お隣さんちの竜殺し   作:カフェイン中毒

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竜殺し、引っ越し挨拶

 ピン、ポーンと呼び鈴を鳴らす。小林と書かれた表札の部屋の前に佇むのは180㎝近い身長になかなかのマッスルを搭載した、いわば戦うための肉体というべき体。側頭部が白く、頭頂部が黒い特徴的な髪に整った顔。そしてそれを彩るアンダーリムのイケてる黒メガネ。ジャケットとズボンを黒で統一したスタイリッシュな着こなしはもはやモデルだろう。誰あろう、俺である。

 

 改めてどうも、シグルド・フリーヴァ25歳、転生者兼異世界の住人です。具体的には小林さんちのメイドラゴンという作品に転生した元社会人です。あんじょうよろしゅう。ついでに竜殺しもやってます。名前で察すると思うけど持たされた力はFateのシグルドさんのお力です。ドラゴンと仲良くするのは金輪際無理だと絶望して割り切っておりましたところ、現在嫌嫌仕方な~~~~く所属している調和勢の屠竜派のお偉いさんから

 

 「youちょっと異世界に行ってくれない?」

 

 「嫌です・・・・」

 

 「なんで?(豹変)」

 

 「いきまぁす!(やけくそ)」

 

 全部意訳だけどこんな感じくだりがあってメイドでドラゴンな混沌をもたらす程度には強いトールさんが聖剣刺したまま開けたゲートを原初のルーンであれこれして通ってきました。あのさあ・・・町一つ人質にとるのはずるいよ・・・いくら戦闘力で勝てないからってさあ・・・お前がやらんなら全員人柱にするってそれもう最強の殺し文句(比喩表現)ですやん。しかもやることといえばトールさん、いわば終焉帝の娘さんを監視しろっていうんでしょ?俺がやる意味ないじゃん。建前上は異世界の人間に干渉させない云々だろうけどそれいの一番に破るの多分調和勢って一番言われてるから。混沌勢に代わりてえな俺もな。正直戦わなくていい傍観勢が一番いいんだけどそんなぶっ飛んでないもん俺の戦闘力。

 

 そんなことを考えてるとドアがガチャリと開いて金髪の見目麗しい少女がドアを開いた。深紅の瞳にはドラゴン特有の縦に裂けたような瞳孔があり、叡智の結晶(メガネ)を通して見るその頭には立派な枝角が見て取れる。まあつまり、彼女こそが終焉帝の娘にして混沌勢、俺の派閥と真っ向から対立してるメイドにしてドラゴン、俺は未だ見ぬ小林さんにゾッコンラヴなトールさんである。

 

 「はーい・・・・」

 

 「お初にお目にかかる。当方は・・・」

 

 「間に合ってます!」

 

 ばたん、ガチャ、ガチャ。見事に俺の顔を見た瞬間思いっきり顔をしかめた彼女は勢いよくドアを閉めて鍵を2か所かけた挙句3重の防御結界を張って俺を締め出したのである。俺これファーストコンタクト失敗したんだろうか?いつの間にか身についたシグルドロールプレイが鼻についたのか?彼女なら確かに俺と面識なくともケツアルコアトルあたりを通して知ってそうな気はするが流石に初対面でここまで嫌われるようなことをした覚えはないんだが。

 

 「トール、誰だったの?」

 

 「しつこい新聞の勧誘のようなものです!結界張って締め出してやりましたよ!」

 

 「ふーん・・・」

 

 「トール様、嘘ついてる。あれ、私たちの世界の人間」

 

 「あーカンナ!忌々しい竜殺しの話なんてしちゃだめです!教育によくありません!」

 

 「竜殺し・・・・?」

 

 中からワイワイと声が聞こえる。音声を遮断してないあたりよっぽど突発的かつ適当に張った結界なのだろう。それでも並の結界よりも強度が高いのは流石ドラゴンというべきか。ややあってガチャガチャと鍵が解かれまたドアが開いた。今度顔を出したのはさっきのトールさんではなく赤みがかった茶髪を後ろで緩くまとめ、死んだ魚のような目でメガネをかけた女性である。彼女こそがドラゴンたらしこと小林さんである。とりあえずもう一回挨拶しないと。

 

 「お初にお目にかかる。当方の名はシグルド・フリーヴァ。本日より隣に住むことになったため挨拶に伺った次第だ。粗品であるが」

 

 「ああ、これはどうもご丁寧に・・・トール、威嚇しないの」

 

 「でもでもだって小林さん!そいつは竜殺しですよ竜殺し!やい人間!何しに来た!」

 

 俺は向こうから持ってきた金塊をテキトーに換金して見繕ったちょっといいバスタオルのセットを小林さんに渡して挨拶をしていると後ろで炎を軽く吹き出しながら俺だけに向かって器用に殺意を送るトールさんを小林さんがなだめてくれる。

 

 「それを語るには少々長くなるが、いいだろうか?」

 

 「あ、それでしたらうちに上がって行ってください。異世界の事なんですよね?」

 

 「かたじけない」

 

 「ふっふーん!さっき結界を張りました!私の聖域であるこの部屋に竜殺しなんか・・・なんで入れるんですか!」

 

 「当方、一応ルーンを修めている故、荒い結界程度なら出入り可能である」

 

 「ぬぐぐぐぐ・・・・」

 

 

 閑話休題

 

 

 

 「・・・粗茶ですが・・・」

 

 「当方、茶といわれて食事を出されたのは初めての経験である」

 

 「お茶漬けなんてどこで覚えたの・・・・で?何の用なんですか?」

 

 お茶といって出された大盛りのお茶漬け(帰れのサイン)。笑顔で器用に怒るトールさんをたしなめる小林さん。いいなあドラゴンと仲良くできるの。しがらみばっかだからそんなことできるの羨ましいわ。ああそうだ、本題本題。それを物欲しそうに眺める真っ白な髪に短い角を生やした幼女・・・こちらもドラゴン、カンナカムイにそのままパスすることにした。おー、と嬉しそうな雰囲気に変わった彼女がそれを頬張るのを確認して小林さんに向き直る

 

 「単刀直入に言うと当方、トール殿の異世界における監視役に抜擢された人間である。世界を滅ぼしたりでもせぬ限り何かするつもりはないので安心していただきたい」

 

 「できるかぁっ!!!今すぐ帰ってください!!!それか食い殺してやりましょうか!」

 

 「トール、話が進まないからあっち行ってなさい。それはなんで?」

 

 「そ、そんなあ!小林さぁん!!」

 

 「簡単に言うと保険である。こちらの世界においてトール殿の力は過剰に過ぎる。暴れられたりでもしたら止められる人物なぞいないであろう。彼女は混沌勢であり、滅ぼした国や町の数は両手両足の指を使っても足りまい。さて、そんなドラゴンが異世界に行き、平和に暮らしていると信用できるであろうか?」

 

 「なるほど、トールそりゃあんたが悪いわ。おとなしく受け入れなさい」

 

 「ちょっとおおおお!?小林さんはどっちの味方ですか!?」

 

 「身から出た錆でしょー?別に変なことしなきゃ何もしないって言ってるじゃん」

 

 そうだよ(肯定)せっかく現代日本に来たんだから監視という名の現代生活をエンジョイしたいんだよ俺は。どっかの邪竜みたいにゲーム三昧してみたりコミケ行ってみたりうまいご飯食べたりしたいんだよ。竜殺し竜殺し言うけど好きでなったんじゃないんだぞ。どれも混沌勢の過激派が散発的に街を襲ったり(ご飯食べにきたり)するから仕方なく俺が殺してるんだよ。話し合いで終わったことだってたくさんあるわ!殺さずに済むならそれでええやん。何もしなくていいならそれでええんや・・・

 

 「当方が言うのはおかしな話であるが小林殿、貴殿はそれでいいのか?」

 

 「べっつにー。私はトールがそんなことしないって思ってるし、それなら何もしないんでしょ?」

 

 「如何にも。トール殿、当方町一つ人質に取られてるが故仕方なくこちらに来た次第。どうか御目溢しを願う」

 

 「人質ぃ?また物騒だね」

 

俺が深々と頭を下げてそういうと小林さんがうんざりしてそうな声でそういった。そうだね、物騒だね。でも俺が行かなきゃ行くの調和勢の怠け者ドラゴンだからね!人柱でもないとやってくれないんだよ!

 

 「あー人柱ですか・・・。まったくあの調和勢の怠け者たちは、しょーがないですねー」

 

 「調和勢?調和勢ってあのエルマのところの?」

 

 「ええ、そうです。といってもこの竜殺しの所属してる派閥は調和勢の中の最過激派、屠竜派ですよ。混沌勢とあらばどこであっても襲い掛かってくるような野蛮な奴らです」

 

 ひっでえ言われようだな。いや別に事実だけど。混沌勢とみれば嬉々として殺しに行くような蛮族みたいなやつばっかりだもんね。見た目オークだよ筋肉ダルマばっかりだから(偏見)そしてそれを聞いた小林さんはしげしげと俺の上から下までを不思議そうに見た後

 

 「それホントに?この人見る限りそうは見えないけど」

 

 「それはこの竜殺しが変わり者ですからね。所属してるのは過激派なくせして思想自体は傍観勢に近いんですよ。いえ、言うならば頭お花畑ですかね」

 

 「はは、そう言われるのも仕方あるまい。当方、戦闘はできるが好きではない故。話し合いで終わるならそれでよし、無論それにも線引きはあるが」

 

 「へー・・・・ん?カンナちゃんどうしたの?」

 

 「小林ーお腹空いたー」

 

 「ご飯食べてたでしょ?」

 

 「あれはおやつ」

 

 難しい話に飽きたのかきれいにカラになったお椀を置いてカンナカムイが小林さんに抱き着いてじゃれている。そろそろいい時間だしお暇しようかな。どうせ原作通り世界滅ぼすような問題とかそういうの起きないし、問題起きるとしても俺が来た世界方面の方だし。小林さんの方に危険が迫れば俺が助けるのも吝かじゃないけどそれ以上にトールさんの方が早く来そうだし。

 

 「では、長居しすぎたので当方、お暇させていただく。歓待、感謝。では」

 

 「どこをどう見たら歓待したんですかこのメガネ・・・!」

 

 「ああ、待って待って。せっかくだからご飯食べていってくださいよ。多分長い付き合いになるんでしょうし・・・いいよね、トール」

 

 「・・・まあ、ここで追い返して別のめんどくさいのに監視に来られても困りますし・・・わかりました」

 

 「いいのか?では、甘えるとしよう。当方、ドラゴンと食卓を囲むのは初めて、期待大である」

 

 「えーっと・・・シグルドさん?だっけ?お酒とか飲まれます?」

 

 「む?酒精の類は嫌いではない。屠竜派にも大酒飲みは山ほどいる。ドラゴンほどではないがな」

 

 

 

 

 「オラァ~そこの駄メイド~~!!お前にはメイドの魂ってもんが~~~!!!」

 

 「あああ~~小林さん!ダメです人が見てる所でそんな・・・・」

 

 「当方、大困惑」

 

 「酔った小林、面白い」

 

 最初はよかったのだ。トールさんの美味しい食事に舌鼓を打ち、懐かしの銀色の缶ビールを流し込む。久しぶりに箸を使ったりしたが魂にしみついてるのか変わらず使うことができた。まあそれはさておき、俺が結構飲めるタイプだとわかってしまった小林さんはあれよあれよという間にビールから日本酒にシフト。度数高めのやつをおちょこと追加でトールさんが作ってきたつまみと一緒にやっていたんだけど英霊の肉体はザルなので全く素面の俺のペースでクイクイ杯を開けた小林さんは酔っ払ってしまったのである。

 

 傍若無人と化した小林さんはちょっと嬉しそうなトールさんのメイド服を脱がしにかかってメイドの何たるかを説いているがなんか教育に悪そうなのでそっとカンナカムイの目を両手でふさぐ。ついでに叡智の結晶(メガネ)をキラーンとさせて俺自身の視界も塞いでおくことにする。あとはもう好き同士仲良くしてもろて・・・

 

 「カンナカムイ殿、当方と少し遊戯をするか?」

 

 「カンナって呼んで。なにする?」

 

 「当方、こちらの遊戯には疎い。カンナ殿がしたいことをさせてもらおう」

 

 「じゃ、ゲームする。竜殺し、勝負」

 

 「委細承知。それと出来ればシグルドと呼んでほしい」

 

 「ん、シグルド。じゃあこれをもって・・・」

 

 懐かしの、それであってみたことない形のコントローラーを握るとカンナがたどたどしい口調で一生懸命説明してくれるのをふむふむときいて理解する。まあ叡智の結晶(メガネ)あるから一目見た瞬間どうすればいいかとかわかるんだけどね。子供相手だから大人気ないので使いません。叡智の結晶(メガネ)とるか。と叡智の結晶(メガネ)を外して画面を見てみると背後に気配を感じる・・・後ろには、なんか乱れてるトールさん、そして俺の真後ろに立つ息が荒い小林さん。ドラゴンをあんなにするなんて・・・竜殺しの素質あるんじゃない小林さんよ。

 

 「シ~グ~ル~ド~!!」

 

 「なんであろうか」

 

 「メガネをかけてるキャラがメガネを外すのはな~、メイドがホワイトブリム付け忘れるくらいありえないんだよ~~!!」

 

 「理解した。だが当方、メガネキャラというわけでは・・・」

 

 「い~い~か~ら~つけ~ろ~!!!」

 

 「・・・承知」

 

 「そんで~・・・これ着ろ~~!」

 

 「これは何であろうか?」

 

 「執事服だよ~一目見たときから似合うって思ったんだよ〜!ほれ着ろ!今着ろー!」

 

 「承知した。これから迷惑をかける身、当方、ひと肌脱ぐことにしよう」

 

 この後死ぬほどいろいろやらされたのは言うまでもない。小林さん、あんたすげえよ・・・・

 




 自分が何を書きたかったかわからなかったけど満足したので終わります
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