アークナイツ 虐殺血羅   作:マーセナリー

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ガロウの昔話の後編です。


俺はお前、お前は俺は(後編)

ガロウside

「オラァ!」

 

俺は何回も異形と化した猟犬を斬るがどれだけ斬っても傷が付くどころか皮膚を少し削る程度のダメージしか与えられてない。

 

(ガロウ、その柄のトリガーってなんだ?)

 

ハザードの言う通りに大剣の柄を見ると確かに引き金が付いていた。

 

「よく分からない……一か八かの賭けだな……」

 

(来るぞ!)

 

異形猟犬が突進をしてくるタイミングを見計らい大剣のトリガーを引く、すると、今までの衝撃を解放するかの様な一撃が異形猟犬に向かって放たれる。

 

「……ギュア!?」

 

衝撃は異形猟犬の腕を吹き飛ばす。

マジかよ……この大剣、こんなにヤバい代物だったのか……

 

(使ってる本人が理解してないってどうなんだよ。)

 

うるせぇな……それにしても、あの衝撃でもやっと肉を抉れた位だ……

 

(ガロウ、俺に一つ手があるんだ。)

 

なんだよ、その手ってのは。

 

(俺に体の主導権を寄越せ。)

 

断る、俺はお前を信用してない、よく分からないやつに俺の主導権をくれてやるなんてごめんだ。

 

(んじゃあ、お前はここで野垂れ死ぬだけだ、お前は復讐するんじゃなかったのか?)

 

なんでお前、その事を知ってる……?

 

(お前は俺、俺はお前だ、俺達に隠し事は無しだ。)

 

お前の目的はなんなんだよ!?

 

(俺は自由になりたいだけだ、このクソみたいな施設から出たいだけなんだよ。)

 

コイツも囚われの身か……チッ……分かった、体の主導権をくれてやる、一時的にだがな。

 

(HAHA!Good!んじゃあ、体借りるぜ!)

 

俺は駆け出した。脚を、腕を、身体を、顔を──漆黒のスライムのような液体が覆う、レンズのような灰色の瞳に大きく裂けた口腔から鋭い牙を無数に覗かせるその異質な姿は人狼そのものだった。

 

「最っ高の気分だ!」

 

変身した俺……いいや、俺達は異形猟犬の鳩尾に拳を叩き込み、更に腕を掴み壁に叩き付ける。

 

「ハッ!無駄無駄!テメェに勝ち目はねぇんだよ!」

 

壁にめり込んだ異形猟犬に蹴りをぶち込む、力が強すぎたせいか腹に風穴が空く。

 

「こんなで終わりか?なぁ、おい!!」

 

異形猟犬の変異した腕が元に戻っていき、元の姿に戻る。

 

「お…お前。な、何者なんだよ……!」

 

「俺の名?いいや、俺達は……」

 

レンズのような灰色の瞳に大きく裂けた口腔から鋭い牙を無数に覗かせた異形は、顔の半分を捲る。そこからは、俺の顔を出す。

 

「「We are……HAZARD(俺達は……ハザードだ)」」

 

そう、それが俺達の名だ……

 

ハザードは顔の半分を覆いなおす。

 

「う、うあああぁぁああぁぁあぁあぁあぁぁああぁぁぁああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああぁぁぁああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

猟犬は恐怖の余り、情けない顔で絶叫する。

 

「その目玉……肺……膵臓……全部喰ってやる」

 

ハザードは、その大きく裂けた口腔から長い舌を伸ばし猟犬の顔を舐める。

 

バキ……グシャ……ボキャ……ムシャ……

 

「フゥ……悪くねぇ初陣だったぜ……」

 

黒い巨躯は次第に小さくなり、スライムのような液体となり、消滅していった。正しく言えば、ハザードの内側 俺の体内に戻ったのだ。

ガロウの背中から黒いスライムのようなモノが溢れだし、それは触手のようなモノを形作った後、先程のようにレンズのような灰色の瞳と大きく裂けた口腔が生じ、俺に話しかけてくる。

 

「最悪の気分だ……」

 

「そりゃあ人間にとっちゃ人肉は食いもんじゃねぇからな。」

 

「まぁな……それよりも早く例の物を見つけなくちゃ……」

 

「その物ってのはコイツの事か?」

 

はやっ!?

 

「お前、いつの間にそれを……」

 

「言ったろ、俺達には隠し事は無しだ。」

 

「まぁ、助かったよ……」

 

「良いってことよ!」

 

俺はハザードから目的の物を貰い、爺やに連絡を入れる。

 

「爺や、目的の物を回収した、そっちに向かう。」

 

『かしこまりました、では、ハシゴを下ろしますよ、坊っちゃま。』

 

え?

 

『上です、上。』

 

いつの間にか上にヘリが滞空しており、ハシゴが下りてきた。

 

「爺や……もういいや、帰ろう……」

 

俺はハシゴを登り、ヘリに乗り込む。

 

「坊っちゃま、随分と派手に戦ったようですね。」

 

「まぁね……チョコとかある?頭に糖分送りたい……」

 

「えぇ、こちらに。」

 

爺やはチョコレートバーを取り出しこちらに投げ渡してくれる。

 

(なんだそれ?)

 

チョコレートバー、頭の糖分が足りないときはコレに限るよ。

袋を破りチョコレートバーにかぶりつく。

 

「美味しい……」

 

(確かに美味いな。)

 

なんでお前にも味分かるんだよ……

 

(俺はお前と五感を共有出来るんだ、だからお前が食ってる物の味も分かるんだよ。)

 

へぇ〜便利だな。

 

その後、俺達はタルタロス本部に戻り、義母さんから出された条件をクリアし、大剣は晴れて俺の物になった。

そして、俺達は今、自身のテントでのんびりとチョコレートバーを齧っている。

 

「そう言えばハザード。」

 

俺が呼ぶと胸からタールのような漆黒の液体が溢れ出し、そこから触手のようなモノが伸び、先端が膨らみハザードの狼の様なの頭部を造る。

 

「なんだ、ガロウ。」

 

「お前って弱点あんのか?初めましての時無双してたけどよ。」

 

「俺だって生きてるんだ、弱点位はある。」

 

「へぇ〜、意外だ、教えてくれよ、お前と共生する上で避けれる弱点は避けたい。」

 

「そうだな、まずは熱だ、火とか触れちまえば俺は燃えて塵になる、そして何よりも音だ。」

 

「音?」

 

「あぁ、高音はダメだ、具体的に言うと4000Hz以上はアウト、仮にお前が俺を纏っている状態だと俺はお前から剥がされちまう、まぁ、弱点はこんくらいだ。」

 

「成程な、んじゃあ、極力避けるようにするか。」

 

「そう言えばもう一個あったわ。」

 

「忘れんなよ自分の弱点、んで何よ。」

 

「チョコレートバー。」

 

「それかよ!!」

 

「気づかなかったのか?最近お前の部屋に少しずつチョコレートバーが増えていることによ。」

 

「なんか増えてんなって思えたらお前の所為か!」

 

どうやらコイツはチョコレートが大好きみたいだ……度が過ぎるけどな。

 

「その後、俺は義母さんに此処のことを勧められて此処に来たんだ、随分と話し込んじゃったね、ドクター。」

 

時計を見ると話し始めた時間から2時間程経っていた。

 

「……そうだな、ところでガロウ、君の話に出てきたハザードとは一体……?」

 

「ハザードは俺のことだ、ドクター。」

 

ハザードが背中からニョキっと現れ、ドクターに自己紹介をする。

 

「ガロウと共生関係を結んでる、よろしくなドクター。」

 

ハザードはドクターに触手を伸ばし握手を求め、ドクターも恐る恐る握手に応じる。

 

「こ…こちらこそ、よろしく頼む。」

 

「ドクター、このことは俺達だけの秘密で頼むよ。」

 

「あぁ、秘密にしておこう、それと書類整理手伝ってくれてありがとう。」

 

「別に構わないよ、また時間があるとき手伝うよ、それじゃあお疲れドクター。」

 

俺は執務室から出て自室に戻る途中、誰かに着けられている感覚に陥る。

 

(ガロウ、誰かにつけられているいるぞ。)

 

分かってる、部屋に入る直前までつけられたら声かけるよ。

 

(そうか。)

 

結果的に俺達は部屋まで着けられた。

 

「君、つけて来てること、分かってるよ。」

 

「ガロウ、いつから、気づいてた?」

 

「俺が執務室から出た辺りから気づいてたよ、レッド。」

 

俺を跡をつけてきていた居たのは赤いフードの少女 レッドだった。

 

「俺に何か用かな?」

 

「ガロウの匂い、とてもいい匂い。」

 

いい匂い……あぁ、執務室に行く前に作ってたクッキーの匂いかな?

 

「もしかしたらこれのことかな?」

 

俺は腰のポシェットからクッキーをいれた小袋を取り出す。

 

「これは?」

 

「俺が作ったクッキーだよ、食べる?」

 

「食べる…!」

 

レッドは目を輝かせ尻尾を振っている、そんなに欲しいのか…

 

「良いよ、はいこれ食べ過ぎないようにね。」

 

「分かった…!」

 

レッドに小袋を渡し、頭を撫でる。

 

その後オペレーターハザードの部屋を出入りするレッドの姿が頻繁に見られるようになった。




長かった……
因みにハザードを纏っている状態の見た目は呪術廻戦の玉犬・渾の見た目を真っ黒にしてヴェノムの柄に変えたみたいなデザインです
感想等お待ちしております。
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