トレーナーはウマ娘に夢を見る【完結】   作:Tmouris_

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タイトルネタバレ注意
UA5000,お気に入り50突破しました!こっっま拙いストーリーを読んでくださりありがとうございます


第16話:故障発生?菅骨骨膜炎?

 今日はグラウンドでのトレーニングだ。スズカの走りをしっかりと見ないと、と思ってたんだが……

 

「いや〜スズカさんと走るのは久しぶりですね」

 

「そうねスカイさん、私は前より速くなってるわよ?」

 

「へ〜それは怖いです」

 

 どうしてこうなった。元々勝負なんてする予定なかったんだがな……

 

 

──数十分前──

 

「それじゃあ、今日もトレーニング始めてくぞ」

 

「よろしくお願いします」

 

 いつも通り、トレーニングを開始しようとしていた。

 

「もうトレーニング始まっちゃいますか?」

 

「どうしてここにいるんだ?セイウンスカイ」

 

 セイウンスカイは担当ウマ娘じゃないし、ここでトレーニングする予約はもう取ってある。

 

「いやですね、スズカさんと一緒に走りたいなーって思いまして」

 

「私とですか?」

 

 セイウンスカイは自分のトレーニングがあるだろうし、スズカもまだフォームを改善中だ。さすがに今は断って、次の機会にしてもらおう。

 

「いいですよ。一緒に走りましょう」

 

「スズカいいのか?」

 

「今の私の走りがどの程度のものか、確かめてみたいんです」

 

 セイウンスカイなら相手としては不足なしだからな……

 

「あー分かったよ、けど2000mを1本だけだぞ!」

 

「ありがとうございます。トレーナーさん」

 

「いや〜トレーナーさんも気が利きますね〜」

 

「今度からそういうことは早めに言いに来い」

 

 こっちもトレーニングメニューがあるからな。急に来られると色々と困るんだ。

 

「今日はちょっと、急になっちゃったんですよ。許してください」

 

 そう言うセイウンスカイは、どこかはかなげな顔をしていた気がした。

 

「スズカも走りたいらしいし、今日はいいよ。それじゃあ、2人とも準備が出来次第スタート位置についてくれ」

 

 

──ー現在──ー

 

「それじゃあいくぞ、位置について、よーいどん!」

 

 スタートした。スタートはスズカが先頭をとる。セイウンスカイはスズカのすぐ後ろにつく。

 

(スタートはやっぱりスズカがとったな)

 

 その後は、スズカの後をセイウンスカイが追って、ラストの勝負になると思っていた。けど、スズカは俺の想像の上をいった。

 

 1000mを超えたところで、スズカのスピードが更に上がった。セイウンスカイも必死に食らいつくが、徐々に距離が離れていく。

 

(フォームを変えただけでここまで違うか。いや、実戦でしっかり走れるようになったスズカが凄いんだ)

 

 昨日の最後に、フォームの改善案を出した。そこから、身につくまでがあまりに早すぎる。

 

 そして最後の直線。スズカが更に加速した。以前よりトップスピードに乗るのが早い。

 

 結局勝負はスズカが大差をつけて勝利した。

 

「スズカすごいよ、俺の想像以上の走りだった」

 

「ありがとうございます。これもトレーナーさんのおかげですよ」

 

「いや〜スズカさん速いですね。私も自分なりに、トレーニングしてきたんですけどね〜」

 

「セイウンスカイもよく走った方だろう、距離こそ離されたけど中盤よくくらいついてた。それだけ無理をしたのに、ラストもスピード出てたしな」

 

 あれだけペースを乱されて、よく最後も走りきれたもんだ。セイウンスカイはいいものを持っている。

 

「セイちゃんは疲れたのでここで失礼しますね」

 

「お疲れ様、またスズカと走りたくなったら早めに伝えてくれよ」

 

「あなたが私のトレーナーになれたらよかったのに」

 

 セイウンスカイが帰って行ったので、トレーニングを再開しよう。

 

「スカイさん何かあったのかしら」

 

「なんでそう思うんだ?」

 

「トレーナーさんは聞こえなかったんですか?」

 

 どういうことだろうか、セイウンスカイが何か言ったようには見えなかったが。

 

「聞こえてなかったならいいんです。トレーニング再開しましょう」

 

「そうか……とりあえずレストも兼ねて、軽くグラウンドを走ってきてくれ」

 

 軽いジョギングをさせることにした。すると、走ってるスズカに違和感を感じた。

 

(足取りがいつもと違う気がする……まるで足を庇ってるような。まさか!)

 

「スズカ!ちょっとこっちに来い!」

 

「どうしたんですか?」

 

「ちょっと足を見せてくれ」

 

「え、足をですか……えっとその」

 

「恥ずかしいのは分かるけど、緊急かもしれないんだ」

 

 そういうと、スズカは大人しく足を出してくれた。

 

「やっぱり……左足が炎症を起こしてる。これから病院にいくぞ」

 

「本当ですか?全く気が付きませんでした……」

 

 もしも大怪我だったらまずい。早く医者に見せるに越したことは無いだろう。

 

 

──病院──

 

「これは、菅骨骨膜炎が発症していますね……」

 

「菅骨骨膜炎ですか……?」

 

「はい。主に、トレーニングを本格的に始めたウマ娘が発症するものです。重い怪我ではありませんが、しばらくは軽く走るくらいにして、ハードなトレーニングは避けてください」

 

「そうですか……ありがとうございました」

 

 たしか菅骨骨膜炎は、体の出来上がってないウマ娘が、トレーニングの負荷で発症するものだ。でも、そんなふうになるようトレーニングは組んでいなかった。

 

 スズカが、昨日から今日までにフォームの改善があまりに早かったことを、今になって違和感を感じ始めた。

 

「なあスズカ」

 

「なんでしょうか、トレーナーさん」

 

「お前、トレーニング外で過度に走ったりしてないよな」

 

 そう言うとスズカは黙ってしまった。やっぱりそうだったか。

 

「走るなとは言わないが、そこまで走るならどうして言ってくれなかたんだ。無理なハードワークがこうやって怪我に繋がったんだぞ!」

 

「ごめんなさい……速く走れるようになったのが嬉しくて。それに、早くフォームをものにしてトレーナーさんのために、弥生賞も絶対勝ちたくて……」

 

「今日はもう寮に戻って休みます。本当にごめんなさい」

 

 去り際にスズカは泣いていた。言い過ぎてしまっただろうか。

 

(スズカに夢を押し付けて頑張らせ過ぎてしまった……)

 

 俺のために頑張ったのに、その俺に怒られたんじゃ悲しいのも当たり前だ。明日会った時にしっかりと謝ろう。

 

 少し散歩してから帰ろう。まだ考えが全くまとまらない。

 

 夢を押し付けてるつもりはなかった。でも結果的にスズカを頑張らせ過ぎてしまった。俺が自分のことしか考えてなかったんだ。

 

 学園内を歩き回ってると、グラウンドで体育座りをしてるセイウンスカイを見つけた。

 

「お前が昼寝じゃなくて座ってるなんて珍しいな」

 

「セイちゃんにもそういう日があるんですよ。それよりも、トレーナーさんが、そんな暗い顔してる方が珍しいです」

 

「実はスズカに怪我させちまってな。俺が夢を見るあまりに、スズカを頑張らせすぎちまった」

 

「スズカさんがトレーナーさんのために頑張ったなら良いじゃないですか。それだけ一緒に頑張りたいってことですから。同じことさえ繰り返さなきゃいいと思うんです」

 

 今日のセイウンスカイは随分と落ち着いてるな。からかったりとかそういう空気を感じない。

 

「俺はスズカのために、スズカは俺のために頑張った結果か。そうだな、次からは怪我させないように、良く見ればいいんだもんな」

 

「そうやって、同じ夢に向かって頑張れるのが、今はとても羨ましいです」

 

「セイウンスカイ、昼から気になってたんだが、お前なんかあったのか?」

 

 スズカも言ってたが、今日のセイウンスカイは少し様子がおかしい気がする。

 

「隠してたつもりなんですけど気づかれちゃいましたか」

 

「俺の話を聞いてくれたお礼と言っちゃなんだが、話くらい聞くぞ」

 

「実は……トレーナー候補だった人に契約を無効にされてしまいまして。どうしたものかなと」

 

 トレーナー候補に契約を切られた?仮トレーナーや担当トレーナーじゃないと、一方的に契約を切れるのか。

 

「どうしてまた、お前ほど実力があれば、そんなことにならないと思うが」

 

「実は今日、選抜レースがあって。そのレースで同期の娘にボロ負けしちゃったんです。それを見たトレーナーさんが、その娘の担当になるって言って、契約を切られちゃったんです」

 

 そんな、仮契約前だからって、トレーナーの一方的な都合で契約を切っていいのか。

 

「俺だったら絶対そんなことしないのにな。言っちゃ悪いが、そのトレーナーはきっと見る目がなかったんだろ」

 

「もし、トレーナーさんなら、私と契約したら捨てたりしないですか?」

 

「当たり前だろ、そんなもったいないことする理由がない」

 

 セイウンスカイのスタミナは光るものがある。そのほかの能力もかなりポテンシャルが高いと思っている。

 

「それじゃあ、あなたが私のトレーナーになってくれますか?」

 

 俺は固まった。まさか、そんなことを言われるとは。セイウンスカイなら、他を探せばいくらでもトレーナーは見つかるだろうに。でもセイウンスカイがそれを望んでいる。

 

「今はお前のトレーナーになることはできない。俺はトレーナーとしての実績がまだ足りてないからな。複数の担当を持つことは許されないだろう」

 

「あはは〜そうですよね。忘れてく」

 

「だから、日本ダービーまで待っててくれ。皐月賞はスズカの怪我の具合で勝てるか分からない。けど、日本ダービーで必ず俺とスズカが1着を取ってやる」

 

 日本ダービーはクラシック最高峰のレースだ。このレースで勝てば実績が認められるだろう。

 

「勝てるんですか?さっきまであんなしょぼくれてたのに。それに日本ダービーって言えば強者が揃うレースですよ?」

 

「さっきのことを言われると痛いが、スズカなら絶対に勝てるさ」

 

「ダービートレーナーさんがトレーナーか〜いいですね。待ってますから、絶対にダービー勝ってくださいよね。セイちゃんとの約束です」

 

「もちろんだ、今日は門限が近いからもう帰れ」

 

「はい。ありがとうございます

 

 俺も明日、しっかりとスズカに謝らないとな。これからの方針も決めなきゃいけないし。

 

 




スズカの故障回なのにスズカの出番が少ないって?しかたないね。
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