絢の軌跡   作:ゆーゆ

32 / 93
ノルドへの軌跡①

マッドペングー。赤毛の鳥型魔獣の一種。

口内から川魚を吐き出すという独特の威嚇に初めは面食らったが、慣れてしまえばどうということはない。

攻撃は直線的で至って単純。間合いさえ詰めればさほど脅威も感じない。

とはいえ十数体という集団単位で街道に出没するとなれば、話は変わる。

討伐を依頼したくなるのも無理はないだろう。

 

「―――五の舞、『投月』」

 

残るは2体。私から見て間合いが近い方の魔獣に、たっぷりと遠心力をつけて長巻を投擲した。

顔面に刃が突き刺さったのを確認するのと同時に、一気に間合いを詰めて回収する。

 

「クエェェッ!!」

 

最後の1体が最後の特攻とばかりに、勢いをつけて突進してきた。

そちらから向かって来てくれるとはありがたい。

躱すまでもない。正面から叩き斬るまでだ。

 

上段に構えた長巻を力任せに振り下ろすと、真っ二つに裂かれた魔獣の体が私の後方に力なく横たわった。

おかげで返り血をもろに顔面に受けてしまった。

一瞬だけ視界を取られたが、問題はない。もう全て斬り終わった後だ。

 

「・・・・・・す、すげえ。あっという間に全部倒しちまった」

 

私の遥か後方、先程まで導力車の中に待機していた男性が、車から降りながら言った。

今回の魔獣討伐の依頼人だ。

 

私が今立っているノルティア街道は、ルーレから南部に広がる街道の1つ。

彼はこの街道の先で農業を営んでいるそうだ。

確かにこんな場所に魔獣が大量発生していては、導力車といえど突破は難しいだろう。

私から言わせれば、そもそもこんな街道で農業という選択自体がおかしな話だ。

ルーレに行けば、安定したミラを稼げる職などいくらでもあるだろうに。

 

「だ、大丈夫なのか?怪我は?」

「無い」

 

体中血まみれだが、全部返り血だ。そもそも人間の血はこんな青々しくはない。

人間味が無いのは自覚しているが、生憎と血の色は人間のそれだ。

 

「報酬は」

「え?・・・・・・ああ、今渡すよ」

 

私が右手で催促すると、男性は慌てて懐からミラが入った袋を手渡してきた。

この程度の依頼に5000ミラも積むとは、余程困っていたのだろう。

貰えるものは貰っておくだけだ。別段心も痛まない。

 

「・・・・・・ん」

「あれ、どこに行くんだ?」

 

私が踵を返して街道を進もうとすると、男性が背後から声を掛けてきた。

ルーレに戻るだけだ。聞いてどうする。

 

「なら車で送るよ。ルーレに行くんだろ?」

「いい。構わないで」

 

男性の誘いに断りを入れ、歩を進める。

魔獣は倒したし、ミラは受け取った。それで十分だ。

だから、もう構わないでほしい。会話を交わすのも億劫だ。

 

_______________________________________

 

「・・・・・・ふう」

 

胸元まで伸びる黒髪を乱雑にタオルで拭きながら、ベッドに腰を下ろす。

宿に泊まるなんていつ以来だろう。ここ最近はずっと野宿生活が続いていた。

シャワーを浴びたのも久しぶりだ。川で水浴びは、今の季節は少々辛いものがある。

とはいえ、路銀はやはり心もとない。3日も経てば底をついてしまうだろう。

 

壁に掛けられたカレンダーに目をやる。

七曜歴1201年、3月27日。3日後には、私は16回目の誕生日を迎える。

 

「あれから・・・・・・4年か」

 

4年前に全てを奪わた、あの日。あれ以来、ずっと帝国中を放浪してきた。

西部の都市に足を運んだことはないが、それ以外はほとんど網羅している。

こうしてルーレを訪れるのは、今回が3回目だ。

 

私に残されたのは、お母さんから託された剣。

そして、黒いサングラスの男が掛けた呪い―――身体から溢れ出る『力』。その2つだけだ。

いや、もう1つあった。お母さんが今わの際に残した言葉。

 

『生きなさい』

 

その約束だけを心の支えにして、私は今日まで生きてきた。

生易しいものではなかった。命を断とうと思ったことは、何度もある。

 

12歳になったばかりの少女が、右も左も分からない異国の地に投げ出される。

お母さんの仇とはいえ、人を斬ってしまった以上誰も頼ることはできなかった。

罪悪感は無かった。追われる身になってしまったことだけが面倒だった。

 

身を隠すようにして、泥水をすする毎日。

木の根で腹を満たしたこともあった。

飲食店の残飯は貴重な食糧だった。

明日なんてない。目の前の今日を命がけで生き延びることだけを考えてきた。

 

だがそんな日々は、初めの数ヶ月に限られた。

幸いにも、私には剣と力があった。猟兵から奪った戦術オーブメントがあった。

自然に、様々な生きる術が身に付いた。野宿は勿論、自力で腹を満たすことができるようになった。

火や水はオーバルアーツで事足りたし、名前と過去を捨てればこれから先も捕まることはない。

私は―――独りで生きていくことができるようになった。

 

悪事に手を染めようという気は起きなかった。

多分、肌身離さず持っていた長巻のおかげだ。

この剣からは、お母さんの声が聞こえてくる。

『生きなさい』と言ってくれる。それだけが、心の拠り所だ。

 

だがその声も、最近では小さくなりつつある。

耳を澄まさないと、うまく聞き取れない。

 

「・・・・・・お母さん。私、もう疲れたよ」

 

天井のファンを見上げながら、剣に語りかける。

もう4年だ。4年間も、私はたった独りで生きてきた。

私は一体、何のために生きているのだろう。何のために剣を振るっているのだろう。

 

(お腹、減ったな)

 

感情とは裏腹に、途方もない空腹感を覚える。あの男が与えてくれた『力』の代償だ。

昔に比べて、食べる量が3倍近くに増えた。

以前本で読んだことがある。気の力を利用した術技は、ひどく体力を消耗するらしい。

私の場合、気の力は垂れ流し状態だ。今ではある程度制御が効くようになったが、それでも人一倍食べなければいけない体質になってしまった。

 

その反面、食事の時間が私にとって唯一心休まる一時になった。

空腹を満たしている間は何も考えずに済むし、何より幸福感を覚えることができた。

既に日は暮れつつある。今は、本能の赴くままに行動しよう。

 

_______________________________________

 

居酒屋《ドヴァンス》。

鋼都ルーレの外れ、夜には仕事終わりの男共で溢れかえる居酒屋だ。

 

そういえば、私にも帝国法に背いた習慣があった。

飲酒と喫煙だ。これは流石にお母さんに怒られる行為だろう。

1年ほど前からだ。年齢を聞かれた時には、18歳と答えるようにしている。

 

「よう嬢ちゃん、今日も来てんな」

 

カウンター席でステーキを頬張りながらビールで喉を潤していると、髭面の男性が声を掛けてきた。

彼とは2日目にここで知り合った男性だ。名前は知らない。

ザクセン鉄鉱山で働いているそうで、毎晩のようにここを訪れているらしい。

 

「おじさん、タバコある?」

「おう、お安い御用だ。相変わらずオッサン臭いな、ベッピンのくせによ」

 

2年程前から感じていたことだが、私はそれなりに男受けする顔立ちをしているらしい。

身なりさえ綺麗にして愛想よく振る舞えば、自然と男共が声を掛けてくる。

居酒屋にいると、こうしてタバコや酒を奢ってくれることも多い。

たまに体目当ての輩が寄ってくることもあるが、力で追い払うまでだ。

そこまでしてミラを稼ごうとは思わない。

 

「はっはっは、今日は自腹か。羽振りがいいじゃねえか」

「仕事が入ったから。何かそういう話は無い?」

「んん?そうだな・・・・・・」

 

居酒屋を訪れる目的は、もう1つある。

ここでは色々な情報が入ってくる。仕事を見つけるには格好の場だ。

遊撃士や軍へ依頼が回る前に、自分でそれを見つける必要があるのだ。

 

「ああ、そういやまた街道で変な魔獣が出たって話があったな」

「ノルティア街道?」

「いや、確かスピナ街道だったと思うぜ・・・・・・おい、ザッツ!」

 

彼にザッツと呼ばれた男性は、隅のテーブルでジョッキを傾けていた。

あちらも私達に気付いたようで、ジョッキを片手にこちらに歩いてきた。

 

「何だ、俺に何か用か?」

「お前確か、スピナ街道に変な魔獣が出たって話をしてたよな」

「ああ、そのことか。それがどうかしたのか?」

「その話、詳しく聞かせて」

「・・・・・・お前さん、誰だ?」

 

私はもう、ユイじゃない。

そう一人ごちてから、私は彼に『アヤ』と名乗った。

 

______________________________________

 

3月28日、場所はスピナ街道の中間地点。

私はザッツという男性が運転する導力車に身を揺られながら、件の魔獣が出没したという場所に向かっていた。

話によれば、3日前に街道に出没した大型魔獣に、輸送車が襲撃される事件が発生したらしい。

既に領邦軍はその報告を受けているそうだが、未だ討伐軍は派遣されていないそうだ。

 

「・・・・・・ノルド高原の、監視塔?」

「ああ、最近建てられた軍事施設さ。俺も今年からそこに派遣されたんだよ。今は休暇中で、ルーレに滞在してるんだけどな」

 

ザッツは正規軍の所属だそうで、驚いたことに今回の依頼の報酬は彼が自腹を切るそうだ。

本音を言えば、軍人とは関わり合いを持ちたくは無かった。

4年前のあの事件で、私は追われる身なのだ。

 

「アヤっていったっけ。お前さん、以前は遊撃士だったとか?」

「・・・・・・別に。そうじゃない」

「まぁいいさ。何か事情があるんだろうけどよ」

 

「1つだけ言っておくぜ」と前置きをしてから、ザッツは再び口を開いた。

 

「昨日も言ったけど、ヤバいと思ったらすぐにアヤを連れて逃げるからな?輸送車を襲うような魔獣が相手だ。いくら腕が立つとはいえ、民間人を頼ること自体気が引けるってもんだ」

 

ザッツの言葉に、私は返事をしなかった。

大型魔獣とはいえ、力を全力で行使すれば勝てる自信はある。

死んだらそれまでだ。別に悔いはない。

 

ちなみに今回の報酬は、ミラと2日分の宿代。

今泊まっているような安宿ではなく、ザッツも滞在しているホテルの方だ。

彼は明日まで休暇の身だそうで、明後日の午後には監視塔に戻るのだという。

 

「ナハハ・・・・・・なぁアヤ、ノルド高原に行ったことはあるか?」

「無い」

「いい所だぜ、あそこは。なーんも無い所だけど、心が洗われるっていうのかな」

「そう」

「・・・・・・気のせいかな。お前さん、昨日と雰囲気が違わないか?」

 

それこそ気のせいだろう。こっちが素の私だ。

昨日はわざと愛想よく振る舞っていただけだ。

彼は依頼人で、私は魔獣を倒す。それだけの関係だ。

 

「まぁいいや。いいか、もう一度言っておくけど―――」

「少し黙って」

「・・・・・・はい」

 

目的地に到着するまで、彼が口を開くことはなかった。

 

_____________________________________

 

―――いた。

私が標的を視界に捉えてから数秒後に、ブレーキ音が鳴り響いた。

どうやらザッツも魔獣に気付いたようだ。

 

(・・・・・・モグラ?)

 

異常なまでに発達した筋肉の塊のような上半身と、1アージュはありそうな鋭い爪。

一目で土竜型の大型魔獣だと分かる。しかも相当なサイズだ。

おそらく輸送車もあの爪に襲われたのだろう。

 

あんな魔獣が普段から街道に生息しているはずがない。

岩山や洞窟の奥底で暮らすヌシといったところだろうか。

もしかしたら鉄鉱山開発の影響で、山から追われてきた身なのかもしれない。

 

「じょ、冗談じゃねえ。あんなでけえとは聞いてないぞ!?」

「ここにいて。危険だから」

 

ザッツを導力車の中に残し、街道に降り立つ。

見れば、全身が分厚い体毛に覆われている。

あれでは刃が通るかどうかも怪しいところだ。

 

「な・・・・・・あれとやる気かよ!?無茶だ、あんなのは軍に任せておいた方がいいって!」

 

いつの間にか、ザッツも車から降りてしまっていた。

面倒な男だ。忠告しておいたのに、後ろにいられては巻き込んでしまう可能性がある。

 

―――知ったことか。幸いにも魔獣はまだ私達に気付いていない。

なら、先制してこちらから仕掛けるのみだ。

 

「一の舞、『飛燕』!」

 

遠距離から放った私の先制攻撃が、魔獣の背後から襲いかかる。

斬撃は間違いなく当たった。だがダメージは無い。

思っていたように、体毛に阻まれて毛ほどの傷も負ってはいないようだ。

 

「ググ・・・・・・グオオオォォ!!!」

 

魔獣が耳が痛むほどの雄叫びを上げながら、地面に潜り始める。

地中から襲うつもりなのだろう。輸送車も下方から襲撃されたのかもしれない。

 

気を落ち着かせて、地響きに気を向ける。

振動を感じ取れば、どこから襲ってくるかはある程度感知できる。

それにおそらく、刃が通る場所は1つしか無い。

 

(・・・・・・来るっ!)

 

目を見開いて、力の限り後方に飛びのく。

私がそれまで立っていた地面から、鋭い2つの爪と共に魔獣が姿を現した。

攻撃は躱した。狙うは体毛に覆われていない、紫色の頭部―――

 

「―――え?」

 

思わず目を疑った。爪は2本ではなく、4本。その巨体も2つ。

地面からは現れたのは、2体の大型魔獣だった。

しかも、地響きはまだ続いている。音と振動は、私の前方からこちらに向かっている。

 

「グオオオォォ!!!」

 

再び土砂が地中から舞い上がった。

目の前に映るのは、合計で3体の大型魔獣。

どの個体も呼吸が荒く興奮しており、敵対心に満ちた真っ赤な目を向けていた。

 

「アヤ!早く車に乗れ!!」

 

後方では、ザッツが導力車の扉を開けながら叫んでいた。

当然の反応だろう。あれ程の魔獣が3体ともなれば、威圧感だけで立っていられなくなる。

 

「・・・・・・先に逃げて。もし戻ってこなかったら、私のことは忘れて」

「ば、馬鹿野郎!!何言ってんだよ!?」

「はああっ!!」

 

力の制限を解き、全身に気を巡らせる。

どこまで通用するかは分からないが、戦い方によってはやりようもある。

 

いや―――多分、無理だろう。あの爪で一撃でも貰えば、即死だ。

それでもいい。ここが私の死に場所だったというだけのことだ。

彼が私のことを忘れてくれれば、私という存在は消える。

それ以上でも以下でもない。

 

死を望んでいるつもりはない。手も動くし、足も動く。

目の前の脅威に抗おうとする気力もある。

ただ、その先にある明日への執着心がまるで湧いてこない。

これは見返りの無い賭けだ。この戦いの後、もし生き延びていたら。

もう少しだけ生きてみよう。もう、どっちだっていい。

 

(お母さん・・・・・・もう少しだけ、頑張ってみるね)

 

長巻の柄を強く握りながら、語りかける。

耳を澄ませても、声は聞き取れない。間違っているなら―――何か言ってほしいのに。

 

_____________________________________

 

ゆっくりと目蓋を開ける。

ここはどこだろう。目の前に映るのは、純白の天井とシーリングファン。

昨晩泊まった安宿のそれとは違う。窓枠から差し込む日差しで目が痛くなる。

 

「・・・っ痛・・・・・・」

 

身体を起こそうとした途端、体中が音を立てて軋むような感覚に襲われる。

これは力を使い過ぎた時の症状に違いない。腕を上げるだけでも一苦労だ。

 

見れば、私は着の身着のままの状態でベッドに寝かされていたようだ。

周囲を見渡すと、随分と高級そうな家具や備品が目に付いた。

横になっていたベッドも、フカフカで特大サイズ。この状況は何なのだ。

 

「・・・・・・生きてるんだ」

 

意識がハッキリしていくにつれ、思考も通常稼働に戻っていく。

そうだ。私は、魔獣を確かに倒した。そこまでは思い出せた。

半ば捨て身の覚悟で繰り出した返し技で、魔獣の頭部を叩き斬ったのを覚えている。

目立った外傷も負っていないようだ。一撃が死に繋がる相手だったのだから当然か。

 

賭けには勝ったのだろうか、負けたのだろうか。

いずれにせよ、私は生きている。その証拠に、この空腹感はかなり堪える。

 

「アヤ!?」

 

唐突に、ノックも無しで部屋の扉が開かれた。

そこに立っていたのは、見覚えのある男性だった。

 

「い、いつの間に起きてたんだ?大丈夫なのか?体は?俺はてっきり―――」

 

ザッツが捲し立てるようにして訊いてくる。

ひどく慌てている様子で、やたらと顔を近づけてきた。

 

「水」

「へ?」

「水が飲みたい」

「あ、ああ。少し待ってろ」

 

空腹よりも、まずはこの喉の渇きを何とかしたかった。

声を出す度に痛みが走る。どうやら疲労も相当なもののようだ。

 

水差しとコップを持って再び部屋を訪れたザッツは、状況を一から説明してくれた。

私は3体の大型魔獣を相手に死闘を繰り広げた後、倒れ込むようにして意識を失ったそうだ。

そんな私を抱えてザッツが足を運んだのが、ホテル『ラグランジュ』。

彼が滞在するホテルで、ここは依頼の報酬で用意してあった部屋らしい。

 

「なぁ、本当に大丈夫なのか?いきなり倒れちまったし、丸1日眠りっ放しだったんだぜ」

「・・・・・・今日、何日?」

「もう29日の昼間だよ」

 

テーブルの上の時計に目をやると、長針は1時を指していた。

魔獣の討伐に向かったのとほぼ同時刻だ。

確かに私は丸1日近く意識を失っていたようだ。

無理もない。制限無しで力を行使すれば、そうなるのも当たり前だ。

 

「・・・・・・もう少し眠りたい。1人にして」

 

本来ならさっさと報酬のミラも受け取って、おさらばしたいところだ。

だがこの疲労感をまずはどうにかしたい。

もう一度横になったら、すぐにでも意識を失うだろう。

 

「その前に、1つ訊いていいか」

「何」

「どうしてあんな無茶な真似をしたんだ?」

 

何を言っているんだ、この男は。魔獣の討伐を依頼したのは自分だろう。

 

「言ったよな、逃げろって。一歩間違えば、お前さん死んでたぜ。理解できねえよ」

「・・・・・・別に理解しなくていい。早く1人にして」

「そうかい」

 

彼の顔には、怒りの色が浮かんでいた。

言葉にしたところで、理解できるはずもないだろう。

逆に教えてほしい。私はどうすればいい。

私はこの先―――何のために生きていけばいい。

心の中でそう問いかけながら、私は再び睡魔に身を委ねた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。