ヒーロー?ヴィラン?俺は家族を守るだけだ!   作:レイリーン

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パソコンが打てないのは辛い・・・、指の骨折がこんなに不便とは・・・


第九話

 玄関での寸劇も程々にマザー達は猫目の案内で屋敷の中へ入っていった。屋敷の中は敷地は広いが、意外に中の建物は大きくなく数が多い造りになっており、中には道場と蔵も二つずつ見えている。母屋の建物は大きめの和風住宅になっており、その横に母家と繋がっている離れがある。豪邸というより、複数人が共同生活をしていたお屋敷といった感じだ。

 

「ほー、中は広いが建物はべらぼうに大きいわけじゃないんだな」

 

「えぇ。ここは数年前まで有名な武術家達が共に暮らし腕を高めあっていた道場だったそうです。ただ、個性社会という大きな波には耐えられず、ここで過ごされていた武術家の方々は一人、また一人と此処を去っていったそうです」

 

「・・・世知辛ぇ話だ・・、個人的にその武術家達とはいつか会ってみてぇな」

 

「警察としては個性に頼らない武術はとても重宝するものなんですがね。私も可能なら是非お会いしたいものです」

 

 猫目の案内で敷地内に足を踏み入れたグラントリノと藤元は嘗てここで暮らしていた武術家達に想いを馳せていた。その後ろでは車から荷物を下ろし蔵へ運ばされているパワーローダーとカタクリを抱いているマザー、そしてマザーと一緒にカタクリをあやしている木天蓼の姿があった。

 

「あらあら元気いい子だね!ほっぺもぷにぷにで栄養状態も問題なさそうだ!!うりうりうりぃ!!」

 

「力も強いだろ!元気もいいし流石あたしの子だよ!!うりうりうりぃ!!」

 

「(二人して頬をうりうりするなあぁぁ!!!俺はおもちゃじゃないんだぞおぉぉ!!)うーーだーーー!!!!」

 

「・・・マザーはまぁ当然として、木天蓼さんもカタクリちゃんの相手ができるのは驚きですね・・」

 

「だな・・・。あの人もなんか腕に覚えがあんのか?」

 

 グラントリノと藤元はマザーの腕の中で暴れるカタクリを容易くあやしている木天蓼の手練れに驚いた。カタクリには看護師たちが総出で対応してたというのに木天蓼は笑いながら対応している。それだけで彼女の実力が垣間見えるというものだ。

 

「ふふ、木天蓼さんは元サイドキックですからね。だいぶ前にお辞めになられたそうですが、体は覚えてらっしゃるんでしょうね」

 

「ほう、なるほどな。動きを見るに、結構いいとこのサイドキックだったんじゃねぇのか?」

 

「・・・そうですね、そうだと思います」

 

「・・・???」

 

 猫目の言葉にグラントリノは納得しマザー達のじゃれ合いを眺めていた。藤元は根の眼が言葉を濁していることを少し疑問に思ったが、その後ろでパワーローダーが疲れた顔をして荷物を運び終えたことを報告している様子を見て疑問もすぐに忘れてしまった。

 

「・・・マジで疲れたっすよ・・・、ちょっとは手伝ってくれてもいいじゃないすか・・・」

 

「それで今日の失言チャラにしてやろうってんだから優しいもんだろ?それともまだ壁のシミがよかったか??」

 

「マジでやる気だったんすか・・。木天蓼さん、さっきは失礼なこと聞いてスイマセン」

 

「あはは、女性に年齢が分かってしまう質問は控えような。あなたプロヒーローでしょ?デリカシーのないこと言うとあっという間にファンが離れていっちゃうよ?」

 

「・・・肝に銘じます・・・」

 

「あはは、怒られてやんの。カタクリはこんな大人になっちゃだめだぞ!(プニプニ)」

 

「(だから頬をいじるのは止めろ!!くっ!離さんかあぁぁ!!!)あうぅう!!!あい!!うにいぃぃぃ!!」

 

 パワーローダーが木天蓼から軽い説教をされている間もマザーとカタクリのじゃれ合いは続いた。ワイワイ話しながら皆で屋敷内に入っていき、グラントリノ達は猫目の案内の元マザーの育児環境の確認を済ませていく。母屋にはベビーベットやオムツなどベビー用品がしっかり整理されており、哺乳瓶も数種類準備され消毒用の赤ちゃん用ハイターに、ミルク用のお湯も出るウォーターサーバーまでリビングとキッチンの二か所に設置されていた。正直ここまで準備されているとは思っていなかったためグラントリノ達は驚きを隠せない。

 

「すげぇ周到に準備されてんな・・、これ絶対おまえやってねえだろ?どう考えてもお前が準備したとは思えない物が多いんだが?」

 

「・・・まぁ全部はやってない、かな・・。でもちゃんと色々準備したものもあんぞ!」

 

「・・もう正直に言ってください、マザー。これほど用意周到に準備できるのは育児の経験がある方じゃないと絶対無理です。絶対に無理です」

 

「無理って二回も言わなくてもいいだろ!!そりゃ全部はしてないけどあたいなりに頑張ったんだぞ!!」

 

「・・・うふふ♪」「アハハ!ひどい言われ様!!」

 

 もう最初からマザーがこの環境を用意したとは思われていないことに猫目と木天蓼は思わず笑ってしまった。マザーも全く信用がない状況に若干涙目になっている。

 

「グラントリノさん、藤元さん、あんまりマザーを責めないでくださいね。確かにマザーはこの環境を準備することはできませんでしたけど、この子(カタクリ)のために色々してあげたいっていう思いは誰よりも強いんですよ」

 

「そうそう、カタクリにはなにが合うのかわかんないからって哺乳瓶は十数種類買ってくるし、ミルクは店にある種類全部買うし、このベビーベットなんかマザーが自分で組み立てたんだよ?出来上がるまでに四つほどぶっ壊しちゃいながらね!」

 

「わあぁぁぁぁぁぁぁ!!そのことは言わなくていい!!!」

 

「うふふ、確かに準備は私と木天蓼さんがほとんどしましたけど、必要なものはマザーがすでにいっぱい買ってこられてました♪」

 

「そうだねぇ♪私たちはその中から本当に必要なものを選んで配置するってかんじだったな。もうホントすごい量だったんだから」

 

「だから言わなくていいって!!ホントにヤメテ!!!」

 

 猫目と木天蓼の暴露にマザーは顔を真っ赤にしながら抗議している。グラントリノ達はあのマザーがベビーショップで哺乳瓶やミルクを云々言いながら悩んだり、ベビーベットを苦戦しながら組み立てている光景を思い浮かべると、なんだかほっこりした気分になった。もちろんカタクリも、母親とはこういうものなのかと感じながらほっこりしている。

 

 それから屋敷の敷地内のすべての建物を確認し、今後の育児に何も問題がないことをグラントリノ達は確認し合った(一部以前暮らしていた武術家が置いていったであろう危ないものがあったが、まぁマザーなら大丈夫だろうということでスルーされた)。そして最終確認を行うため、皆リビングに集まった。

 

「正直に申し上げて、ここでマザーが育児をされるのは何の問題もありません。むしろ非の打ちどこがない状態です」

 

「だな。最初はこんなとこ選んで何考えてんだと思ったが、きちんと協力者を募ってしっかりと準備されていた」

 

「よーし!!これで「ただ・・」・・??」

 

 確認者のグラントリノ達はこの家と環境についてはなにも文句はなった。しかし、今は問題なくても今後のことを含めると見過ごすことができない点が浮かび上がってくる。

 

「お前さんがこの屋敷で生活していくにあたって、この屋敷の手入れを行うことができるか、という点に疑問が残る。カタクリを育てながらお前さんがこの広い家の家事をおこなえんのか?」

 

「ですね。今回はお二人の協力があって準備ができたようですが、本当にお一人でこの屋敷の状態を維持してけるんですか?」

 

 グラントリノと藤元の懸念、それは家事が出来ないマザーがこの子を育てながらこの広い家を清潔に保てるのか、という点だ。一般的な家ならば一人でも頑張ればしっかり清潔を維持できる。しかしこの屋敷は一人で維持していくには広すぎる、おまけに家主が家事全般すべて壊滅的とあって二人は不安しかないのだ。

 しかしその問題はすでにマザー()には解決済みの問題であった。

 

「あぁ、それなら問題ないよ。じつは猫目さんたちは今日からここに住むことになってんだ。住み込みで色々教えてもらうために、あたしが雇う形で一緒に生活することにしたんだよ!」

 

 マザーの仰天発言に三人は表情が固まってしまった。それを見た猫目が笑いながらこの経緯を説明する。

 

「ふふ、実はマザーから赤ちゃんを引き取ると聞いてからこのことを打診されて、私たちもそれに同意してこちらに引っ越してきたんです」

 

「あたしは去年、猫目さんは今年に入って子供が独立してね、お互い旦那には先立たれちまってやることもないから、今回の提案は渡りに船だったんだよ」

 

「マザーの生活能力のなさを知っている者としては、マザー一人では育児が難しいことは火を見るより明らかですからね。なので私と木天蓼さんでマザーに色々教えながらしばらく一緒に生活することにしたんです」

 

「子供にも今回のことを説明してるし、家に一人いるよりよっぽどいいさ。ちゃんと給料も出るしね!」

 

 グラントリノ達は驚いたがこれはとてもいいことだと瞬時に理解した。二人の言う通りマザーの生活能力は壊滅的ですぐに改善されることも絶望的だった。そんな中育児の経験が豊富で家事全般も全く問題ない助っ人が二人も常駐してくれるのだ、これほど心強いものはない。

 

「・・・ここまで環境も人材も整ってるなら何も問題ないですね。マザー、お二人が協力してくれて良かったですね」

 

「いやホント、もう一生頭上がんない・・・。本当に感謝しかないよ」

 

「お気になさらず。私たちはマザーには返しきれない御恩があります、むしろ恩返しと新しい子育ての機会を頂いて感謝してるほどですよ」

 

「そうそう、あたしたちもまさかまた子育てができるなんて思ってなかったし、また楽しい毎日が送れそうだよ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「・・??どうしました、グラントリノ??」

 

 そんな中グラントリノは何かを考えこむように無口になっており、それに気づいた藤元が話しかけるとマザーも不思議そうに首を傾げた。

するとグラントリノは猫目と木天蓼の方へ向き直り、そのまま二人に向かって頭を下げた。突然の行動に二人は困惑し、マザーも驚いて飲んでいたお茶を詰まらせてしまっている。

 

「グ、グラントリノさん、いったいどうされたんです?頭を上げてください」

 

「ちょ、ちょっと!!止めてください!!何がどうしたんですか?!」

 

 いきなりの行動に藤元とパワーローダーも驚きで動けない。マザーはお茶が気管に入ってしまって盛大にむせている。

 

「・・・こいつはいままで一人で何でもやってきた。なまじ一人で出来てしまったから、一人で色んなもん背負いこんで、こんな年になるまで自分を救ってやんなかった・・・」

 

「「「「・・・・・・・・」」」」

 

「そんなこいつが、今回この子と一緒に生きて、この子と一緒に救われて、この子と一緒に幸せになろうとしてる。そんなこいつを、かつての相棒のようになってほしくはねぇ・・・」

 

「だから頼む、こいつに子供と一緒に幸せになっていくことを教えてやってほしい。俺やこいつらじゃそれはできねぇ、子供を育て上げたあんたたちじゃなければ出来ねぇんだ・・・」

 

「こんな老いぼれの頼みだが、どうかよろしくお願いします。二人に、家族で幸せになれるよう手助けしてやってください」

 

「・・・・グラントリノ・・・」

 

 なんだかんだ言いながら、グラントリノはマザーとは付き合いが長い。嘗ての相棒と一緒に競い合ったり、励まし合ったりした仲だ。だからこそマザーの苦悩を身近で見てきているため、今度こそ自分の幸せを掴んで欲しかった。相棒のように、自ら手放すようなことにはなってほしくはなかったのだ。

 

「・・・頭上げろよ、小っ恥ずかしい・・・。お前に言われんでもあたしはしっかり幸せになってやるわ、余計なお世話だっての」

 

「・・・ふん、うん十年それに気付かんで一人うだうだ言っとった奴が言っても説得力ねぇな、ええ?」

 

「そうですねぇ、グラントリノさんの言うとおり、マザーには説得力はありませんね♪」

 

「あはは、こればっかりはこの人の言う通りですよ、マザー♪」

 

「・・・・・・・(プイッ)」

 

 

 

 

 

 

 

 時を越えて、時空を超えて、世界を越えて、一人のヒーローと出会ったかつての四皇は、様々な出会いと触れ合いの中で、新たな伝説を残してゆくことになる。その第一歩が、今ここから始まろうとしていた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(腹が減った・・・・・)うぅあぁ・・・」

 




大変お待たせ致しました、カタクリさんの赤ちゃん時代はこれで終了です。
次回は数年時間を飛ばしまして、幼少期のお話となります。いよいよ原作キャラがたくさん絡みますよ~。

次話のあとがきからオリキャラのプロフィールを書いていこうかなと思います。需要あるかなぁ・・?

カタクリと一緒に強くなるライバル、この中で誰が相応しい?(緑谷、爆豪、轟は除く)

  • 飯田天哉
  • 尾白猿夫
  • 上鳴電気
  • 切島鋭児郎
  • 障子目蔵
  • 砂糖力道
  • 峰田実
  • 鉄哲徹鐵
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