ノイルピーン市街地でホテルアルベルトにいると思われる西方総軍総司令のフランツ・ハイム少将の拘束を口実で反体制派の殲滅に向かった。
僕もニコラ率いる中隊と共に同行したが、リィズの指摘を聞かず反体制派の罠だと気付かないニコラはイングヒルトにより知らせる
罠だと気付いたニコラは反体制派の思惑に嵌らず、抵抗してくる戦術機部隊に向け警告をしたが、投降する意思はなく戦いざるを得なかった
そして戦線から離れたリィズはテオドールと交戦
僕はリィズはニコラを見捨てる気だと気付き残存の機体を市街地に残し僕とニコラはリィズを監視し追跡した。
僕はビーム・ライフルでリィズ機の頭部を破壊
ニコラ機もリィズ機に近づき突撃砲で恨みを込めるように両腕、両脚を破壊
リィズ機は行動不能になった。
そして、彼女の命の灯火が………消えて……いった。
「そんなバカな……」
テオドールは愕然とした。
大事にしていた義妹だから悲しくなるのも無理もない。
だが、遅すぎた。
リィズ・ホーエンシュタインという純粋な少女は3年前で既に死んでいる
「うぅ……リィズ先輩……うぅ…うあああああああああ!!」
ファルカは息を引き取って動かなくなったリィズの亡骸を抱き締め泣き叫んだ。
絶望的な表情になり自分が持つ拳銃で蟀谷に当てて自決しようとする
「うぅ…リィズ先輩がいない世界では、生きていられない!だから……先輩、私も後から追いかけます……」
泣きながら優しい笑みを浮かべるファルカはレバーを引こうとした時、僕は拳銃を奪い取り上げる
「!」
僕は奪い取り上げた拳銃をニコラに渡す
「返してください!私はリィズ先輩がいないと……リィズ先輩がいないと生きていけない……!」
「すまないが、それは出来ない」
「どうして!?」
ファルカは悲しいだけでなく寂しいと感じていた
リィズがいないと生きていけない
良い後輩持ったな、リィズ
「アンタが死んだところで何が変わるんだ?」
「うぅ………」
何も言えないのか……そうだ、何も言えないんだ。
「自分が死んだら家族や親戚が喜ぶのか?逆だ!悲しくなるに決まっている」
両膝をついて泣き叫ぶファルカは泣き叫ぶしかなかった
「うぅ…うああああああああああああ!!!リィズせんぱああああい……!!」
愕然としているテオドールはニコラに近づく
「何だ?エーベルバッハ」
「どういうことだ。何故リィズを殺した!?」
テオドールの表情は怒りに満ち復讐心が冴える顔だ
「リィズ・ホーエンシュタインは我々を見捨てようとし敵前逃亡を図った。そして私は人狼の鉄槌を下したまでだ」
ニコラは何も言わずリィズが巻いてる水色と白色のリボンを解きそれをテオドールとファルカへと手渡した。
テオドールは言葉を失い、その場に座り込んだ。
「ホーエンシュタインは生きる価値がなかった、がそれ故にエーベルバッハの為に自らの欲を出しベルンハルト大尉を粛清しようと企てた」
リィズは確かにテオドールの為に戦った。
今までの生活を取り戻す為に
テオドールと一緒にいたい為に
そして幸せになり結婚したい為に……。
「ホーエンシュタインの数々の悪行のツケは既に払った!私はそれを受け取ったまでだ」
ニコラは凛とした表情で語ったが、その言動によりテオドールは激怒
「うおおおおおお」
テオドールはニコラに向かって殴りかかるが、ニコラは避けきれず殴られかけるが僕はその拳を正面から止めた。
「アンタの怒りは、理解できる」
「俺はお前を……信じていたのにどうして!」
「僕は東ドイツにとって一番良いと思う選択をしただけだ!致し方なかったんだ!体制を蝕んだ毒は浄化しなければならない……僕はそれを見守ったまでだ」
テオドールは錯乱していた。
無理もない。
生き残った唯一の肉親を奪ったのがヴェアヴォルフの副官だったのだ。
ファルカはリィズが巻いていたリボンの片っぽを握り締め号泣している
信頼、憎悪、怒り……その3つだけがテオドールの自我を保った。
手を掴まれたままにテオドールは僕に蹴りを放ったが、僕はテオドールの腕を引き思い切り投げ飛ばした。
だがテオドールは止まらない。また僕に襲いかかる。
その隙にニコラはテオドールに向け拳を強く握り締め鉄拳制裁
そして膝蹴りした
ニコラはテオドールの胸倉を掴む
「貴様の義妹は既に壊れていた!地に堕ちた外道を葬って何が悪い?」
「くっ……!」
「命令を背き愚劣で外道な衛士は生きる資格はない!いい加減分かれ!テオドール・エーベルバッハ!!」
「ぐ……うぅ……」
怒りと悔しさが満ちた表情でテオドールはニコラに向け睨みつける
テオドールは自ら所持している拳銃にリィズのリボンを巻きつけると、僕に拳銃を向けた。
「ハサウェイ!シュタージを全滅させるまで元の世界に逃げるなよ!!お前を殺すのは俺なんだからな!!」
元の世界……僕がいてた世界の事を指してるだろう
宇宙世紀、それは数々の波乱万丈の出来事を歩んだ暦だ。
「元の世界に戻れはしないよ。この世界で生きていくことを決意したんだ」
「だとしても、俺はお前を殺す!」
と言い、テオドールはただ見守ってるグレーテルとファムの元に行き自分の機体の管制ユニットに乗り込み反体制派の拠点地へ戻っていった
「良いのか?貴様の戦友だろ」
「良いんだ、僕はマフティーとして生きるんだ。この世界で……ベアトリクスが描いてる世界を築き上げたい」
僕は誇らしげな笑みでこう言った。
ニコラは少しキョトンとした表情で僕の顔を見る
ファルカは漸く泣き止み、ニコラに近づきつつ抱き着いた
「ファルカ……貴様に辛い思いさせてしまった……本当にすまない」
「大尉は……自分の判断で下したまでです。私はリィズ先輩の死を乗り越えて生きて行こうと……」
ニコラはファルカの頭を撫でつつ優しい笑みを浮かべる
「そうだ、ホーエンシュタインの死を乗り越えてこそ貴様の道はまだまだ先へ進むことが出来る」
ファルカはリィズの死を受け入れてこれから先の未来へ進み戦い続ける事を決意した
……これでいい。
テオドールが恨むのは僕だけだ。
反体制派との最終決戦が近づいていた。
僕はこれでよかったのだと思っていた。
これでいいんだ。
自身のした選択に後悔などない。
僕は、マフティー・ナビーユ・エリンとして戦うのだから
反体制派の拠点地であるオラニエンブルクに到着したテオドールは遺体袋の中に入ってる息を引き取った義妹であるリィズの亡骸をただ悲しい表情で見ていただけだった。
アネットもリィズの死を知って泣いていた。
かつての仲間が死んだとしても誰だって悲しい。
ファムは泣いているアネットを慰めていた
優しい言葉をかけ続け、心のケアをした
医務室に寝込んでるシルヴィアとヴァルターもリィズの死を知られた。
シルヴィアは満更でもない表情でリィズの死を受け入れた
それに対し反体制派のリーダーであるズーズィ・ツァプはテオドールがリィズを殺めたことを称賛し笑顔を振る舞いその死を受け入れた。
本当はニコラがリィズを殺めたのだが……シュタージの中隊副官がシュタージの一衛士を殺めたことは事実である……が、ズーズィはテオドールが殺めたと思い込み称賛した。
反体制派の拠点地であり本部機能を構えているオラニエンブルクは流域の都市でありハーフェル川が目の先にある
次の戦場はそこだろう。
反体制派に合流したライプツィヒから来た第612戦術機中隊のリリー・レーヴィット少尉、オイゲン・アルトナー中尉はノイルピーン市街地戦で戦死したヨーゼフ・マイツェン少尉の亡骸を墓に最適な場所に埋めた
「すまない、マイツェン少尉……お前をライプツィヒの地に帰れなくなって本当にすまない」
オイゲンはヨーゼフの亡骸を埋めた後墓標を立てる
「アルトナー中尉、666の衛士達がシュタージの…」
リリーはオイゲンに尋ねる
「いや、エーベルバッハ少尉が言うようにあれは彼の義妹さんだ。名前はリィズと言って彼女はシュタージの呪縛に囚われた」
オイゲンは淡々と少しずつ話す
リリーは少し驚く
「え?そうだったの……」
「レーヴィット少尉…いやリリー、俺は必ずマイツェンの仇を取る」
リリーはクスっと笑みを浮かびながら言い放つ
「それは私だって同じよ、オイゲン」
テオドールが反体制派の建物から出てきて僕が告げたアイリスディーナが囚われているカウルスドルフ収容所があるベルリンへと向かおうと、準備のために仮拠点に向かう。
「エーベルバッハ少尉、もういいのか?」
オイゲンはテオドールに声をかける
「君の…義妹さん。顔見納め終わったのか?」
「ああ、義妹の顔を見納め終わった」
テオドールは寂しく悲しげな気持ちだが表情は決意を表現している顔だ。
「心中お察しするわ」
「ゼーロウ要塞陣地、何か上空に変な戦艦が飛んで見たことがない機体までBETAを駆逐してたらしいな」
オイゲンは話を変えゼーロウ要塞陣地で変な戦艦と見たことがない機体の事を語る
恐らくドミニオンとフォビドゥン、レイダー、カラミティ、ストライクダガーの事を指してるのだろう
オイゲンは困惑している
「まぁ、あれだけの戦力があれば守りは固まるが長くは持たないだろうな」
テオドールは黙った
改めてカウルスドルフ収容所へ向かおうとするが、その途中事実上条件付きで共闘しているアクスマンに呼び止められる
「一人で行くつもりかね?」
「あぁ、俺一人でアイリスを助けに行く」
「もしかすると、ベルンハルト大尉が囚われているのはカウルスドルフ収容所かな? あそこには私が捕まえたスパイや亡命者、その他諸々の政治犯で一杯だ。まぁ、解放する前に警備部隊の機銃掃射で殆どが死ぬと思うがね」
アクスマンは凄みある笑みでテオドールを見下す態度を取った。
それを快く思わないオイゲン、リリーは彼にこう言い返す
「俺達の同志が事前に向かってお前が配下している兵士を粛清してる頃だ」
「そうよ!貴方は何の為に私達と共にいるのよ!」
「ほぅ、私の情報網によればシュプレーヴァルトで謎の機体が次々と配備していると優秀な部下から聞いたが」
これも恐らく僕がいた世界で運用してる機体だろう
ハイザック、マラサイ、ドライセン、ギラドーガ、メッサー等。
これらの機体がこの世界にあるという事はアクスマンの部下の一人、ミヒャエル・ゾーネ大尉が掴んでいた。
アイリスディーナの囚われている場所が直ぐに自分の捕らえた者達が送られる政治犯収容所であると分かり、不敵な笑みを浮かべながら立ち去ろうとした。
これに反体制派の拠点地に潜入してるガウマンは何か企んでいると判断して、部下らを連れて立ち去るアクスマンに何処へ行くのかを問う。
「(彼奴、確かマフティー…いやハサウェイの父親、ブライト・ノア艦長の声にそっくりだが……あの男はブライトではない)」
当然ながら、アクスマンとブライトは別人である
声が似てたとしてもそれは偶然の産物としか言いようがない。
「で、アンタは何処に行くんだ?大事な宝物がある場所にでも行くのか?」
「宝物?ご明察だよ。モスクワ派に占領されているかもしれない。もしもの時に備えて、幾つかCIAの目に引きそうな情報を持って行かないと」
ガウマンの問いに気分よく答えたアクスマンは早々と立ち去った。
「(拙いな……俺達の計画が台無しになる。マフティーに知らせねぇと)」
ガウマンはテオドールを呼び止める
「おい、坊主」
「俺の事か?」
「お前じゃなきゃ誰がいるってんだ!まぁ、聞けよ。お前が探してるアイリスと言う名の女はマフティーが導いてくれる」
テオドールはガウマンが言ってる事は良くわからなかった
「アンタ、アイリスを知ってるのか?マフティーって何だ?」
テオドールは頭の中が浮かんだ人物を思い出す
「………ハサウェイ、なのか?」
ガウマンは頷く
「お前なら今必要としている嬢ちゃんを救えるさ」
「ははは、じゃ何でリィズを……」
「俺は知らねぇ、けどよ。想い人を最優先にして助け出すのが真の恋人じゃねぇのか?」
ガウマンはテオドールにアイリスディーナを最優先にして助け出すのが真の恋人だと言った。
「なっ!?誰が想い人だ!?」
「どうやら図星のようだな。心配すんな。マフティーがお前のサポートしてくれる筈だ」
自分に期待を寄せるテオドールに対し、ガウマンは冗談を交えつつ誇らしげな笑みを浮かべる、想い人であるアイリスディーナをテオドールは必ず助けられると断言する。彼の想い人が彼女であることが図星だったのか、テオドールは顔を赤らめて怒りだした。
まだ20代にもなっていない青年を揶揄った軍人崩れで様々な大戦を戦い抜いたベテランパイロットは、別の建物にいるエメラルダ、レイモンド等のメンバーと合流しベーバーゼー基地からシュプレーヴァルトに戻った僕と連絡を取ろうと試みシュプレーヴァルト基地の管制塔に無線機で連絡する
「シュプレーヴァルトコントロール、応答してくれ!」
《此方、シュプレーヴァルトコントロール。どうした?》
「現在、反乱軍の拠点地に潜入し連中はハーフェル川近郊でアンタらとこの基地を襲撃するつもりらしい。モビルスーツは出せるか?」
《残念だが、それは出来ない》
「あ?」
管制塔の職員からベアトリクスに代わり引き続き連絡を取る
《ブレーメだ、何だ?》
「モビルスーツを出して頂きたいのだが、出来ないか?」
ガウマンの要請はベアトリクスに……却下された
《無理だ》
「何でだよ!」
ベアトリクスは歴戦の衛士みたいに真面目に返答しているが口調が変わり更にガウマンとのやり取りを続ける。
《貴方達の機体を出したら、私達が影薄くなって演出が台無しになるじゃない》
何とベアトリクスがモビルスーツを出さない理由は自分の演出が台無しになる事だった
これを聞いたガウマンは冷静に振る舞う
「……演出、ですか」
《そうよ、我々が如何にどれだけ強いのかアピールするのよ……マフティーもそれを賛同しているわ》
「何だと!?」
納得いかないのも無理はない
ガウマン達の出番が少なくなるからだ
演出の内容は、先ず反体制派の戦術機が現れ射程範囲内に入ったら迎撃。
そして森林からベアトリクスが乗る紅いアリゲートルが現れチボラシュカ2機がベアトリクスの護衛として出て来る。
更にベアトリクスが前に出て部下と同時に一斉砲撃する
これがベアトリクスが試行錯誤して考えた演出シナリオだ
「……マフティーも賛同してるのか?」
《ええ、演出終えた後は貴方達の好きにして構わない》
「分かった、とりあえず俺達は待機。でいいんだな?」
《そうよ、秘匿回線で連絡するわ。それまでは》
「待機ですね……了解しました」
ブツ!
通信終了。
ガウマンは不満だったが、ベアトリクスの演出シナリオの邪魔する訳にはいかないので我慢する
エメラルダも複雑な表情だ。
「どうするんだい?ベアトリクスの演出し終えた後は自由にしていいって」
「彼女の指示に従うしかない。俺らが出来る事はそれだけだ」
その頃僕はシュプレーヴァルト基地でクスィーガンダムの調整をしていた。
クスィーガンダムの他にハイザック、マラサイ、ギラドーガ、メッサー等のモビルスーツや105ダガーと言う名称のモビルスーツがずらっと並んでいた。
あのモビルスーツのバックパック、翼が付いている……。
あれはエールストライカーと呼ばれる換装パックらしい。
だから翼が付いてるのか……。
だが、ベアトリクスの命令でモビルスーツは邪魔だから演出の邪魔しないで。と言われた。
正直、彼女……ベアトリクスの事が気になる
何故僕がアイリスディーナの兄に似ているか?
その兄であるユルゲンは何故死んだか?
アイリスディーナとベアトリクス2人の間に何があったのか?
僕には分からない。
アストナージさんが物珍しそうにクスィーガンダムを見ている
ん?そんなに珍しい機体なのか?
実験機だから量産には向いていない事は確かだ。
それよりか、僕がいた世界以外のモビルスーツが目立っている。
そう考えていくうちに僕はこの世界を…BETAを地球上から抹殺すると。
そしてベアトリクスが描いた究極の戦闘国家を築き上げる。
この国が連邦政府みたいに腐敗し暴虐的な道へ歩むことは阻止しなければならない
「あら?考え事かしら?」
強化装備を纏ったベアトリクスが僕に近づく
「機体の調整しているだけだよ」
僕は皮肉っぽく笑みを浮かべる
「分かってるわね?私の演出終えるまでモビルスーツの使用は禁止よ。秘匿回線で連絡するわ」
ベアトリクス率いるヴェアヴォルフが如何にも強いかアピールする
まるで悪役みたいじゃないか
逆らったら粛清………この国を維持しないと
だからと言ってこのまま放置する訳にはいかない。
西側と連携しシュタージ打倒すれば民主主義は取り戻せるという考えをするものはいる
でも駄目なんだ…!そんなことすれば腐敗するだけだ!
反体制派の攻撃目標はあくまでこの国の恐怖政治と監視システム、それを握るシュタージ…。
違う、違うんだ。シュタージそのものではなくこの国の政権を掌握しているエーリヒ・シュミット長官だ。
彼は、ベアトリクスの調査によると正体はソ連のКГБ特務少尉らしい。
名前はグレゴリー・アンドロポフ。
ロシア人が東ドイツの政権を全て掌握している
つまりこの国はロシア人の1人により乗っ取られている
これでは道化だよ。
「マフティー……いやハサウェイ」
ベアトリクスは僕の顔に近づき頬を触る
「……ふふふ」
優しい笑みを浮かべ僕を抱き締める
僕は抱き締め返す
「私達が窮地に追い込んだら助けに来てくれる?」
「勿論さ、アンタは危なっかしいから放ってはおけない」
「まるでユルゲンみたいね……本当彼に似ているわ」
僕の頬を触り寂しげな表情を浮かべつつ小悪魔っぽく笑みを浮かべる
「私と一緒に暮らさない?」
「え?それって」
「貴方を私の恋人として、付き合ってくれるかしら?」
付き合うって……?
「僕なんかでいいのか?マフティーはテロ組織だぞ」
「関係ないわ。私の想いが貴方を守るわ」
ベアトリクスはクスっと笑みを浮かべる
その表情はどこにでもいる普通の少女の顔だ。
ユルゲンっていう男の事が好きだったんだな……。
確か、アイリスディーナが殺めたではなく生かされただったような……。
「ベアトリクス、聞きにくい事だけど…構わないか?」
まだ少女の顔をしている
「ん?何かしら?」
その笑顔を崩すわけにはいかない
「いや、何でもない」
「そう、いつでも出られるよう準備しておきなさい」
そう言いつつベアトリクスは目を瞑り僕の唇を重ねた。
驚きが隠せなかった。
もう二度と繰り返さない
元の世界で処刑されてこの世界でも処刑されるのはもうごめんだ!
だから僕はベアトリクスと共に歩む。
これが僕が選んだ道なのだから。
東ベルリン進撃作戦……別名:聖ウルスラ作戦
東ドイツ革命……カティアの本名からとったウルスラ革命。
反体制派は東ベルリンへ目指し作戦を実行する
だが、その前にベアトリクス率いるヴェアヴォルフが待ち構えている
ハーフェル川が舞台となる。
戦車師団、戦術機部隊は東ベルリンに向かって進撃
ガウマンやエメラルダなどのマフティーのメンバーはオラニエンブルクで待機。
《人狼部隊の主力と戦うのね…》
リリーは不安がっていた。
ヴェアヴォルフと戦うのが
《大丈夫だよリリー》
アネットはリリーを慰める
《皆の力を合わせればどんな相手にだって負けはしないわ。だって…》
皆の力を合わせばどんな相手は倒せる
御伽話だな。
《勝利の女神様がそう言ってるんだしね》
勝利の女神……これは恐らくカティアの事を指している
ヴェアヴォルフ大隊との対決。
心境的にはザニーでギラドーガと戦えって感じだ
普通に考えると勝てる見込みはない
《東ドイツが生まれ変わるためにも聖ウルスラ作戦に勝利を…》
ハイムはこう告げ、反体制派の戦車師団や戦術機部隊はゆっくりと行軍した。
ゼーロウ要塞陣地でBETAと戦闘励んでいるドミニオンの艦長ナタルとその乗組員達は必死でいた。
しかし艦橋のオブザーバー席にはアズラエルの姿がなかった。
「(アズラエル理事は部屋に籠っているだろう。彼がいないならやりやすい状況だ)ヘルダート1番2番3番、バリアント1番2番、ゴッドフリート照準」
10m先にいるBETA群に照準を合わせ
「てぇーーーっ!」
艦橋後方ミサイル発射管 対空防御ミサイル、110cm単装リニアカノン、225cm連装高エネルギー収束火線砲で同時砲撃
BETA群は殲滅したと思われたが次のBETA群が出現
「くっ……」
アークエンジェル級のドミニオンでもBETA群相手で苦戦している。
「フォビドゥン、レイダー、カラミティは出られるか?」
「はい、いつでも出られます!パイロット3人は既にコクピットで出撃準備終えて待機中」
「3機発進させろ。これがBETAという化け物の物量か……」
フォビドゥン、レイダー、カラミティ発艦
BETA群の迎撃へ向かう
光線級20体出現
フォビドゥンはエネルギー偏向装甲「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」で光線級10体がレーザー照射するが、防ぎきれず損傷
75mm対空自動バルカン砲塔システムで対抗し砲撃しつつ1体撃破
「……数だけが多い目障りな化け物だね」
カラミティが光線級に向け125mm 2連装高エネルギー長射程ビーム砲、337mmプラズマサボット・バズーカ砲、580mm複列位相エネルギー砲、115mm 2連装衝角砲で一斉砲撃し5体撃破
「うざいんだよ、化け物が!」
レイダーはMA形態で別方向から来た戦車級30体のうち1体がクローで掴み短射程プラズマ砲で撃破
「チマチマ殺すの飽きてきたよ」
更に76mm機関砲M2M3、80mm機関砲M417、2連装52mm超高初速防盾砲で同時砲撃し戦車級20体殲滅
突撃級、要撃級、要塞級が出現
「シャニ!キリがねぇ」
「俺も同じだ」
フォビドゥンは高度を上げ光線級に向け重刎首鎌で対抗するが
光線級がレーザー照射
クロトが叫ぶ
「シャニ!高度上げすぎだろ!」
「……フン」
それを躱しつつ切り込む
別の光線級がレーザー照射
「うああああああああ」
シャニは油断しフォビドゥンと共に爆散した
「シャニ!チィッ……」
オルガは舌打ちをしながら砲撃続行
要塞級が近づきオルガは後退を試みるが要塞級の「鞭」により撃墜された
「ぐぼぉ!」
「オルガ、1人で勝手に行くんじゃねぇよ!」
禁断症状が発症しクロトは精神が保てなくなり狂うように高笑いしながら砲撃
「く……くくく…はははははははははははは!」
何も考えず光線級がレーザー照射を避け吶喊する
警告音が鳴り響く
「ひひひ、ぼ、僕は……僕はね……!」
100mmエネルギー砲で光線級に向け照射するが同時に光線級のレーザー照射により爆散、クロトは戦死した
「はは……」
………フォビドゥン、レーダー、カラミティ、と同時にパイロット3人が喪失したことによりナタルは困惑するが冷静に保ちつつ艦の指揮を執る
「フォビドゥン、カラミティ、レイダー。シグナルロスト!」
「ローエングリン発射準備、出来るか?」
「可能です」
「ローエングリン発射準備、目標:戦車級、光線級、要撃級、突撃級等のBETA群、要塞級は避けろ。当たったら即轟沈されるからな」
陽電子破城砲発射態勢に入る
目標は目の前にいる数百体のBETA群
「そのまま維持、これ以上高度を上げるな」
ゼーロウ要塞陣地はBETA群に突破され陥落するのは時間の問題だ。
「カウントダウン開始します、ローエングリン発射まで30秒」
「間に合わない、時間を稼げ!ゴッドフリート1番2番てぇーーっ!」
225cm連装高エネルギー収束火線砲をBETA群に向け連射
数十体撃破するが別のBETA群が左翼に接近
「左翼に方向転換、ローエングリン発射はまだか!?」
「あと10秒です!」
「保ってくれ……」
ナタルは呟く
「5秒前、4……3……2……1……0」
「ローエングリンてぇーーーーーーっ!!」
陽電子破城砲発射し目の前にいる戦車級、光線級、要撃級、突撃級30体殲滅
「本艦は戦線離脱しシュプレーヴァルト基地へと帰投する」
ナタルはシュプレーヴァルト基地へ帰投する形で戦線離脱する
無線が入り要塞陣地司令官のヴァレリア・レージンガーは嘆いた
《ゼーロウ要塞陣地司令官のヴァレリア・レージンガーだ。識別番号LCAM-01XB、支援砲撃感謝する……だがこの状況下で戦線離脱するのか?》
「ドミニオン艦長のナタル・バジルール少佐です。お初にお目にかかりますレージンガー司令。本艦は武装警察軍のベアトリクス・ブレーメ少佐の配下にありますので戦闘継続は困難と判断しシュプレーヴァルト基地へ帰投してから補給作業に入ります。どうかご理解を」
《くっ、ヴェアヴォルフの配下なのか?前線を維持するつもりはないのか連中は!?》
「そう言われましても元々は我々、別世界にいた軍人ですのでこればかりはどうしようもありません」
《……分かった、補給作業終えたらまた前線に戻って頂きたい。国家人民軍はBETAに屈する訳にはいかないのだ!》
「……必ず戻りますのでご安心を」
《では頼んだぞ、バジルール少佐》
無線はそこで終了する
ナタルはほっとして一時穏やかな表情になるが余裕はないだろう。
血相な顔をしているアズラエルは艦橋に入りナタルと口論する
「艦長さん、パイロット3人喪失したそうだね。これはどういうことか説明しろ!」
「アズラエル理事、パイロット3人を喪失したことは極めて残念です。がこのままここで轟沈されるよりはマシです」
アズラエルは誇らしげな笑みで語る
「……武装警察軍のアクスマン中佐と連絡し交渉を試みましたが、何とか成立しました」
「え?そんな事……分かってるのですか?我々はブレーメ少佐の配下。勝手な事したら困ります」
ナタルはアズラエルに向け睨みつける
「この艦は本日をもってハインツ・アクスマンの配下です。ナタル・バジルール少佐、貴女はクビです」
「な!?」
ナタルは驚愕した
まさか自分の艦から降ろされるとは思わなかっただろう
「それはブレーメ少佐に対する裏切り行為です。粛清されたいのですか?」
「僕が知った事ではありません。アクスマン中佐はモスクワ派という派閥の長を務めるブレーメ少佐のライバル……ベルリン派というシュタージの派閥の長です。彼は我々、そうモビルスーツを欲してるのです」
何とアズラエルは秘密裏でアクスマンと交渉し105ダガーの受領交渉していた。
「まさか貴方は最初からブレーメ少佐を裏切るつもりでいたのですか!?」
アズラエルがやった事は明らかに不正行為だ。
ベアトリクスの情報の一部をアクスマンに渡してしまったのだ。
「以前言った筈ですがこの世界は地球軍やプラントも存在しない。ベルリンと言う舞台で革命起こしてるみたいですね。馬鹿で醜く卑劣で外道な反体制派が国の政権を掌握したら僕のシナリオ通り血塗られた道へと進む」
「何が言いたいのです?アズラエル理事」
「東ドイツ……ドイツ民主共和国にベアトリクス・ブレーメは必要ない」
ナタルの顔は一瞬凍り付き恐怖を襲う
「貴方は……またあの時の光景を繰り返すおつもりですか!」
「そもそも女性だけ優遇して出世し社会に貢献する事自体がおかしいのですよ。あ、僕の言葉ではなくアクスマン中佐の言葉ですよ。あと、このハインツ・アクスマン中佐が勝利した暁には戦術機のデータを受領し技術開発を提供する事を約束する。これも彼の言葉です」
ドミニオンはシュプレーヴァルト基地に向けゼーロウ要塞陣地から戦線離脱
「基地に帰投した後は貴女とこの場にいる乗組員は全員解雇する形で降りて貰います」
「………」
ナタルは複雑で歪んだ表情をする
「………では私は休暇を取る形で少しの間艦から離れます」
「どうぞ、艦長代理は貴女の副官が指揮を執ります。まぁ貴女は用済みですけどね」
アズラエルは薄ら笑みを浮かべる
ナタルは艦橋から出て、艦長室や自室で荷物を纏め、2時間後シュプレーヴァルト基地に到着し今まで乗ってきたドミニオンを退艦した。
「(アズラエル……貴方は何を考えて)」
ナタルが退艦した後、アズラエルは艦長席に座りアクスマンと連絡を取る
「アズラエルです、アクスマン中佐に繋いで頂きたい。彼にちょっとした用があります」
《はい、少しお待ちを》
アクスマンの側近の一人であるミヒャエルがそう言ってアクスマンに代わる
《私だ、何の用かね?》
「厄介者の艦長さんは追い出しました、そこで貴方に頼みたい事があります」
《ほぅ、君が頼みたい事があると言う事はそれは私に対する信頼は大きいと解釈するが宜しいかね?》
「互いにこの国を好きなようにして勝利を勝ち取る。今やれる事はそれだけです」
アズラエルはアクスマンの事を信頼関係を築こうと一歩一歩前に進んでいる
何を企んでいるだろうか?
《では、私は君の要求を呑めと?》
「事実上そうなりますね。あ、対価は勿論支払いますよ。貴方が求めている勝利の鍵をね」
《なら私からの要求を呑んで貰おうか?》
アクスマンはアズラエルに対し政治交渉として利用しようとしている
此奴も最悪な機会主義者だが、アズラエルもアズラエルでアクスマンと同類だ。
「はい、内容次第ですが聞かせて貰えると嬉しいです」
《シュタージファイル……それを保管している秘密の場所で会う約束して頂けないかね?》
シュタージファイル……それは東ドイツ国民の個人情報が記載してる重要な代物だ。
「シュタージファイル…………貴方も物騒なモノを持ってますね」
《不満かね?では政治将校1人を君の正妻として迎え入れよう。名はグレーテル・イェッケルン、階級は中尉。666にいる女性だ》
「ふむ、政治将校…それに女性。アクスマン中佐、それは人身売買ですよ?」
アズラエルはアクスマンのもう一つの要求を聞いて困惑している
グレーテルをアズラエルの正妻として迎え入れる
実に馬鹿馬鹿しい話だ。
「特徴教えて頂けないでしょうか?中佐殿」
アズラエルはグレーテルの特徴を教えて頂けないでしょうか?と要求する。
《まぁいいだろう、君とは長い付き合いになりそうだ。イェッケルン中尉の特徴を教えよう!その特徴は、眼鏡だ!そして控えめな胸と規律正しく乱さぬよう注意する風紀委員みたいな感じだよ》
アクスマンは凄みある笑みでグレーテルの特徴を教えた。
「僕は20代後半です。一応貴方が送った情報を拝見させて頂きましたが……年齢は17歳。まだ子供じゃないですか。うぅむ」
アズラエルはどうするか悩んでいた
「未成年……これは僕のポリシーに反しますが政略結婚と言う解釈なら納得できますね」
《気に入ってくれて感謝するよ……彼女はとても優秀だ。君の側近としてでも扱える。どうだ?悪くない要求だが如何かね?》
政治的道具として扱う
グレーテルを売るつもりか?
「ふむ、彼女と一度会ってゆっくりと話したいですね~……」
《では私がシナリオを作成しよう》
シナリオ?
「少し聞きたい事ありますが」
アズラエルはアクスマンから得た情報を閲覧する。
「666の中隊長、アイリスディーナ・ベルンハルト大尉の顔、容姿、髪型、そして胸の大きさ。まさにクールビューティーな女性です。何故ベルンハルト大尉を僕に紹介しなかったのです?」
《アイリスディーナだけは譲れんよ、彼女の替えはいないからね……失ったら東ドイツは終わりだ》
「成る程、東西ドイツの未来の鍵……ですか」
《そうだ》
………。
「分かりました、では秘密の場所へ行くための地図を」
《地図か、分かった。では交渉成立と言う事で宜しいかな》
「交渉成立ですね、では後程秘密の場所へ」
通信終了。
…アズラエルはニヤリと笑みを浮かびアクスマンと会う約束をした。
「フン……ハインツ・アクスマン、僕が見込んだ優秀なる将校ですね。此方も準備しますか」
ドミニオンを退艦したナタルはシュプレーヴァルト基地の格納庫へ向かい、アズラエルのやり方を不満持つ地球軍パイロットがパイロットスーツ姿で集っていた
「貴様達、何故ここに」
「艦長、俺達はアンタについてきたんだ!あのクソ御曹司の人形でついてきた訳じゃない!」
地球軍パイロットの一人がナタルに訴えかけベアトリクスと共に戦おうとしている
「ブレーメ少佐から何か言われてないか?」
「それが、演出の邪魔になるからダガー中隊の出撃は厳禁だと」
「そうか、ブレーメ少佐は何か策があると思う」
ナタルはベアトリクスの演出を何か策があると公言
クスィーガンダムの調整し終えた僕はコクピットから降りる
「バジルール少佐、戻られたのですか」
「君は…ハサウェイ・ノアか」
「はい」
「私はドミニオンから追い出された。表向きは休暇なのだが、このままではドミニオンはアクスマンが乗っ取られる」
僕は驚愕し絶句した
海王星作戦やゼーロウ要塞陣地での戦いと訳が全く違う。
「アズラエルと最初会った時は何か感じたんです」
僕はナタルの前にはっきりと思った事を言った
「この男は最初からベアトリクスが描く世界を賛同していない。逆にその存在を抹消する気だ」
ナタルは険しい表情で僕の目線をじっと見る
「……それは本人から聞いている。少し聞くが、ハサウェイはブレーメ少佐が描く世界…理想と思想、究極の戦闘国家を築くことを賛同してるのか?」
ベアトリクスの理想と思想
何か試されている、のか。
「僕は賛同しています。彼女が描く世界を築き上げるには貴女の協力が必要だ」
「ブレーメ少佐は全て1人で成し遂げるつもりだ」
全部1人で?
ベアトリクス、アンタは……何を。
「そうだとしても、彼女の協力すべきです」
ナタル、分かってくれるよな。
僕は手伝いたい
力になりたいんだ!
僕は105ダガーの方を眺める
「あ、これはストライクの正式量産型の機体、ダガーだ。別名は105ダガー」
ストライクダガーとは違うんだな
「最初見たダガーと全く違いますが」
「君が見たのはストライクダガーだ、あれは戦時量産型だな」
戦時量産型か。
「じゃあ、反体制派は戦時改修の機体を作り上げる事は可能か?」
666もいるんだ。
易々と引き下がらないだろう……あのテオドールだ。
義妹と義両親が亡くなった事は御気の毒だが、幾ら何でも全部シュタージと言う組織の所為と言うわけではない。
全ての元凶はシュミットとアクスマン
あの2人がいる限り東ドイツは滅んでしまう
「……ベテラン整備兵の力や技術で残存のパーツがあれば機体は改修可能だ」
「反体制派はリィズ・ホーエンシュタインが乗った機体を回収しその機体を別の機体の頭部を改造しそれを運用する可能性は高い」
「確かに機体を改修や改造する事はあるが、それは君の憶測だろう?」
憶測でも構わない
あのテオドールだ。
東ドイツを変える為
死んだリィズの為
愛するアイリスディーナの為
それだけならまだいいが、こんな状況下で民主主義を変えたらそれこそ東ドイツの終わりだ
誰が得すると思う?
アイリスディーナとベアトリクスが邪魔だと声を大きく訴えかけている腐敗した議員だ。
アンタは一体何がしたいんだ、テオドール
腐敗した議員の味方に付くのか?
阻止しなければならない……アンタがどれだけ強かろうと僕は……。
「バジルール少佐、民主化を望んでる連中にとってはシュタージは害悪であり滅ぶべきだと絶対に言うでしょう。民主主義を取り戻す……?これでは国が腐敗してしまう」
「ハサウェイ、君はシュタージを東ドイツにとって必要不可欠だと言いたいのか?」
BETAを地球上から消滅するにはベアトリクスが国の指導者として君臨すべきだ。
彼女は……ベアトリクス・ブレーメと言う女傑は東ドイツに必要な存在だ。
失う訳にはいかない。
「……ベアトリクス・ブレーメと言う存在を失う訳にはいかない」
「彼女は危険だ。が博打に賭けるには打って付けだな。ヴェアヴォルフの兵士達が彼女の事を崇拝しているのが納得できる」
アイリスディーナ、アンタはベアトリクスは危険な女だ。と言うだろう。
視野を広げるといい方向に進むはずだ。
ベアトリクス、今のアンタは暗い部分しか見てないだろうが、アンタの部下達が支援してくれる。
それを忘れてはいけないんだ。
ニコラ、カタリーナ、ロザリンデ、ファルカ……リィズ
テロ組織の長の僕に居場所を与え接したこと感謝してるよ。
「バジルール少佐」
「?」
「僕に考えがあります」
僕に考えがある
それは……?
《少佐、反乱軍が近づいてきました》
「射程距離は?」
《まだです!》
ハーフェル川戦での戦闘は準備完了だ
ニコラは反乱軍が近づき射程範囲内に入ったかベアトリクスに報告する。
「……国家を汚す事が、どれ程の罪悪か奴等に身をもって知って貰え!」
《ハッ!》
……。
バラライカ5機が接近
跳躍ユニットのジェット音が鳴り響きヴェアヴォルフに近づいてくる
《射程距離範囲入るまで1分》
「総員砲撃準備に当たれ」
《了解!》
反体制派の戦術機が射程距離範囲内に入った
10機のチボラシュカが反体制派の戦術機に向け突撃砲を構え発砲
《西方向より反応!ヴェアヴォルフです!》
反体制派の戦術機部隊は警戒
第666中隊VSヴェアヴォルフ
「限界まで引きつけろ…」
グレーテルも警戒
そして……。
「全機降下!」
タッチダウン対空砲火
グレーテルはそれを狙っていた
ヴェアヴォルフも迎撃するが、2機撃墜
反体制派の戦術機の砲撃は綺麗に当たる
戦術機のライフルも120ミリ砲搭載だが、口径長という点から戦車砲のほうが威力が高い
戦車師団も負けずに砲撃
「よし!頃合いだ。かかるぞ!」
双方とも、空中機動で左右にひらりひらりと避ける時の跳躍ユニットの動きをする。
砲撃は止まない
《くそ!旧型機のくせに!》
「行くな!」
前へ出過ぎたか反体制派の戦術機1機が多目的追加装甲でチボラシュカ1機にシールドアタック
動きでは革命軍が圧倒的だ。
旧型機だからと言って侮ってはいけない
旧型機でも新型機を勝てることだってある
熟練したパイロットだ。
機体の動きや性能、出力を見極めればどんな機体でも倒せる
ザニーとギラドーガが戦ってるのと同じだ
幾ら新型機に乗って戦おうがパイロットがへぼくちゃだと機体の性能と出力が生かせていない。
《全機撃破!》
「よし!このままベルリンに…」
待機していたヴェアヴォルフの機体が増援
「増援か…地上部隊と再連携するぞ。後退しろ!」
グレーテルは後退を指示する。が……。
「あれは…」
漸く待ちかねた演出だ
ベアトリクスが乗る紅いアリゲートルとニコラ、カタリーナが乗る深緑色のアリゲートルが森林から現れた。
《紅い…アリゲートル!》
「ベアトリクス…ブレーメだ…」
戦車師団もグレーテルやアネット、テオドール、リリー、オイゲンを砲撃支援するがロザリンデが乗るアリゲートルによりこれを阻止し撃破。
貴重な戦車師団が次々と撃破
《戦車師団が…後方から奇襲を受けています!》
リリーは焦りが出ていた
グレーテルはモニターを確認しつつシュタージの隠し基地……シュプレーヴァルト基地を発見する
「一体どこから…くそ!シュタージの隠し基地か!迂闊だった…」
2対1で狙われるリリー
「体制に蝕む毒は取り除かねばならない!マフティーならこう言うはずだ!」
「ニコラ、卑劣な手だけどやるしかないわね」
ニコラ機、カタリーナ機はリリーが乗るバラライカに向け砲撃
アネットは長刀を握りリリーを援護しようとするがベアトリクス機がそれを阻み蹴りを入れる
「駄目よ。あの子達の狩りの邪魔はしないで」
リリー機は管制ユニットに当たり爆散
「よくもレーヴィット少尉を……リリーを!!」
怒りに溢れるあまりにオイゲンは恨みを込めニコラ機に吶喊
しかしアネットと同じ長刀使いのファルカが乗るチボラシュカにナイフで管制ユニットを貫通される
「ぐばぁ!」
オイゲンは無念を感じ機体と共に爆散
アネット機は長刀でベアトリクス機に立ち向かい対抗するが躱してしまう
流石ベアトリクスだ
何だかんだで機体の性能の差が戦力の決定的な違いがある。
移動するヴェアヴォルフ大隊
向かう先は…
「奴等の目標はオラニエンブルクの司令だ!追うぞ!」
グレーテルは残存の機体を率いりオラニエンブルクに向かうが
ベアトリクス機は背部兵装担架に収納してる突撃砲で背後にいるグレーテル機に向け砲撃
あの距離であんな銃座でよく当たるな
一旦中央に射線を集中させて盾を中心に持ってこさせたところで射線を左右に振って跳躍ユニットに当てた
《大丈夫か!?》
「跳躍ユニットがやられた…私に構わずヴェアヴォルフを追え!」
ゆっくりと降下し機体は暴発
《同志中尉!》
「グレーテルで…いい…」
グレーテル機は爆散した
しかし、彼女は奇跡的に生還した。
僕はナタルと地球軍パイロットを集い作戦会議開いていた。
ガウマンやエメラルダなどのメンバーはもうすぐここに来る予定だ
「反体制派は現体制を打倒する為に放送局を占拠するだろう。そこを僕の仲間が抑える」
「え?放送局をか?」
「はい、公共電波を利用し国民を動かそうとするつもりです。そしてデモが発生し社会主義国家としての東ドイツは滅ぶ。勿論シュミットを仕留めても現状が変わるわけではない」
誰かが挙手した。
ん?イングヒルト、基地にお留守番待機してたのか
「何だ?イングヒルト」
イングヒルトは大きく声を上げ自分の意見を僕にぶつける
「あ、あの!先に放送局を占拠して共和国宮殿を占拠する戦法はどうでしょうか?反体制派は先回りして放送局を占拠する筈です!」
先回りか
「では、ダガー中隊を君に託す。好きに使ってくれ」
ナタル、アンタは立派な軍人だよ。
「私が放送局のスタッフになりすまして潜入し、反体制派の演説を途中で途絶して……ハサウェイさん、貴方が国民の心を動かすのです」
「僕が?」
「他に適任者はいません!」
彼女は真面目だ……反体制派が放送局を占拠し誰かの演説で国民の心を動かすのを阻止し僕がその代わりに演説するのか
カティアの願いは完全に叶えられなくなるが、やむを得ないか
「……極めて危険な作戦だぞ」
「分かっています、でも私が大尉達を助けないと私は……役立たずと思われてしまうのが恐くて」
イングヒルト……辛い思いが沢山あったんだな。
僕の頭に付けてるヘッドセットが音を拾った
これは……秘匿回線!
《ブレーメだ、出撃許可を下す》
「了解した」
反体制派の本部オラニエンブルク
ナタルが号令をかける
「総員、各パイロットはモビルスーツのコクピットに入り出撃準備だ!」
地球軍パイロット一同は「了解」と大きな声で言い放った。
僕はクスィーガンダムのコクピットの中に入りハッチを閉めようとするが
「待ってください!」
イングヒルトがクスィーガンダムのコクピットに入り補助シートに座り込んだ
「おい、イングヒルト。何しているんだ?」
「大尉がまだ生きてるかどうか不安なので同行させてください!」
イングヒルトは涙目で僕の顔を見る
弱ったな……。
基地で一人ぼっちにさせるよりはマシか
「分かった、しっかり捕まっておけよ!」
「はい!」
オープン回線が来た
《各員に通達、これより我々は反乱軍の拠点地であるオラニエンブルクを叩く。これ以上連中の好きにはさせない……》
ベアトリクスは自分1人で全て成し遂げようとしている
ニコラ、カタリーナ、ロザリンデ、ファルカ。
彼女を守りたいと思えるなら守れるはずだ
なら僕が、やるしかない!
「出撃命令が下った、ダガーを主にする部隊を3つに分ける。A小隊は共和国宮殿へ。B小隊は国営テレビ、C小隊は僕の後ろについてこい!」
《了解!》
やるしかないんだ……。
僕はクスィーガンダムのブースターの出力を上げ105ダガーの速度を合わせシュプレーヴァルトからオラニエンブルクに向かって出撃した。
無事でいてくれ……。
出撃から10分後、僕の頭から何か電撃が走り何かの光景が見えた
これは……ニコラがカタリーナを庇って……!?
拙い、やられる
このままでは……!
僕は最大全速で前へ向かって飛行し急いでオラニエンブルクに向かう
「イングヒルト、最大全速で突っ込むぞ!」
「はい!うぅ…」
Gに耐えられないのか……少しの間我慢してくれ
「誰か応答してくれ!」
無線でベアトリクスと連絡を試みる。
ニコラ、カタリーナ、ロザリンデ、ファルカ…誰でもいい!
秘匿回線が繋がりニコラと話す
《何だ、今はハイムの死体を確認してるところだ》
ハイムの死体?
こんなあっさりとやられたのか……?
その時だ、僕の頭からどこかで聞いたことがある声が響く
誰だ?誰なんだ?
あそこに伏兵がいるよ!やっちゃいなよ!
クェス?クェスなのか?
「………やっちゃってください!大尉達を傷つけるような奴は許しません」
イングヒルト……アンタも聞こえていたのか?
《確認次第、基地に戻るが…いやもう余裕がない》
推進剤がもうすぐ切れるのか?
あれだけの演出をしたんだ。弾薬や補給切れるのも時間の問題だ。
「そこから離れろ!」
《え?》
「いいから!早く!」
クェスは僕を導いてくれた……。
「距離を一気にギリギリのところで詰める!」
最大全速で機体の飛行速度を上げる
……見えた、あの瓦礫の中からか!
「……(そこだ!)行け、ファンネルミサイル!」
僕は瓦礫に隠れている伏兵の戦術機に向けファンネルミサイルを放出し撃破
カタリーナ機はニコラ機を庇う形で掠ったが管制ユニットは無事だ
「別方向から他の伏兵がいるかもしれない。早く退くんだ!」
《くっ…!》
ニコラは悔しがっている
地上からの奇襲をかわすため浮上した所に……。
《あ……マフティー、うむ…》
ロザリンデは少し焦ったが冷静に対処しようとしている
《大隊長。各機共に推進剤3割弱。対人機動戦を行うには余裕がありません》
突撃砲が逆肘で砲撃している
背後から来ているのか……。
ロザリンデ機は反体制派の伏兵戦術機に向けビルに背中を付けながら影から腕だけ出して射撃する
《後退して補給を…》
《チッ…全機撤収!ベルリンへ帰投する!》
ベアトリクスは舌打ちしつつ冷静な判断し部下を撤退させながら自分はきっちり殿を勤める
僕もベアトリクスについていく形でベルリンに向かい撤収した。
一方、その頃グレーテルは森林の中に墜落し何とか命拾いしたがアクスマンと接触する。
「何とか堪えたようだね。革命軍は」
「救出には感謝する。アクスマン中佐」
アクスマンは物欲しそうな目でグレーテルと話しかける
「さて。我々は予定通り例の物の回収に向かうが君はどうする?」
グレーテルは666の政治将校だ
どう判断出るか
「同行させてもらう」
「革命はいまだ終わらず、か。敗色が濃厚であれば部下達の命を助けるため降伏する。ハイムとはそういう男だ」
………。
何を企んでるか分からない。
「それをしないということはまだ切り札があるということだろう?」
「さぁな…」
グレーテルは墜落直後に事前にアクスマンとの会話を録音し盗聴していた。
ベアトリクス率いるヴェアヴォルフ大隊はシュタージ本部に到着。
シュミットがベアトリクスを呼び出し長官室に出頭命令下された
幸いにもニコラ、カタリーナ、ロザリンデ、ファルカも生還できた
ここで待機だ。
何か嫌な予感がする………。
シュタージの女性兵士の一人がベアトリクスにある書類を渡された
内容は……言うまでもない。
そこには恐らくシュミットの正体が詳細に調べ上げた結果が描かれてる書類だろう。
そして僕はクスィーガンダムから降り、一緒に降りたイングヒルトはアリゲートルの管制ユニットから降りたニコラを抱き締める
「大尉!」
「イングヒルト、基地に残ってたんじゃないのか?」
「私は心配したんですよ!大尉達が死ぬとか……こんなの…」
寂しげな表情で涙を流すイングヒルト
ニコラも寂しげな表情でイングヒルトを抱き締め返す
「私は何処にもいかないよ、貴女とずっと一緒だ」
僕も、2人を見守っていた。
「ニコラ、やっぱりアンタはイングヒルトの事好きだったんだな……」
カタリーナは僕の耳を指で引っ張る
「アンタは余計な事し過ぎよ!」
「いだだ、何をするんだ」
「アレ何?ミサイルぶっ放すなんて正直危なかったわよ」
僕がファンネルミサイル放出しなかったらカタリーナ、アンタは今頃焼死体になってた。
「本当、ビックリしたな。まぁ、我々を守ってくれたことは感謝している」
ロザリンデ………。
あ、そうだ。ダガー隊の状況を。
「ロザリンデ、ヘッドセット貸してくれないか?」
「ん?構わないが」
ロザリンデはヘッドセットを外し僕に渡す
僕はロザリンデから渡されたヘッドセットを頭にかける
「……A小隊、応答せよ」
《此方、A小隊、共和国宮殿に到着済、占拠完了です》
手早いな……。
「B小隊!」
《B小隊、国営テレビに到着しましたが……反体制派により先に越されました。奴等、地下水路で近道として先越されたと思います》
地下水路…!?
やられた。
このままでは……反体制派が有利になってしまう。
「C小隊!」
《C小隊、遅らせながら本部に到着。我々も機体から降りて合流します》
105ダガー……C小隊、到着した。
C小隊のパイロット達は機体から降りシュタージ本部前に待機してる僕とヴェアヴォルフ大隊衛士と合流。
「ふぅ、マフティーさん。急に加速するから逸れちゃいましたよ」
相当急いでたんだな。
「ブレーメ少佐が戻ってきたら次の命令が下る。僕の仲間が反体制派に潜入している。時期に報告するだろう」
仲間……マフティーのメンバーだ。
…………遅いな
30分は経過した
遅い
シュミットと長話してるのか?
不安募る中僕はベアトリクスが戻ってくるまでただ待ち続けた。
突如、無線が繋がれた
《ヴェアヴォルフ、応答せよ。ヴェアヴォルフ、聞こえてるのか?応答せよ!》
ガウマンの声だ
何か情報掴んだのか?
幸い、オープン回線なのでこの場にいるヴェアヴォルフ大隊衛士全員は聞こえている
「どうした?ガウマン。何か掴んだのか?」
《大変な事起こっちまった、連中が機体のパーツを無理矢理改造した戦時改修機作っちまったみたいだぜ》
ニコラが割り込む
「その機体の詳細を教えろ!何でもいい」
《分かったよ、頭部はバラライカのPF型、指揮官用の機体の頭部を改造を施されてチボラシュカの胴体にくっ付けた改造機体だ。性能と出力はアンタらの機体より3倍があると思われる。どんな最新鋭の機体でも勝てねぇかもな》
最新鋭の機体……アリゲートルの事指してるな。
「アリゲートルが勝てない機体だと?そんな機体あるか!」
とニコラは一喝する
信じたくないのは分かる
《俺に聞くな!マフティー、聞こえてるか?あの赤毛の坊主がそれに乗るらしいぞ。脳筋女も喜んでる。666の紋章が刻んでくれてありがとう!と整備兵に抱き着いてたぞ》
アネット……やはりシュタージを打倒する気か。
いや、しようとしている。
「ガウマン、今すぐヴェアヴォルフと合流しろ。モビルスーツはナタル・バジルール少佐がシュプレーヴァルトからシュタージ本部まで運送している。もうすぐここに来る」
《了解したぜ!》
通信終了
「(放送を阻止しなければ……)皆、聞いてくれ」
僕はニコラ、カタリーナ、ロザリンデ、ファルカ…その他諸々の衛士やMSパイロット達に向け真剣な表情で語る
「この革命を成功しベアトリクス・ブレーメと言う女傑を一国家の指導者として君臨するには皆の協力が必要だ!幸い、人数は我々の方が上だ!僕の仲間ももうすぐ合流する」
そうさ、やらなければならない
統一の道を急かすのは良くない
BETAに対抗する究極な戦闘国家を築き上げる為に国の統一はまだまだ先の事だ
カティアの演説で国民の心を揺るがしたらそれこそが東ドイツの終わりだ。
「ニコラ、アンタはベアトリクスの援護射撃に専念。カタリーナはニコラの支援射撃。ロザリンデとファルカは放送局の占拠。その他は反体制派を殲滅だ」
反体制派は腐った連中ばかりだ。
666もその中にいる
勿論、全員とは言えないが……大半の人達が腐っている!
体制を蝕んだ毒は浄化しなければならないんだ!
その毒を取り除くのは……僕とその仲間、ヴェアヴォルフ
「これが恐らく最後の出撃となるだろう。皆の為に大義を果たし、我々……ヴェアヴォルフ……マフティーの名を轟かすんだ!」
僕は戦う
戦うしかない!
地球をクリーンにするために、人類の全ては、BETA殲滅し抹消すべきだ!
次回、久々のベアトリクス視点の話になります
シュミットからの呼び出しでベアトリクスは事前に彼の事を調査済みで口封じしようとするが逆にシュミットはベアトリクスを口封じしようと試みるが……。
そこは見てのお楽しみです!