ヒーロー?ヴィラン?俺は家族を守るだけだ!   作:レイリーン

8 / 20
再び夜中に投稿!!

皆さんの評価、感想に感謝です!ありがとうございます!


第四話

 マザーの爆弾発言でまさに爆発物に引火したような大音量が病院内に響いた。あまりの大声に入院中の患者全員がベットから飛び上がったとの報告が上がったほどだ。

 

「・・っ!!!煩ぇよ!!!ここ病院だろうが!!静かにしやがれ!!!」

 

 「「「おまえ(あなた)にだけは言われたくない!!!」」」

 

「・・あう・・(息ぴったりだな・・)」

 

 「お前は何言っとるんだ!!いきなりこの子を引き取るとか、児相に通報がいって逮捕される未来しか見えんわ!!その子と違ってお前は人間の枠に入っとらんのだぞ、このバカタレ!!!」

 

 「テメェは私を何だと思ってやがる!!!ナチュラルに化け物扱いしてんじゃねぇぞ!!このクソジジィ!!お前も人外筆頭だろうが!!」

 

 「お前と違ってまだ人間辞めとらんわ!!それにお前は母親なんて歳か!!世代一つ、下手すりゃあ二つ間違えとるだろうが!!・・あ・!」

 

 グラントリノ、それは失言です。

 

 因みにマザーの年齢は非公開なのだが、勘のいい人ならば先程のグラントリノの発言でマザーの大凡の年齢が分かってしまう。大衆の面前で妙齢の女性の年齢を暴露したのだ、これは有罪(ギルティ)である。

 

 「・・え、マザーってそんなに歳いってたの・・?」

 「・・赤ちゃんじゃなくて孫がいる歳ってこと・・??」

 「・・でもあの人、もう一つ上でもおかしくないって・・。」

 

 「(・・・まぁ、確かにマザーのヒーロー活動期間を逆算したら母親って年齢ではないでしょうね・・・。でも、まさか()()()の可能性もあるとは・・・。そりゃ若作りって言われますよ・・・!!!!)」

 

 周りがマザーの年齢に気付き始めたとき、マザーからおどろおどろしい殺気が溢れ始めた。先ほどの突き刺さるような殺気ではなく、まるで体に纏わりつくような殺気。真綿で首を絞められているような感覚に同じ室内にいる警官と看護師はその場から動けない。グラントリノ、何てことしてくれたんだ。

 

 「・・・ほぉぉ、ほぉぉ・・・。・・なぁ爺、ここが病院でよかったなぁ・・・。死んでも後処理は楽だよなぁ・・・。遺体安置室もあるしなぁ・・・。・・おい、グラントリノ・・・

     首と胴体がお別れの時間だぜぇ・・!!!!

 

 「いや待て!!これは俺が悪かった!!悪かったからその殺気引っ込めろ!!頼むから!!お前今の状態分かってんのか!!!」

 

「今の状態だぁ??お前の首と胴体と足をお別れさせる状態にきまってんだろぉ・・!!」

 

 「増えてんじゃねえか!!!違ぇよ!!お前今腕に抱いてるもんはなんだ!!そんな間近でお前の殺気を当てちまったら・・・???!!!」

 

 「あぁん???・・・あれ・・??」

 

 グラントリノがマザーの腕に抱かれている存在に目を向けるよう注意すると警察の看護師も我に返って顔が青ざめた。それはそうだ、生まれたばかりの赤ちゃんが大人たちが動けなくなってしまう殺気を一番間近で受けているのだ、皆が最悪の事態を想像してしまいマザーの腕の中に注目する。

 しかし、そこには驚愕の光景が広がっており、思わずマザーも目を丸くしてしまった。

 

 「・・・・・・・(じいぃぃぃぃ)。」

 

 なんと赤ちゃんはあれだけの殺気を間近で受けていたのにも関わらず平然としており、マザーをじっと見つめていた。それどころかマザーに興味がわいたのか、マザーの顔に手を伸ばしているほどだ。

 

 「・・あぁうあ、うぅぅあ(すごい殺気だな・・。これほどのものはママか、もしくはカイドウ以来だな。)」

 

 赤ちゃんになってしまっているがカタクリにとってはこれぐらいの殺気は何でもない日常だったのだ。将星のころはビックマムの食い煩いがしょっちゅう起こっており、四皇になってからは海軍大将や革命軍幹部、そして同じ四皇などの強者との殺し合いが当たり前の日々だった。この程度の殺気はカタクリにとって日常のBGMみたいなものなのだ。

 

 「・・・すごいですね、この子・・。こんな中でも平然としてますね・・・。」

 

 「・・驚いたどころじゃねぇよ・・・。いったいどんな神経してやがんだ、この子は・・。」

 

 マザーの殺気をものともしない赤ちゃんに驚愕を禁じ得ない警官とグラントリノをよそに、赤ちゃんを抱いているマザーはこみ上げてくる嬉しさに笑顔を隠せないでいる。

 

 「・・お前はすごいなぁ!!ホントに凄いぞ!!そうだ、ぎゅーってしてやろう!!ほら、ぎゅー!!」

 

 「あうぁ!!んぅぃぃいいい!!(うおぉぉ!!なんだ急に!!)」

 

 マザーは嬉しさのあまり赤ちゃんカタクリを抱きしめた。急に抱きしめられたことでカタクリは驚き暴れようとするが、大きな腕と体、そしてどこか懐かしい感じがして思うように抵抗できない。

 

 「うぅぅぅあ・・、ああぁぁぁぁうぅ・・(なんだ・・、この感じ・・。抵抗できない・・。だが、嫌な感じじゃない・・・)」

 

 「・・すぅ、すぅ・・(あったかい・・・。落ち着く・・・。傍にいてほしいと思ってしまう・・・。)」

 

 赤ちゃんカタクリは次第に瞼が閉じていき、しばらくすると寝入ってしまった。いくらカタクリの生まれ変わりで規格外の赤ん坊でも赤ちゃんは赤ちゃんなのだ、やはり眠気には勝てないかったようである。

 マザーの腕の中で寝てしまった赤ちゃんに周りが呆然としている中、警官は先ほどの爆弾発言を思い出し、マザーに発言の真意を問いただした。

 

 「・・・えーと、すいません・・、マザーは何がどうやって急にこの子を引き取ろうと思ったので・・??」

 

 「・・ん~??まぁそうだな・・。・・・特にこれといった理由はないんだけどなぁ・・。」

 

 「・・えぇぇ・・、そんな思い付きみたいに「おい、グレート・マザー」・・グラントリノさん・・?」

 

 まさかの理由がない発言に警官がどう反応すればいいのか困っていると、横からグラントリノが真剣な表情でグレートまさーに問いかけた。

 

 「・・・なんだよ耄碌爺、あたしはまださっきのことは「んなこたぁいまはどうでもいい」・・・あ??」

 

 「こいつは真面目な話だ、グレート・マザー。お前はその子をヒーローとして助けたいと思ったから育てるのか?」

 

 「・・・・それは・・。」

 

 「だとするなら俺は断固反対だ。そんなことをすればお前は『みんなのヒーロー グレート・マザー』ではなくなる。そうだろう?」

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 「お前は『みんなのヒーロー』を名乗って誰でも助けてきた。みな平等に、分け隔てなく救いを与えてきた。」

 

 「だからこそその子を育てるという選択をすれば、お前は『みんなのヒーロー』ではなく『その子のヒーロー』になる。これまで救ってきた人々と明確に差が生じることになり、これから救う人々もその子と比べると大きく差がついてしまうだろう。」

 

 「・・・・そんなんじゃあ・・」

 

 「俺たちヒーローは救いを求める人々を助けるためにある。だが、救った後のその人の人生まで責任は持つことはできない。だが、助けた人を育てるというなら、その人の人生を背負い責任を持つということになる。そうなれば責任を背負っている人とそうでない人では差が生じるのは必然だ。誰でも分け隔てなく救う『みんなのヒーロー』ではいられなくなるんだよ。」

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 「・・・お前のヒーローとしての生き方を曲げてまで助けたいと思うのは立派だよ。でもな「違うよ」・・なに??」

 

 「・・・違うんだよ、グラントリノ。そうじゃないんだ、この子を救いたいんじゃないんだよ・・。」

 

 救いたいのではない。マザーのヒーローらしからぬ発言に警官も、傍にいた看護師たちも耳を疑ってしまっている。

 

 「・・・今までたくさん救ってきてさ、助けてきてさ、感謝されてきてさ、それが正しいことなんだって、幸せなことなんだって、正しいことなんだって思って生きてきたよ。」

 

 「実際正しいことなんだよ。助けることは、救うことはさ。幸せなことなんだよ、感謝されて、笑顔をむけられることは。『みんなのヒーロー』はみんなを救って幸せにしたんだ。」

 

 「でもね、最近ふと思ってしまったんだ・・。みんなを救っているあたしは、そのみんなの中にはいないんだって・・・。」

 

 「・・・おまえ・・。」

 

 「・・あいつ(志村菜奈)がいたときはこんなこと感じなったんだけどね・・。同期でいろいろ張り合ってたし、負けたくないって気持ちもあったしさ。」

 

 「・・・あたしはね、決して強くないんだ・・。ただみんなが背中を押してくれたから、ただがむしゃらに前に進んできただけなんだ、立ち止まることができなかっただけなんだ。」

 

 「・・でも立ち止まってしまった、あたし自身が救われた人の中にいないって気づいたとき、あたしは立ち止ってしまった・・・。救いを求めてしまった・・・、こっち()が疲れてんだって気づいちまったのさ・・。」

 

 「・・・だからあなたはヒーローを休業することにしたんですね・・、マザー・・。」

 

 「・・そうだよ。『みんなのヒーロー』謳ってんのに自分がみんなの中に入ろうとしてんじゃダメだと思ってね、世間にゃ悪いが自分のこっち()を治すほうが先だと思ったのさ。」

 

 長年ヒーロー界を引っ張ってきたグレート・マザー。しかしその生き方はあまりに孤独だった。一人で助けて、一人で救って、全て一人だったのだ、心が悲鳴を上げても何ら不思議ではない。むしろこんなことになるのが遅すぎたぐらいだ。

 

 「だけどさ、いざ休もうと思っても何すればいいかわかんなかった。学校卒業してヒーローなって、そのままずっとヒーローしかしてこなかったからさ、何すればいいのか分かんないまま今ここまできた。」

 

 「そして今さっき、この子の幸せを願った時になぜかわかんないけど、私もこの子と一緒に幸せになりたいと思ったんだ。」

 

 「・・・・・・は???」

 

 「生まれてすぐ捨てられて、これから頑張って幸せにならなきゃいけないこの子に、私も一緒になって幸せになっていきたいって思った。だからこの子を育てようと思ったのさ。」

 

 「・・・それが、あなたがこの子を引き取りたい理由ですか・・・。」

 

 「あぁそうさ!!この子を幸せにして、そしてあたしも幸せになってやる!!文句あっか???」

 

 「・・・そんな顔されたんじゃあ反対なんてできっこないですよ・・・。やれやれ、どうやって上を納得させよう・・。」

 

 警官はこれからふりかかるであろう苦労に顔をしかめるが、どこか嬉しそうな表情であった。

 

 この子を本当に引き取るとなると様々な苦労があるだろう。書類の手続き、養子縁組の手配、児童相談所との話し合い、乗り越えなければいけない困難は山ほどある。

 それでもきっと、この二人は乗り越える。兄弟たちに次こそは幸せになることを願われた『カタクリ』、一緒に幸せになることを誓った『グレート・マザー』。この二人ならきっと、これから訪れる困難も『Plus Ultra』の精神で突き進んでいけるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・まぁその前に、早急にかつ迅速に解決しなければならない問題があるのだが…。

 

 「・・・お前さんがお前さんのためにその子を育て幸せにしてやりたいというのは分かった・・。でもよ、だとしたらさっさと解決しなきゃいけない問題があるだろうが。」

 

 「・・・ん???なんかあったか???」

 

 「・・・お前は()()()()()()のにどうやって子供を引き取る気なんだ?」

 

 「「・・・・・・あ・・。」」

 

 “みんなのヒーロー”『グレート・マザー』

 事務所を構えず、サイドキックも雇わず、日本全国を単身流離ながら活動してきたヒーロー。彼女は現在ヒーロー休業中につき、絶賛『住所不定無職』の状態なのである。いくら元№2のヒーローといえ、無職で住所もない状態の人が子供を引き取れるわけがない。警察、児相に行けば「顔洗って出直してこい」状態である。

 

 「というわけでさっさとアパート借りるなり家買うなり住所作って出直してこい、『住所不定無職』の若作り婆。」

 

 「・・・オーケーオーケー、さっきの発言と合わせててめぇは数え役満だよクソジジィ・・・。首と四肢を胴体からお別れさせやろうじゃねえか、表出ろや・・!!

 

 「・・・やるなら表出てここから最低1キロは離れた場所でしてくださいね・・・。」

 

 「「「それでいいの!!!!」」」

 

 




次回からはカタクリさんのドタバタヒーローアカデミア生活が始まりますよー。

カタクリと一緒に強くなるライバル、この中で誰が相応しい?(緑谷、爆豪、轟は除く)

  • 飯田天哉
  • 尾白猿夫
  • 上鳴電気
  • 切島鋭児郎
  • 障子目蔵
  • 砂糖力道
  • 峰田実
  • 鉄哲徹鐵
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。