UA5000,お気に入り50突破しました!こっっま拙いストーリーを読んでくださりありがとうございます
今日はグラウンドでのトレーニングだ。スズカの走りをしっかりと見ないと、と思ってたんだが……
「いや〜スズカさんと走るのは久しぶりですね」
「そうねスカイさん、私は前より速くなってるわよ?」
「へ〜それは怖いです」
どうしてこうなった。元々勝負なんてする予定なかったんだがな……
「それじゃあ、今日もトレーニング始めてくぞ」
「よろしくお願いします」
いつも通り、トレーニングを開始しようとしていた。
「もうトレーニング始まっちゃいますか?」
「どうしてここにいるんだ?セイウンスカイ」
セイウンスカイは担当ウマ娘じゃないし、ここでトレーニングする予約はもう取ってある。
「いやですね、スズカさんと一緒に走りたいなーって思いまして」
「私とですか?」
セイウンスカイは自分のトレーニングがあるだろうし、スズカもまだフォームを改善中だ。さすがに今は断って、次の機会にしてもらおう。
「いいですよ。一緒に走りましょう」
「スズカいいのか?」
「今の私の走りがどの程度のものか、確かめてみたいんです」
セイウンスカイなら相手としては不足なしだからな……
「あー分かったよ、けど2000mを1本だけだぞ!」
「ありがとうございます。トレーナーさん」
「いや〜トレーナーさんも気が利きますね〜」
「今度からそういうことは早めに言いに来い」
こっちもトレーニングメニューがあるからな。急に来られると色々と困るんだ。
「今日はちょっと、急になっちゃったんですよ。許してください」
そう言うセイウンスカイは、どこかはかなげな顔をしていた気がした。
「スズカも走りたいらしいし、今日はいいよ。それじゃあ、2人とも準備が出来次第スタート位置についてくれ」
「それじゃあいくぞ、位置について、よーいどん!」
スタートした。スタートはスズカが先頭をとる。セイウンスカイはスズカのすぐ後ろにつく。
(スタートはやっぱりスズカがとったな)
その後は、スズカの後をセイウンスカイが追って、ラストの勝負になると思っていた。けど、スズカは俺の想像の上をいった。
1000mを超えたところで、スズカのスピードが更に上がった。セイウンスカイも必死に食らいつくが、徐々に距離が離れていく。
(フォームを変えただけでここまで違うか。いや、実戦でしっかり走れるようになったスズカが凄いんだ)
昨日の最後に、フォームの改善案を出した。そこから、身につくまでがあまりに早すぎる。
そして最後の直線。スズカが更に加速した。以前よりトップスピードに乗るのが早い。
結局勝負はスズカが大差をつけて勝利した。
「スズカすごいよ、俺の想像以上の走りだった」
「ありがとうございます。これもトレーナーさんのおかげですよ」
「いや〜スズカさん速いですね。私も自分なりに、トレーニングしてきたんですけどね〜」
「セイウンスカイもよく走った方だろう、距離こそ離されたけど中盤よくくらいついてた。それだけ無理をしたのに、ラストもスピード出てたしな」
あれだけペースを乱されて、よく最後も走りきれたもんだ。セイウンスカイはいいものを持っている。
「セイちゃんは疲れたのでここで失礼しますね」
「お疲れ様、またスズカと走りたくなったら早めに伝えてくれよ」
「あなたが私のトレーナーになれたらよかったのに」
セイウンスカイが帰って行ったので、トレーニングを再開しよう。
「スカイさん何かあったのかしら」
「なんでそう思うんだ?」
「トレーナーさんは聞こえなかったんですか?」
どういうことだろうか、セイウンスカイが何か言ったようには見えなかったが。
「聞こえてなかったならいいんです。トレーニング再開しましょう」
「そうか……とりあえずレストも兼ねて、軽くグラウンドを走ってきてくれ」
軽いジョギングをさせることにした。すると、走ってるスズカに違和感を感じた。
(足取りがいつもと違う気がする……まるで足を庇ってるような。まさか!)
「スズカ!ちょっとこっちに来い!」
「どうしたんですか?」
「ちょっと足を見せてくれ」
「え、足をですか……えっとその」
「恥ずかしいのは分かるけど、緊急かもしれないんだ」
そういうと、スズカは大人しく足を出してくれた。
「やっぱり……左足が炎症を起こしてる。これから病院にいくぞ」
「本当ですか?全く気が付きませんでした……」
もしも大怪我だったらまずい。早く医者に見せるに越したことは無いだろう。
「これは、菅骨骨膜炎が発症していますね……」
「菅骨骨膜炎ですか……?」
「はい。主に、トレーニングを本格的に始めたウマ娘が発症するものです。重い怪我ではありませんが、しばらくは軽く走るくらいにして、ハードなトレーニングは避けてください」
「そうですか……ありがとうございました」
たしか菅骨骨膜炎は、体の出来上がってないウマ娘が、トレーニングの負荷で発症するものだ。でも、そんなふうになるようトレーニングは組んでいなかった。
スズカが、昨日から今日までにフォームの改善があまりに早かったことを、今になって違和感を感じ始めた。
「なあスズカ」
「なんでしょうか、トレーナーさん」
「お前、トレーニング外で過度に走ったりしてないよな」
そう言うとスズカは黙ってしまった。やっぱりそうだったか。
「走るなとは言わないが、そこまで走るならどうして言ってくれなかたんだ。無理なハードワークがこうやって怪我に繋がったんだぞ!」
「ごめんなさい……速く走れるようになったのが嬉しくて。それに、早くフォームをものにしてトレーナーさんのために、弥生賞も絶対勝ちたくて……」
「今日はもう寮に戻って休みます。本当にごめんなさい」
去り際にスズカは泣いていた。言い過ぎてしまっただろうか。
(スズカに夢を押し付けて頑張らせ過ぎてしまった……)
俺のために頑張ったのに、その俺に怒られたんじゃ悲しいのも当たり前だ。明日会った時にしっかりと謝ろう。
少し散歩してから帰ろう。まだ考えが全くまとまらない。
夢を押し付けてるつもりはなかった。でも結果的にスズカを頑張らせ過ぎてしまった。俺が自分のことしか考えてなかったんだ。
学園内を歩き回ってると、グラウンドで体育座りをしてるセイウンスカイを見つけた。
「お前が昼寝じゃなくて座ってるなんて珍しいな」
「セイちゃんにもそういう日があるんですよ。それよりも、トレーナーさんが、そんな暗い顔してる方が珍しいです」
「実はスズカに怪我させちまってな。俺が夢を見るあまりに、スズカを頑張らせすぎちまった」
「スズカさんがトレーナーさんのために頑張ったなら良いじゃないですか。それだけ一緒に頑張りたいってことですから。同じことさえ繰り返さなきゃいいと思うんです」
今日のセイウンスカイは随分と落ち着いてるな。からかったりとかそういう空気を感じない。
「俺はスズカのために、スズカは俺のために頑張った結果か。そうだな、次からは怪我させないように、良く見ればいいんだもんな」
「そうやって、同じ夢に向かって頑張れるのが、今はとても羨ましいです」
「セイウンスカイ、昼から気になってたんだが、お前なんかあったのか?」
スズカも言ってたが、今日のセイウンスカイは少し様子がおかしい気がする。
「隠してたつもりなんですけど気づかれちゃいましたか」
「俺の話を聞いてくれたお礼と言っちゃなんだが、話くらい聞くぞ」
「実は……トレーナー候補だった人に契約を無効にされてしまいまして。どうしたものかなと」
トレーナー候補に契約を切られた?仮トレーナーや担当トレーナーじゃないと、一方的に契約を切れるのか。
「どうしてまた、お前ほど実力があれば、そんなことにならないと思うが」
「実は今日、選抜レースがあって。そのレースで同期の娘にボロ負けしちゃったんです。それを見たトレーナーさんが、その娘の担当になるって言って、契約を切られちゃったんです」
そんな、仮契約前だからって、トレーナーの一方的な都合で契約を切っていいのか。
「俺だったら絶対そんなことしないのにな。言っちゃ悪いが、そのトレーナーはきっと見る目がなかったんだろ」
「もし、トレーナーさんなら、私と契約したら捨てたりしないですか?」
「当たり前だろ、そんなもったいないことする理由がない」
セイウンスカイのスタミナは光るものがある。そのほかの能力もかなりポテンシャルが高いと思っている。
「それじゃあ、あなたが私のトレーナーになってくれますか?」
俺は固まった。まさか、そんなことを言われるとは。セイウンスカイなら、他を探せばいくらでもトレーナーは見つかるだろうに。でもセイウンスカイがそれを望んでいる。
「今はお前のトレーナーになることはできない。俺はトレーナーとしての実績がまだ足りてないからな。複数の担当を持つことは許されないだろう」
「あはは〜そうですよね。忘れてく」
「だから、日本ダービーまで待っててくれ。皐月賞はスズカの怪我の具合で勝てるか分からない。けど、日本ダービーで必ず俺とスズカが1着を取ってやる」
日本ダービーはクラシック最高峰のレースだ。このレースで勝てば実績が認められるだろう。
「勝てるんですか?さっきまであんなしょぼくれてたのに。それに日本ダービーって言えば強者が揃うレースですよ?」
「さっきのことを言われると痛いが、スズカなら絶対に勝てるさ」
「ダービートレーナーさんがトレーナーか〜いいですね。待ってますから、絶対にダービー勝ってくださいよね。セイちゃんとの約束です」
「もちろんだ、今日は門限が近いからもう帰れ」
「はい。ありがとうございます」
俺も明日、しっかりとスズカに謝らないとな。これからの方針も決めなきゃいけないし。
スズカの故障回なのにスズカの出番が少ないって?しかたないね。