「おい、作者、俺の出番はまだなのか?」
えぇ〜とですね、次回に登場するから待ってなさい。
「そうか?俺とガロウの感動的な出会いをしっかり見ろのな!」
ガロウside
「これは俺がロドスに来る前の話だよ……ドクター、この話は俺、いや俺達とドクターだけの秘密にしておいてくれ。」
〜二十年前〜
今でも覚えてる、あの、優しかった頃の母さんの顔を……
「ガロウ、あなたはこれからお兄ちゃんになるのよ。」
「お兄ちゃん?」
「そうお兄ちゃん、お母さんのお腹にはね、あなたの妹が居るの、だから立派なお兄ちゃんになってね。」
母さんは俺の優しい目で撫でてくれた、優しい手つきで。
「分かった!頑張って立派なお兄ちゃんになる!」
あの時の俺はあんな事になるなんて夢にも思わなかっただろうな…
そして、数ヶ月後、ラップランドが産まれた。
「この子が僕の妹?」
「そうよ、貴方、名前はどうするの?」
母さんが父さんに名前について聞いていると、父さんは口を開き妹に名前を付ける。
「ラップランド、ラップランドなんてのはどうだ?」
「フフっ、いい名前ね、ガロウ、この子の名前はラップランドよ。」
「分かった!ラップランド〜僕がお兄ちゃんだよ〜」
ラップランドが物心ついた時からかな、俺が居場所を無くしたのは。
「なんで、ラップランドに出来てお前に出来ないんだ!兄として恥ずかしくないのか!」
父さんは俺に鞭を叩きつけてくる、当時の俺は何が何なのか分からなかったよ。
「ごめんなさい……ごめんなさい。」
「貴方、その位にしておきなさい、下手に痕が付くと周りから変な噂が立つわよ。」
母さんがゴミを見るような目で俺を見ていたのはトラウマだったね。
「こんな無能、産まなければ良かったわ……」
「え……?」
足から全てが崩れ落ちるような感覚に陥ったよ、でも俺は必死に努力したよ、それでもアイツは俺の努力を嘲笑うように超える、それが嫌で嫌で仕方なかったんだ。
「今日からお前の部屋は此処だ…何をしている、さっさと入れ!」
俺はある日から地下室に叩き込まれたんだ、暗い何も無い地下室にね、その時気付いたよ、俺は期待されていないんだってね……
アイツは来る日も来る日も俺の部屋に来ては声を掛けてきたんだ、居場所を奪われた側からすれば鬱陶しくて仕方がなかったよ。
「兄さん、兄さんはなんでそんな場所に居るの?」
五月蝿い……
「兄さん、外に出て遊ぼうよ。」
黙れ……
「兄さんはご飯食べないの?」
「黙れ!俺に構うな!なんだ!?無能の俺を嘲笑ってんのか!?俺にもう構うなよ……」
あそこまで声を荒らげたのは初めてだったよ、それでもアイツは来る日も来る日も声を掛けてきた、いつからか無視するようになったよ。
ある日から、俺はあの家の住人じゃなくなった……
クソ両親とラップランドが旅行しているとある日の早朝にね……
「坊っちゃま……今、此処の扉を空けます……そして私と共に逃げましょう。」
俺を助けてくれたのは尊敬する数少ない人物 爺やからの声だったんだ。
「え、わ、分かったよ爺や!」
鍵が空く音が聞こえ、開かれた扉から漏れた日差しが眩しくて目を痛めそうになった、でもそれが少し嬉しかった、久しぶりに陽の光を浴びれたからね。
「坊っちゃま、こんなにもお痩せになられて……坊っちゃま、これから私とともにとある場所まで来てもらいます、ご安心を、私の古い友人達の所です。」
久しぶりに見た爺やは優しい声で俺に新しい服を着させてくれた。
「坊っちゃま、このバッグを持って下さい、急ぎますよ!」
爺やは俺にバッグを持たせてくれると車庫まで手を引いてくれた、爺やの手は皺が多かったけど、暖かくて、安心出来たよ。
「爺や…これは…?」
車庫にあったのは装甲で身を纏い、巨大なタイヤの装甲車だった。
「これは大地を走る事が出来る車です、私が趣味で買っていた物ですが、このような形で使う機会が来るとは……」
大地はあらゆる天災が降り注ぐ魔境と聞いた事がある、そんな所を走れる車って事は相当凄いってことだ。
「さ、坊っちゃま、お乗り下さい。」
車高が高くて乗れなかったけど、爺やに手伝ってもらって助手席に座り、爺やも運転席に座りエンジンに火をつける。
その後はシラクーザの入国管理施設から、パスポートを使ってシラクーザから大地に降りた、そして爺やの車で数ヶ月の長い旅を続けた。
「坊っちゃま、車で今は旅をしていますが、殆どの者は徒歩です、ですから私から忠告します、坊っちゃま、もしこの大地で何かあったら躊躇なんてしてはなりませんよ。」
爺やが何時にもまして真剣な声色で俺に警告をしてきた、多分爺やは大地に何度も降りた事があるからこその警告なんだろう。
「分かってるよ……俺はもう迷わないよ。」
「その意気です、坊っちゃま。」
しばらくすると湖に一機の飛行艇が停まっているのが見えた。
「爺や、アレって……」
「はい、あれが私達の目的地、私の古い友人が乗る船です。」
爺やは湖のほとりに車を停め、爺やが車から降りる、すると飛空挺が近づいてきて一人の初老の鬼族の男性が降りてきた。
「シュテン、突然の連絡申しわけない。」
シュテンと呼ばれた男性は豪快に笑いながら爺やの背中を叩く。
「ガッハッハッ!構いやしねぇよ、それにかつての友からの連絡だ、何かあったんだろ?」
「あぁ、私は傭兵に戻ろうかと思うんだ。」
「ほぉ……そいつは…明日は槍でも降るのか?」
シュテンさんは訝しむ表情で爺やを見て、俺に目を移す。
「お前が傭兵に戻る理由ってのは、あの坊主か?」
「そうだな、詳しいことは中で話そう。」
「分かった、今船尾を開いてやるからそこから乗せろ。」
「ありがとう、シュテン」
爺やは車に戻りまたエンジンに火をつける。
「坊っちゃま、彼の名はシュテン、私が昔居た傭兵団のリーダーです。」
「爺や傭兵だったの!?」
「もう十年以上前の事ですよ。」
「それでも凄いよ!」
「坊っちゃまもこれから成るんですよ。」
「え?」
「坊っちゃまにはこれから傭兵に成ってもらいます、坊っちゃま、私は坊っちゃまの努力を見ていました。」
爺やからその言葉を聞いた瞬間、目から涙が溢れてきて止まらなかった。
「坊っちゃま、坊っちゃまの努力が計り知れないほどのものだと私は見ていましたし、陰ながら応援していました…旦那様の目があった故、坊っちゃまにお声を描ける事が出来ませんでしたが。」
「いいや、認めてくれてる人が居ただけで俺は救われたよ……爺や、ありがとう……」
「私は坊っちゃまの味方で居ます、さて、少し揺れるので気をつけください、坊っちゃま。」
船の首尾が開きスロープが現れる、そして船の中に車が入る。
「シュテン、荷物を降ろすのを手伝ってくれ、坊っちゃまも自分の荷物は自分でお持ちください。」
「かぁーっお前は相変わらず鬼使いが荒いな、あぁ、そうだ坊主、俺はシュテンだよろしくな。」
「え、えぇっと…が、ガロウです……」
会って間もない頃はシュテンさんの勢いに押されていつも声が詰まっちゃったよ、懐かしいなぁ……
「ガロウってのか、よろしくな!」
シュテンさんは荷物を車から降ろし、奥の部屋に運んで行く。
俺も奥の部屋に自分の荷物を運ぶ、奥の部屋はちょっとした生活スペースになっていて、種族や年齢が様々な傭兵達が各々娯楽に没頭していた。
「お前ら!アイツと新しい家族が来たぞ!」
「「「おぉ!」」」
部屋にいた全員が俺と爺やに目を向け、俺達を歓迎してくれた。
「坊主、名前なんてんだ?」
「少年、疲れてるんじゃないか?」
「君、どんな武器を使うんだい?」
俺が質問攻めにあっているとコックピットから一人の鬼族の女性が出てきて、大声を上げる。
「アンタ達!坊やが困惑してるだろう、少しは落ち着きってもんを覚えな!」
女性は俺に近づき、しゃがんで目線を合わせてくれる。
「坊や、アタシはイブキ、この傭兵団の女将だよ。」
イブキさんは優しく、母親の様に頭を撫でてくれた、久しく忘れていた感覚だった。
「が……ガロウです…」
「ガロウってのかい、いい名前だね、ここまで疲れたろう、少し寝てな。」
イブキさんは俺を優しく撫でながら寝かしつけくれた、今までの疲れが一気に押し寄せてきて、直ぐに眠る事が出来たよ。
飛行艇の揺れで目が覚めると爺やが近くで本が読んでいた。
「坊っちゃま、お目覚めですか。」
「あ、あぁ、爺やか……なぁ、爺や……」
「なんでしょうか、坊っちゃま。」
「俺を鍛えてくれ…傭兵として、強くなれるように…」
「……分かりました、坊っちゃま、ですが、しばらくは休息が必要です。」
「分かってるよ…それよりも…ここは?」
窓の外を見るとテントが点々と設置された集落の様な場所だった。
「私達が所属する傭兵団…タルタロスの本部です」
「タルタロス……」
聞いたことがある、報酬があれば雇い主を選ばずなんでも働く傭兵集団。
「爺やはタルタロスのメンバーの一人だったの?」
「えぇ、幹部として活動していましたね。」
爺やは本当に何者なんだろう……
爺や
元はガロウ達の家の執事、過去は全て謎に包まれていたがタルタロスの面々と再会したことによって少しだけ過去が明らかになった。
コードネームは現状不明、ガロウから信頼されている。
元タルタロスの幹部で幹部の中でも最強と言われていた実力者。