』という試験ですか?」

「あ……うん。それも、ちょっと、ある」

 

 あたしはつい正直に答えてしまった。するとレイアクレセントは、まるで子供のようにケラケラと声を上げて笑い出した。

 

「ルピナスさんのそういう正直なところ、私大好きです。とってもわかりやすくって、(よこしま)な想像が必要ありませんから」

 

 なんだか散々誰かさんに言われた言葉。ムッとして言い返したい……ところだけど、妙にそんな気になれない。あっちの芦毛のルームメイトとは違って、こっちのご令嬢にはまるで毒っ気がないんだもの。

 

「まあ、ルピナスさんの希望はわかりました。でも、すぐにはお答えできません。少し、考える時間をくださいな。何といっても、一生に一度のことなのですから」

 

 ね、という念押しに、あたしは頷くしかなかった。

 それにしても、本当にあたしは隠し事が下手くそだ。こんなに「わかりやすい」と言われると、自分がバカみたいに思えてくる。あたしはほんの少し気落ちしながら、帰ったらこのことをトレーナーになんと説明しようか考えていた。


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