トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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ウマ娘でマイル育成をしていたら全然手が進みませんでした……


第109.5話:逃げ切り!秋のファン感謝祭! 後編

 やっほ〜!みんなのアイドルファルコだよ☆今日はファン感謝祭の為にブルボンちゃんと一緒にライブの特訓中なの!

 

「ファルコさんはライブに全力で取り組んでいますね」

 

 特訓の休憩中にブルボンちゃんがそう言った。私にとってライブを全力でやることは当たり前だった。いつか、ファンのみんなにキラキラを届けたくて。

 

「ウマドルはね可愛くてキラキラしてるの!だからライブはファンのみんなのために頑張るんだよ!」

 

 でも、ブルボンちゃんは違うのかな……ウマ娘はみんなライブに憧れてると思ってたから。

 

「私には分かりません……そもそもライブというものが必要なのかも。私は走ることに全力を尽くすつもりです」

 

 どうしよう……私も実際にレースに出たことがあるわけじゃないし。ライブの大切さを話せない。あっそうだ!

 

「ちょっと待っててね!助っ人を連れてくるから!」

 

 

「それで……私はなんで連れて来られたの?」

 

 私は寮にいたスズカちゃんを引っ張り出してきた。こういうのは経験者から聞くのが早いからね!

 

「実はかくかくしかじかで」

 

「まるまるウマウマってことね……」

 

 事情を説明すると、スズカちゃんは微笑んでいた。何か面白いこと言ったかな?

 

「ファルコ変なこと言っちゃいました?」

 

「ううん。私もそんな時期あったなーって」

 

 私はお口を開けて驚いちゃった。だって、スズカちゃんってチームの中でもライブにしっかりと向かい合ってるイメージがあったから。

 

「意外かしら?昔は本当に走ることしか考えてなかったのよ?」

 

「それは今も変わらな」

 

「ファルコちゃん?」

 

「ごめんなしゃい」

 

 ファルコの目に一瞬だけダークスズカちゃんが映った。そういえばスカイちゃんがスズカちゃんは怒らせちゃダメって言ってたっけ……

 

「私はレースを見る人に夢を届けたかった。そして、誰よりも早く先頭でゴールしたかったの。何より走ることが大好きだから。ブルボンちゃんはなんで走るの?」

 

 ブルボンちゃんは少し何かを思い返すように上をもあげていた。少ししてからもう一度口を開いた。

 

「元々クラシック三冠に夢を見ました。しかし、それを聞いて喜んだ父を見て、更に強くそうなりたいと思いました……だから私は走り続けます」

 

 それを聞いたスズカちゃんは少し嬉しそうに真面目にこう返した。

 

「私たちは想いを背負って走ると言われているわ。そして、それだけ速く走れる。だからこそ私たちはライブでその想いに応えるの。ブルボンちゃんにも想いを届けたい相手がいるはずよ?」

 

「私が届けたい相手……」

 

 私もスズカちゃんの言葉に衝撃を受けた。私は今までウマドルになりたい、キラキラしたいって思いでライブの練習を頑張ってた。だけど、誰に届けたいかかぁ……ファンのみんなに届けたいって思ってたけど、私にはファンがまだ……

 

「ここにいるウマ娘なら誰しも1人はいるはずよ?家族に友達。トレーナーさんだってそう」

 

「想いですか……もう一度踊って見ようと思います」

 

 話しを聞いたブルボンちゃんは再びステージに上がってライブを始めた。それでも、今までの硬さは中々抜けていない様子だった。

 

「やはり上手く行きません……」

 

「ううん、そんなことはないわよ。だって伝わってきたもの。ブルボンちゃんのありがとうって気持ち」

 

 何か大きく変わったようには見えないのに、なんでこんなにも変化を感じるんだろう。

 

「伝えようって想いが大事なの。例えライブが上手くなくても、届けたい想いを届ければいいの」

 

 そっか、ブルボンちゃんのダンスとかは完璧なのに何か足りなかったのはそれだったんだ。

 

「スズカさんありがとうございます。何か答えが見えてきた気がします……そのお詫びと言ってはなんですが、スズカさんのお悩みを解決させてください」

 

 

「どうだキング。衣装デザインの作製の方は」

 

「イメージはある程度固まって来たわ。ただもう少しだけ何か足りないのよね……」

 

 キングはチームルームで絶賛デザインの考案中。俺は雑務をしながら傍で様子見だ。

 

「それにしても、この2人は何しに来たのかしら……」

 

「はしゃぐだけはしゃいでソファで寝ちゃうんだから」

 

 俺たちの視線の先には仲良くお昼寝してるスカイとマックイーンがいた。ソファに座ってお互いの頭で支え合って眠っている。

 

「まぁ……仲が良いのはいいことだ」

 

 マックイーンはスカイのことを尊敬している。そのスカイもマックイーンのことをかなり気に入っている。大体いつもベッタリとくっ付いてるイメージだ。

 

「案だけ出して寝ちゃうんだから苦労するのよ。個人に作るならいいけど、グループでの衣装なんだから。各々の個性を出しつつそれを消さないようにするの大変なんだから」

 

 各々の個性か……それを聞いて少し考え込んでしまった。

 

「どうしたの?珍しく悩みこんで」

 

 俺のその様子を見て、キングが顔を覗かせてきた。

 

「俺が悩んでるのはおつものことだよ……いやな、前の時みんなに色々言ってしまったけど。それも彼女たち……逃げ切りシスターズのメンバーの特色なんじゃないかってな」

 

 たしかにダンスや歌の上手さは大事かもしれない。完成度が高いに越したことはないが……かと言って本人たちの個性を尊重しないのも違うと思う。

 

「そうね……私たちはダンサーでもなければ歌手でもないものね。ファルコさんのアイドル……ウマドルというのがどういうものなのかは分からないけどね」

 

 そんなことを考えていると、ドタドタと廊下の方から音が聞こえてきた。

 

「ほら!スズカちゃん!ここまで来たんだから諦めてぇ!」

 

 ドアを開けてファルコが誰かの裾を引っ張っている。そして、次にブルボンも一緒に誰かを引っ張ってる。

 

「スズカさん諦めてください。皆さんに認めてもらえればその羞恥心も紛れるはずです」

 

 ついに2人が中に入ってきて、引っ張られていた本人も入室した。

 

「スズカさん?」

 

「はい……」

 

 スズカはその場で丸くなってしまった。その格好はいつもより大きくかけ離れていた。いつもは白を基調に緑も入った清楚なワンピースとかなんだが……今はピンク色をしたフリフリとしたカワイイ系の服を着ている。

 

「えーと。状況を説明してくれるか?ファルコにブルボン」

 

「回答します。本日はライブのトレーニングを実施。その際にスズカさんに助言を頂きました。なので、私もスズカさんのために悩みを解決しようと協力しています」

 

 なるほど分からない。前半の部分は理解できるんだが……どうしてスズカがこういう格好になったかが理解できない。

 

「あのね、前にスズカちゃんが可愛すぎるのは恥ずかしいって言ってたでしょ?」

 

 俺が頭を傾げていると、ファルコが補足説明を始めてくれた。

 

「前にスズカちゃんが可愛いの恥ずかしいって言ってたでしょ?だから、もっと可愛い格好でみんなに見てもらえばなれるかなって☆」

 

 なるほど……荒治療みたいなものか。けど、当の本人は丸く蹲っている状態だが。

 

「マスター。スズカさんに対する評価を提示してください」

 

 評価ねぇ……スズカはどちらかと言うとクールビューティとか清楚な格好のイメージだが。可愛らしい格好もギャップがあってなんとも。

 

「そうだな。似合ってて可愛いと思うぞ」

 

 ボンッ!という音がスズカからなって耳まで真っ赤にしてる。可愛いを褒められるのも恥ずかしいのか……

 

「ふぁ〜なんですか?セイちゃん達がゆっくりお昼寝して……」

 

 昼寝をしていたスカイも騒がしさで目が覚めたらしい。辺りを見回しながら起き上がるが、スズカを見た瞬間に一瞬だけ固まって、すぐさまニヤリとしていた。

 

「ありゃ、ありゃりゃりゃ?スズカさんすっごい可愛くなってるじゃないですかー。こういうのも似合うんですね!」

 

 丸まったスズカの周りでスカイがスズカのことを褒め倒してる。ただ、その顔はイタズラを楽しんでいるようにしか見えない。

 

「全く……スカイさんったら」

 

 キングも呆れた顔で2人の様子を見ていた。すると、突然スズカが立ち上がって俺の方にドタドタと歩み寄ってきた。

 

「トレーナーさん。今からスカイちゃんと自主練をするので許可をください」

 

 未だに顔は真っ赤のままでスズカは自主練の申し出。

 

「ちょ、スズカさん今日はおやす」

 

「スカイちゃんとの自主練の許可をください」

 

 ただ、そこから感じる圧に俺は勝てなかった……

 

「おう……トレーニングに支障が出ないようにな」

 

「そんな!トレーナーさん!」

 

 スカイはそのままスズカに引きずられて行った。

 

「私が後ろを走るからスカイちゃんが前を走ってね?」

 

「いやあああァァァァ!」

 

 ドアの外から絶叫が響き渡った。すまないスカイ……だが自業自得だ。

 

「全く……スカイさんったら」

 

 いつの間にか目を覚ましたマックイーンは、不服そうな顔でスカイ達が出ていった扉を見つめていた。

 

「なんだ嫉妬かマックイーン?」

 

「そっそんなことないですわ!私が嫉妬だなんて……」

 

 最近はマックイーンとスカイは一緒にいることが多い。しかし、マックイーンがチームに入る前は、スカイがスズカをからかってよくしばかれてた。

 

「ふふ、なんだかこういうの楽しいね。ファルコは好きかも」

 

「ステータス楽しいを感知。私もこのチームのこういうところは嫌いではありません」

 

 そんなマックイーン達を見てファルコとブルボンは楽しそうだった。そして、少しだけブルボンの顔が緩んだ。

 

「ブルボンそれだよ!その緩さが少しだけ欲しいんだ」

 

 ブルボンの無機質なところはたしかに特色ではある。だが、無機質すぎてブルボンらしさというものを上手く感じられない。

 

「このメンバーで楽しさを感じるなら、ライブも楽しめばいい。それで、その楽しさを俺たち観客にも分けてやってくれ」

 

 急にこんなこと言われても困るか……そう思っていたが。

 

「ミッション楽しさを届けるを受注しました。今後はそのようにライブに努めます」

 

 困るどころか少し嬉しそうにブルボンが微笑んだ。ブルボンもちゃんと笑うのかという驚愕の方が大きかったが。

 

「急にこんなこと言われて困らないのか?」

 

「マスターに楽しさを届けろと言われた時、父と重ね合わせてしまいました。そして、私はあなたの願いを叶えたいと思いました」

 

 色々と理由がすっぽ抜けてる気はするが……本人がやる気を出してくれたようで何よりだ。

 

「ビビッと来たわ!やっぱり逃げ切りシスターズは自分たちの特色を活かすべきだわ!」

 

 今の光景でデザインのインスピレーションを得たのか、キングがヒートアップしてキャラ崩壊を起こしかけていた。

 

「たしかに……個性強いメンバーが集まってるからなぁ。上手くいくといいが」

 

 感謝祭への方針が決まった。その後は順調にライブの準備が進んでいった。そして、ついにライブ本番を迎える。

新生チームレグルスで1番好きなメンバーは?

  • サイレンススズカ
  • セイウンスカイ
  • キングヘイロー
  • メジロマックイーン
  • ミホノブルボン
  • スマートファルコン
  • ナリタタイシン
  • トレーナー
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