何かしなきゃ!!
…アンケート、取ろうかな?
流王 カタクリ。マザーがつけたこの子の名前。自分が幸せにする、自分も一緒に幸せになる、そう誓いを立てた証の名前だ。
「カタクリ・・・。確か春に咲く花の名前だったような・・。」
「そうなんですか?花の名前とはまた・・・。でもこの子、男の子ですよ?」
「花の名前にカタクリってあんですか?オレ片栗粉が頭に浮かんだんすけど?」
「・・だぁう・・。(カタクリって花の名前なのか・・。オレも知らなかったな・・)」
三人はカタクリという名前に正直ピンときていない。特に花の名前にあると聞いて、男の子に花の名前をつけるのかと知って尚更疑問に思ったようだ。更にはカタクリ本人もカタクリが花の名前ということを知らなかった。
「カタクリ。そこの爺ィが言ったように春に咲く小さな花さ。正直、咲いてたからってみんなが振り向くような花じゃあない、気にも留めない奴がほとんどだろう。そんな花だよ。」
「しかもね、この花は一年でたった数ヶ月咲くために、気が遠くなる年月を暗い地下で過ごす。一年二年なんて話じゃない、十年近い年月をかけてようやく花を咲かせることができる花なんだよ。」
「・・・なんかセミみたいだ植物だな・・。だがよ、そうだとしたらなんでそんな名前にするんだ?聞いた限りじゃああんまり前向きな名前じゃねぇぞ?」
グラントリノの疑問も尤もだろう。カタクリという植物の説明を聞いた後では余りいい印象はない。我が子に長い苦労を連想させるような名前はお世辞にもいいとは言えないだろう。
「・・この子はね、きっと他の子よりもたくさん苦労する。産まれからマイナスのスタートだろうさ。」
「誤解するんじゃないよ。どれだけ他の者が優しい言葉で繕っても、この子は産まれてすぐ捨てられたという事実は変わらない。他の子が当たり前に与えらてるものが、この子にとっては特別なものになるのは間違いないのさ。」
「でもね、どれだけ他と違っても、この子にとっては何よりも大切で、当たり前じゃないからこそ愛おしいものだと気づく時が必ずくる。名前の花のように、長い時間がかかっても、それに気づいてくれると信じてるし、信じられるようにこの子には沢山のものを注いであげる。」
「いつかそれに気づく時まで、この名前に誇りを持ってくれるその時まで、そしてそれからも変わらずこの子を愛していく、そのための誓いの名前なのさ。」
グラントリノ達はマザーの説明に聞き入っていた。確かにこの子はいい産まれ方をしたとは言えないだろう。顔もわからない親にどうして生んだのかも教えてもらえない、愛していたのかさえも分からない。周りがどれだけ親身に接しても、実の親から捨てられた、愛してもらえなかったという事実は子供にとっては大きな傷になりかねないものだ。
それでもマザーはこの子を信じた。まだ出会って数日、引き取ると決めてから顔を合わせるのは今日が初めてだ。そんな中でもマザーはこの子を信じたのだ。愛情を知り、愛情が特別で、そのことに気付けたとき、名前のような花を心に咲かせてくれることを。そして、そのことを誇りに思えるようになってくれると。そのためにマザーは惜しみのない愛情を注いでいくのだと誓ったのだ。
「そしてもう一つ、これは私自身のことだ。私はね、この子の名前のように、長い間一人で戦って、一人で過ごして、ずっと一人で心を晴らすことなく生きていた。そしてそのことに私自身が気付もしなかったのさ。」
「だからこそ私はこの子と過ごす時間を花が咲いた時間にしたい。この子と出会うまでの時間が花を咲かせるための準備だったんだと思えるように、いっぱいいーーーっぱい幸せになってやる!!そのことを忘れないように、自分が一人だった時間を忘れないように、この花の名前をこの子と一緒に口にしながら生きていくんだ!!」
一人で助け、一人で救い、いつしか救うことが当たり前になり、救われる側に入れないことが分かってしまい、自分自身に救いを求めてしまったグレートマザー。
それまで歩んできた道のりが、一人で生きてきた時間が、幸せになるために必要だったと思えるように。そして何より、一緒に歩んでいく存在と出会うためだったと思えるように。マザーはこの子と一緒に生きていく誓いを込めてこの名を送った。
二つの誓いが込められた『カタクリ』という名前に、グラントリノ達は反対などできなかった。マザーがこれまで歩んできた道のりを知っているが故に、どれだけ強い意志が込められた名前なのか理解できたのだ。特にグラントリノはマザーの苦悩を間近で感じていたため、マザーの誓いが痛いほど分かってしまった。
「・・そこまで覚悟を決めてその名をつけたんなら、絶対この子を幸せにしろよ。
「カタクリ・・、いいじゃないですか。マザーと一緒に名前に恥じない子に育っていきますよ。」
「・・・子供の名付けってこんなに感動すんすね・・。なんか実家に顔出して久々に親の顔みたくなってきたっすわ・・。」
三人はそれぞれこの名付に思うところがあるのか、各々の感情に浸っていた。そして何より、かつて自身が呼ばれていた名をこの世界でも名のることになったカタクリは、今まで感じたことのない感覚に胸が温かくなっていた。
「(・・オレは正直、名前に意味など考えたことがなかった・・。ただママが気まぐれでつけたもの、つけた子供がそうなるように定めていたものだとしかと思っていなかった・・)」
《マーマママママ!!名前ェ??そこら辺にあるもので付けな!!後からその通りに育てりゃいいんだからねぇ!!》
《マーママママママ!!ほら、この悪魔の実をお食べ!!これで名前通りの力を持った!!大満足さ!!マーママママ!!!》
「(だかこの女は違う・・・。この名前に意味をくれた・・。オレを幸せにすると言った・・。この名前に誓ってくれた・・・。)」
母親からの愛情、生まれ変わる前の母親『ビッグマム』からはもらってないわけではないが海賊として生きていた母親のため、一般のそれとはかなりズレている。カタクリは生まれて初めて親からの愛情というものをもらった。それはとても温かく、とても心地いいものだった。
「(正直、俺は生まれ変わったことを後悔していた・・。やりたいこともない、何も知らない世界でどう生きていけばいいのかもわからない、ここに俺を送った兄弟達を恨んでしまった時期もある・・。)」
「(だが、こいつから俺がこの世界で生きていく理由をもらった気がする・・・。俺がどうして生まれ変わるべきだったのか、兄弟達が俺に体感してもらいたかったものがなんなのか、少し分かった気がする・・。)」
有無も言わさず送り出した兄弟達に怒りすら覚えた時期もある。だがその先に、カタクリは二度目の人生でかけがいのないものを与えられた。それこそがカタクリを送り出した兄弟達がカタクリに得て欲しかったものなのかもしれない。
「(新しい人生・・・、か・・。悪くないかもしれんな・・・。)」
ちょっと長くなりそうなのでここで切ります。
次回は早めに更新できるかな?
カタクリと一緒に強くなるライバル、この中で誰が相応しい?(緑谷、爆豪、轟は除く)
-
飯田天哉
-
尾白猿夫
-
上鳴電気
-
切島鋭児郎
-
障子目蔵
-
砂糖力道
-
峰田実
-
鉄哲徹鐵