学園内にあるトレーニングレース場の早朝。普段なら人もそういない時間に少しずつレース場を囲むようにウマ娘たちが集まっていく。
「今日の三人は挑戦者だ。格上を相手するつもりで全力でぶつかって来い!」
「えぇ。ギャラリーが少ないのは気になるけれど、キングの走りを見せてあげる」
そういいながらキングは高らかに笑う。
「任せてください。メジロ家として……このチームメンバーとして恥じの無い走りを」
マックイーンも自信満々に宣言し、ゲートの方に振り返っていく。
「ふふ、あの人と走る日が来るなんて楽しみです」
スズカはいつも通り楽しそうに笑いながらスタートに備える。
チームシリウス、リギル、スピカ、レグルスの四チームによる13人の2400mの芝レース……ドリームトロフィーカップのような錚々たるメンバーによるただの非公式レース。
「みんながあなたと走ることを楽しみにしていますよ。たづなさん――いやトキノミノルさんと呼んだ方が今はいいですかね?」
「私も楽しみにしていましたよ。私の夢が叶うかもしれない今日を」
小さい時に出会ったウマ娘……「私よりも速いウマ娘を育ててくださいね」という彼女の夢。
「引退をして学園長に拾っていただいて、長い時間をウマ娘がトレーニングしやすい環境の整備に尽力してきたつもりです。私と競い合うことの出来るウマ娘が現れるこの日のために」
ミノルさんの背中はブランクのあるウマ娘とは到底思えなかった。現役……いや、スズカたちと同格とも思わせる雰囲気を漂わせていた。
「トレーナーさん的には誰が一着だと思いますか?」
「正直なところ分からない……トキノミノルのレースデータなんて役にも立たないだろうし、ほかのメンバーも強敵揃いだからな。セイウンスカイサブトレーナーの意見も聞いてみたいところだが?」
にゃははと笑いながらスカイはゲートのほうに目を向けた。
天皇賞のラストランが終わった後にスカイは大きな怪我を発症し、ドリームトロフィーカップへの参加は不可能なものになった……
一時はどうなるかと思ったが、ウマ娘としてはかなり珍しくトレーナーとしての道を歩むことにした。そして、今ではサブトレーナーとして俺のチームのことを支えてくれている。
「セイちゃんにだって誰が勝つかなんて分からないですよ。だって、みんながみんなレースで独走してもおかしくないような娘たちが集まってるんですから」
俺たちはお互いに顔を合わせて、「ただ」と口を開く。
「「負けるために走る人が勝てるようなウマ娘はここにはいない」」
積み重なってきた勝負の歴史。最強の持った夢はこの日に叶って、新しい夢がきっとここで生まれて新たな世代に紡がれていくんだろう。
ドリームトロフィーカップに向けてリハビリを続けるブルボンや各地のレース場でライブを披露するファルコ、みんなが次に向かって努力を続けてる。
俺のチームのナリタタイシンを含むBNW世代。まだまだ成長途中のキタサンブラックやサトノダイヤモンド。
そういう次の世代に……いや、もっと先のウマ娘たちにだって新しい夢を届けていく。
そして、そのウマ娘の夢を叶えていくのが俺たちトレーナーの仕事なんだ。
トレーナーはウマ娘に夢を見る――ウマ娘もウマ娘に夢を見て紡がれていくんだ。
新しい夢に向かってゲートは開く。ウマ娘たちは勝利に向かって駆け抜けていく。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
書ききれていない物語がまだ多くありましたが、強引ながらも最後まで書ききることができました。
ここまでこれたのも読んでくださったみなさんのおかげです。
休載にするべきか、時間をかけてでも完結するべきか悩みましたが、新しい作品に集中するうえで、この最初の物語は完結させたいと思い、駆け足で描くことになってしまいました。
ですが、それでもここまで読んでいただけたこと、完結することができたことは本当にうれしく思います。
本当にありがとうございました。
新生チームレグルスで1番好きなメンバーは?
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サイレンススズカ
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セイウンスカイ
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キングヘイロー
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メジロマックイーン
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ミホノブルボン
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スマートファルコン
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ナリタタイシン
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トレーナー