源王は玉座を譲らない   作:青牛

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王者は遅参を容認しない

 関係はどうあれ長い付き合いだったイプシロンとの壮絶な別れと、三人目のマスターランクの登場により、静寂と共に重苦しい空気が場を包んだ。

 しかし、落ち込んでばかりもいられない。

 彼らは様々なことを知った。

 

 エイリア学園との戦いが始まった当初から、豪炎寺は彼らに妹の夕香を人質に取られ、仲間に加わるよう揺さぶりをかけられていたこと。

 

 瞳子の計らいでチームを離れた彼は、鬼瓦に紹介された土方の元で身を隠したこと。

 

 そして鬼瓦らの水面下の活動により彼女の安全が確保され、ようやくチームの元へ帰ることができたこと。

 

 事情を知った彼らは、改めて豪炎寺の復帰を歓迎した。

 豪炎寺の存在は雷門イレブンには百人力だ。

 まずは長い間チームを離れていた彼の帰還を祝い、皆でサッカーをすることにした。

 イプシロンとの死闘を終えたばかりだというのに元気に走り回る彼らは、疲れ知らずなのか。

 

 否、久方ぶりに会えた仲間と、なんでもないサッカーをする時間が、楽しすぎるだけなのだろう。

 

「…………」

 

 そんなのどかな光景を、アツヤは柵に背を預けながら眺めていた。

 普段ならば混ざっていたかもしれないが、いまはその気にはなれない。

 

「アツヤ。身体はもう大丈夫?」

 

「……おうよ。怪我でもねえんだから、ちょっと休めばすぐだっての」

 

 士郎の声掛けに対しアツヤは気丈に返したが、彼はどう感じたのか。

 そのまま歩み寄って、ぽすんと弟の隣に座り込んだ。

 

「あれが、染岡くんの話してた豪炎寺くんなんだね」

 

「ああ。うるせーくらい聞いたさ、雷門のエースストライカーのことはよ」

 

 浦部とFW同士でボールを取り合い――奪いにかかる浦部からボールを保持し続けている――を演じる豪炎寺を二人で見る。

 あのようにしていると、違うのは言葉数くらいで、自分(アツヤ)とそう大差ないように見えるが、試合での彼の姿はまさしく炎の如し。

 

 彼のプレーを見て、アツヤは心の底から痛感した。

 

 自分は、彼には絶対になれない。

 

 完璧じゃないのは、自分だけ。

 

 目に見えない、しかし明確に感じられる彼我(ひが)の差が、臓腑まで染み込んでくる心地だったアツヤの方へ、ボールが転がってくる。

 反射的に目を向けると、ボールを中心にした視界へ、続いてシューズが入り込む。

 やって来たのは、件の炎のストライカーだ。

 

「豪炎寺くん?」

 

 彼はボールを拾うと、側にいたアツヤへ目を向けた。

 自分の不在の間雷門のストライカーを務めていた者を見極めている、といったところか。

 実際はどうであれ、アツヤはそう解釈して静かに見つめ返す。

 

「……なんだよ」

 

 二人のエースの沈黙が10秒ほど続いたところで、それに堪えきれなくなったアツヤが口を開いた。

言葉の意味は、それ以上でも以下でもないシンプルなもの。

 それに対し、豪炎寺もシンプルに答える。

 

「いや、お前には礼を言っておかなければと思ってな。雷門で円堂たちと一緒に戦ってくれて、ありがとうと」

 

「馬鹿にしてんのかよ。あんたが来なけりゃ、イプシロンに俺たちは負けてたんだぜ」

 

「そんなつもりは欠片もない。だが、聞きたいことはあるな。

 

 

 ――ボールが怖くなったか?」

 

「……! そんなわけ――」

 

「俺も怖い」

 

「なっ……」

 

 豪炎寺にいきり立ちかけたアツヤが、続いた言葉に言葉を失った。

 どういうことだと言おうとしたところで、豪炎寺の背後から円堂の呼ぶ声が響く。

 

「おーい、豪炎寺ー! 立向居の相手をしてやってくれないか?」

 

「……ああ、わかった。俺も円堂が認めたキーパーの力を見てみたい」

 

「アツヤ、お前もどうだ? 身体はもう大丈夫か?」

 

「……さっきデザームのシュート喰らってたやつのセリフじゃねえだろキャプテン。大丈夫に決まってらぁ!」

 

 彼の頼みにあっさりと豪炎寺が応じ、毒気を抜かれてしまったアツヤもフィールドへ歩いていく。

 まずシュートを打つのは豪炎寺だ。

 立向居は、円堂の相棒とも言うべきエースを前に気合い十分。

 そしてアツヤは、ペナルティアークに立つ炎のエースストライカーの姿を誰よりも強く見据えていた。

 

真 ファイアトルネード!」

 

ゴッドハンド! ――うわぁ!」

 

 放たれた炎の竜巻を前にしても臆さず、彼は青い光の掌を顕現させる。

 油断も慢心もなかったが、それでもボールは行く手を阻む巨大な手を呆気なく砕き、ゴールへと飛び込んだのだった。

 弾かれて尻餅をつかされた立向居だったが、直に感じた豪炎寺の力に興奮しきりである。

 

 続いて、ボールはアツヤに渡った。

 豪炎寺の見定めるような視線を受けながら、彼はシュート体勢に入る。

 ふわりと回転をかけてバウンドさせたボールを氷で包み込み、冷気が辺りを覆い尽くしていく。

 

エターナルブリザード……ッ」

 

 そして冷気の塊となったボールを蹴り放つ、その寸前。

 

『私のっ、勝ちだ……!』

 

 最強の必殺技を破られた光景が彼の脳裏を(よぎ)り、総毛立つような感覚は氷のような集中に亀裂を走らせる。

 

V3!」

 

 アツヤはそれに構わずキックを打ち込んだが――

 

ゴッド……あれ?」

 

「…………」

 

 これまで雷門の主力を担ってきた強力な必殺シュートは、途中でゴールから逸れて明後日の方向へ飛んでいく結果となった。

 シュートを放つ瞬間の、ボールへの足のかかり具合にズレが生じてしまったのだろう。

 単純なミスだがそれゆえに、普段の彼を知っている雷門イレブンの面々の意識にはより鮮烈に刻み込まれた。

 そして誰よりも、信じられないとばかりに目を見開くアツヤ。

 

「……悪ぃ。俺、もうちょっと休んどくわ」

 

「あっ、アツヤ」

 

 彼はやがて見開いていた目を悔しげに元の形へ戻し、そんな言葉を残して去ってしまった。

 フィールドの外へ向かう力ない彼の背で、風に乗って舞う氷の結晶が音もなく砕け、空に溶けて消え去った。

 豪炎寺はその小さな背中が消えるまで、彼の方を見つめていた。

 

「……サッカーはただ楽しいだけじゃない。だが、それでも俺たちは……」

 

 その先は、次の機会に直接言うべきだろう。

 自分よりも一つ年下で同じ肩書を持つストライカー。そんな彼を思い一度目を伏せ、豪炎寺はフィールドの方へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 そんなサッカーを迷うストライカーの時間を過ぎて。

 綱海と、復帰した豪炎寺を迎え入れた雷門イレブンは、稲妻町へと戻ってきていた。

 イプシロン戦の勝利以来エイリア学園の襲撃が止み、残るマスターランクチームの動向については新しい情報も出てこない。

 闇雲に動いても仕方がないため、円堂ら主要メンバーの故郷であるここへ戻ってきたというわけだ。

 休む間もない激戦に次ぐ激戦を経た彼らには、帰ってくるのも随分久しぶりに感じられる。

 

「ようやく戻ってきたな……」

 

 特に豪炎寺は、車窓から見える鉄塔を感慨深そうに眺めていた。

 奈良での離脱以降は沖縄で雌伏の時を過ごしていた彼は、本当に戦いが始まってから初めての帰還だ。

 見慣れた景色に、それまで抑えていた望郷の念が溢れるのも無理からぬことだった。

 

 ここは英気を養っておくのも悪くないと、監督である瞳子の許しもあったところで、皆思い思いに貴重な休息日の過ごし方を考え出した。

 鬼道や木野などは、長らく留守にしていた家へ帰り、家族との時間を過ごそうかと思案するが、いまの雷門イレブンは皆が皆、稲妻町在住ではない。

 

「おいおい、俺たちはどうすんだよ?」

 

 特に綱海は、共に戦おうと一緒に来たというのに早々に慣れない土地で自由に過ごせと言われても、どうしていいかわからない。

 

「じゃあ皆うちに来いよ。母ちゃんの肉じゃが、最高にうまいんだぜ!」

 

「俺、肉じゃが大好きです!」

 

 そこで出た、稲妻町に家を持たないメンバーへの円堂の誘いに立向居が目を輝かせ、他の面々も、木暮が嫌いな料理に渋い顔をしたくらいで、概ね乗り気だった。

 

「染岡くんのお見舞いも行きたいよね。ね、アツヤ?」

 

「あー……まぁな」

 

 俄に賑やかになったところへ、新たな人影が現れる。

 

「円堂! 戻ってきていたか」

 

「ん? 杉森じゃないか!」

 

 その人物は、バックアップチームを結成していた杉森であった。

 橋の上にいた彼は丁度探していたというように、息急き切って雷門イレブンの集まる河川敷へと駆け下りてくる。

 

「どうしたんだ?」

 

「お前たちに会いたいという者たちが居てな。もうじきこちらに着くと連絡があったんだが……お前たちも驚くぞ」

 

「俺たちが驚く?」

 

「ああ、間違いない」

 

 その人物について語る杉森は、奇妙なほど自信で満ちていた。

 

「――上だ」

 

「ん? どうしたアツヤ――うおっ!?」

 

 彼がそこまで言う人物とは誰なのだろう。

 そう思った雷門イレブンが詳しく聞き出そうとしたそのとき、後ろの方にいたアツヤが空を見上げる。

 土門がそれに問いかけようとした瞬間、彼らのすぐ背後で地響きと、鈍い振動が起こった。

 

「あれは……!」

 

 皆が振り返って見てみると、芝生も捲り上がらせて地面にめり込んでいる、エイリア学園の黒いボールがそこにはあった。

 雷門イレブンの視線を一身に集めたそのボールは、青白い光とともに、最近聞いたばかりの声を発し出した。

 

『雷門イレブンの諸君。我々、ダイヤモンドダストはフロンティアスタジアムにて君たちを待つ。……来なければ、この黒いボールを東京へ無作為に打ち込む』

 

「なんだって!?」

 

「無作為にだと……!」

 

 ボールは円堂らの反応を待たずにそれだけの、一方的なガゼルの言葉を届けてボロボロとひとりでに崩れ去ってしまった。

 

「無作為……って、なにっスかね?」

 

「デタラメにってことですよ!」

 

「こんな地面にめり込むようなボールを東京中に打ち込まれてみろ。町がめちゃくちゃになるぜ」

 

「えェーー!? 大変っス!」

 

 いまいち状況を理解しきれていなかった壁山が、目金とアツヤの補足説明で動転した声をあげる。

 鬼道などは、既にガゼルの宣言が実行された場合の未来まで鮮明に想像できているらしく、ゴーグルで目の隠れた状態でもわかる深刻な面持ちだった。

 戦い通しだった中、久しぶりの休息と思った矢先のことだが、とても放っておくことはできない。

 

「……仕方ないわ。直ちにスタジアムに向かいます」

 

『はい!』

 

 その瞳子の決定に対し、チームから反対など出なかった。

 

「悪い、杉森。会いたいって奴らのことは……」

 

「気にするな。あいつらには俺から伝えておく。……円堂、負けるなよ」

 

「ああ!」

 

 再会したばかりで名残惜しいが、行かなければならない。

 そんな円堂に杉森は激励の言葉を送る。

 それを受け取ると、彼らはキャラバンに乗り込んでスタジアムへ向かっていった。

 

 

 

 

 

 以前は全国大会の舞台となったフロンティアスタジアム。

 大会中はスタジアム中に充満していた熱気もいまはなく、観客席にも人影一つない、冷たい静けさに包まれたそこに、雷門イレブンはやって来ていた。

 

「相手チームの戦術、攻撃がどんなものかは全く謎よ。最初は充分に警戒して。早速だけど豪炎寺くんには、アツヤくん、浦部さんとFWを任せるわ」

 

「はい」

 

「スリートップか」

 

「アツヤくんも、もう身体は大丈夫なのね?」

 

「おうよ」

 

「ならいいのだけど。もし私が危険だと判断したら交代するから、そのつもりで」

 

「アツヤ、もう無理はさせないからね」

 

「……わかってるよ」

 

「FW陣、特に豪炎寺くんは間違いなくマークされるはず。彼らにボールを渡すのも大事だけど、チャンスがあればゴールを狙いなさい」

 

「はい!」

 

 豪炎寺を加えたチームで試合メンバーと陣形(フォーメーション)、基本方針を決めていく雷門イレブン。

 だが、彼らをここに呼び寄せたガゼルたち“ダイヤモンドダスト”はどこにもいない。

 それに一部が気を抜きかけた瞬間、彼らが居たのとは反対のベンチで光が起こり、影も形もなかったガゼルたちの姿が現れたのだった。

 

 彼らはGKのベルガを除き、皆ガゼルと同じ青を基調としたユニフォームに身を包み、冷気を漂わせながら佇んでいた。

 その中央に立つガゼルが一歩進み出て、円堂らに向けて手を伸ばして言う。

 

「来たようだね、雷門イレブン。君たちに凍てつく闇の冷たさを教えてあげるよ」

 

「熱いとか冷たいとかどうでもいい! サッカーで町や学校を壊そうなんて奴ら、俺は絶対許さない!」

 

 不敵な言葉とガゼルに、円堂が真っ向から言い返す。

 両チームが揃い、すぐにでも試合が始まろうという空気が両者の間に流れ出した。

 

「――その試合の開始、少し待って欲しい」

 

 そこへ新たな人物が現れるまでは。

 

「なに?」

 

「その声は……」

 

 予定にない乱入者にガゼルは怪訝な顔をし、円堂は覚えのある声に、その主を思い浮かべる。

 その答え合わせはすぐに行われた。

 観客席の方から人影が鳥のように素早く飛び出し、そのままフィールドの端、両チームのベンチの中間へ降り立つ。

 彼の着地に遅れて、浮き上がっていた長い髪がゆらゆらと揺れながら重力に従って下りていく。

 そして顔を上げたその姿は、見間違えようもない。

 

『アフロディ!?』

 

 フットボールフロンティア決勝戦を戦った者たちが、驚愕のままにその名を叫んだ。

 彼はそんな雷門イレブンの方へ向き直り、近づいてきた円堂らを見る。

 

「……誰だあいつ?」

 

「俺たちがフットボールフロンティア決勝で戦った、世宇子中のキャプテンだ」

 

「あいつが……!」

 

 アツヤにとって、世宇子の名前はどちらかと言えば、曲がりなりにも帝国学園を――即ち、源田を――圧倒した存在という形で刻まれている。

 土門の言葉にアツヤも目付きを厳しくしてアフロディを見つめた。

 両チームから様々な思いの乗る視線を集めながら、彼は対面する円堂たちと話し出す。

 

「久しぶりだね、円堂くん」

 

「……アフロディ。杉森の話してた会いたい奴って、もしかしてお前なのか?」

 

 円堂の問いに、一之瀬らは目を見開いた。

 アフロディはそれに、微かに口角を上げて頷く。

 

「そうさ。彼から、キミたちがここでエイリア学園と試合をすると聞いて飛んで来たんだ」

 

「ど、どうして、世宇子中のキャプテンが俺たちに会いに来たんスか?」

 

「もちろん、キミたちと共にエイリア学園を倒すためさ」

 

「えぇーー!?」

 

「なんだって!」

 

 アフロディの、チームへの加入を望むその言葉に、壁山や一之瀬などが衝撃の声を上げる。

 いまは雰囲気が違うが、影山に従う彼に決勝で痛めつけられた思い出は記憶に新しい。

 すんなりとは受け入れられず、かといって真摯な情熱を宿した彼の瞳にはなんとも言えず、沈黙が起こった。

 

「……疑うのも無理はない。でも、信じて欲しい」

 

「勝手に話を進めないでもらおう」

 

 そこで、それまで傍観していたガゼルが背後から口を挟む。

 

「世宇子の結末を我々が知らないとでも? “真・神のアクア”のない君にはなにもできない。堕落した神などに用はないんだよ」

 

「それは違うよ。円堂くんのサッカーへの熱い思いが、ボクを悪意から目覚めさせた。彼らのお蔭で、ボクは新たな力を手に入れたんだ」

 

「御託はいい。早く試合を始めたいからね、邪魔者にはご退場、願おうかっ!」

 

 ガゼルはそのまま、いつの間にか足元に持ってきていたボールをアフロディ目掛けて蹴り放った。

 

「アフロディ!」

 

「大丈夫だよ」

 

 風を切って迫るボール。

 当たれば危険だとアフロディを庇って前に出ようとする円堂を、何故か彼は手で制した。

 ボールは依然として威力を保ったまま。アフロディへ命中するまでも秒読みだ。

 しかし、彼はそんなボールを見もせずに、円堂たちへ話し続ける。

 

「言い忘れていたけど、キミたちの力になりに来たのはボクだけじゃない。実を言うと、話をつけてくれたのも彼だしね」

 

「……そういえば」

 

『お前たちに会いたいという者()()が居てな』

 

 アフロディの言及に、杉森との会話を思い出す円堂。

 確かに杉森は、複数人いるような話し方をしていたはずだ。

 その一人はアフロディだった。では、もう一人は。

 

「これは、彼の仕事だよ。奪っちゃいけない」

 

「危ない!」

 

 後方から木野の悲鳴のような声が上がる。

 彼女には、ボールを受けて倒れるアフロディの姿が想像できたのだろう。

 しかし、現実にはそうはならなかった。

 

「――――」

 

 ずん、という鈍い音。

 叩きつけられたような衝撃が、大気を揺らす。

 しかし、その衝撃を受けたはずのアフロディは無傷で、実際のボールは地面に落ち、否、潰されそうな力で押しつけられて抑え込まれていた。

 

「なにっ」

 

 ガゼルがその光景に眼を剥いた。

 確かに本気のシュートではなかったが、とはいえあのように易々と抑え込まれるものでもなかったはず。

 にも拘らずボールを止めた男を見る。

 

 彼はアフロディと同様にスタジアムの屋内から現れ、跳躍で観客席からフィールドまで飛び降り、その勢いと体重によってボールを地面へ縫い付けるように止めていた。

 凄まじいパワーとスピード、そしてボールを察知するGKの本能の成せる技だ。

 このような芸当ができる者など、全国を探してもそう見つからない。

 

「…………」

 

 だが、彼はそれができると納得させる存在であった。

 身に纏うのは、伝統ある“王者”のキーパーユニフォーム。

 鬼道はそれをこの場の誰よりも長い間見てきた。それを纏う男のことも。

 

「悪いな。邪魔者を一人追加させてもらうぞ」

 

「君は……」

 

「あの人は……」

 

「……あいつ」

 

「お前は……」

 

「お前は!」

 

 誰もが、掌で押さえつけたボールを見て顔を伏せた彼に眼を奪われる。

 やがて示し合わせたように、顔を上げた彼の名を揃って呼ぶ。

 

 

 

源田!!!

 

 

 

 片膝を突いていた姿勢から立ち上がった源田は、円堂たちの方へ顔を向けて笑った。

 

「間に合ってなによりだ。また会えたな、円堂」

 

 かつて彼らと(しのぎ)を削った王者はついに、サッカーを守る戦いへ参戦する。

 

 

 

 




吹雪アツヤ
表面上は立ち直ってるように見えて、内面は割れた氷のようにガタガタ。
これからの治療に期待。

豪炎寺修也
一つ下の後輩ストライカーを気にかける。
それはそれとして、アツヤを見ていると左足が疼く。

ガゼル
凍てつく闇の冷たさをご教授しようとして邪魔をされる。

アフロディ
雷門イレブンの前に登場。
ダイヤモンドダストの襲来を察知し、並走していた源田を置いて人足先にスタジアムに飛んだ。
登場が同時でなかったのはそのため。

源田幸次郎
完全復活。
挨拶代わりにヒーロー着地でガゼルのシュートを叩き伏せる。

杉森威
御影専農キャプテン、兼バックアップチームキャプテン。
ここでは小学生時代の源田の先輩でもあり、彼から連絡を受けた。

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