トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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ちょっと短め。


第99話:新人!ミホノブルボン

 ブルボンちゃんが仮加入して、そのトレーニングを今は私が見てる。まぁ、1週間だけなんだけどね。本格的にチームと合流するのは夏合宿からだから、それまではチームとは別でトレーニングをしている。

 

「それにしても……めちゃくちゃなことしてるなぁ」

 

 私がブルボンちゃんのトレーニングを見て思ったことがそれだった。私たちのトレーニングが、如何にトレーナーさんによって考えられてるかが分かる。

 さっきからブルボンちゃんがやってるのは走り込み。走っては倒れて、休んでは走っての繰り返し。

 

「どうしてブルボンちゃんはそんなトレーニングをしてるの?」

 

「私にはスタミナが必要と推測。スタミナの補完のための走り込みです」

 

 たしか短距離はすっごく速いんだったよね。でも、中距離や長距離は走るスタミナがないっぽい。

 

「長い距離を走るなら、もう少しペースを落として走ったら?」

 

 ペースを落とすと言うとブルボンちゃんの頭の飾りが?マークになった。え?どういう仕組みなのそれ。

 

「今は自分のスピードを活かすためにスタミナを付けてる。つまり、そのスタミナの量じゃスピードを活かした走りができてないんだよ。だから、自分のスタミナを配慮した上で長い距離を走れるようになるのが優先じゃない?」

 

 最初の1000mを速いスピードで走れて、残り1000mをゆっくり走りきるくらいだったら、終始普通のスピードで走りきった方が速いし効率がいい。

 

「セイウンスカイさんの発言は理解しました。そのためのペースの提案をお願いします」

 

 ペースの提案?今は結構ハイペースで走ってるって認識であってる。となると少しペースダウンするだけじゃダメだよね。

 

「う〜ん……今のスピードから2段階くらい落としていいんじゃないかな」

 

「了解……」

 

 あまり納得した顔をしていなかったけど、その後の走り込みではペースにバラつきは出ていたけど今までよりも長い距離を走ってた。

 次の日もブルボンちゃんは走り続けてた。昨日の助言を聞き入れてペースも落ち着いてる。

 

「ブルボンちゃんブルボンちゃん、今日のペースこのタイムで走れる?」

 

 昨日のハイペースの時の走りと、ローペースの時の走りを元にタイムを設定した紙をブルボンちゃんに渡した。

 

「可能です。タイムを再設定して走り込みを開始します」

 

 その後のブルボンちゃんの走りは見違えるようだった。決して速くもないし、長い距離を走れるわけじゃない。それでも、中距離の走りをしている。ただ、少し昨日より疲れてる?

 その日は学園に忘れ物にして、門限の1時間前くらいにターフの近くを遠りかかった。すると、1人のウマ娘がまだ走っていた。

 

(へ〜こんな時間までトレーニングか。結構遅い時間から始めたのかな……って)

 

 そこにはフラフラのブルボンちゃんがいた。もしかして、今の今まで走ってたの?トレーニングは昼からやってる……もしかして、昨晩もこんなに走ってたの?

 私が話しかけようとした直後にブルボンちゃんがよろけた。私は咄嗟に走り出していた。

 

(間に合え!間に合え!)

 

 ウマ娘のスピードは速い。その分体は丈夫にできてるけど、何の受け身も取らずに倒れたら大怪我しかねない。私は何とか倒れる前にブルボンちゃんを支えることに成功した。

 

「何やってるの!?こんなに走ったらオーバーワークになるに決まってるじゃん!」

 

 私は抱えたブルボンちゃんを怒鳴った。それだけ危ないことをしてたんだから。だけど、ブルボンちゃんからは返事が聞こえない。限界だったのか過呼吸になって顔色も悪い。

 急いで保健室に連れて行った。倒れた理由は勿論疲労。軽い酸欠状態で足も炎症を起こしているらしい。幸いにも怪我はなく、明日になれば普通に走れるそうだ。

 その翌日は私のお説教からトレーニングは始まった。

 

「それで?なんでブルボンちゃんはあんな時間まで走ってたのかな〜?」

 

 ブルボンちゃんも反省はしているようで、耳をショボンとさせて正座していた。

 

「私はクラシック三冠を取らなければなりません。それに、現状の実力ではチームレグルスには相応しくないと認識しています。そのため、焦りを感じていました」

 

 私はその発言に驚いた。私は新人だった頃のトレーナーさんを知っているし、活躍前のチームも知ってる。だけど、チーム外の人から見た私たちのチームはそういう存在なんだ。

 

「は〜ブルボンちゃんは難しく考えすぎだよ。ブルボンちゃんは多分デビューはまだ先のことだと思う。つまりね、強くなる時間があるの。そして、トレーナーさんが見たいのはブルボンちゃんの実力じゃなくて、ブルボンちゃんが強くなれる娘かってことなの」

 

 どうやらブルボンちゃんにはピンと来ないらしく?マークを浮かべてる。なんて言ったらいいんだろうな……

 

「トレーナーさんは私たちを強くするためにいるの。だから、ブルボンちゃんは強くしてあげられるか見極めてるんだよ。チームリギルは完全実力主義で特殊だけど……」

 

 なんとなく理解はしたらしくてブルボンちゃんは納得した表情をしていた。ほぼポーカーフェイスであんまり違いは分からないけど……多分納得してるよね?

 

「それなら、私は一体何をすれば?」

 

「そうだね〜基盤作りかな。強くなる準備的な?」

 

 そうして、私は1枚に紙を渡した。夏合宿までのトレーニングメニューだ。

 

「ここに、走る距離とそのペースを書いておいたから。一日の総合量もね……もしもこれで怪我したら。わかってるよね?」

 

 メニューを受け取って、ブルボンちゃんは!マークを浮かべる。

 

「ま〜所詮私が考えたメニューだけどね。夏合宿までの基礎体力作りに役立ててね」

 

「いえ……よく出来たトレーニングメニューです。ありがとうございます」

 

 ブルボンちゃんごめんね。もう少しトレーニングを見てる予定だったんだけど、私もトレーニングに戻るよ。

 

「それじゃあ、あとは頑張ってね〜合宿の内容は知らないけど、それを1ヶ月頑張ればトレーナーさんも認めてくれると思うから」

 

 そう言って私はその場を後にした。ブルボンちゃんにはやるべきことを与えた。なら、次は私がやるべきことをしないと。

 

「トレーナーさん」

 

「おうスカイ。どうした急に」

 

 トレーナーさんにブルボンちゃんとの間にあったことを話した。オーバーワークで倒れたと聞いた時は苦虫を噛んだような顔をしていたが。

 

「それで?どうしてスカイはトレーニングに?」

 

 この時のトレーナーは私を試すかのように問いただしてきた。トレーナーさんが提示した1週間よりも早く私が来た。その真意を聞いてるんだ。

 

「ブルボンちゃんの話を聞いてね。私たちはもう憧れられる存在なんだよね〜だったらかっこ悪いところ見せられないし。スペちゃんにも負けっぱなしって言うのはね〜?」

 

 私はずっと追い掛ける側だと思ってた。スズカさんとかの背中を追い続けるんだって。でも、私はもう追い掛けられる側なんだよね。

 

「分かった。明日からまたビシバシ鍛えていくぞ!」

 

 トレーナーさんは嬉しそうにしていた。それを見て、私はトレーナーさんの期待に添えたんだって嬉しくなった。

 

「お手柔らかに〜」

 

 こうして、私は再びトレーニングに合流した。菊花賞までは約4ヶ月……ちょっと気合い入れ直しますかね〜




書き始めから予定していた、スズカ、スカイ、キング、ブルボン、ファルコの5人がついに揃いました(長かった)
マックイーンちゃんは元々参加する予定じゃなかったんですよね()
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