もっと書く時間が欲しい・・・
~マザーside~
私に向けて頭を下げるカタクリに、私は複雑そうな顔をしてカタクリを見下ろしている。正直に言えば自分のこの力を受け継ぎたいという気持ちは嬉しい、だがその反面この子には力を使うことなく平和に生きてほしいという気持ちもある。
そして一番の気がかりが『なぜ力を求めるのか』という点だ。二歳になった時もそうだったが、
普通は二歳の子供といったら遊びたい、食べたい、眠たいと欲求に忠実だ。それにやることなすことイヤイヤ言って進まない「イヤイヤ期」だってある。それがこの子には全くと言っていいほどない。・・・私や猫目さんたちの言うことには素直に応じるしわがままもほとんど言わない、いい見方をすればとても素直でいい子なのだろう、でもこの子は
・・・まぁ強くなりたいって想いが嬉しくてこの子との訓練をやり過ぎてしまっている私のせいでもあるんだけど・・・。流石に『気』を使ってしまうのはやり過ぎッて自覚はある・・・。・・・この子の力への執着はこれが原因ってことはないよな・・・。
・・・ともかく!!なんで
「・・・ねぇ、カタクリ?あんたなんでそんなに強くなろうとす「ギシィ・・」・・んんん???」
・・・音がした方を見るとあの子たちがこっちを覗いてた・・。もうみんな動けるとは、この子らタフだねぇ。・・・さあて、色々聞かなきゃいけないし聞かれもするだろうから時間かかりそうだなぁ・・。
~side out~
マザーに向かって頭を下げるカタクリが気になり覗いていた送崎たちだが、床がきしむ音でマザーに気付かれてしまいマザーともバッチリ目が合ってしまった。四人とも物凄く気まずそうに顔を隠すが、マザーは苦笑して四人に手招きをし傍に来るように促した。四人が申し訳なさそうに近づくと頭を下げていたカタクリもそれに気づき、顔を上げ驚きながらもマザーの横に移動して四人を迎えた。
「・・・申し訳ありません、盗み聞きするつもりはなかったのですが、その、移動中にカタクリちゃんの声が聞こえたもので・・・。」
「あ~、いいっていいって。離れからここに来る途中だったんだろ?聞こえるのもしょうがないよ」
送崎たちは申し訳なさそうに謝罪するが当のマザーは気にしていなかった。そんな中、茶虎は先ほどのカタクリの言葉で気になったことがあり、思い切ってマザーへそのことを尋ねてみることにした。
「・・マザー、一つ質問してもよろしいでしょうか?」
「ん??なに???」
「・・・先ほどカタクリくんが『気』の使い方を教えてほしいとおっしゃっていましたが、それは昼の手合わせの時に私の個性を無効化したことに関係があるのですか?」
「・・・個性の無効化???あんたあの時個性使ってたの??」
「・・・え???」
茶虎が自らの個性『軟体』をマザーが無力化して攻撃したことを質問するが、当のマザーは個性が使われていたことすらわかっていなかった。この返答に茶虎は茫然としてしまうが、知床はその場面を思い出し思わす声を上げた。
「あーー!!そうだよ、あの時柔ちゃんなぜかマザーから殴られたときお腹が固まってすごい音してたよね!!!柔ちゃんは個性で身体中柔らかいはずなのに、なぜかカッチカチだった!!!」
「言われてみれば確かに・・!!柔には直接攻撃って効きにくいはずよね・・!!」
「そう言われてみれば私たちもお腹がいつも以上に固くなってた・・・!!力入れたつもりないのに、勝手に腹筋がぎゅーッてなってたような・・!!」
知床達もマザーに殴られた時のことを思い出し、自分の体が不自然に力を入れている感覚があったことに違和感を感じ始めた。まるで見えない何かに体を絞られるような、体が収縮する感覚だ。
「あぁ、それか。あれはあんたらの腹に『脅かす気』をぶつけて強制的に腹筋を硬直させて、そこにあたしの個性で手の固さを『強化』した拳で殴って衝撃を発生させたんだよ」
「・・・『脅かす気』???」
「・・・強制的に硬直???」
「・・・手の固さを『強化』???」
「・・・衝撃を発生させた???」
「(・・・やはりあれは覇王色の覇気!!それを一部分に集中してぶつけることで、意識を刈り取ることなくその部分を強制的に緊張状態に持っていったのか!!!)」
送崎たちはマザーの説明に半分も理解できなかったが、カタクリだけは前世で覇気を使うことができていたため大まかには理解することができていた。
「・・・あ~、まぁそうなるよね。ちょうどいいや、カタクリにもまだあたしの個性がどういうものか教えてなかったし、『気』のことも含めてあんたたちにも教えてあげようか?」
「「「「いいんですか!!!???」」」」
「(そういえば母さんの個性は何のか聞いたことなかったな、猫目さんたちも言わなかったし)」
元№2ヒーローの個性について教えてもらえるなんて、あまりの幸運に送崎たち四人は間髪入れずに食いついた。カタクリも一緒に生活しているが個性については聞いたことがなかったため、マザーの膝の上でおとなしく個性の説明を聞くことにした。
「まず確認なんだけど、みんなはあたしの個性が何なのか知ってる?」
「・・・え~と、前にテレビで力を強くする個性じゃないかって言われていたような・・・?」
「その認識で間違いないよ。あたしの個性は『強化』、私自身の身体の一部を強くするって個性だよ」
「??体全部じゃなくて、一部分だけなんですか??」
知床が手を挙げて質問するとマザーは頷いて説明を続ける。
「そ。この個性は指定した個所を強化するものだから効果範囲は広くないんだ。例えば右腕の筋力を強化、というふうにね。効果範囲は大体足2本分の広さ、それ以上の範囲になると個性が発動しないね」
「・・・やけに限定的なんですね。じゃあその分強化される力はかなり強いってことなんですか?」
「そうだね、強化倍率で言ったら現状だと50倍まで上げることができるよ」
「「「「50倍!!!!!!????」」」」
「(・・すさまじいな、それは・・・)」
自身の力を上げる増強系の個性は珍しくはないが、強化倍率が50倍となるとそうはいない。大体が3~5倍ほどの倍率が多く、10倍を超えるとなかなか見つかるものじゃない。それが50倍となると聞いたこともない数字だ。
「50倍も力が増えるって凄すぎない??!!そんなの受けたらあちき『きたねえ花火だ』状態になっちゃうよ?!」
「まぁ数字『だけ』みたら凄いだろうけど、じつはこの個性ってものすんごく使い勝手が悪いしデメリットもでかいんだよねぇ・・・」
「・・・え????」
「まず増強系の個性にありがちのことなんだけど、強化倍率が高くても素の力が高くなきゃ全然強くない。1に10かけても10にしかならんだろ?素の力が5なら10かけたら50になるように、日々鍛錬する必要がある」
「しかも増強時の体力消費は別勘定だから普通に動くよりも疲れる、だから体力も他より鍛えておかなきゃならない。正直相当燃費が悪い個性なんよ・・」
「オマケに個性を使ってる間は強化倍率に応じて消費カロリーまで増えてしまうんだよ。使い過ぎたらあっという間にガス欠になっちまう、最悪オートファジーまで発動しちゃうんだ・・」
「倍率に応じて消費カロリーが増えるんですか??なんかダイエットに良さそうな特性ですね・・」
「いや流子、これはかなりのデメリットだと思う。マザーは今
「???どういうこと、柔??」
「いいか、大部分の増強型は個性を発動するために何らかのトリガーとなる物質を消費する形をとっている。例えば力が2倍になる個性を使用するには砂糖5グラムが必要、というようにな」
「そうね、大体そんな感じね」
「だがマザーの個性『強化』はそれらとは違い
「・・・あぁ!!そっか!!他の増強系が
茶虎の推察通り、マザーの個性『強化』が他の増強系と大きく異なる点は発動中常に消費カロリーが増える点なのだ。これだけ聞くと大したことがなさそうに聞こえるが、実はこれがかなりの曲者になっている。
一般の成人女性が一日に必要とされるカロリーは凡そ2000Kcal前後、この女性が仮にボクシングをすると、パンチを一回打つのに必要とされるカロリーが約0.2Kcal、1ラウンド中に打ったパンチが200発と仮定すると消費したカロリーは約40Kcalになる。ここでマザーの個性『強化』を上限の50倍で使用した場合2000Kcalを消費してしまうことになり、僅か1ラウンドの3分で一日の消費カロリーを使い切ってしまうことになるのだ。
「理解が早くて助かるよ。そんな個性だから常に発動させておくなんて出来なくて要所要所で使うことになるんだけど、戦闘中にそんなチマチマしたこと考えながら戦うことなんてできないだろ?だからこの個性を使うには膨大な量の経験とその経験則からなる予測が必要になる。予測した相手の動きに対し最適な行動を最短の工程で実行、相手の動きを予測してからどう動くか考えてたんじゃ到底間に合わないから、反射的に最適な行動を取れるように文字通り体に覚え込ませた。何十、何百、何千ものパターンを一つ一つ反復していったんだよ」
マザーの個性『強化』は単純な効果に反し、使うには非常にテクニカルな性質を持っていた。のちに雄英高校でBIG3と言われることになるヒーローのように、膨大な量の経験則に基づいて使用していかなければならない個性だったのだ。
「・・・あちきだったら絶対トチる自信ある・・。滅茶苦茶難しい個性なんですね・・・」
「・・あたしも無理・・・」
「・・・これだけでも十分キツいんだけど、実はこの個性にはもう一つキッツいデメリットがあるんだよねぇ・・」
「「「「・・えぇぇぇ!!!!」」」」
「(・・・まだあるのか・・!!)」
非常にテクニカルな側面を持つだけでなく、まだデメリットがあるというマザーの言葉に五人は驚きを隠せず大声を出して驚いてしまう。カタクリも思わず目を見開いてしまっている。
「・・さっき例で右腕の筋力を強化ってのを挙げたよね。これ、なんか変だとは思わなかった?」
「「「・・・変??」」」
「・・・筋力を強化・・・。そういわれれば何か変のような・・・」
「(・・・確かに言われてみれば違和感がある・・。なんで
「・・・この『強化』の個性はね、指定した個所を強化するものなんだけど
「「「??????」」」
「・・・!!!」
「(・・・なんだその限定的な強化は!!!もうデメリットどころじゃないだろう、それは!!)」
送崎、土川、知床の三人はいまいちピンときていないが、茶虎とカタクリは先ほどの違和感の正体に気付いた。そしてそのデメリットの強烈さにも気付いてしまった。
「ねぇ柔ちゃん、どういうことなの??あちきいまいち違いが分かんないんだけど・・・??」
「・・・正直あまりのデメリットの大きさに驚愕している・・。この個性は恐ろしいまでに自身を傷つける個性だったんだ・・・!!」
「・・・え???」
「自身を傷つける???」
「・・先ほどマザーは右腕の筋力を強化と言ったが右腕にあるものは筋肉だけじゃないだろう?」
「そりゃそうだよね??」
「・・・じゃあ強化した筋肉
「・・・強化されてないからそのまんまじゃないの???」
「「・・・・ああぁぁ!!!!」」
「え?え?え?なに、気付いてないのあちきだけなの??!!」
茶虎の説明に送崎と土川は違和感の正体に気付くが知床だけが気付くことができず慌てだしてしまう。そこにマザーの膝から降りたカタクリが知床の横にやってきた。
「・・・ねぇ、知床さん。お姉さんは力強い?」
「え?あちき??・・・うぅん、か弱い女の子だよ♪」
「「「(嘘つけ・・・)」」」
「じゃあ岩叩いても割れない?」
「そりゃあ割れないよ?」
「じゃあ50倍力が上がったら割れる?」
「・・・まあそんだけ上がれば割れると思うけど、そんなことしたら骨折れちゃう・・よ・・・・ぁぁああああ!!!!!」
「・・・やっと気づいたか・・・」
「・・アホの子だとは思ってたけど、ここまでなんて・・」
「ていうか二歳児に説明してもらわないと分からないってヤバくない・・??」
「まぁそういうことさ。この個性は
そう、マザーの個性『強化』は指定された箇所の指定された体組織を強化するものであり、指定された箇所全てを強化するものではなかったのだ。例に挙げられた右腕の筋力を強化するよう指定した場合、右腕の筋組織は強化され通常時よりも大きな力を出すことができるが、右腕の
「わかりやすく言えばF1のエンジンを軽自動車に積み込むようなもんだね。そんなことすればエンジンの出力に車が耐えられなくてバラバラになっちまうだろ?」
「なるほど!!そういうことなんですね!!!」
「もちろん倍率を調整すればケガも防げるけど、それじゃあせっかくの上限が無駄になる。だからそれに耐えられるように体を鍛えるんだけど、そうすると素の力も上がるからまた高い倍率に体が耐えられなくなるっていう無限ループになるんだよ・・・」
「じゃあ骨組織も強化すればいいと思うんだけど、さっき言ったように指定された体組織を強化するもんだから骨を強化すると筋組織への強化がキャンセルされる。同時に強化できないから意味ないんだよね・・」
「・・・使うたびにケガと隣り合わせな個性だったんですね。私だったら使うたびにケガしそう・・」
「実際学生の頃は個性使う度にケガしてたよ。おかげで実技の成績はぶっちぎりでドベ、ホントにお情けで卒業させてもらったようなもんだったよ」
「そうなんですか!!!全然信じられないんですけど!!??」
「・・・それほど難しい個性なのに、どうやって使いこなせるようになったんですか?」
「ちょっと違うね。私は個性を使いこなすために鍛えたんじゃなくて、個性に頼らなくてもいいように鍛えたら使いこなせるようになったのさ」
「???どういうことなんですか???」
「・・さっき言ったように学校をお情けで卒業したんだけど、そんな状態でヒーローしたって通用しないのは分かり切ってたからね。そこで私は卒業してすぐ、一人で無人島に行って修業をしてたんだよ」
「「「「無人島で修業!!!!!?????」」」」」
「(・・・また思い切ったなぁ、母さんは・・)」
「個性を使えばすぐ怪我したりガス欠起こしたりを繰り返してたからね、個性を使わなくても戦える自分を創るために一人で修業をしてたんだよ」
「まぁそんな状態だから最初の方はす~ぐケガして死にかけるわ、食料なくなって死にかけるわ、空腹でその辺にあるもの食って腹壊して死にかけるわで修業どころじゃなかったね」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
「(・・まぁ修行だし死にかけるのは当然だな。むしろ一人だし軽いほうになるな)」
四人はマザーの話にドン引き状態だがカタクリは特に驚くことなく話を聞いていた。まぁカタクリは前世で死にかけの修業は幼少期からザラだったし、あのビックマムから直々に殺されかけてたので修業の感覚が他とは違ってしまっているのでしょうがないだろう。
「まぁそんな状態で2年ぐらいやってたんだけど、にっちもさっちもいかなくなって森で死にかけてた時にふと周りから声みたいなものが聞こえてくるようになってね、よくその声に集中するとなんだか周りの気配が手に取るようにわかっていったんだ。後ろに鳥がいる、前に50メートル行ったところに動物がいるっていうように、自分の周りに何がいて何をしてるのかが分かるようになったんだ」
「・・まさか新たな個性が発現したんですか??!!」
「(・・それはもしかすると・・!!!)」
「いや、これは個性じゃない。でもこれが私の新しい力、『視える気』を見つけた瞬間だったんだ」
ということでマザーの個性についてでした。
ようやくここまで書けたので次回あたりでカタクリさんの個性発現までかけるかな?
・・・執筆の時間増やしたい・・。有給とろっかなぁ・・。
救済してほしい敵キャラはいますか?
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荼毘(轟 燈矢)
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トガヒミコ
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トゥワイス(分倍河原 仁)
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Mr.コンプレス(迫 圧紘)
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スピナー(伊口 秀一)
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マグネ(引石 健磁)
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ステイン(赤黒 血染)