絢の軌跡   作:ゆーゆ

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巨イナル影ノ領域①

10月23日、午後19時20分。

過去の記憶の中に眠っていた音色と、今し方耳にした鐘の音。

その2つが重なり、音の発生源に思い至った私達は、考えるより先に駆け出した。

辿り着いた先には数人の教官、そして先輩らの姿があった。

 

「ふむ・・・・・・」

 

数枚の書類を重ねた束を、ヴァンダイク学院長が熟読しながら捲っていく。

その書類は、先々月にレグラムへ足を運んだ私達が纏めた、特別実習の報告書。その後半部分。

学院長は書類の束に落としていた視線を上げ、眼前にそびえる『旧校舎』を睨みながら言った。

 

「確かに、報告書にある『結界』とやらと類似点が多々見られるのう」

「はい。あたしも彼らの話でしか聞いていませんが・・・・・・同類の障壁かもしれません」

 

士官学院の敷地内に踏み入れるより前に、遠目から青白色の『光』を捉えていた。

音色だけではなかった。近付くに釣れて、それは確信へと変わった。

鐘の音の発生源は、もう幾度となく探索を重ねては、姿を変えてきた旧校舎。

その旧校舎が今、まだ記憶に新しい青白色の光を纏いながら、『結界』に囲まれていた。

 

「んー。やっぱり、ガーちゃんでも無理だったアレかなぁ?」

「ああ、似たようなものかもしれないな。あの時と同じ風を感じる」

 

学院長が言ったように、光も音色も、先々月と全て同じだ。

実際に目の当たりにしたのは、私を含めた当時のA班メンバー。

8月29日に足を踏み入れたローエングリン城と同様の現象が、目の前で発生していた。

 

既に物理的な干渉は試されているようで、いくつかの機材が周囲に置かれていた。

ジョルジュ先輩曰く、『目の前にあるのに、何も感知できない』。

光も音も、温度さえもが全て平常値。人の目には見えるにも関わらず、観測が意味を為さない。

 

私達も同様の立場にあった。この現象を目の当たりにしたのは、これで2回目。

ローエングリン城と違い、建物そのものが結界に囲まれてしまっている。これでは手が出せない。

外部からの力を受け付けないのは、既にジョルジュ先輩が実践した通りだった。

 

「トマス君。おぬしはこの現象をどう考える?」

 

学院長が旧校舎へ向けた視線をそのままに、トマス教官の見解を求める。

 

「そうですねぇ。士官学院が設立されるより前から、この建物自体は存在していたという話ですし・・・・・・リィン君達の話も含めると、ローエングリン城と通じる『何か』があるのかもしれませんねぇ?」

「ふむ」

 

学院長は右手で白髪交じりの髭を撫でながら、考え込むような素振りを見せる。

すると意を決したように目を見開き、後ろ手に腕を組みながら再び口を開いた。

その口ぶりや言葉には無駄1つなく、彼が元軍人である事実を思い起こさせた。

 

「サラ君、それにトワ君。急ぎ伝え動いてほしい」

 

全教職員を緊急招集、30分後に臨時会議を開く。

住民からの問い合わせには現在調査中の旨を伝え、無用な混乱を回避。

全クラスの委員長と副委員長、クラブ部長と可能な限り連絡を取り合いながら―――

 

「―――明日の学院祭は、中止の方向で進めておきなさい。最悪の事態を想定して、動く必要があるじゃろう」

「はい」

「・・・・・・は、はい」

 

学院祭が、中止。

学院長の指示に、サラ教官とトワ会長が力無く応えた。

 

(ち、中止って・・・・・・)

 

余りにも唐突に下りた指示に、頭が働かなかった。

2日目の学院祭が中止。その意味を理解すべく、停止しかけた思考に鞭を打ち、考える。

 

朝方に来訪予定のトーマ達は、遠路遥々足を運んだ意味がない。

皆の家族もそうだ。期待に胸を膨らませていた多くの人間は、学院祭に来ることが叶わない。

私達も同だ。《Ⅶ組》のステージ演奏は勿論、他のクラスの出し物も全て無くなる。

グラウンドのレース会場も用を為さない。美術部の展示場を見学する予定は消える。

 

全部が水の泡だ。積み重ねてきた想いは切なく儚い記憶となり、思い出にはなり得ない。

だとするなら。本当に全部が消えるというなら。

私達は、この1ヶ月間―――何を、していたのだろう。

 

途方に暮れる私達の中で、初めに異を唱えたのリィンだった。

 

「ま、待って下さい。学院祭を中止って・・・・・・どういうことですか!?」

「どうもこうもないわよ」

 

そして学院長に代わり、事の重大性を突き付けたのは、サラ教官だった。

 

「こんな状況で来場者を迎えられるはずがないし、どんな被害が出るかも分からない。最悪の場合、住民への避難指示を出す必要があるかもしれないわ。学院長が仰ったのは、そういうことよ」

 

先程とは打って変わって、サラ教官の言葉が容易に頭に入ってくる。

眼前の異常の正体が掴めない以上、最悪の事態を想定するしかない。

ローエングリン城は、報告書に記すのも躊躇われた程に、理解し難い現象で溢れていた。

あの城と繋がりがあるとするなら、万全を期して構えるべきなのかもしれない。

 

頭では理解できる。が、やはり感情は首を縦には振ってくれない。

可能性が一握りでも残されているなら、それに賭けてみたい。だがそれすらも、私達には無い。

 

もう、どうしようもないのだろうか。絶望に苛まれ、視線が落ちかけた時。

一筋の、光が見えた。

 

「おや・・・・・・リィン君。腰の所、どうしたんですか?」

「え?」

 

トマス教官の声に、皆の視線がリィンの腰元へと向いた。

普段から彼が身に着けている、ARCUSを収納するホルダー。

それが今、『青白色』の光を放っていた。

 

「ど、どうしたのかしら。ARCUSが、光ってる?」

「いや。光が、ARCUSに宿っているようにもっ―――!?」

 

ARCUSを手に取り、その光を見詰めていたリィンの声が、途切れる。

するとリィンは無言のまま、学院長と教官の間を通り過ぎ、結界の前に立った。

 

(り、リィン?)

 

リィンはARCUSを持つ手とは反対側、左手の掌を、結界に向けた。

まるで意図の読めないその行動の直後、突如として結界が揺らぎ、光が増した。

水面に滴が落下したかのように、揺ら揺らと波紋が広がっていく。

 

「あ、アヤ。今のは、ローエングリン城の時の」

「うん・・・・・・結界が消える時の揺らぎと、ソックリだったね」

 

よく覚えている。宝珠の力を使い、結界を消滅させながら進んだ長い道のり。

消える間際の独特の揺らぎが、今し方目にした現象とソックリだった。

リィンのARCUSが、宝珠と同様の力を宿しているとでもいうのだろうか。

 

「り、リィン?一体何がどうなってるのさ?」

「分からない・・・・・・でも、これだけは確かみたいだ。俺なら、この結界を通ることができる」

 

エリオットの疑問に、リィンが確信めいた口調で答える。

やがてリィンは振り返りながら、言った。その表情には、覚悟を決めた人間の色が浮かんでいた。

 

「学院長、それにサラ教官。見ての通りです」

「待つがよい!」

 

リィンの声を遮ったのは、ラウラだった。

その先を聞かなくとも、想像するに容易かった。だからこそ、ラウラは声を荒げたのだろう。

彼女が言わなければ、私が先に怒鳴っていたかもしれない。

 

「言わずとも分かっている。そのような真似を、我々が許すとでも思っているのか!?」

「ラウラ。それでも俺は、可能性が残さ・・・れ・・・・・・っ?」

 

言葉を切ったリィンの、そして私達の視線が、ラウラの上半身へと向いた。

残された可能性。それが何故リィンのARCUSに宿ったのかは分からない。

理解に至るより前に、ラウラの上着内から、同色の光が漏れ始めていた。

 

「これは・・・・・・あ、アヤ。君のホルダーも光り始めているぞ」

「が、ガイウスこそ」

 

不意に感じられた、戦術リンクが繋がった直後の感覚。

リィンからラウラと私へ。ラウラからエリオットへ、私からガイウスへ。

次々とリンクが繋がり、《Ⅶ組》メンバー全員のARCUSに、光が渡されていく。

見る見るうちに光点は増え、合計で12の光が、私達を照らしていた。

 

「じ、ジョルジュ君。何が起きてるの?」

「分からない。でも彼らの光は、あの結界と共鳴しているみたいだ」

 

ラウラがリィンに習い、恐る恐る右手を結界に近づける。

リィンの時と同様だった。光は一際強くラウラを照らし、結界に波紋が広がっていく。

 

起点となったのは、間違いなくリィンだ。

彼が言ったように、ARCUSそのものが光を放っているようには感じられない。

ARCUSは戦術オーブメント。他機種と違いがあるとするなら、リンク機能に他ならない。

結界と共鳴する何かが、リィンのARCUSへと流れ込んだ。

それが戦術リンクを介して、私達にも。私には、そうとしか考えられなかった。

 

「リィン。分かっているな」

「ああ・・・・・・皆にも、すまない。こんな時に、大事なことを忘れていた」

 

ラウラの念押しに、リィンが観念したかのように答える。

その表情には、先程とは違う決意の色を浮かべていた。

 

「訂正します。俺達《Ⅶ組》なら、旧校舎の中に入ることができるようです。この現象の正体を明らかにするためにも、俺達に探索の許可を下さい」

「できる悪あがきなど、知れてはいるだろうが・・・・・・」

「それでも可能性がゼロでない限り、最後まで諦めたくはありません」

「元より、この建物の調査は我らの役目でもありましたゆえ」

「今回の異常事態についても、私達が調べるのが筋でしょう」

 

ユーシスにマキアス。ラウラにアリサ。

リィンに続き、皆が決意の言葉を学院長とサラ教官へ並べ立てる。

 

「サラ教官」

 

私にも、もう迷いはなかった。この際、分からないことは放置でいい。

可能性は1つじゃない。唐突に舞い降りた12の光と可能性に、賭けてみたい。

この1ヶ月間の思い出が無に帰するなんて、考えたくもない。

 

それに―――私には、もう1つの覚悟がある。

だからこそ、逃げるわけにはいかない。

 

「教官も言いましたよね。この異常事態は、士官学院内に留まりません」

「そうね。分かっているなら、早くこの場を去りなさい」

「退けません。この街で暮らす人々のためにも、私は退くわけにはいかない」

「これは学院長の指示なのよ」

「聞けませんっ・・・・・・これだって教官が教えてくれた、私の道です!」

 

怒鳴り声に近い私の決意に、トワ会長がビクリと身体を震わせた。

私に続く人間はいなかった。周囲が夜の静寂に包まれる。

 

サラ教官は腕を組み、瞼を閉じながら微動だにしない。

その姿からは、胸の内は窺い知れない。怒っているのか、呆れているのか。

どちらでもいいし、両方でもいい。私達の覚悟は、全て預けた。

 

やがてサラ教官は、隣に立つ学院長へ身体を向け、再び口を開いた。

 

「学院長。この半年間で、あたしも学んだことがあります」

「ほう。それは何かね?」

「信じることです。情けない限りですが、今も怖さの余り、身体が震えています。ですがそれは、教え子を信じ切れないあたしの弱さです」

 

―――怖くて堪らなかったわよ。でもそれは、あなた達を信じ切れないあたしの弱さだわ。

 

あれは確か、帝都地下から生還した時のことだ。

似たような台詞を医療棟で、私はサラ教官の口から聞いたことがある。

でも何故だろう。同じようでいて、何かが違う。その何かに思い至る前に、サラ教官は続けた。

 

「彼らは覚悟を示しました。だからあたしも覚悟を以って、それに応えます・・・・・・ほんの僅かな時間で構いません。どうか彼らに、旧校舎の探索を許しては頂けませんか」

「この異常事態の渦中に、己の教え子を放り込むと?」

「それがあたしが示せる、担任としての覚悟です」

 

その瞬間、この場に存在していたもう1つのARCUSが、私達のそれと同じ色の輝きを放ち始めた。

12の可能性が13になり、育んできた絆がまた1本、私達と繋がった。

 

「こ、これって・・・・・・どうして、あたしまで」

「フフ、お互いを認め、高め合う・・・・・・よきクラスじゃ。サラ君、おぬしを含めてな」

 

驚き戸惑うサラ教官を余所に、学院長は1つ咳払いをした後、声高らかに宣言した。

 

「現在午後19時40分。午後24時までの探索を許可しよう。それ以上は、明日に障りがあろうからな」

 

___________________________________

 

旧校舎地下、第7層。

導かれるままに私達が足を踏み入れた領域は、黒い瘴気に囲まれた、宙に浮かぶ魔宮。

 

私にしか知り得ない表現を使うなら、空の軌跡の劇中に登場した『輝く環』。

印象はまるで異なるかもしれないが、そう的外れな造りではないはずだ。

もう1つ例を挙げるなら、寧ろローエングリン城に近いかもしれない。

そこやかしこに張られた結界と、それを解除するための不可思議な装置の数々。

第6層までの旧校舎地下とも通じるところがあった。

 

それらと決定的に異なるのは、この不気味な感覚。

まるで夢の中を彷徨っているかのように、いくつかの感覚が不調を訴えていた。

 

初めに時間の感覚が狂い始め、次第に空腹感や疲労感までもが同様の事態に陥った。

疲れているのに、身体が動く。時間が経つに釣れ、空腹感が薄れる。その逆も然り。

時間が行ったり来たりを繰り返している。そんな表現しか、私には思い浮かばなかった。

そんな中で重宝したのが、ARCUSの時計機能。

当てにならない体内時計とは裏腹に、ARCUSだけは正確に時を刻み続けてくれた。

 

それに、エマ。

この領域に入る前から、彼女は何かを知っているような態度を見せ続けていた。

何かがあるのは知っていた。レグラムで壊れた私の身体を留めてくれたのは、エマだ。

エマは一体何者なのか。今は大した問題とは思えない。

いずれにせよ、彼女が同行してくれているというだけで、安心感があった。

 

「委員長、今何時だ?」

「22時46分・・・・・・探索を開始して、もう3時間近くになります」

 

道中の結界は当然として、そこら中を徘徊する魔獣にも、ひどく手を焼いていた。

大型魔獣の討伐依頼が、分単位で転がり込んでくるのと同様の状況にあった。

こればっかりは、疲労感が狂ってくれて助かったのかもしれない。

もしここが地上だったらと考えると、全員力尽きていてもおかしくはないはずだ。

 

「もう23時近いのか・・・・・・不味いな」

 

リィンの言葉に、皆が表情で賛同の意を示し始める。

 

もう1時間以上前から、私には帰りの道順が把握できていない。

結界を解除する手間を抜きにしても、入口まで戻るのに相当な時間が掛かるはずだ。

私達に残された時間は、あと1時間。もう帰路に着かなければならない時間帯に入っていた。

 

「だがここまで来たら、引き返すわけにもいかないだろうよ。おいリィン、どうすんだ?」

「ああ、そうだな。もしかしたら他の階層のように、奥部に転送装置があるかもしれない。その可能性に賭けてみよう」

 

リィンとクロウが、後方を歩くサラ教官へと視線を送る。

教官は探索開始時と同様、「好きにしなさい」と一言だけ。

戦闘においても探索の方向性についても、サラ教官は一歩退いた立ち振る舞いを続けていた。

敢えてそうしているだろうことは、容易に想像が付いた。

 

「むー。何だか同じような道ばっかで飽きてきたよ」

「ぐっ、こんな時に緊張感の欠片もない台詞を吐くんじゃ―――」

 

ユーシスの声を遮ったのは、エマの足元を歩くセリーヌだった。

エマを追うようについて来てしまったセリーヌは、時折不思議な挙動を見せることがあった。

今はいきり立ったように、獰猛な声を発していた。

合わせるように、眼前に立ちはだかった扉に対して、フィーが首を傾げる。

 

「この扉・・・・・・ねえエマ。これ、他の扉と雰囲気が違う」

「ええ、何かの気配を感じます。もしかしたら、この先が終点かもしれません」

 

終点。その言葉に皆が期待の色を浮かべ始めた―――その時。

 

「皆、後ろだ!」

 

ガイウスの声と同時に、後方から複数の邪悪な気配が突如として膨れ上がり、皆が身構え始める。

紫色の光の中から現れたのは、巨大な3体のゴーレムだった。

 

「こ、ここに来てこいつら?」

「厳しいが、やるしかないだろう。アヤ、リンクを―――」

「いいえ。この場はあたしが引き受けるわ」

 

背後を取られたそのままの陣形から、サラ教官が一歩前に歩み出る。

私達が総出で相手取って、やっと3体。そんな巨大なゴーレムを相手に、たった1人。

認めるわけにはいかなかった。いくら教官でも、手に余るどころの話ではない。

 

「さ、サラ教官!無茶ですよ!」

「さっきから暴れたくてウズウズしていたの。君達に合わせていたせいで、有り余っているのよ」

 

振り返ることなく、サラ教官はそのまま背中から語りかけてくる。

 

「時間が無いんでしょう。その先に何かがあるなら、早く行きなさい。あたしがお膳立てしてあげるわ」

 

どうする。強さなら誰よりも信頼し、尊敬している。だからこそ、躊躇われる。

即断に踏み切れなかった面々の中でいち早く、同時に動いたのはリィンとクロウだった。

背中を押されるがままに、私達は扉に向かって飛び込み、別の空間へと転送された。

 

無事に帰って来なさい。サラ教官の声が、聞こえた気がした。

無事でいて下さい。同じことを、私も願い続けていた。

 

_______________________________

 

これでいい。

彼らは今、階段を上ろうとしている。あたしの使命は見守り、見届けることにある。

手を差し伸べる必要はない。過度な助力は、マイナスにしかならない。

転げ落ちそうになった時にだけ、そっと支えてあげればそれでいい。

 

自分には向いていないと思っていた。学生を教え導くだなんて、柄じゃない。

教官としての1年間を全うした後も、自信なんて無かった。

普段から仮面を被っている反動のせいか、1人になった途端、心が冷え込んでいく。

 

でも今は、腰の周辺が温かい。

正直に言えば、ARCUSが光を放ち始めた時、嬉しくて堪らなかった。

不器用なりに向き合ってきた。彼らは光で、あたしに応えてくれた。

案外、向いているのかもしれない。少なくとも、もう前職に未練はない。

僅かに残っていたそれも、立派な後継者が全て払拭してくれた。

 

ズシンッ。

 

立ち揺らいでいた巨体の群れが、ゆっくりと歩を進めてくる。

無事では済まないだろう。血は流れるし、骨の1本や2本で済むなら上出来かもしれない。

嬉しいと、素直に思える。自己犠牲の美学に理解など無いが、喜んでこの身を盾にしよう。

戦うことしか能が無い自分に、できることがある。それで十分だ。

 

「授業中よ。不審者を教室に入れるわけにはいかないわ」

 

元A級遊撃士、紫電のバレスタインではなく。

トールズ士官学院《Ⅶ組》の、サラ・バレスタインとして。

ここを通すわけにはいかない。あたしはあの子達の、担任なのだから。


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