第108話:秋突入!各々の方針
合宿が終わって1ヶ月が経った。今ではもう9月が終わりを迎えようとしている。ここからは秋本番、G1レースも多く控えている。そのため、ミーティングを行うことにした。
「まずはスズカからだ。合宿前に宝塚は本当によく頑張ってくれた。次に狙うのは2度目の天皇賞秋だ」
俺の発言にチームが少しだけザワついた。スズカにとって今年は2度目の天皇賞秋。去年勝利しているということは連覇がかかったレースだ。
「そのためには10月の初旬にある毎日王冠に出走してもらうけど問題ないか?」
「はい問題ありません。宝塚記念、天皇賞秋ときたから……11月にはジャパンカップですか?」
どうやら説明するまでも無かったようだ。去年までのスズカならレースプランなんてあまり気にして無かったのに。
「その通りだ。だが、兎にも角にも天皇賞秋を無事に勝ち上がってになる。毎日王冠はすぐだし、天皇賞秋までそう時間はない。気張っていけよ!」
「はい!」
さてさて、次はクラシックメンバーの番だ。
「スカイとキングは菊花賞直前だ。スカイはここまでのレースよくかってきた。だが、キングは残念な結果に終わっている。お前自身が強くなってると同じで、周りも強くなってる。そのギャップを克服して自分のレースを取り戻せ!」
「えぇ……次は勝つわ!」
ライバルが夏を経て、急激に成長した影響でキングは上手くレースメイクできていない様子だった。しかし、2度のレースとも順位は悪くない。調子も悪くないし菊花賞は十分に狙える……例年の菊花賞ならそう断言出来たんだが。
「次にスカイだ。先日のレースは無事に勝利した。レースペースも申し分ない……慢心せずに万全の状態で菊花賞に臨んでくれ」
「はぁーい」
ソファーに座ったままスカイは軽く返事を返すが、正直言えばこのチームでスズカと同レベルで夏合宿が終わってから調子がいい。それに加えてしっかりと実力が伸びてるからこそ、キングは菊花賞厳しいレースになるだろう。
「次はデビュー予定の二人だ」
ファルコとマックイーンがぴょこっと耳を立てるのが見えた。ウマ娘にとってデビュー戦とはそれだけ重要な物なんだよな。
「ファルコは十月の終わりにダートのデビュー戦だ。そこでレースに慣れて芝レースに転向していく」
「はい!」
ファルコもやる気十分だ。とりあえずは最初はダートレース。芝に転向して皐月賞出走を目指してレースプランを立てていく予定だ。
「次にマックイーンだが……」
最初にマックイーンの顔を見てそのまま脚の方に目を移す。
「ソエの発症でデビューは来年になるが、今年度中のデビューは決定してる。脚を動かすトレーニングはしばらく出来ないが体調管理には気をつけてくれ」
そう言いながらお腹の辺りに目を移すと周りからジト目で見られた。
「お前ら待て。別にマックイーンを邪な考えで見てるわけじゃない。ただ、ソエの発症から重量がふえt」
「ちょっと!なんであなたが知ってますの!?」
驚いたようにマックイーンがこちらを向く。トレーナーとして、担当ウマ娘のコンディション確認は怠らないようにしている俺だが……
「いやいやマックイーンちゃん……多分気づかれてないと思ってたのマックイーンちゃんだけだよ?」
最後にスカイがマックイーンのお腹をつまむことで、マックイーンにトドメを刺す形で話は終わった。
「とりあえず、マックイーンはウェイト管理を気をつけつつ生活してくれ」
「はい……」
マックイーンは心に傷を負って、ソファーの上で体育座りで丸くなってしまった。許せマックイーン……
「最後にブルボンだが……デビューはまだ当分先になりそうだ」
「了解しました」
ブルボンはポーカーフェイスで表情があまり動かないが、少しだけ耳としっぽがションボリとしている。
「理由は単純にクラシックを目指すだけのスタミナがないこと。1番の理由としてはまだ身体が出来上がってないことだな」
「身体がですか?」
実力不足と身体の出来上がりが上手く繋がらないらしく、ブルボンは首を傾げていた。
「ウマ娘は身体が急成長する時期があるんだよ。それを見極めてデビューをさせるのが俺らの仕事だからな」
その理由に納得したのかブルボンもやる気を取り戻した。
「とりあえず、しばらくの間は言った通りの予定でトレーニングを進める。それじゃあ」
トレーニングを始めようと言おうとした瞬間に、ドン!という音を立てながらチームルームのドアが開かれた。
「おらおら!カチコミだぁ!チームレグルスのチームルームはここかあ!」
そこから勢いよくサングラスとマスクをつけたゴルシが入り込んできた。その後ろから似た格好をした沖野先輩も入ってくる。
「チームスピカはレグルスに宣戦布告する!」
先輩が高らかにそう宣言すると、その後ろからスペとトウカイテイオーが入ってきた。そして、スペがそのまま前に出て口を開いた。
「菊花賞が終わったら、私はジャパンカップに出走します」
ジャパンカップ出走……少し思うことがあって先輩の方を見ると、ニッと笑って親指を突き出した。
「そして、スズカさんに勝ちます!」
完全に合わせに来たよなぁ……去年スズカは天皇賞秋に出走したし、宝塚記念を取った時点でジャパンカップ出走はバレてるか。
「ほら、スズカも言い返してやれ」
俺はスズカの背中をポンっと押して前に出した。
「スペちゃん……楽しみにしてる。けど、レースは私が勝つわ」
スズカの瞳は真剣で、その表情は笑っていた。スペがついに憧れと言っていたスズカとライバルの土俵に上がってきた。それをスズカは待ち望んでいたんだろう。
「次はボクの番だね!」
スペが後ろに下がると、トウカイテイオーが前に出てきた。たしかマックイーンとライバル関係だとか。
「ボクはクラシック3冠を取って無敗でマックイーンを破りまーす!」
堂々としたブイサインをマックイーンに届けていた。彼女の噂は聞いてたけど、無敗の3冠ウマ娘か。
「私は逃げも隠れもしませんわ!正々堂々正面から勝負して差し上げます!」
トウカイテイオーとマックイーンもバチバチだな。これはスカイとキングのクラシックが終わっても先輩と張り合うことになるのか。
「お前たちのチームが強くなってるように俺らのチームも強くなってる。以上だ!チームスピカ退散!」
先輩の合図でスピカの面々が部屋から退室していく。まるで嵐のように去っていったな……先輩もノリノリだったけど、ゴルシ辺りの立案な気がする。
「スペちゃんに負けないよう私も頑張らないとですね」
「あぁ……俺も気合い入れてかないとな」
こうして俺たちは波乱の秋に突入した。これから先のレースで何が起こるか知ることもなく。
新生チームレグルスで1番好きなメンバーは?
-
サイレンススズカ
-
セイウンスカイ
-
キングヘイロー
-
メジロマックイーン
-
ミホノブルボン
-
スマートファルコン
-
ナリタタイシン
-
トレーナー