レユニオン幹部が1人、アルサシアン!   作:調味のみりん

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いつもありがとうございます。
では。




Still waiting for the dawn

 

 ──明けない夜は無い? 

 

 

 何をふざけたことを。ああ、確かに明けない夜なんてものは無いだろうさ。素晴らしい言葉だ、感動すら覚える。──でもそこに私たちが行ける保証がどこにある? 

 

 

 

『夜すら越せない者たちを、お前らにとって都合の悪い現実から目を逸らすなよ?』

 

 ──お前らが押しやったんだ。訪れない、夜明けの絶望に。

 明けることのない夜の闇に。見えないように、気にしないように。それかどんな結末を生み出し続けたのか知らないままに──! 

 

 

 こんな思考に陥ると、いつも頭を掻きむしりたくなる。無益、無意味、無価値。そんな言葉がぐるぐると頭を回って──でも決まって最後には、すっと一筋の光が差し込んでくるのだ。

 やさしい、優しい月の光が。

 

『そんな顔するなよ、リーダー。ほら、星だって綺麗だろう? みんながみんな、夜を嫌ってる訳じゃない』

 ──聞かせてくれよ、またあの歌を。きらきらひかる星の歌を。

 

 

 

 

 ──明けない夜は無い。

 私たちにもその言葉は当てはまるのだろうか。朝日を浴びて、生きることは出来るのだろうか。

 その時は“否“と結論を出した。私たちに夜明けを迎えることなど、不可能に近いだろう、と。それが正解かは分からない。だが、間違いという事はないだろう。それが事実だと()()()()()()()()()()。知らされた。

 

 だが、それでもいい。それでもいいから未来だけは──

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 その手首を掲げるというチェンの行動は場を凍らせるに足るものだった。

 いくら戦闘経験があっても、戦場を知っていても、人は突然そんなものを見せられたら固まってしまうのだ。

 

「ち、チェンさん……それは……」

 

 この場を受け持つという責任感からか、なんとかアーミヤが問いかける。

 

 チェンはそこでようやくこの場を流れる雰囲気に気が付いたのか、少し申し訳なさそうに眉を下げるとほら、と持っていた手首を回してみせた。手のひら側から、断面の方へ。

 

「な、何を……え? ……空洞?」

 

 そこでアーミヤは一つ思い違いをしていたことに気が付いた。

 

「そうだ、(カラ)だ。そもそもこれは奴の装備だ。──奴は蜥蜴が尻尾を切るように器用に此処だけを外して逃げた」

 

 手首の中は空洞だった。よくよく見てみれば断面からは繊維状の千切れた端が飛び出しているのが分かる。

 つまりはチェンは切り落とした敵の装備を拾って持ってきたのだ。

 

「ロドスはチェルノボーグでレユニオンと戦ったと聞く。この装備を持つものの情報が有れば共有を頼みたい。情報もなく放置しておくには──奴はあまりに脅威だ」

 

「そういう事でしたら……。分かりました、緊急時なのでこの場では直ぐに共有します。ですが、その分そちらの開示していない情報をロドスにも共有して下さい」

 

 こうして交渉は成った。頼もしく龍門の近衛局と渡り合う少女を、ドクターは静かに見つめていた。

 

 ◆

 

 人気のない路地の裏を通る小さなシルエットがある。

 誰にも見つからないよう、こそこそと移動する彼女は一体どこへ向かおうというのか。そしてそもそも彼女とは何者なのか。

 

 

 まあ、私なんですけどね。

 

 

 歩きながら、ちらっと千切れるようにして切断された左手首の断面を見る。手首から先は何もなく、普段は手で遮られる筈の景色が映っていた。そこに力を込めて──にゆっ、と生身の左手が断面から顔を出す。

 

 

 

 あぶ……危なかったー! 

 

 

 

 あと少し手首の関節を外して避けるのが遅ければ、私の手首はフライアウェイしていたことだろう。

 ちょーっと近衛局つついて注目をこっちに集めて、スカちゃんの任務をやりやすくしようと思っただけなのに。とんだババを引いてしまった。

 余裕──とまでは行かなくとも、私であれば十分安全マージンを確保して戦える筈、だった。

 

(何なんだ、あのヒト()──! めちゃくちゃ強かったんだけど!?)

 

 

 

 青色の髪をした、角の生えた気の強そうなとんでもなく強い人。

 いくら訓練を積んでも、いざその力を生きている人に向けるとなると腰が引けるのが普通だ。それは弱さなんかじゃなく、優しさによる人としてのブレーキだ。なのにあの人は一切の躊躇なくこちらの戦闘継続能力を断ちに来た。とんでもねぇ人だ。

 

 

 それにしてもあの角。どことなくタルラちゃんを思い出させるような……。というか手首の関節を外す技を覚えたきっかけもタルラちゃんだった。思い出すのも昔、タルラちゃんと模擬戦をしていたら、熱くなったのか私の手首は思いっきり──。

 

 

 

 もし私がタルラちゃんとの模擬戦で獲得した手首関節外しを使えなかったらと考えると、ゾッとする。

 ちなみにあの時の熱くなって、少し我を失ってたタルラちゃんのことは地味に根に持ってたりする。あくまで実戦ではなく稽古のはずなのに、私が逃げられないように思い切り手を掴んできて──。

 

 あれ私が避けてなかったら間違いなく結構な怪我してたと思う。や、そのあとすぐにめちゃめちゃ謝られたけど。とはいえその後すぐに『さあ、もう一度だ。エレノア』ってアレあんまり反省してなかったよね。証拠にアリーナさんにものすっごい怒られてたし。普段優しいアリーナさんが怒るとそれはそれは…………。

 

 

 

「…………」

 

 

 少し、物思いに耽りすぎた。

 

 はやくスカちゃんと合流しないと。

 

 

 

「あらー? 誰かと思ったらワン公じゃない」

 

 

 突然、上から声をかけられた。気配を察知できずに驚いて顔を上げるとそこには、いつものニヤニヤとした表情を貼り付けたWがこちらを建物の上から見下ろしていた。

 

「……なにしてんの?」

 

 Wが居るなんて聞いてなかった。いや、そもそも私の情報源が貧弱って事もあるけど、まさかこんな所で会うとは思わなかった。

 

「それはこっちの台詞よ。半死半生のアンタがこんな所で何をしようってのかしら?」

「何って……や、別に邪魔しようって訳じゃないから」

「そんなの分かってるわよ。というかどうでも良いの。問題なのはそんな状態で何をしようとしているか、よ」

 

 鋭い視線を向けられる。目は口ほどに物を言う、とあるが今のWはまさにそうだろう。その視線が、表情が『余計なことはするな』と語っている。事実、こちらを制圧する事も厭わないのか腰のポーチに手が伸びている。もしかしたら冗談じゃなく爆破されるかも知れない。

 

 

「…………」

 

 

 何をしようとしているか、だって? 

 そんなの決まってる。レユニオンの被害を最小限にして、世界に彼等が“人間“であると認識させる。

 

 だが、今は。

 もうそこまで私は持たないだろうから。

 私がdecoyになる。

 感染者の、行き場のなくなった人達の揺り籠は壊させない。みんなの理想は消えさせない。

 

 

「──私の理想のために、その為に私は動く」

 

 

 だから、これがWの問いかけに対する答えだ。

 Wは目を僅かに、本当に少し見開くと心底軽蔑したと言いたげに吐き捨てた。

 

「ハッ、なら何処へでも行って倒れてれば良いわ。犬っころにはそれがお似合いよ」

 

 そんな台詞とは裏腹に踵を返すと、すぐに去っていこうとする。だが、待ってほしい。私はまだスカルシュレッダーの居場所を正確に知らないのだ。だから去りゆく彼女にそれを教えてくれないかと言えば──

 

「嫌よ。勝手に姿をくらませたどっかの誰かさんと違ってやる事があるもの」

 

 そう言って今度こそ本当に姿を消してしまった。後に残るのは人気のない場所特有の静かさだけだ。

 でもあんな事言って結果、何もしないで帰っていくとは。

 

「心配してくれたんなら、素直にそう言えばいいのになぁ……」

 

 

 

 ◆

 

 

 突然の出会いとは、ない時にはとことん無いもので、ある時には纏めていっぺんに来るものらしい。

 まあ、何が言いたいかと言えば。

 

「君は……」

 

 また目の前に、道を塞ぐように見覚えのある顔が立っていた。

 彼は私をシラクーザからここまで車で運んでくれた、そして恐らく診療所に叩き込んでくれた人物だ。なぜこんなところに居るのか、そんな疑問は湧き上がるが、僥倖。情報を大事に扱っていた彼ならば知っているだろう。

 

「丁度よかった。スカちゃ、スカルシュレッダーがどこに居るか教えてくれない? もちろん報酬は払うからさ」

 

「……診療所へ戻れ」

 

 疑問に対する答えは返ってこなかった。それどころかできる出来ないも返事に含まれていない。まるで──話が通じていないみたいな。そんな一方的な声色だった。

 

「いや、そうじゃなくて。ああでも診療所まで運んでくれたのは感謝してるっていうか、ありがたかったんだけど。今は違くて。とにかくスカルシュレッダーだよ。場所、どこにいるか教えてよ。ね、頼むよ」

 

「それは無理だ」

「え、何で。報酬? それなら今多少待ち合わせが……」

 

「……お前には、教えられない」

 

 突き放すような拒絶の言葉。一瞬、思考が白くなる。

 意味が分からなかった。口ぶりからして彼はスカルシュレッダーが何処にいるのか知っているのだろう。なのにそれを出し渋る。もしスカルシュレッダーの居場所を私に伝えたとして、彼に何の不利益が起ころうというのだ。まったくもって理解しがたかった。

 

 

「後から追加で報酬払うからさ」

「金じゃ、ない。どうしたってお前には教えられない」

「何で? 場所、知ってるんでしょ? 教えてよ」

 

 彼は若干俯きながら、それでも拒絶の言葉をしっかりを紡いでゆく。分からない、分からない。誰かに口止めされているのか? それとももうレユニオンという組織に見切りを付けたのか? だとしたら何でわざわざ私の前に出てきた。

 なんだか私が一方的に焦っている気がする。気がするけど止められない。血が足りてないのか頭がクラクラしそうだ。

 

「お願いだよ、何か望みがあるんだったら私のできる範囲に限られるけど、どうにかするからさ。時間が無いんだ、頼む、情報をくれない?」

 

「断る」

 

「……教えて」

 

 もはや取り繕いの言葉も剥がれ出した。言葉の端が鋭くなっているのが自分でも分かる。回ってない頭でも分かるのだ、彼もまたわかっているだろう。

 

「無理だ」

 

「教えろ」

 

「拒否する……ッぐ!」

 

 

 そこからの行動は早かった。一息に彼との間合いを詰めると右腕で壁に押し付けるように首を押さえる。手には鎚を握っているから前腕を使って押さえ込む形だ。他の部位はアーツで空気を固めて押さえつける。

 

 

「どうしてそこまで頑なに拒む……! 教えろ、教えろよッ!」

 

 何で自分がここまで熱くなっているのか分からない。ただ彼の姿が記憶にある誰かと重なって、重なって。胸の奥からマグマのように熱されたものが湧き出してきているようだった。

 

 

「……お、お前は……教えたら、また()()()で戦いに……行く、だろう……。だから、……無理だ。教えられん」

 

 

「……私の体を案じていると?」

 

「そう……だ」

 

 

 まるで頭に煮えた鉄の棒を差し込まれたようだ。

 彼の言葉が嫌に入ってくる。

やめてくれ、私を気遣わないでくれ。

 

 

 

「もういい。自分で見つける」

 

 

 ぱっ、と手を離してアーツも霧散させる。首筋を圧迫されていた彼は尻餅を突いて咳き込んでいた。

 その姿を一瞥すると、すぐに路地の先へ向かって歩き出す。時間は有限、こんなところで食うわけにはいかなかった。

 

 

 

 ◆

 

 

 遠ざかっていく背中が見える。

 人によっては大きく見えるかも知れないが、実際は小さな少女の背だ。何人もの希望と、数えるのも億劫になるほどの怨嗟の声、それら全てを背負い込んだ少女の。

 

 手を伸ばす。とても届かない。彼では少女に届かない。

 

 

「……ここから3㎞程南西にある、郊外の……砂原だ」

 

 だから、その後ろ姿に。そうやって声をかけるしか出来なかった。

 

 言葉が届いたのか彼女は一度ぴたりと止まると、急に加速して消えていった。

 その姿に、彼は力なくがっくりと肩を落とした。結局自分では無理だったのか、と。

 

『アイツを──あのバカな幹部を頼んだ』

 

 

 脳裏に浮かんだ、託された言葉。

 まるで叱咤するようなタイミングで思い出されたそれにひとつ舌打ちをすると、立ち上がって駆け出した。

 

 

「ッ勝手に、勝手に全部一人で背負いやがって──!」

 

 彼にだって意地はあるのだ。

 

 ◆

 

 龍門の中心部から遠い位置にあるスラム。そこからも離れている採掘場にスカルシュレッダーは布陣していた。横にはWが近衛局から奪い去ってきたというミーシャが居る。そんな彼女は今、負傷者の治療に駆け回っているレユニオンの構成員を心配そうに眺めながら、スカルシュレッダーが手渡した武器を携えていた。

 

「安心しろ。想定よりも被害が少なかった。ひどい怪我に見えるかも知れないが……最悪の事態は避けられるだろう」

 

「う、うん……。どうしてそこまで私を気に掛けてくれるの?」

 

「それは──同胞だからだ。今は気にしなくていい。俺たちは確かに味方なんだ、さあもう一度」

 

「うん……」

 

「ここに弾を込めて、標準を定める。そしてトリガーを引けば──弾が発射される」

 

 教えている最中でもスカルシュレッダーは集中を切らさない。どこで何が起きようと不思議では無いと知っているから。絶対は無かったと言い切れるから。

 

「そしてグリップを握って。精神を集中して……アーツを放つ。そうすれば炸薬を爆発させることが出来るんだ」

 

「私にできるかどうか……」

「できるさ。必ず」

 

 

 レユニオンは転換期を迎えているのかも知れない。いや、もしかしたら転換なんてものではなく──。

 気がかりな要素はいくつもある。あのやたらと絡んでくる、蒼い髪をした幹部もシラクーザから連絡が絶えていると聞く。普段ふざけたような態度をしているが戦闘能力と咄嗟の判断は目を見張るものがあった。そんな彼女すら大きな流れの渦に消えゆくというのか。

 

 ──いや、と首を振ってスカルシュレッダーは意図的に思考を切った。今はそれを考えている時では無いのだ。

 

「想像するんだ……。さあ、この源石を握って」

 

「うう……」

 

「精神を集中するんだ」

 

「──。手のひらが少し……熱い」

 

「その調子だ! やっぱり、やっぱり……」

 

 

 こんな時にあの顔がチラつくのは、ミーシャの話を彼女にしたからだろうか。可能性から言えばどこかでのたれ死んでいる方が圧倒的に高い。だが、どうしてもアイツのそんな姿が想像できなかった。

 

「ミーシャ、お前は確かに、確かに……ハハ、ハハ……。お前は確かに俺の……」

「……何をしている行くぞ! スカルシュレッダー、撤退だ!」

 

 すると、突如として構成員の叫ぶ声が聞こえる。

 

「この採掘場は廃棄される!」

「一体何が起きた!?」

「ロドスだ! 強襲を受けた!」

 

 

 ◆

 

 ロドス、聞くにも嫌な名だ。

 そんな奴らがなぜ、ここまで邪魔をする。

 

「慌てるな、全員で反撃に出るぞ!」

 

 その声に、頼もしい反応が返ってくる。士気はある。勝算は分からない。だが、やらないと言う選択肢は残されていない。

 

「スカルシュレッダー……。ロドスなら……私たち……」

 

 横から、揺れる声が聞こえる。顔を向ければ、ミーシャは迷いを表情に浮かべて言葉を発していた。

 

「──何だ? ロドスと話し合えとでも?」

「あの人たちなら、きっと感染者を助けてくれる」

「俺の同胞は何人もロドスによって殺された──。お前は俺に、あいつらと話し合えって言うのか?」

 

 ミーシャは俯いている。スカルシュレッダーは続けた。

 

「俺の同胞は、みんな感染者だった! 感染者を救うってロドスはあいつらを助けてくれたか? ──一体何がお前の目を曇らせているんだ!?」

「わ、わからないよ……」

 

「──すまない。また少し興奮しすぎた」

 

 その言葉にハッと我に帰る。しかし、結論は変わらないのだ。

 

「でも確かに──感染者はやっとの思いで希望を掴んだんだ。──レユニオンを」

 

 知らず拳に力が入っていた。勤めてそれを解くと、過去にあったことが濁流のように頭に押し寄せてくる。

 

「だがロドスは、奴らは感染者のくせに、こんな時にまで俺たちを傷つけ殺そうとしているんだぞ! そんな奴らは普通なら『裏切り者』と呼ぶんじゃないか?  ──お前は裏切り者と何を話せって言うんだ!?」

 

「本当に感染者は感染者同士で殺し合いをしなきゃいけないの?」

 

「じゃあ俺はどうすればいいんだ……。同胞の死を見過ごせっていうのか?」

 

「……」

 

「大丈夫だ

 

 俺たちがお前を守る。お前も自分をしっかり守れ……

 

 戦いに飲み込まれるな。……絶対に」

 

「あなたも……必ず帰ってきて……。私も苦労してやっと……」

 

「ああ、必ずお前に会いに戻ってくるさ。そしたら、一緒に家に帰ろう……」

 

「……うん」

 

 ◆

 

 

 ミーシャは去った。Wに頼んで先に撤退してもらった。

 ここからは、厳しい戦いになるだろう。そんな予感がスカルシュレッダーにはあった。タルラの言っていた状況とは少しズレ、敵が想定以上に強い。そしてこちらの規模はあまり大きくない。

 もしここで奴らを通すことになれば、待ち構えているのは辛い結末だけだ。だからこそ、一発逆転に賭けるしかない。

 

 

 

『そう、あなたも分かっているでしょう? ロドスを率いている、あのフードのヤツ。アイツさえ倒せばロドスの頭脳は腐り落ちたも同然になるわ』

 

『採掘場の近くが待ち伏せに適した地形になってる。あたしの術師達がカバーするから、あなたがやるべきことは分かるわね?』

 

 

 

 精神を研ぎ澄ませる。静かに鋭く、何者にも貫かれないように。

 ただ、この戦いに全てを掛けて。

 いま、この場に残っている者はどれだけの人数が帰ることが出来るだろうか。それは分からない。ただただここまで来てくれた同胞には感謝の気持ちしかない。

 

 ──今はただ、やるべき事を。

 

 スカルシュレッダーの集中は極限まで達していた。

 

 

「すか、スカルシュレッダー!」

 

 

 そして、その集中は一度切れることになる。他でもない残ってくれた同胞の手によって。

 駆け寄ってきた彼は興奮したように、慌てるように捲し立てる。その様子に何か不慮の事態があったのかと警戒するが、どうもそんな雰囲気ではない。

 

「ぞ、増援が来てくれた、強力な増援が!」

 

「──何?」

 

 増援、耳を疑う言葉だ。確かにこの悲観的にも取れる状況で増援はありがたいことこの上無かったが──ここにそんな気配はない。それに十数人が来たとしてもこの状況を打開できるような決定打に繋がるとはとても思えなかった。それこそヤツでもない限り。

 

 

 そこではたと気づく。

 彼は何と言った? ()()()増援? なのに人が行進する気配は一切ない。つまり来たのは少数、もしくは単騎の──

 すると砂をかき分けて歩く音が聞こえる。その予感に従って顔を上げればそこには。

 

 

 

 

 

 

「や、スカちゃん。──私が来たよ!」

 

「……ッ! 生きて、いたのか!」

 

 

 

 

 

 

 陽気に手を挙げる、レユニオンでも屈指の白兵戦の戦士が立っていた。

 頼もしい、この上なく強力な増援が。

 

 

 

 

「──アルサシアン!」

 

 

 

 

 ◆

 

 

 みんな同じ方向を向いている。

 同じ目的を抱いている。ただ、その道は違うのかも知れない。

 だが、彼女はそれでも──

 

 

 


 

 

waiting for the dawn

誰がそう簡単に死んでやるものか!

 

 

 




ロドスまだ? 

そろそろ!
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