ヒーロー?ヴィラン?俺は家族を守るだけだ!   作:レイリーン

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第二話

 路地裏での生々しい暴露の後、無事通報からの病院への搬送が終わり現場に駆けつけた男性と女性は警察から聞き取りを受けることになった。しかし女性が「拾った赤ん坊の容態が気になるから病院に行く」の一点張りで全く聞き取りにならないため、仕方なく警察同行で搬送された病院に向かい、そこで聞き取りを行うことになった。(なお一緒にいた男性は色々疲れているのか死んだ目をしていたとか…)

 

〜病院内〜

 

 

 「・・では駆けつけた時には赤ん坊はタオルに包まれた状態で段ボールに入っていたのですね?」

 

 「あぁ!ビックリしたぜ、泣き声たどってみたらまさかの赤ちゃんで、しかも抱いたら大泣きされたんだからさ!!」

 

 「・・まぁ、泣くのは赤ん坊の仕事みたいなものですから・・」

 

 そんな図体でいきなり抱かれたらそりゃ泣くよ、思っただけで口にしなかった警官は偉いと思う。

 

 「しかしあんな人通りのないところに赤ん坊を放置か・・・。捨て子ってことになんのか?」

 

 「まだわかりませんがその可能性が高いでしょうね…。でも最初に見つけてくださった方が貴方達で本当に良かったですよ、最近は子供の強個性目当ての誘拐や養子縁組の強要が増えてますから・・。」

 

 「・・・子供ですら個性で良し悪しを判断すんのかよ・・!胸糞悪くなるな・・!!」

 

 「・・あなた方のように今の社会の現状を憂いてくれるヒーローは少ないんですよ、『グラントリノ』・・」

 

 ヒーロー名『グラントリノ』

 かつて第7代ワン・フォー・オール所持者『志村菜奈』の相棒(バディ)を務め、現No.1ヒーロー『オールマイト』の師匠的存在。現在はヒーロー活動は殆ど行わず隠居中となってる。

 

 「・・俺ぁ隠居中の身だ、あんまヒーロー名で呼ばんでくれや・・。」

 

 「我々にとっては貴方は憧れのヒーローなんです、本名なんて畏れ多くて呼べませんよ。」

 

 グラントリノはヒーローとして活動した期間は短かったが、打算や私欲がない正真正銘のヒーローとして警官や一部の市民からの支持は大きかった。正面の若い警官も例に漏れずグラントリノを尊敬している一人だ。

 

 「よかったな、無愛想ヒーローにもファンはいたぞ!喜べよ耄碌隠居ジジイ!!」

 

 「・・・そうだな、どこぞの妖怪若作りババァにもファンがいるくらいだ、俺にもファンがいて当然だわな。」

 

 「おい爺ィ・・、喧嘩売ってんだな、そうなんだな、現役のヒーローの力見せてやっからよ、ちょっくら屋上行こうや・・!!」

 

 「・・・とりあえずあなた方は喧嘩しないでください、最悪この病院含めて周囲一帯が更地になりかねません。」

 

 「この妖怪ババァと違って加減はできる、更地になんかせんよ。」

 

 「・・・上等だこの耄碌ジジィ!!!テメェの小汚ねぇ身体だけキレイに分解してやらぁ!!!表出やがれゴラぁぁ!!!!」

 

 「・・・ホントにやめて下さいね、それにここ病院ですよ・・・。お願いだから落ち着いて調書取らせてください、ホントお願いします・・・。」

 

 あまりに短気な2人に頭を抱える若い警察官。憧れのヒーローに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を相手にするのは少々荷が重かったかも知らない。頑張れ若人!!

 

 「でもまさか世間を大騒ぎさせている貴方とこんなに早くお会いできるとは思いませんでしたよ。一線を退いても貴方は根っからのヒーローなんですね、『グレート・マザー』」

 

 『元』ビルボードランキングNo.2

“みんなのヒーロー”『グレート・マザー』

 あの『オールマイト』をして「あの人には敵わない」と言わせしめるほどの実力の持ち主。どんな人でも、どんな場所でも、どんな状況でも、助けを求める人は見捨てない。事務所を構えず、サイドキックも雇わず、日本全国を単身流離ながら自らの手が届く範囲の人は必ず助け出す『みんなのヒーロー』。

 そして、今現在絶賛世間を大騒ぎさせている張本人である。

 

 「・・???大騒ぎ???あたしなんかしたか???」

 

 「・・なんで今日やったこと忘れてやがる・・。お前、俺と一緒に役所でやったこともう忘れたんか・・・。」

 

 「あぁ!!!あれか!!!『休業届け』か!!」

 

 「なんで出した本人が忘れてるんですか・・・。さっき速報が出て、世間は蜂の巣突いたような大騒ぎですよ・・。」

 

 突然のNo.2ヒーローの休業、それも復帰時期は未定という事実上の『引退宣言』。しかも休業理由も明かされておらず世間は大騒ぎとなっているのだ。

 しかし当の本人はどこ吹く風、そんなことはどうでもよく全く興味を示さなかった。

 

 「あたしの休業なんてどうでもいいわ。それよりあの子はどうなるんだ!!母親見つけて送り返すんか?!」

 

 「No.2ヒーローの休業はどうでも良くはないんですがねぇ・・。ひとまず赤ちゃんに関してですが、ここ数週間で生まれた子供を洗ってます。ここで親が見つかればいいんですが、見つかっても保護責任者遺棄罪ですからね・・。親元に返せる可能性は低いと言わざるを得ません・・・。」

 

 「おいおい、もう調書取りとは関係ねえ話しになってねぇか?そりゃ捜査情報じゃねぇのかい?」

 

 「あなた方なら問題ないですよ。それに事件の当事者ですしね、見つけた方ですし気になるでしょう?」

 

 「・・.じゃああの子は施設に引き取られることになるのか?」

 

 「まだわかりません。施設に引き取られるにしても先程お話ししたように子供を狙った誘拐も増えてます、下手な施設では施設ごと(ヴィラン)に襲われ子供が連れ去られた事例もありますから、引取先は慎重に選ぶ必要があります。」

 

 「・・・強い個性を狙っての犯罪、いつの時代も犠牲者は子供かよ・・・!!本当に胸糞悪ぃ話だぜ・・・!!」

 

 「・・・・・・・・・・・・。」

 

 今の社会は[個性社会]、強い個性を持つものが様々な場面で優遇される。強個性を手に入れるための[個性婚]が禁止されてからは強個性を持つ子供を狙った犯罪が増加した。経済的に困窮している家庭に強個性を持つ子供がいれば有力者がその子供を狙い養子縁組を強要することもある。

だが養子に出される場合はまだマシな部類だ、(ヴィラン)に狙われ連れ去られて犯罪組織の一員として教育されたり、最悪の場合人身売買にかけられることもある。それほど強個性を持つ子供というのは様々なところから狙われる危険があるのが今の社会の現状なのだ。

 

 「まだあの赤ん坊が強い個性を持っているとは限りませんが、子供を狙う犯罪が増えている以上赤ん坊の場合はより慎重になります「警部、少しよろしいでしょうか?」・・ちょっと失礼しますね。」

 

 ドアがノックされ聞き取りをしていた警官が出ていく。部屋に残された二人は捨てられた子供と今の社会の現状に心を痛めていた。

 

 「・・あんな小さな赤ん坊を捨てなきゃいかんかねぇ・・。いったいどんな気持ちで子供を産んだのやら・・・。」

 

 「・・やめな。そんなの当の本人しかわからんさ。・・・望んで宿した命じゃなかった可能性は高いがね・・・。」

 

 「・・・それなら猶更やり切れねぇよ・・。あの子にゃ何の罪があるってんだ・・・。」

 

 「・・・・・・・。」

 

 「(ヴィラン)共もそうだが個性に固執する今の社会もそうだ・・・。いつも犠牲になるのは子供だ・・・。」

 

 「・・・親が望んだ個性じゃなけりゃあ子供そのものを捨てちまう・・。個性が判明するのは大体5歳前後、そこから捨てられた子供はもう目も当てられないよ・・・。」

 

 そう、二人の言う通り今社会で大きな問題になっているのが[子供の育児放棄と個性の選抜」の問題だ。

 個性の発現は個人差はあれど凡そ5歳ごろまでには起こる。そのため両親が望んでいた個性ではない個性が発現した場合、その子供の育児を放棄し養護施設に入れてしまう親が増えているのだ。もちろんそんな理由で施設側も子供を受け入れることはないが、なんらかのそれなりの理由を付けてしまえば施設側も受け入れないわけにはいかないのだ。

 「離婚することになったから」

 「仕事がなくなり金銭面で困窮しているから」

 「家内が大病を患ったから」

 何かしらの理由をつけて子供を預けてそのまま放置、果てにはどこか遠くへ高飛びし二度と会いに来ない事例が増加しているのである。

 そして更にここで「個性の選抜」問題が起こる。捨てられた子供達は皆5歳を過ぎているため、どうして親から捨てられたのか概ね理解してしまっている。「強い個性じゃなかったから」、「親が望んだ個性じゃなかったから」。子供達の多くは自分の個性のせいで捨てられたことで心に大きな傷を負ってしまうのだ。

 このように傷ついた子供達を更に傷つけてしまっているものが「個性の選抜」だ。捨てられた子供達を養子に迎えようとする者も多くいるが、その際にも子供を見ず「個性」を見て養子とするか否かを選んでいる者が多いのだ。親に捨てられ、更には施設でも「個性」の優劣で選ばれる。最後まで選ばれなかった子供の心はもうボロボロの状態なのは想像に難くない。傷ついたまま、捨てられ選ばれなかった劣等感を拭えないまま社会に馴染めず、社会を憎み(ヴィラン)になってしまう者も多い。未だに(ヴィラン)による犯罪が減らない要因にこの問題が大きく関わっていることは間違いない。

 

 5分ほどして聞き取りをしていた警官が帰ってきたが、先ほどと比べて表情が冴えない。苦虫を噛み潰したよう表情になっている。

 

 「おいおいどうした?ここのティーサーバーはセンブリ茶でも出んのか?すげぇツラになってんぞ?」

 

 「茶化すな、なんか良くない知らせでも来たのか?」

 

 警官は椅子に座って少しの間眉間を抑えていたが、大きなため息の後に衝撃の事実を二人に伝えた。

 

 「・・今回保護した赤ちゃんについての医師の診察結果と、近隣の市町村でこの一ヶ月出産された赤ちゃんの照合結果が出ました・・。」

 

 「「・・・!!!」」

 

 「まず赤ちゃんの容態ですが、おそらく生後数時間、下手すると出産直後に遺棄された可能性があるとのことです・・」

 

 「「・・!!!!!!!!!」」

 

 「・・もちろん近隣の市町村で昨日から今日にかけて出産された赤ちゃんは、全て病院もしくはクリニックで確認できました。・・皆さん母子共に健康、行方がわからない方は一人もいらっしゃませんでした・・。」

 

 「・・・それと新たな情報が入りました。先程今回の現場からほど近い公衆トイレの多目的室内が()()()()になっているとの通報が入りました・・。通報した方曰く、まるで()()があったようだと・・・。」

 

 産まれて間もない赤ちゃん、そしてほど近い場所で出産があったような血みどろの部屋。これらが導く答えは一つしかない。

 

 直後、部屋の中の空気が途轍もなく重くなった。まるでこの部屋だけ重力が倍になったように感じるのだ。

 その原因であるマザーからは恐ろしいまでの殺気が溢れており、目の前の警官は呼吸することすらままならない。

 …そしてマザーの口から、決してヒーローが出していいものではない殺意に満ちた声が聞かれた。

 

 「・・・おい、じゃああれか・・・。あの子は生まれた瞬間

薄暗い箱ん中に捨てられたって言いてぇのか・・・・!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー病院のとある一室ー

 

 「んぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!(やめろぉ!!オムツなんて履かせるなぁ!!)」

 

 「何この子!!生後一日で海老反りしてオムツ拒否してる!!!」

 

 「んにゅぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!(哺乳瓶なんか吸えるかぁぁ!!どんな拷問だ、これはぁぁ!!)」

 

 「主任!!ダメです!この子哺乳瓶の吸い口を噛んで振り回してます!!」

 

 「この子ホントに生後一日なんでしょうね?!先生診断ミスしてんじゃないの?!?!?!」

 

 かつての『四皇』カタクリ、この世界で最初の戦いは看護師との壮絶なものとなった・・・(ただのオムツ替えとミルクやりである)。

 

カタクリと一緒に強くなるライバル、この中で誰が相応しい?(緑谷、爆豪、轟は除く)

  • 飯田天哉
  • 尾白猿夫
  • 上鳴電気
  • 切島鋭児郎
  • 障子目蔵
  • 砂糖力道
  • 峰田実
  • 鉄哲徹鐵
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