第一話
〜静岡県某所〜
すでに日は沈み、街には仕事や学校を終えた人々で賑わっている。友達と一緒に自宅に帰る者、ファーストフード店で仲間達と他愛のない話を楽しむ者、今日の不満を発散すべく同僚とお酒を飲む者、明日への活力を求めて普段よりも少し豪華な夕食を食べに行く者、様々な人で溢れていた。
そんな中、一組の男女が飲食店が立ち並ぶエリアを歩いている。鍛えられた身体をした50代程の男性は何か思うところがあるのか俯き気味で表情が冴えない。
対して女性の方はいろいろな意味で目立っている。まず目につくのはその美貌。20代後半から30代ほどと思われる顔は多少のシワはあれど美しく、吊り目ではっきりとした目立ちに太陽のような笑顔にすれ違う人は思わず振り向いてしまう。
次に体つき。スーツを着てきてもわかる程よく鍛えられてた身体。それでいて出るところは出て引き締まるところは引き締まっており女性特有の柔らかさも感じるなんとも言いようのないスタイル。通り過ぎる人々で男性は思わずその色気に、女性はそのスタイルに思わず振り返ってしまう。
何より目を引くのはその大きさ。遠目で見ても190cm以上はある。隣を歩く男性も小さいわけではないのだが、それでも頭一つほど高い。しかもヒールを履いていないでこの身長なのだ、どうしても目立ってしまう。
そして誰もが彼女を追ってしまう最大の理由は、彼女がこの国の誰もが知る有名人だからだ。
街の人々の様々な視線を感じながらも悠然と歩く女性のそばで男性は依然として表情が冴えない。そんな様子を見て隣を歩く女性は不満そうに話しかけた。
「おいおい、こんな美女を隣に侍らせておいてそんな仏頂面するんじゃないよ。せっかく酒も奢ってやろうって言ってんのにさ!」
「・・・何が美女だ、この若作りが・・。だいたい、お前さん何考えてやがる。今更俺を呼び出して、おまけに面倒な手続きを俺にやらせやがって・・・。」
「あぁ、手続きに関しちゃすまなかったね!やったことあるやつで知り合いはお前さんしかいなかったし、知らんやつに頼んだら色々騒ぎ出すだろうからさ!まぁ飯も奢るから勘弁しなよ!」
「・・なんで今更辞めやがんだ・・・。オールマイトとお前がいるから今の日本は落ち着いてんだぞ・・。」
「・・・だからだよ、耄碌ジジイ。知ってっか、今のヒーロー共ときたらあたいと『
男性は今のヒーロー業界の実情を知っているため何も言えず、表情が更に渋くなってしまう。
「・・・それによ、やっぱりあいつがいなくなってから張り合い甲斐がねぇんだわ。どんだけ助けても、救っても、ここに空いちまったものが塞がんねぇ・・。虚しいんだわ・・。」
女性の先程までの弾けるような笑顔に影が差す。男性も思うところがあるのか何も言えなくなってしまう。それほど二人にとって話題に出た人物は大きかったのだろう。
「・・・だがよ、またいつあの野郎が動き出すか分からん状況でお前が一線から退くとなると・・・」
「安心しなよ、いつでも動けるように体は鈍らせないさ。そこは心配しなさんな!」
大きな声で弾けるような笑顔を見せる女性。この笑顔だ。この笑顔に救われた人は多勢いる。救いを求める人々を見捨てない。その姿勢が多くの人を惹きつけたのだ。惜しい。実に惜しい。こんなヒーローが一線を退いてしまうとは。
「・・・そうかい、わかったよ。現役辞めてその若作りがバレなきゃいいがな。」
「お前さっきから若作り若作り言ってるがよ、あたしは別に何もしてねぇぞ!!流石に失礼じゃねぇか!!!」
「俺と同世代でその顔で、若作りじゃなきゃなんだってんだ!!あいつといいお前ら老化って知ってんのか!!」
「知っとるわ!そんぐらい!!最近は油物もあんまり受け付けなくなってんだぞ!!!こりゃ老化だろうが!!!!」
「昼にバカスカ唐揚げ食っとった奴が何言ってやがる!!お前にとっての老化は昼飯が10人前から9人前になったことだってのかい!!」
「おう、食える量が減ってんだから老化してるってことだろうがよ!!」
「お前は世の初老に喧嘩売っとんのか!!」
「そっちは世のマダムに喧嘩売っとる自覚あんのか!!!」
正直どっちもどっちである。ましてやこんな口喧嘩街中でやるものではない。
「・・・はぁ、止めだ止めだ。お前の非常識さは今に始まったことじゃねぇんだった・・。」
「誰が非常識の塊だ!!あのなぁ、あたいはなぁ・・・!!!!」
突然女性の表情から笑顔が消え、周囲を警戒する様に辺りを見渡し始めた。
「おい、急にどうした・・?」
「ちょっと黙ってな。」
『聴力強化』
女性は個性を発動し街中の声を拾い始めた。5分ほどこの状態が続いている中、男性も警戒し女性と背中合わせになり周囲に気を配る。その状態のまま、男性は女性に小声で尋ねる。
「・・・なにかいやがったか・・・?」
「・・・静かにしな。聞き漏らしちまいそうだ・・・!!!あっちか!!!」
「あっ!!おい!!」
女性は何かを聞き取ったのか突然走り出した。男性も慌てて後を追うがあまりの速度に置いて行かれてしまう。
「全く!!少しは説明しやがれってんだ!!」
男性は悪態をつきながらも女性の後を追って駆け出した。
時は少し遡る。街の喧騒から外れたビルとビルの隙間、薄暗い路地で一人の女性が厚手のタオルに包まれた何かを段ボールに入れると、急いで蓋をして駆け出していった。
「・・・だぁ???(・・・ここは???)」
暗く狭い中、その男は目を覚ました。
「・・・あぅぁ・・(・・・俺は、確か死んでから・・)」
「・・うぁぅあ!!(・・そうだ!俺はブリュレ達に異世界に送られて・・!!)」
咄嗟に身体を起こそうとするが体が動かない。それだけではない、手足もうまく動かすことができず目もうまく開かない。声も出せず呻き声のような声しか出ない。
「うぅぅ!!あぁぁ!!(どうなってるんだ!!ここはどこなんだ!!)」
声も出せない、体もうまく動かせない、おまけに目も開かない状況に混乱してしまう。
そんな中、この世界に来るまでに話した兄弟達の会話を思い出した。
「・・ううぅ!(・・そういえば、ブリュレ達は俺を
兄弟達の力で異世界に送られた男は今の自分の状態を察して驚愕していると、突然光が差し込んできた。
「・・うだぁ!!(なんだ、まぶしい・・?!)」
「くそ、やっぱりか!!おい、大丈夫か!!生きてっか!!」
突然明るくなったと思ったら女性の声が聞こえて体が持ち上げられた。あまりの状況の変化に流石のこの男もついていけない。
「・・・んあぁぁぁぁぁ!!!!!んえぁぁぁぁぁぁ!!!!(やはり身体が赤ん坊になっているだとぉぉぉぉ!!!そしてここは何処なんだぁぁぁぁ!!!!!」
「おぉぉぉぉぉぉい!!!!なんで泣くんだよぉぉぉ!!!助けに来たんだぞ!!泣くんじゃねぇよぉぉぉ!!!!」
助け出したと思ったら赤ん坊に大泣きされて狼狽える大柄な女性、側から見るとなかなかシュールな状況だ。彼女のファンがそばにいなかったのは幸いだろう。
「・・やっと追い付いた・・!!・・・んで、これはどんな状況だ・・・?」
そこに男性が遅れてやってきた。すこし息を切らしているところから、この女性はかなりの速さで移動していたのだろう。その速度に追いつけるこの男性も大概だが。
「おぉい!!これどうすりゃいいんだ!!!抱っこしてやったら大泣きしてんだよ!!なんか小っこいし柔いし変に力入れたら壊れそうだし泣かれるし泣き止まねぇしこんな経験ねぇし笑わねえし乳あげりゃいいのか!!!乳なんだな!?でもあたいの年齢で出んのかな!?あたい《ピー!!!》歳でも出産も子育てもしたことねぇしやり方わかんねぇけどとりあえずやってみるわ!!ここでやってもいいのか!?いいんだよな?!」
「やめんか!!!テメェはその年で露出狂になりてぇのか!!!ついでに年齢と知りたくもねぇテメェの暴露話披露してんじゃねぇぇぇぇ!!!」
「んえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(一体どうなっているんだ!!!ここは何処なんだぁぁぁぁ!!!!)」
かつて「四皇」まで上り詰めた男『シャーロット・カタクリ』
彼の新たな人生は、まさかの路地裏からのスタートであった…
「なぁ!!全然泣き止まねぇしやっぱり乳なんじゃねぇのか!?やっぱりあたいがやった方がいいのか?!いいんだよな!?」
「やめろって言ってんだろうが!!!若作りの露出狂なんざ何処に需要があるってんだよ!!!!!まずは病院に決まってんだろう!!」
「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!(ここは何処なんだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!)」
カタクリさんを拾った方の片方はオリキャラになります。男性の方はみなさんご存知とある方の師匠さんです。
カタクリと一緒に強くなるライバル、この中で誰が相応しい?(緑谷、爆豪、轟は除く)
-
飯田天哉
-
尾白猿夫
-
上鳴電気
-
切島鋭児郎
-
障子目蔵
-
砂糖力道
-
峰田実
-
鉄哲徹鐵