ヒーロー?ヴィラン?俺は家族を守るだけだ!   作:レイリーン

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完治!!圧倒的完治!!!
お待たせしてごめんなさい!!


第十三話

 マザーの一撃で完全に沈黙し床に蹲る送崎達四人。そんな彼女たちを見下ろしながらマザーは感心しながら話し始めた。

 

「・・『殴る気』を使わなかったとはいえ、()()()()()()を殴られてちゃんと意識を残してるとは大したモンだ。が、やっぱりまだまだ経験不足だな。これに関しちゃ場数踏むしかないが、お前さんらがやろうとしてることとは相反することだぞ?それを踏まえて猫目の話をよく聞いておくんだね」

 

 マザーはそう言うとカタクリ達の元へとドヤ顔で戻るが、木天蓼からはドン引きされカタクリも驚きの表情がひき顔に変わってしまった。更には焚きつけた猫目からも呆れの表情をされ、さっきまでのドヤ顔はあっという間に引っ込んでしまった。

 

「なんで皆してそんな顔するんだよぉ!!猫目に至っては頼まれたからやったんだぞ!!」

 

「いやマザー、やり過ぎッて言葉知ってる?そりゃあんたは生きてる災害みたいなもんだから存在が理不尽だけどさ、生まれたてのヒヨコにマシンガンぶっ放すようなもんじゃんこれ」

 

「・・・そりゃ確かに私が頼んだんですがね、もうちょっと手加減というものを・・。いや、マザーのような理不尽にそんなもの求める方が間違いですね、これはもう私の采配ミスです」

 

「・・・・・・・(完全にドン引きの顔)」

 

「なんなんだよぅ、皆してぇぇ!!そんなにあたしって理不尽な存在なのかよぉ!!!」

 

「「え???そうだけど???/そうですけど???」」

 

「(コクコクっ)」

 

 三人の返しにマザーは完全にいじけてしまい、うずくまって地面をイジイジし始めてしまった。流石に言い過ぎたのか木天蓼が苦笑しながらもマザーを慰め始め、カタクリも慌ててマザーの背中をさすっている。その光景を見た猫目は微笑み、後で蹲っている四人に向き直った。

 

「・・・あぐぁ・・!!ウェぇぇ・・・!!」

 

「・・カっ・・・!!げっ・・、おッ・・、ゔぉあ・・・!!」

 

「・・・あっぐ・・・!!・・いっ・・、ぐぉえ・・・!」

 

「・・ウゴ・・!!・・・グゥ・・、・・ゴハッ・・!!!」

 

 依然として四人は腹部から広がる痛みと衝撃に悶えながらも先ほどと比べると若干だが目に光が戻り始めている。四人はそれぞれ一様にショックを受けているが、中でも茶虎は特にショックを受けており表情にもそれが表れていた。

 

「(・・これが『元』№2の実力・・・!!・・私なんかじゃ差があり過ぎる・・・・!!反応すらできないなんて・・・!!!)」

 

「(・・・何をされたのかすら痛みを感じるまで分からなかった・・・!!私が見てきたプロヒーロー達なんて、この人に比べたらみんな小っちゃく見えちゃう・・・!!)」

 

「(・・・あきちの『個性』は発動してたはずなのに、全く反応出来なかった・・・!!!『個性』が全く通用しないなんて、こんな事初めてだよ・・・!!!)」

 

「(なぜ・・・、なぜ私の『個性』が発動していない・・・!!いや、発動はしていた、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()感じだ・・・!!そんなことがあり得るのか・・・!?!?)」

 

 それぞれがマザーの一撃に思うところがあり各々が思考をまとめようとしている最中、猫目は四人に諭すように話しはじめた。

 

「・・・痛いでしょう?苦しいでしょう?・・そして、()()()でしょう?・・でもね、今のあなたたちの状態が(ヴィラン)や自然災害で()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「「「・・・・!!!!」」」」

 

「あなたたちは今受けた理不尽に対しての怒りや憎しみといった感情は理不尽を与えた対象、ここではマザーもしくは焚きつけた私に向けているでしょうね」

 

「こんな風に怒りの感情を向ける対象がいるのが対(ヴィラン)方面の場合、では対災害救助法面の場合はどうなると思う?あなたたちが抱えているような怒りや憎しみは、自然災害で被害を受けた被害者は誰に向けると思う?」

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

「・・・正解はね、()()()()()()()()()()()()()()。とっても理不尽だけどね、災害現場で被害を受けた被害者やその家族は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。なんでもっと早く助けなかった、なんでもっと早く現場に来なかった、こんな風にね」

 

「「「「・・・・!!!!!!!」」」」

 

 必死で助けたのに罵声を浴びる、力及ばず助けられなかったら遺族から非難され罵倒される、そんな現実があることに四人は目を見開いて驚愕する。もちろんそのようなことがあるのは知ってはいるが、今自分たちが実際に味わっているこの理不尽を助けてくれた人に向けてしまうのかと思うと寒気がする。ましてやそんなことが自分に降りかかると思うととてもじゃないが耐えられない、心が折れてしまいそうになる。

 

「人ってね、自分たちではどうすることもできないものに憎しみの感情を向けることはできないことが殆どなの。対(ヴィラン)なんかは憎しみを向ける対象がはっきりしてるからそこへ向きやすいけど、自然現象を恨んでも仕方がないでしょう?その最たるものが自然災害なのよ。例えば崖崩れの被害にあった人がその崖を恨むかしら?もちろん恨む人もいるでしょうけど、違うものを恨む場合が多いんじゃない?その山の所有者の管理不足、市区町村が行う舗装の不備、とかね」

 

「だからこそその行き場のない負の感情を救助に来てくれた人に向けてしまうの。頭では助けてくれたことは分かっていても、どうすることもできない感情を助けてくれた人にぶつけてしまうものなのよ。でもこれは仕方のないことなの、人は理不尽に傷つけられたとき、その感情を何かにぶつけなければ自身の精神の平静を保つことができないからなのよ」

 

「・・・もちろんそんなことする人が全てではないわ。感謝してくれる人が大半だし、救助ってとてもやりがいのあるお仕事よ」

 

「でもね、救助活動方面のヒーローは他の方面のヒーロー達よりも多くの非難と罵声を浴びることになる現実を知りなさい。他は10の称賛と1の罵声のところが、救助活動の場合は10の称賛と5の罵声になるものと覚悟しなさい。だからこそ、他の分野以上に知識と経験が必要になる」

 

「でもその経験を積むことができる場所は現場しかない、そして現場ではさっき言ったようにやり場のない感情を向けられてしまうことを意味するの。マザーが()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言ったのはそういうことなのよ。プロとして、ましてや独立してしたら称賛も罵声も一身に受けることになる、場数を踏む分だけ心もやられていくことになるの」

 

「・・・私がさっき今すべきことではないと言ったのはこのためよ。あなたたちはまだ若い、称賛も罵声もまだまだ受けなれていない状態よ。そんな状態で助けた人から非難されたら、あなたたちはとても傷付くことになると思うわ。そしてその傷は、あなたたちにとってヒーローを続けていくうえでとても苦しいものになってしまうでしょうね」

 

「だからこそ一度立ち止まって自身と向き合ってほしいの。自分にどれだけの知識があるのか、経験があるのか、覚悟があるのか、もう一度自分に問いかけてあげて」

 

「そこで自分自身を納得させることが出来たらもう一度答えを聞かせてちょうだい。その時は、私たちは全力であなたたちを応援するわ」

 

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

 

 送崎たち四人は蹲りながらも猫目の話に聞き入っていた。自分たちが選んだ道が決して平たんなものとは思っていなかった、たくさん苦労することになることは覚悟していた。しかし、言いようのない理不尽と罵声を受けることになる覚悟はできていないことに気付かされた。この痛みが、この理不尽が、助けた人から受けることになるなんて、今までは想像することもなかった。己の未熟さに、不甲斐なさに少女たちは自然と涙を流していた。

 

「大丈夫よ、さっきも言ったけどあなたたちはまだ若い。あと一年インターンを受けることもできるし、知識だって身につける時間はある。悩んでここに来ることもできたし、どうしようもなくなったらいつでもいらっしゃい。私たちでよければいつでも相談なり手ほどきなりしてあげるわ」

 

「「「「・・・はい・・・」」」」

 

 猫目の励ましで緊張の糸が切れたのか、小さな返事をすると四人とも意識を手放してしまった。流石にマザーの一撃を受けて耐えられる体ではなかったようだ。

 

「あらあら、仕方ないわね。マザー、木天蓼、この子たちを運ぶの手伝ってちょうだい」

 

「あいよ、任せな。ほらマザー、いつまでもくよくよしない、ちゃっちゃと運んじゃおうぜ」

 

「・・・ぐすん、どうせあたしは歩く災害ですよぅ・・・」

 

「・・・母さんは母さん、災害でも母さんだから大丈夫だよ、元気出して」

 

「・・・それは慰めてるにはならないんだよ、カタクリ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あれ、ここって・・??」

 

 布団から起き上がった知床はあたりを見渡すと、同じように布団に横になっている送崎たちが周りにいた。なんでこんなことになっているのか思い返すと、先ほどの猫目たちとの一幕を思い出し布団から飛び上がった。

 

「そうだ!!あちきたちマザーと手合わせしてそれから「・・あぁ、起きたんだね知子・・」・・信乃ちゃん?!」

 

 知床が送崎の方へ振り替えると布団の中で気だるそうに眼を開けた送崎に何かを考えこんでいる土川と茶虎の姿があった。

 

「皆起きてたんだね!!てちょっと待って!!今何時!!!!」

 

「・・・8時13分。もうとっくに夜になってるよ・・・」

 

「大変じゃん!!!早く帰んないと心配してるよ!!帰る準備しなきゃ(ズキィ!!)・・アツッ・・!!」

 

 知床は急いで帰宅しようとするが腹部の痛みに動けなくなってしまう。そこはさっきマザーに一撃をもらった場所だ。

 

「・・無理するな、知子。あのマザーにやられたんだ、私たちではまともに動くこともできんさ・・・」

 

「・・・大丈夫だよ、猫目さんが先生に連絡してくれて、先生から親には連絡してもらったってさ。」

 

「さっき猫目さんが来て、今日はもう泊っていきなさいって。知子が起きたらご飯にしようって言ってくれたよ」

 

「そっかぁ・・・、じゃあよかったぁぁ・・。門限破ってお小遣い減らされるとこだったよぉ・・・」

 

 知床は安心したのか布団に倒れこみ大きく息を吐いた。その様子を見た送崎たちは少し考えてから真剣な表情で知床に問いかけた。

 

「・・ねぇ、知子。知子はこれからどうする・・?」

 

「ふえ??」

 

「進路、どうするかってこと。いろいろあり過ぎて頭パンクしそうだけど、あんたはこれからどうするつもり?」

 

「今日だけでたくさんのことを教えられたからな・・。各々思うところはあるが、知子はどうするつもりなんだ?」

 

 送崎の問いに知床は少し考えたが、すぐに笑顔になり三人に向き合った。

 

「私は変わんないよ、災害救助をするヒーローになって、皆と一緒にチームを作る!!そしてもっとたくさんの人を助ける災害救助専門のヒーローになるよ!!」

 

 知床の言葉に驚いた三人は顔を見合わせるが、知床は構わず続けた。

 

「確かに想像の何倍も険しいってことは今回のことで実感した。でもあちきが目指したのは救助を待つ人を助けるヒーロー!!険しく困難な道なら、そのための準備をしっかりやって挑むだけだよ!!」

 

 険しく困難ならばそれ相応の準備をするだけ。この言葉に送崎たちは再び顔を見合わせ、そして笑った。

 

「・・フフ、それもそうね!!険しい道なら、ちゃんと準備すればいいんだものね!!」

 

「あーあ、なんだか難しく考えてたことがバカみたいじゃん。もっと単純でいいんだねぇ」

 

「ハハ、下手な考え休むに似たり、だな。知子の単純さが正解だったんだな」

 

「いや酷くない!!あちきそんな単純じゃないし!!!」

 

 重たい空気はどこへやら、明るい雰囲気が戻ってきた四人は笑顔が戻りまた賑やかな笑い声が響いていた。

 

「さ、知子も目が覚めたことだし、猫目さんのところへ行きましょう。お礼も言わなきゃいけないしね」

 

「そうだね。なんかほっとしてお腹も空いちゃった。ごはんなんだろ?」

 

「あちきもお腹空いた~。お腹痛いけどお腹すいたよ~」

 

「こらこら、私たちはお邪魔している立場だぞ。失礼がないようにしないと」

 

 四人は客間から出て猫目の元へ向かう途中、縁側に座っているマザーとカタクリが目に入った。何やら驚いている様子のマザーと真剣な表情をしているカタクリの様子を見て、何をしているのか気になった四人はカタクリたちの元へ足を向けることにした。

 

「カタちゃん、なにしてるんだろ?」

 

「何やらマザーも驚いている様子だが・・。どうしたんだろうな?」

 

「ちょっと!!盗み聞ぎ見たなことはよくないわよ!!」

 

「でも何話してるか気にな「お願いします!!母さん!!」わっ!!なに!!」

 

突然カタクリの大声が響くと、そこにはマザーに向かって頭を下げているカタクリがいた。

 

「おれに、気の使い方を教えてください!!!」

 

 

 時は少し遡る、カタクリに縁側へ連れ出されたマザーはいったい何事かと驚いていた。

 

「どうした、カタクリ??母さんになんか聞きたいの??」

 

 マザーに向き直ったカタクリはどこか覚悟を決めたような表情をしている。とても二歳児には見えない、凛々しい表情をしていた。

 

「・・・母さん、今日の道場で母さんは『気』を使ってたよね?」

 

「!!!」

 

 マザーは驚愕した。確かにマザーは『気』を使ったがそれはほんの一瞬だ、それも『殴る気』のように目にみえるようなものは使っていない。それなのにこの子は、カタクリは気づいていたのだ。

 

「(今まで誰も気づくかながなかった『気』の使い方だってのに、まさかカタクリが気付くなんて・・・!!・・・『殴る気』で何度も叩いちゃったから身体で『気』の感覚覚えちゃったのかな・・・??)」

 

 驚いた表情のマザーを見て確信したのか、カタクリは突然頭を下げてマザーへ懇願した。

 

「おれに、気の使い方を教えてください!!!」




そろそろ新しいアンケート取ろうと思います。
後この作品ヒロイン未定なんですけど、いりますかね?

ご意見はいろいろありますが、猫目さんの話はほぼ私の実体験です。

救済してほしい敵キャラはいますか?

  • 荼毘(轟 燈矢)
  • トガヒミコ
  • トゥワイス(分倍河原 仁)
  • Mr.コンプレス(迫 圧紘)
  • スピナー(伊口 秀一)
  • マグネ(引石 健磁)
  • ステイン(赤黒 血染)
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