第666戦術機中隊…シュヴァルツェスマーケン
東ドイツ最強と謳われている戦術機中隊でありポーランド撤退戦などをくぐり抜けてきた歴戦の部隊でもある。戦域の光線級BETAをいち早く駆逐して航空戦力および砲兵を使用可能にする「光線級吶喊(レーザーヤークト)」を最優先任務としている。任務の性質上、味方部隊からの支援要請を無視せざるをえない事も多い。その為、他の兵士からは“死神部隊”“選別部隊”などと呼ばれ、忌み嫌われている。常に激戦区に投入される為に人員の消耗が激しく、現在は中隊の規定数12人に対して8人しか所属していない。部隊章は、角を生やした横向きの髑髏の上に“666”の部隊番号を記したもの。“黒の宣告”とは負傷した兵士の治療優先順位を示すトリアージ・タグの中で、治療しても回復の見込みがない兵士・既に死亡している兵士に付けられる黒いタグの俗称。
私もその一人だ
政治将校として私は党と盾の忠誠の為に、理想的な社会主義を守り抜くために戦ってきた
マフティー……ハサウェイ・ノアやウルスラが現れるまでは……。
私は第666戦術機中隊の威信や存続の為にベルリンに残り、政治総本部にて国内の状況を観察していた。がシュタージによる内部抗争が起こり、モスクワ派とベルリン派に分かれ内部分裂していた。
モスクワ派のベアトリクス・ブレーメ少佐
ベルリン派のハインツ・アクスマン中佐
ヴェアヴォルフ、ベルリンの2つの戦術機大隊が対峙しフリードリヒシュトラーセで戦闘がありその結果、ベルリン大隊の敗北に終わる
これらの勝敗によってモスクワ派の影響力は増長、逆にベルリン派は低下していき敗北を悟ったアクスマンは反体制派に身を寄せ我々第666戦術機中隊並びに第612戦術機中隊等の衛士や戦車兵等彼に対する不信感はあったが協力しないわけにはいかずやむを得ない状況で共闘していたのだが、アクスマンがハイム少将の指示に素直に従った……訳ではなかった。
ハーフェル川での戦闘で私は墜落しアクスマンに助けられたが、管制ユニットから降りた私は彼の表情を伺うと、そこには何か企んでそうな誇らしげな笑みを浮かべていた
彼は当然の事だが、最初から我々と戦う気はないだろう。
双方とも滅びる事を願い、自分だけ得を得ようとしているからだ。
この時点での私は党と盾の忠誠を誓いその理念は消滅した。
フォルクスバーグ・フリードリヒスハインにあるフラッグタワーの中へ入った
中に入るとそこには至る所にデカい棚がずらりと並べていた
物理的なファイルだ
「紹介しよう。これがシュタージファイルだよ」
アクスマンは凄みある笑みで自慢げに私に話しかける
「ここには我が国のみならず欧州の恥部が網羅されている。ご感想はどうかね?」
感想?
ここはカマをかけるか
「信頼や法律ではなく諜報と暴力で編み上げられた国…それが我が祖国東ドイツか…」
失望した
私が描いていた理想的な社会主義と理念が崩れていった。
「中佐。ご用意が」
「始めろ!」
何を始めるんだ?アクスマン
貴様は、今何しようとしている?
「何をしている!?」
「重要な情報は全て此奴にコピーしてある。シュミットにバレないようにするのに2年かかったがね」
アクスマンは自分が所持しているアタッシュケースを開き、自慢げに何かを見せた。
円盤?
まさかCD-ROMで電子化してあったのか!
その時、金髪の蒼いジャケットやワインレッドのシャツ紫のネクタイを着用している如何にも何処かの御曹司でアクスマンと同じ機会主義者でありながらビジネスをモットーにしている男が現れた
「ほほぅ、これがシュタージファイルですか。随分容量が大きいですね」
「お喜びになったようだね、アズラエル君」
「え?」
アズラエルと言う男は私の顔をじっと見てニヤリと笑みを浮かんだ
誰だ?此奴は
「貴女がグレーテル・イェッケルン中尉ですね?第666戦術機中隊付政治将校……なかなかいい女性じゃないですか」
目が焦点合ってる……がこの男はアクスマンと同類!
「申し遅れました、僕はブルーコスモス盟主のムルタ・アズラエルと申します。以後お見知りおきを」
アズラエルは私に向け丁重に自己紹介しアピールした
ブルーコスモス? 何だそれは。
花の名前か?
「あー、中尉殿、今花の名前なのか?と疑問に思ってるでしょうが全く違います」
此奴、私の心の中を読んでたのか!?
何れにしても、危険な男ね
「我々アズラエル財団が作った自然保護団体です。つまりかの財団のロビイストという「どこかで聞いたような来歴」がバックボーンになっているのだが、遺伝子操作によって生まれる人類……僕がいた世界の概念ではコーディネイター、そう遺伝子操作によって生まれた人類で邪魔な存在です」
…………コーディネーターか。
訳が分からない事を随分と無駄に知ってるようね。
新人類……。
「その存在は生命倫理違反として弾圧したり、反対デモを行い始めたのです」
……気障な奴だ。
「ふむ、コーディネーター……成る程、新しい人類か。我々がはるかに超える存在がいてたとは……実に面白いな君は」
「恐縮です、アクスマン中佐」
あの2人、息ぴったりと合ってる。
「しかし国際法でコーディネイターの出産は禁じられたにも関わらず違法に生まれ続けるコーディネイターに不満を覚えた一部のブルーコスモスが過激派と化し、コーディネイターに対する迫害やテロを行うようになっていった。また、宇宙クジラこと地球外生命体「・エヴィデンス01」の発見以降その教義の矛盾から人気の落ちていたカトリックやイスラムなどの宗教関係者達が新たなファン活動の場として合流していき、具体的な団体から集団の面も持つ一大イデオロギーへと変化し…」
訳が分からなくなった。
アクスマンはこれを理解したのか?
いや此奴が理解する筈がない
聞き齧りで、うんうん。そうなのか。と首を傾げ頷いてる。
「ブルーコスモスの思想を持つ人間やそのシンパは非常に多く、経済界の大物や地球連合軍の軍幹部、政治家といった有力者にもブルーコスモスの賛同者がいるのですよ。もっと我々の事を知りたいですか?詳しく話すと長くなりますので省略します。中尉殿の頭が混乱しますからね~」
もう聞きたくない。
と思ったが…。
「詳しく聞かせてくれないかね?実に興味深い」
ベルンハルト大尉の人生を滅茶苦茶にした悪魔が!
何を企んでいる、ハインツ・アクスマン
貴様はに出会った人間がどれほどいるか……千人は超えてるでしょうね。
「ブルーコスモスの思想を持つ人間やそのシンパは非常に多く、経済界の大物や地球連合軍の軍幹部、政治家といった有力者にもブルーコスモスの賛同者がいる。当然一般市民にも数多く賛同者が存在し、その殆どがナチュラルである。一方でコーディネイターの中にも出生に苦悩した末に反コーディネイター思想に生きる道を見出した者がいるため、極僅かだがブルーコスモスとなるコーディネイターも、です。構成員を自称するものを含めて総数は数十万人程度と、規模そのものは地球全域に影響力を持つにしては中小レベルに過ぎないが、心情的にその主義主張に共感する人は世界中に存在するため、人数面の不利は存在しない。さてアクスマン中佐に問題です」
?
「ナチュラルとは何の意味を指すでしょうか?」
分かる筈がない
貴様がいた世界で何があったかは想像つくまでもない
「遺伝子操作は全くされていない……つまり我々普通の人間だ。違うかね?」
「大正解です!流石僕のビジネスパートナー。関係を築き上げて良かったです」
成る程、そういう意味か。
「地球とプラントの戦争の引き金となった「血のバレンタイン」は、ブルーコスモス派の地球連合軍将校が独断で核ミサイルを持ち込み発射させた事で引き起こしました。ナチュラルの野蛮な核と一喝した某議長が言い放ちました」
野蛮な核?
アズラエルの奴、核を売り込むつもりか!?
核はBETAで有効ではないと言う事は……知ってる訳がない。
「我々ブルーコスモス主義者の内、政治面で特に有力な人物を「盟主」と呼び、僕の事ですよ?その「盟主」であるアズラエル財団出身であるこのムルタ・アズラエルは軍の行動にも口出し出来るほどの力を持ち、対プラント戦争を強力に推進した」
兵器を売りまくって、強硬的に他国の国土を焼き払ってBETAを殲滅……。
「これが僕がいた世界の真実です。アクスマン中佐にイェッケルン中尉達がいる世界は今どんな状況になってるか聞かせて頂けないでしょうか?」
私はアズラエルに問いかける
「アズラエルと言ったな。貴様はこの世界で何やろうとしているかは想像つく」
「核を撃たなければBETAと言う化け物は貴女がどんな手段選ぼうが消滅することは極めて難しいでしょう」
BETAの事を知ってるのか!?
「この戦争は早期終結しなければなりません。が、ベアトリクス・ブレーメ少佐は危険な存在、葬らなければなりません。意味は御分かりですね?」
確かに此奴が言ってることは一理あるが、それ以前にシュタージを倒さなければならない。
また悩み事が……。
アクスマン中佐はシュタージファイルを見てこう言い放った
「この世界の出来事は全てシュタージファイルに記録し重要な情報は全て此奴にコピーしてある。CD-ROMでな」
アズラエルは悪魔みたいな笑みを浮かべる。
「この国で今何が起きてるか?革命と言う自己満足させる為のイベント。つまり茶番劇です」
「確かに君の言う通り、そうかもしれないな……だが時には自己満足するようなイベントは必要だ。何せ私は」
「勝たなければならない……それは僕も同じです」
アズラエルはニヒルな笑みを浮かべ私の手を握り少年のような表情をしつつ私の顔を見る
「な、何だ?」
「貴女と初めて会った時一目惚れしました。どうかこの僕と結婚を前提にお付き合いして頂けないでしょうか?勿論貴女を満足させますよ?僕は優秀だ。だから貴女と結婚しこの国を捨てて一緒に暮らしましょう」
祖国を捨てるだと!?
何もわかってない……!
こんな奴と……死んでもお断りよ!
「お言葉は受け取りますが、私は既に彼氏がいるので残念ですがお付き合いは出来ません」
カレル……マルティン・カレルと言う彼氏がいる。
カレルのお陰でここまで昇り付いた
カレルを捨てるわけにはいかない!
「そうですか、それは残念です。アクスマン中佐、ここにはもう無用です。さっさと焼き払いましょう。部下達を下がらせた方がいいのでは?」
「あぁ、元々そのつもりだったさ」
アクスマンは部下に指示し、フラッグタワーの中で灯油を撒き散らしマッチで火を点け証拠隠滅しようとした。
炎は燃え上がる
「貴様!シュタージを裏切るつもりだったのか!?」
「裏切る?違うな。君もベアトリクスに協力したまえ」
な……!?
「彼女こそこの国を導く者だ」
「おや?彼女を葬るんではなかったのですか?」
「利用価値があるのだ。アズラエル君……ベアトリクスは君の能力を高く評価している。共に新しい国家を作ろうじゃないか。グレーテル」
アクスマンはベアトリクスと仲良かったのか?
クソ!アクスマンめ……小賢しい手を。
「私は…シュヴァルツェスマーケンの政治将校グレーテル・イェッケルンだ!貴様等クソッタレのシュタージなんぞに屈するものか!」
私はシュタージに屈しない
ベルンハルト大尉の大義を……ウルスラの夢を叶えなければならない
私がアクスマンに拒否すると私の額に銃口を向けた
「そうか…期待外れだったな君は。残念だったよ」
突如、爆発が起きアクスマンが必至で苦労しシュタージファイルの記録を全部詰め込んだCD -ROMが散りばめられた
「貴重なモノが…」
アズラエルは散りばめられたCD-ROMを拾う
慌てて冷静を欠けてるな
我々の同志達……反体制派が侵入し襲撃する
「ディスクが…貴様どうやって!?」
《フラッグタワー包囲完了!》
「衛士の基本装備だ。ハインツ・アクスマン覚悟!」
私は決死の覚悟でアクスマンに銃口を向ける
「……中……佐……」
しかし、反体制派の銃撃に倒れた将校が私を目掛けて発砲しようとするが
「ん?君は女の子を傷者にする気ですか」
アズラエルが私を、助けただと!?
「妨害行為はいけませんね……」
拳銃を握り、その将校に向け頭部を3発発砲した
「失礼、僕はこう言う卑怯者が大嫌いでしてね」
しかし、そうなってる隙にアクスマンは逃げた
「中尉!」
「私はいい!アクスマンを逃がすな!」
逃げられた。
でもこれで…衛士として恥ずかしくない戦いができたかしら…?
「アズラエル!」
!
誰だ!?
我々の味方……いや左腕の腕章見てみると、シュタージ!
まさか同士討ちか
「バジルール少佐、何故僕が此処にいる事を分かったのです?」
「ブレーメ少佐が事前に貴方の行動パターンを把握し情報を得て此処に来たまでだ!」
アズラエルは自らの手で私の蟀谷に当て抵抗する
「僕はグレーテルを攫って元の世界に帰る」
!
何を……やろうと⁈
「……ふざけるな」
「ん?」
私は蟀谷に銃口突き付けられてるにも拘らず本音を言い放つ
「ふざけるな!誰が貴様など付き合うか!馬鹿者が!私は第666戦術機中隊シュヴァルツェスマーケンのグレーテル・イェッケルン中尉だ!」
………。
バジルール少佐はアズラエルに銃口を向ける
「グレーテル・イェッケルン中尉……私はナタル・バジルール少佐だ。こんな形で初対面してしまったことは申し訳ないと思っている」
ベアトリクスがアズラエルの行動パターンを把握したのね。
「あーあ、お二人さん初対面なのに仲良くなって、僕は羨ましいですよ」
アズラエルは私の腕を引っ張り歩き始めた
「少し同行して頂きますよ」
「!離せ!何をするの!」
バジルール少佐はアズラエルに銃口を向け弾丸を放ったが、逆にアズラエルが彼女に向け発砲
そしてフラッグタワーから脱出し外へ出た
彼女は追いかける
「待て!アズラエル」
銃声が鳴り響く
アズラエルは弾を全部撃ち尽くし弾倉を入れ替える
「彼女はベアトリクスの仲間の一人です。排除しなくてはならない」
言われてみれば、確証は……いやないが、もしかしたら……?
「敵には見えなかったけど、何故彼女を排除するの?」
「……」
アズラエルの精神状態は不安定になり感情が爆発する
「ベアトリクス・ブレーメはこの国の害悪!粛清しなければならない!彼女が率いるヴェアヴォルフがその部下が最愛の大隊指揮官と称え守られている。革命を成功したいんだろ!?その為なら手段は選ばない!」
「……!」
「民主主義を取り戻す為に戦っている。反体制派の連中はゴミクズばかりだ……!」
聞き捨てならないわね……!
私はアズラエルに向け睨みつけ怒りを表す
「貴様は、この世界で何を成し遂げようとしている?兵器を売り飛ばし世界を破滅を導く……これではシュタージと変わらないわ。貴様こそが害悪だ!ムルタ・アズラエル」
「くっ……折角僕が優しくしてるのに、この僕を害悪呼ばわりするのか!」
本性現したわね
負け犬の遠吠えとはこういう事よ。
「ふざけるんじゃないよ……発言を撤回しろ!!」
私はアズラエルに銃口向けられた
「東西ドイツの鍵……救国の女神…666!その忌まわしき獣の数字の中隊は滅びるべき!お前も例外ではない!」
大尉を……ベルンハルト大尉を馬鹿にしてるのか!?
私はアズラエルの手を払い除け彼に向け銃口を向ける
「……よくもベルンハルト大尉を侮辱したな!死んで詫びなさい!!」
そう言い放ちアズラエルの顔は顔面蒼白となった
彼は振られたと思い込んでる
振られたと言うより私が嫌ったんだが。
「発言は撤回しない!」
「何だと……!」
互いの弾丸が放ち銃声が鳴り響く
私の腹部がアズラエルが放った弾丸に命中
腹部から大量出血した
「ぐ……!」
雪原に倒れ私は意識朦朧し動かなくなった
「シュタージも反体制派もこの国諸共全部吹き飛べばいい!」
アズラエルが私の額に目掛け銃口を向ける
漸く追いついてきたバジルール少佐はアズラエルに発砲する
「くっ、バジルール!」
「貴方はやはり死すべき人だ」
「僕を裏切るのか!?お前は僕の言う事を従えばいいんだ!」
「元の世界に戻っても同じ末路に遭うだけだ。アズラエル」
私はここで意識を失った……。
「死ぬのはお前だ、バジルール!」
アズラエルは拳銃を握り発砲したが、バジルール少佐に当たらずそのまま逃走する
フォルクスバーグ・フリードリヒスハインから出た目の前にMi-24戦闘ヘリが待ち構えておりそれに乗る
「おい、早く飛ばせ!ベルリンまで行け!」
「あ、はい!」
アズラエルはベルリンに向かって飛び去った。
次回、東ベルリン最終決戦です!
ベアトリクスが描いてる世界やその想いで戦うハサウェイ
シュタージと言う鎖を切り民主主義を取り戻そうとしているテオドールとカティア
かつてハサウェイの仲間だったアネット、ファム、シルヴィア、ヴァルター
ベアトリクスと仲違いになり兄の遺志を継いだアイリスディーナ
それぞれの考えが対立し、果たしてどうなるのか?
それは見てのお楽しみに