第1話:目指せ!トレセン学園!
ここはトレセン学園。全国から集まる夢を追い求める優秀なウマ娘と、優秀なトレーナー達が所属する中央に存在する最高峰のウマ娘育成機関。
多くのトレーナー達がトレセン学園の門を叩くが、その受験難易度と採用倍率から挫折してしまうトレーナーが多い。そして、今年もそんなトレセン学園に受験の時期がやってきた。
「ついにこの日が来たな……」
そして、今年もトレセン学園のトレーナーとして学園の門を叩く多くの人の中にトレーナーを目指す男が1人いた。彼の名前は柴葉和也、ウマ娘に夢を見てトレーナーになろうと試験を受けに来ていた。
幼少期からトレーナーになることを夢見て勉学に務めてはいたが、ここに来る受験生はそういった人は珍しくない。ほとんどの人間が勉学に努めてトレーナーになるために血のにじむような努力をして来ている。今年はトレーナーの名門の人間も受験を受けるという噂を耳にするので、例年より厳しい受験になるのではないかと予想されていた。
(大丈夫かな……やばい、緊張してきた。いやいや、始まる前から怖気付いてどうすんだ)
自信なさげに前も見ずに歩いていたら、足元にある小さな歪みに足を取られてしまった。考え事をしていたせいで受け身を取れるはずもなく、そのまま正面から地面にダイブすることになった。
「うわっ!」
盛大にずっコケた。周りにいる受験生の視線を一斉に受けることになり、大勢の前で間抜けな姿を晒すことになった。恥ずかしくて仕方ない……
(試験前にコケるなんて縁起悪いな……)
「大丈夫ですか!?怪我とかしてないですか?」
そんな中で1人の女性が、心配そうの話かけて来てくれた。整った黒髪に少々童顔の誠実そうな人だった。この人も受験生のうちの1人だろうか。その女性は転んだ俺に手を差し伸べてくれた。
「ちょっとコケただけなので大丈夫です。わざわざ心配してくれてありがとうございます」
受験直前のこのピリピリした空気の中、心配して話かけてくれるなんて結構なお人好しなのかもしれない。本人も試験の事でいっぱいいっぱいだろうに。
『試験受付10分前になりました。受験生の皆さんは受付までお越しください』
そんなことを考えて立ち上がると、受付のアナウンスが鳴り響いた。せっかく今日まで勉強してきたのに試験に遅れて不合格なんてたまったもんじゃない!
「もうこんな時間!そろそろ受付に向かわないと。それじゃあ、私は行きますね!」
そう言うと、その女性は小走りで去って行ってしまった。名前くらい名乗れば良かった……。もしも俺がトレーナーになれてあの人も試験に受かっていたらその時に名乗ろう。
受付を済ませて1次試験会場に向かう。トレセン学園の試験は午前中に1次試験の筆記を行い、午後の2次試験までに採点を済ませ1次試験を突破した人が発表され順番に面接を行う。
昔からトレセン学園に入るために勉強はしてきたのだが、さすがはトレセン学園の試験ということもあってかなり難しかった。
1次試験が終わり、結果を待つために待機所に向かっていたのだが、トレセン学園は生徒とトレーナーや学園関係者の人数が多く、広い土地面積があったため道に迷ってしまった。
「見かけない顔だな。受験生か?こんなところでどうしたんだ」
地図を確認して待機所を探していたら、知らない男性に話しかけられた。多分年齢は俺よりも十歳くらい上だろうか?学園内にいるということはトレーナーか学園関係者なのだろうけど。
「別に怪しいもんじゃねえよ、ここのトレーナーだ。ほら、トレーナーバッジだって持ってるしこれで信用できんだろ。名前は沖野だ」
迷子になってトレーナーになる前から学園のトレーナーに出会うことになるとは思ってなかった……
「すいません、待機所に向かおうとしてたら道に迷ってしまって」
「ああ、地理が分からないじゃこんだけ広けりゃ迷っちまうこともあるか。待機所ならあの角を曲がって真っ直ぐ行ったところだ」
嫌な顔ひとつせずに目的地の場所を教えてくれた。お礼を言って立ち去ろうと思ったが、相手が名前を名乗ったのだから自分も名乗っておこう。
「ありがとうございます。僕は柴葉といいます」
「おう、また機会があったら会おうな柴葉。無事に試験を乗り越えられることを祈ってるよ」
そう言うと沖野トレーナーは去っていったが、直後ウマ娘に連れられてどこかに行ってしまった。トレーナーって大変なんだなぁ……
待機場に到着して食事を取ったり休憩をしていると、1次試験の結果が貼り出される。恐る恐る俺も貼り出された結果を覗き込んだ。
どうやら1次試験は無事に突破出来たようだ。結果を見て安堵していると、周りでは喜ぶやつや泣いてるやつ色んな人がいた。受かってる人もいれば落ちてる人もいるんだよな。
『2次試験の受験生の皆さんは、番号が呼ばれたら面接会場に入室をお願いします』
1人また1人と面接室に呼び出されていき、ついに自分の番がやってきて緊張しながら2次試験会場に入室した。
入室すると3人の人物が座って待っていた。真ん中には子供と間違えそうな少女がいた、この学園の理事長だ。ネットやパンフレットなどで見たことはあったが、実際に見ると本当に少女にしか見えない。左には秘書らしき女性が座っていて、右にはあの皇帝シンボリルドルフが座っていた。
「よく来た!座りたまえ!」
理事長に言われたように席に着く。大きな声とその勢いに一瞬だけ呆気に取られてしまったが、俺はすぐに席に着席した。
「それでは面接を始めます。私は面接補佐で理事長秘書をしているたづなです。私たちが質問をするので、その質問に答えてください」
秘書のたづなさんがそう言うと面接が開始される。一番最初に質問をしてきたのは理事長だった。
「質問!まずはトレーナーを目指した理由から聞かせてもらいたい。知っての通りトレーナーになることは非常に難しい。事実トレーナーの採用倍率はとても高く、何年も試験を通過できないこともあり得る。それでもトレーナーを目指す理由を教えてくれ」
トレーナーになるのは難しい。しかも、トレーナーという仕事は意外にも忙しい。ウマ娘を見るだけじゃなくスカウトしてトレーニングを考え、レースの出走計画を立てるとかやることは大量にある。それでもトレーナーになりたいと思う理由は学園側としても気になるところだろう。
「わたしは昔、とあるレースでウマ娘達に夢を見ました。この輝かしい舞台で自分が育てた娘を走らせたい勝たせたい、そういう自分勝手な夢です。しかし、それと同時に勝負に情熱を燃やすウマ娘の夢を叶えたいと思ったんです」
「夢か……おっとすまない。私はトレセン学園の生徒会長を務めているシンボリルドルフだ。世間では皇帝なんて言われているがね」
シンボリルドルフが何か呟いていた。気に入らないことでも言ってしまったのだろうか……彼女から感じる貫禄は学生の少女から放たれるそれではなかった。
「君は夢を叶えてあげたいと思っているようだが、もしもその夢が無謀だと思えるようなものだったとしても、君は同じことがいえるのかな?」
無謀と思えるような夢。それは全距離のG1で1着を取りたいとか、そういったことだろうか。確かに無謀だと思える夢を持つウマ娘もいるかもしれない。
「一緒に叶えてやりたいです。例えそれが無謀でも自分がそのウマ娘と叶えたいと思えるような夢で、その娘自身が諦めない限り」
無謀な夢を持っているかもしれない。しかし、ここに集まるのはその夢を叶える才能と実力と覚悟を持ったウマ娘ばかりだ。目の前のシンボリルドルフもその1人で、絶対と呼ばれる彼女の走りは7冠という大きな結果を残した。
トレセン学園にはシンボリルドルフ以外にも必ず規格外の夢を叶えるウマ娘がいるはずだ。それだけこのトレセン学園に集まるウマ娘たちは才能と覚悟に溢れていて、誰しもが夢を持っているのだから。
「ふっそうか、君が並の覚悟で試験を受けに来たわけじゃないことはよくわかった」
彼女は少し嬉しそうな表情をした。どうやら地雷を踏んだわけではなかったらしい。大きな実績を残した彼女だからこそ、夢を叶えることの辛さと難しさは俺なんかよりも理解しているはずだもんな。
「肯定!トレーナーの中には担当のウマ娘を勝たせられず、途中で挫折しそのまま辞めてしまう者もいる。しかし、君はウマ娘さえ諦めなければ最後まで支えるというのだな?」
「はい」
即答だ。たとえ勝てなくても、ウマ娘が自分を必要として諦めないと言うなら契約が許す限り支え続けるだろう。何よりも、勝たせてやれないのは自分の実力不足だから途中で投げ出すのは無責任だ。
「なるほど、わかった」
そう言うと理事長はこの質問を区切り、次の質問へ移った。そのあとは当たり障りのないような質問ばかりだった。
「以上で面接を終了します。結果は後日、自宅に郵送させていただきます」
面接は無事終了し、俺は面接室を後にした。もうできることはないので大人しく結果を待つしかない。そう思いながら俺は帰宅した。
「今の方……柴葉さんですか、誠実そうな方でしたね」
柴葉が面接室を後にした後、たづながそう言った。彼女は多く質問はしていなかったが、柴葉の言うことをしっかりと聞き、表情もしっかりと見ていた。
「そうですねたづなさん。私を含めウマ娘達は夢を持ち、並々ならぬ覚悟でレースに挑んでいます。彼ならそれを叶えるため奮起してくれることでしょう」
七冠を取った彼女でさえ、今だに夢というものは持っている。全てのウマ娘が幸せに暮らせる世を作るという大きな夢を。そんな夢を持つ彼女だからこそ彼に好感を抱いたのだろう。
「肯定!彼は筆記試験でも優秀な成績を収めていた。彼の採用については前向きな検討をすることにしよう!」
そんな話を知らない柴葉は、結果が届くまで不安で押し潰されそうな思いで過ごすことになるのだが、結果はもちろん採用であった。
妄想を文章にまとめるってすごい難しいんですね…
多分内容や構成はゴチャゴチャになってると思います…
申し訳ないです!頑張って続き書きたいと思います。