革命終結直後、僕はゼーロウ要塞陣地でのBETA殲滅を一通り終えた後に合流してきたベアトリクス率いるヴェアヴォルフと共に放送局へと向かった。そこでアイリスディーナ、カティア、シルヴィア、ファムと再会し、互いの情報交換を行った。
「反体制派も放送局を狙いましたか……僕の読み通りだ」
「シュタージを倒すためなら市民や軍に決起を促すのに私が出る予定だった」
「仮にシュタージを打倒した後は……貴女方はどうするつもりだったのですか?」
「混乱する武装警察軍を落ち着かせて武装解除させるには、ウルスラ・シュトラハヴィッツが適任と思ったのだ」
革命の女神か……カティアが国の指導者に君臨するなんて想像つかない
「では今の体制で不正行為している議員や官僚を見逃すつもりだったのですか?それこそ愚かに等しいですよ!」
そうだ、何度も言うが毒は浄化しなければならない
アイリスディーナに、続きシルヴィアも僕に言った
「それは考え過ぎじゃないかしら?確かにアンタの言う通りかもしれないわね。シュタージを打倒した後、生き残った議員や官僚は自分の利益の事しか考えず私達を利用し続けそのまま潰される。アンタはそう考えてベアトリクスと共闘した。そうでしょ?」
僕が説明しても聞いてもらえるだろうか?
「ああ、そうだ。アクスマンと同じだよ」
カティアは言った。
「まぁ、ともかくベルンハルト大尉はハサウェイさんが救出したし……目標は全部達成しなかったんですけど、これからどうします? ハイム少将を待ちますか?」
「そうだな……………彼が来るまでベルリン市内の混乱を押さえる。そういえば議会はどうなっている? 我々に対し何と?」
「議会と共和国宮殿は僕の同志達が制圧している。シュミットの傀儡だったザンデルリングが裏切ってアンタ達の仲間が集団リンチしている。ガウマンから情報を得た」
「やめさせよう。連中が一度でも議員を殺したら、無秩序な武装集団に堕ちかねん」
「マフティーも無秩序でしょ?信用できないわ」
カティアには悪いがアメリカに亡命させて軟禁する。
今は民主主義になるべきではない
30年後、30年後に必ず民主化させる
今は我慢の時だ
この後はアイリスディーナと僕とその会話を静聴していたベアトリクスだけが会話した。
放っておくといつまでも続きそうだから無理矢理中断させ、議員の解放へと行動に移った。
ズーズィとシモーネはエメラルドの報告を受けて死亡が確認された
マフティーの存在を認めたくなく自決しただろう。
各所をクーデターで制圧していた武装警察軍も、革命が終わったと後に知りあっさり撤退に応じた。
議員の解放にも成功し、政権の委譲を認めさせることが出来たので、革命軍は解体。
マフティーが東ドイツ全土を支配下に置いたと宣言し、旧シュタージ政権側もシュミットの秘書官だったコンラート・エックハルトが平和裏に権力の移行を進めると表明した
監視システムの撤廃や思想と言論の自由化は30年後に話を進める予定だ。
不正行為をした議員や官僚は東ドイツに残留するものいれば西ドイツに亡命しマフティーを打倒する準備をしようとしている。
それでも僕は戦い続ける
ベアトリクス政権の閣僚31人の名簿を発表した。その理由は、「式典の遅れで権力の空白を生むより、「公的サービスを国民に届けるため、緊急的に閣僚を発表する必要があった」と説明された。
ベアトリクスは、閣僚名簿の発表を受けて総書記になったアイリスディーナの声明を発表、「議員や閣僚達が、今の社会主義体制を守る為、将来的に民主化を目指しに懸命に働くことを保証する」、「東ドイツは、少数派や恵まれない人たちの権利を守るため、出来る範囲で取り組む」と伝えた。
第666戦術機中隊はファムを大尉に昇格し正式な中隊指揮官になった。
副官となったアネットは中尉に昇格。ファムのサポート役に回る
ヴェアヴォルフ大隊はニコラを少佐に昇格し正式な大隊指揮官になった。
副官はカタリーナ、次席指揮官はロザリンデに任命された
シュタージ全体を忌み嫌ったテオドールは中尉に昇格。
だが彼は素直にベアトリクスが仕切る政権の意向を従うことは二度となかった。
「お疲れさん、ハサウェイ」
「ああ、ガウマンもご苦労だった」
翌日、僕はガウマンと共に喫茶店のバーカウンターでコーヒーを飲んでいた。
「そういえば聞いたか?」
「何がだ?」
聞かなくてもわかる事だ
「まぁ聞けよ、俺は東ドイツの報道官に任命された。モビルスーツに乗って戦うことは当面ないだろうな」
ガウマンが報道官に……?
「そんなに驚くことか?」
「……まさかアンタが報道官だなんて、少し驚いたよ」
その後、ファム、シルヴィア、アネットが喫茶店に入店した。
もう慣れ親しんだ仲……か。
「隣良いかしら?」
「ん?ああ、構わないよ」
シルヴィアは僕の隣に座ってるガウマンを退かせ座った
「おいおい、失礼にも程があるぜ」
ガウマンは困惑している
「おめでとう、これで腐敗していた議員や官僚達を粛清し平和な世界を築き上げられるわね」
「ああ、それとクリューガー中尉の件…」
「良いわよ、アンタが直接殺してないのは分かってるわ」
え?僕を赦すというのか?
やめてくれ!と言いたいところだが客がいる前に雰囲気を壊したくないから僕は少し黙った
「ハサウェイ、アンタがやったことは許されないと自分が思っているでしょうけど過去は変えられないし一度死んでいった者は二度と戻ってこないわ」
犠牲が多過ぎた
無理もない……。
「アンタが言い含めたんでしょ?」
「何のことかな?」
「革命が終わった後、テオドールは中尉に昇格したのはいいけど…」
「良いけど…?何かな」
「酔い潰れたのよ」
反体制派側だったテオドールにとっては敗北を意味した。
自暴自棄になって深酒をして酔い潰れたか。
「自由を取り戻すことは他愛のない事であり何れにせよBETAがこの世から消滅したら社会主義体制の国家は民主主義に移行する時が来る……マフティーならそういう筈だよ」
僕は席を離れシルヴィアと一緒に喫茶店の外へ出る
「少し席離れるよ、ガウマンすまないがファムとアネットの面倒見てやってくれ」
「え?おいハサウェイ……何だよ、報道官に任命された初日によ…」
喫茶店から出た僕とシルヴィアは路地裏に移動し僕を絡んで壁を掌にドンと叩いた。
「ハサウェイ、気になってたことあるけど何でシュタージ……いやベアトリクスを仕切る政権を賛同してるの?」
「これは何度も言った筈だが、議員や官僚は自分たちの事しか考えていない。皆必死なのは分かる。だが僕は耐えられなかったんだ……シュタージにも良い人達は沢山いるんだ。誰かに強いられて無実な人々を粛清させられてる……」
「それが耐えられなかったからベアトリクスと共闘した訳ね」
ああ、そうさ……。
「マフティーがいれば正しき道を選択し国を変えられる……」
そうだよ、マフティーなら変えられる。
「本当にできるのならそれは夢物語に過ぎないわ」
かもしれない。
僕は動けずシルヴィアの顔をじっと見ている
「……」
僕は目を逸らした
「……目を逸らさないで」
僕の頬を両手で触れつつ目を瞑る
僕も目を瞑り冷静を保った。
シルヴィアと僕は唇を重ねた
これは夢だろうか?
いや現実だ。
離そうと思ったが僕はこのままの状態で下を絡み付ける
「(舌の使い方が上手い……)」
僕とシルヴィアは、口内で舌と舌を絡めて激しく抱き締め合った
夢中だった……寂しさを紛らわしたかったんだろう
口を離し、互いの視線を見つめ合う
「……革命が終わってもこんなに虚しくなるなんて思わなかったよ」
「西側とは距離置くことになるけど」
「その事だが、西ドイツはシュタージ政権は望んでおらず致し方なく互いに協力してBETAと戦う姿勢らしい」
西側だってシュタージが嫌いな人は多い
罪無き人々を殺しまくったから悪い意味で広まったんだろう
「やっぱり死にたくないのね……誰だってそうよ。そのうち国連から経済制裁を受けるかもしれないわね」
「それが悔しいんだ……」
世の中に魔法があればクリューガー中尉は生き延びていたと思う
だが現実は非常だ
魔法なんて存在しないのだから
「行きましょう、みんなが心配してるわ」
「ああ、ガウマンに任せっぱなしはしておけないからな」
僕はシルヴィアとともに路地裏から出てガウマン達がいる喫茶店へ戻っていった。
次回、最終回です!