悪人の始まり
主人公side
「二人とも、俺はまた食料と薬を調達してくる、お前達はここに来た連中の対処を頼む…」
これは俺がとある方舟に乗る前の話だ、意味が分からないって?まぁ、後から分かるさ。
「もっちろん!お兄、このビャクヤさんが自分の任務を忘れる訳ないじゃん!」
そう言って妹の一人のビャクヤが答える、相変わらずコイツは元気が良い、暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれる。
「兄さん気をつけてね、こんな私なんか為に無理だけはしないでね…」
そう言ってもう一人の妹のシグレが自虐的に言う。
「俺はお前の事が大切だから薬を盗みに行くんだ、お前が気に病むことじゃねぇ、俺がしたいからしてるんだ。」
そう言って俺はボロボロの廃屋のドアだった場所から外に出る。
ー龍門ー
大規模な移動都市、お偉方が住んでいる都市部から俺達ならず者が住んでいるスラム街、そして様々な種族が交わる都市だ、この龍門には警察が存在している、つまり俺達ならず者が盗みを働く上でかなり面倒な連中だ、だが、俺のアーツの前では無力さ。
暫く歩くと公園に着き、噴水の縁に腰を掛ける、すると、フードを被った男が現れ、俺の隣に腰を掛ける
「今日の情報はなんだ…」
俺が質問するとフードの男は
「2時間後に倉庫群でペンギン急便の連中を狙ったマフィアがペンギン急便からとある荷物を強奪する作戦を立てたらしい…」
「その荷物ってのは?」
「なんでも゛鉱石病゛の症状を抑制させる試験薬らしい、お前さんが喉から手が出るほど欲しがりそうな情報だろ?」
全く、この男は俺の事情をどこまで知ってるんだか、だが、詮索はしないでおくとしよう、極東の言葉に好奇心は猫をも殺すというのがあるからな。
「あぁ、で、今回の報酬は何が良いんだ?」
「その試験薬の一部、そうだな…三割、三割を俺にくれ、それで交渉成立にしてやる。」
「そんなんで良いのか?お前ならもう少しがっつくと思ったんだがな。」
「お前さんと俺の仲だ、おまけしといてやるよ。」
「そうか、感謝する…」
礼を言い俺は腰を上げ時間まで暇潰しをすることにした。
繁華街に着くとフードを被り顔にバイザーをした奴、図体からして男だろう、そしてその隣にコータスの小娘というあまり見ない組み合わせの二人組を尾行する事にした。
「どっかのタイミングで金を抜き取るか…」
俺はチャンスを伺いながら二人の後を着ける、二人が立ち止まったタイミングで俺はコータスの小娘にわざとぶつかり、小娘を転ばせる。
「キャ⁉︎」
「あぁ、すまんな、誰かに背中を押されてな、本当にすまない。」
「い、いえ大丈夫です、そちらも怪我はありませんか?」
「俺の方大丈夫だ、悪いな、手を貸そう。」
そう言い俺は小娘に手を貸し、小娘を勢いよく立たせる、俺の方に体が密着したタイミングで財布を抜き取る。
「龍門の繁華街はいつもこんな感じなんだ、二人とも気をつけてな。」
そう言い残し俺は足早にその場を去り、情報の倉庫群へと向かう。
倉庫群へ着くと俺は適当な壁に背を預けて先程盗んだ金を数える。
「あのコータスの小娘それなり持ってたな…ざっと十万龍門弊ってところか…暫くはアイツらに贅沢させてやれるな…」
遠くから車のタイヤが擦れる音が聞こえ、俺は倉庫の屋根へ飛び乗り音の方向へと向かう、音の方向へ向かうと案の定マフィアに追いかけられているペンギン急便の車が見つかる、屋根から飛び降りペンギン急便の車の前へと立ち、そして左手に握っていた刀を腰に当て、居合切りの構えに入る。
そして、
一瞬で全ての車を真っ二つにする。
本来、刀が切れる範囲以上の範囲の物を切る、これが俺のアーツ、空間を切り裂くアーツ。
俺は落ちていたジュラルミンケースを拾い中を確かめる、
アイツの言ってた通り、中には水色の液体が入った試験管が十本入っており、ご丁寧に衝撃吸収材で割れないようにしてある。
「目的の物も奪ったが…お前ら、俺と斬り合うってのか?」
俺が振り返ると黒い髪のループスの女と赤い髪のサンクタの女が俺に武器を向けている。
「それ、私達の大切な荷物なんだよねぇ、返してくれないかな?」
「断ると言ったら?」
「後は分かるだろう?こっちは二人、しかも片方は銃を持っている、お前はその刀一本だ、明らかにこっちの方が優位に立っていることくらい分かるだろう。」
成る程な、確かにあっちは銃だ、しかも、サブマシンガンだろう、だが俺だってコイツが必要だ…
「ここは退かせてもらう…」
俺は回れ右して、逃げようとするが…
「成る程な、剣で遠距離って、ちとズルくないか?」
目の前にアーツの剣が降って来て俺の退路を塞ぐ
「逃す気は無い…」
ループスの女は殺る気満々みたいだ…
「仕方ない、かかって来い」
刹那俺の頬を掠める様に刃が向かって来るが刀で弾く、そして、赤い髪のサンクタ人が俺に向かってサブマシンガンを連発してくるが、これも弾丸の一つを弾き、軌道を変え全ての弾丸を落とす。
「えぇ!?そんなのアリ⁉︎」
「悪いがアリだ、俺自身暇じゃないんだ、お前ら…死ぬ気で避けろ…」
さっきの居合切りの構えよりも腰を落とし全身で集中する…そして、空間が斬られたガラスの様にバラバラと落ち範囲内居た二人も斬りつける、すると、二人は全身に傷を負い倉庫の壁に打ち付けられる。
「噛み付く相手は考えろ、飼い犬が…」
それだけ言い残し俺は自分の住処へと向かう、途中で行きつけの魚団子の屋台で夕食を購入した。
「悪い、少し遅くなった、今夜の夕食も買ってきたぞ」
住処に戻るとビャクヤは不機嫌そうな顔で椅子に座っていた。
「お兄、遅い!私達がどれだけ心配したと思ってんの⁉︎お兄が死なないって分かってるけど、でも遅いと私達心配するんだからね!」
「ビャクヤ、それくらいにしておきなよ、兄さんも私達の為にやってくれてるんだから…」
「すまない、だが、良いものが手に入ったんだ」
テーブルにジュラルミンケースを置き、中の薬を取り出す。
「それがお兄が遅くなった理由?」
「あぁ、鉱石病の症状を抑制する薬だ、まだ試験段階らしいが、無いよりはマシだ」
ビャクヤは訝しみながら薬を眺める。
「あんまり乱暴に扱うなよ、ソイツの一部は別のやつに渡す用だ」
「はいはい、お兄、先にご飯食べてるね」
そう言い残しビャクヤは自分の部屋に戻って行く
「シグレ、腕を出してくれ」
俺は薬を注射器に移し、シグレの腕に打ち込む
「どうだ?シグレ。」
「兄さん心配しすぎだよ、大丈夫…」
シグレは少し力弱く笑顔を俺に向ける
「そうか、良かった…「兄さん」なんだ?」
「兄さんはいつまでこんな生活を続けるの?」
「お前の鉱石病を治すまでだ、そして、お前達二人の夢を叶えるまでだ、それまで、俺は悪人で居る。」
シグレは
「私はいつか死ぬんだよ?兄さんは兄さんがしたい事をすれば良いのに、なんで私なんかの為そこまでするの?」
シグレはいつも自虐的で悲観的だ、鉱石病を発症する前までは明るい性格だったが、感染者になってからは常に自分を自虐する様な言動が多い。
「決まってるだろう、お前は俺の家族だ、俺はお前に悲しんでほしく無いんだ、それに、俺のしたい事はお前達を悲しませないことだ、もう良いだろう、飯食って寝ろ。」
俺は自分の分の魚団子を取り自室に入る。
「アイツら、ここから出るなって言った筈だろ…こんな物…」
部屋に入り俺の机には[RHODES ISLAND]と書かれた求人広告が置いてあった
こんな感じですかね?まだまだ未熟者ですがよろしくお願いします